牙狼外伝~赤金の魔戒騎士~   作:神山人海

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魔導

昼下がりの狼紅邸。

迅は手元の振り子を眺め考えていた。

あの騎士は本当に黄金騎士なのか、時空ホラーが存在してこの世界にやってきているのか、魔導ホラーがどれほど存在するのか、彼らは味方なのか。

謎が多い上に元老院に指示を仰ごうにも味方である保証が無く魔導ホラーがすでに内部へと侵入しているならば自分が殺されるかもしれない。

 

「何やってるの?そんなもの見つめてさ。」

 

ノックもせず桜華が入室してきた。

迅は少し考えた後彼女には打ち明けておこうと考え先日のことを話した。

魔導ホラーのこと、謎の騎士と法師のこと、時空ホラーのこと、そしてこの振り子のこと。

桜華は黙って話を聞いた。

全てを聞き終えるとしばらく考え込み口を開いた。

 

「とりあえずその道具を見せてもらっていい?」

 

「その前に一応。」

 

彼女の前で振り子を使う。

振り子は音を鳴らし回転する。

桜華には何事も無く迅は胸をなでおろす。

 

「そう使うのね。わかったわかった、じゃあお返し。」

 

迅の手から振り子を取り彼の前で使う。

先ほどと同じく何事も無い。

迅は一息ついた。

 

「不思議な振り子だね。魔道具ってのに違いはなさそうだけど素材が気になる。他に情報は無いの?」

 

「いや、先ほど言ったものだけだ。ゲルバ、お前は何か知っているか?」

 

台座に鎮座するゲルバにも声をかける。

 

「俺様は知らないな。知ってることは喋ったしあいつらの事はわからん。」

 

「そうか。」

 

二人が喋り終えると桜華が話始める。

 

「どっちにしろその黄金騎士?みたいなやつの言ってることを真実だとして誰がホラーか分からない状態なわけでしょ?とりあえず彼とコンタクトを取って情報を得る必要があるけど今から行くわよ。」

 

「何!」

 

その提案に驚き迅は思わず立ち上がる。

 

「考えたって答えは出ない、元老院には報告できない、なら私たちが接触して情報を集めるしかないでしょ?虎穴に入らずんば虎子を得ずって言うし、少なくとも相手に敵意を感じられないならすぐに殺されることはないと踏んで攻めるべきよ。それに相手が本当に味方であればそれから報告すればいい事だし。」

 

桜華は当たり前のように話す。

迅は反論する。

 

「間違っていないのだがリスクが伴う。相手を見ている俺からすればあの騎士は力量が違うんだ。曲がりなりにも黄金騎士を模倣しているだけはある。敵に回るのであれば一人では自信が無い、法師の方もただならぬ雰囲気だった。彼らは・・・。」

 

「うるさい!そんなこと考えて行動しているの?もしも手遅れだったら?すでに犠牲者は出ているのよ?このままなら内部に侵入されて内側から乗っ取られるかもしれない。だったら迅速な行動が必須になるわ。狼紅に認められたのならそれぐらいの覚悟は持ち合わせていると思ったけど見込み違いだったかしら?狼紅も先代も浮かばれないわね。」

 

「桜華、仲間とは言えその侮辱は許せないな!」

 

迅が魔戒剣に手をかける。

桜華はそれを見て笑い迅に指をさす。

 

「なんだ、ちゃんと誇りがあるじゃない。だったら世界を守るためにその黄金騎士もどきを探しに行くよ!私と争うのはあの世に行ってからだ。守りし者なら世界を、人間の事を考えな。」

 

そう言うと彼女は部屋を出ていく。

取り残された迅にゲルバが笑いながら話す。

 

「桜華に乗せられたなあ。守りし者としての矜持があるなら行かないとなあ、迅?」

 

「ふん、わかったよ。自分の保身を考えてた、やってやる。敵対することになったら刺し違えてでも止めてやるさ。まったく、布道法師の弟子だけはあるな。」

 

迅は自身を嘲笑しつつコートを羽織りゲルバを嵌め桜華の後を追う。

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