迅一行は先日の公園へと向かっていた。
「場所はこっちでいいの?」
「ああ、そこの角を曲がったら公園がある。」
目的地に着いた。
まだ夕方前なだけあって子供たちが遊び、母親がベンチで談笑している。
そんな中、子供に混じって大人が一緒に遊んでいた。
赤いインナーに黒い魔法衣を着込んだ男だった。
男は迅達に気付いたようだ。
「あれ、今度は別の女の子連れてるんだ。こっちの騎士はモテるんだね。」
笑顔でこちらに近づいてくる。
その言葉に迅は慌てた。
「桜華は仲間の法師だ!それにこの前の女は助けただけでそういう関係じゃない!」
迅は大きな声で弁明する。
子供たちがその声に驚く。
「大丈夫大丈夫、俺の友達だから気にしないで遊んでなよ。」
「うん!」
子供たちは男の言葉に頷きまた遊び始めた。
迅は取り乱したことに気付き深呼吸する。
その間に桜華が口を開いた。
「あなたが別世界の魔戒騎士?」
「そうだよ。そういえばこの前は自己紹介をしてなかったね。俺は道外流牙、牙狼の鎧を継承した騎士さ。」
道外流牙と名乗った彼は笑顔で喋る。
「こちらも名乗っていなかった、非礼を詫びる。俺の名前は梵迅、赤銅騎士・狼紅を継承した。」
「私は桜華、魔戒法師。彼とは仲間以外の何物でもないわ。」
先ほどの言葉に反論するような自己紹介だ。
「この世界のお嬢ちゃんも気が強いみたいだな。」
流牙の指輪がため息交じりに喋った。
それに反応するようにゲルバが口を開く。
「そっちの女も気が強かったな。」
「莉杏も見た目と違って魔戒法師らしく強いからな。」
「ザルバ、後で莉杏に言っちゃうよ?」
「やめてくれ、口を封じられるのは窮屈で叶わん。」
流牙は魔導輪と笑いながら話す。
彼らは旧知の仲らしい。
桜華が質問する。
「その魔導輪の名前は?」
「ああ、こいつはザルバ。」
「それが俺様の名前だ。黄金騎士の相棒は俺と決まっている。」
「聞き間違いかと思ったがやはりザルバだったか。」
迅は合点がいった。
黄金騎士の魔導輪はザルバ、歴史を紐解けばこれは牙狼が生まれたときから決まっているらしい。
「で、こっちの元老院に俺たちを紹介してくれるの?」
「いや、まだ信用していない。今回は魔導ホラーを討伐したい。」
「なるほど、それで探知方法があるなら知りたいってことだね。この前の振り子だけじゃ足りないってことか。」
「そうね。聞いた話だと面と向かって使わないといけないんでしょ?ならそれ以外の方法があると思うんだけど、どうなの?」
桜華は確信をしていた。
振り子はあくまで対面したときに確信するための物。
ならばある程度、範囲を絞るための探知機があるはずと踏んで質問を投げかけたのだ。
流牙は少し考えて口を開いた。
「あるといえばある。莉杏が言っていた、あれを使うには陣を描き魔道具を配置する必要がありそれを安定させないといけない。それだけの場所を確保してくれれば探知は出来るようになるよ。」
「ふーん。その莉杏って魔戒法師はどこにいるの?」
迅と桜華が周囲を見渡してもそういう人物は見当たらない。
「はあい、こっちの騎士さんと法師さんも来て役者が揃ったって感じね。」
後ろから高くも凛々しい華やかな声が聞こえた。
振り向くと先日会った派手な魔戒法師が居た。
「莉杏!」
手をひらひらと振り近づいてくる。
「流牙が言った通り探知機を作るならそれ相応の場所が必要なの。ただそこらへんに作るとこっちの警察やらなにやらに邪魔されちゃうのよ。で?あなた達はこれを聞いてどう行動するのかしら?」
莉杏は挑戦的な口調で言う。
それを桜華が受けて立つ。
「そうね。まずあなた達が安全であることを確認させてもらうわ。」
そう言うと振り子彼らに使用した。
それの不協和音と共に彼らが人間であることを証明する。
「安全でしょ?」
「そのようね。」
二人の魔戒法師は笑顔で握手を交わす。
魔戒騎士と魔導輪達も笑う。
「とりあえずついてきて、私たちの拠点へ案内するわ。」
「助かるわ。あなた美人だからもっとおしゃれしたらいいのに。」
「流牙、こっちだ。」
「ありがとう、迅。」
四人と魔導輪二つは狼紅邸へと足を進めた。