狼紅邸に戻った一行、着くなり莉杏は屋敷を散策し始めた。
桜華がそれについていく。
迅と流牙は修練場へ向かった。
桜華と莉杏は陣を描くに適した部屋を探して回る。
「この部屋は日が射しこみ過ぎるわ。」
「日差しは要らないのね、なら二階よりは一階、もしくは地下のがいいかしら?」
「そうね、出来れば霊脈、龍脈に少しでも近い方が良いわ。その方が正確にわかる。」
二人は話しながら屋敷を見て回る。
地下へ向かい彼女らは修練場を通り過ぎ物置となっている扉を開ける。
迅達が住み始めてからもほとんど入っていないため埃が舞う。
「これはすごいわね・・・。ただ場所は一番適してる。とりあえず掃除からかな?」
「わかったわ。でもここを片付けるのは骨が折れそうね。」
二人はため息をつきつつ荷物を運び出す準備を始める。
どこへ片付けるか、陣の形成、魔道具作成のための材料集め。
彼女らはせわしなく働くことになる。
そんな中修練場では金属がぶつかる音が響いた。
「やるね!剣を交えてわかるけど君は心が強い!」
「あなたも強い!受け止めてわかる、世界を救ったというのも頷ける。」
競り合いになりつつも二人は笑顔である。
「どうも騎士ってのは戦うのが好きらしいな。なんとも大変な性分だぜ。」
「そこは同感だ。ただこれは鍛錬、騎士だからなあ己を磨くことには積極的なんだ。」
「弱いよりは強い方がいいもんな。」
「俺様達も喰われるのをみたいわけじゃないだろう。」
ザルバとゲルバが話す。
ザルバは流牙を理解しての発言、ゲルバは迅のことを理解しきれていないという発言をする。
出来上がった絆とこれから紡がれる絆、それを感じているのか流牙とザルバは目を合わせ微笑む。
競り合う二人は流牙の力が勝ったのか迅が弾き飛ばされた。
よろける迅に追撃を仕掛ける。
態勢を戻し構え直す。
「遅い!」
立て直す前に流牙の切っ先が迅の首元に触れるほどに近づいた。
ソウルメタルの冷たい温度が伝わってくるほどの距離だ。
「参りました。」
迅の発言と共に剣が首元から離れる。
「一瞬の判断が命取りになる。ザルバとゲルバの話に耳を傾けすぎたかもね。」
「まだ未熟です、つい周りに気を取られてしまいました。」
「俺様の騎士様はまだまだだな。」
「流牙相手によくやった方だと思うがな。」
「もう一本、手合わせお願いできますか?」
「おっけー、やろうか。」
二人はもう一度対面する位置に戻り剣を構える。
すると
『ガシャーン!!!』
法師達が片付けをしている倉庫から大きな音が聞こえ二人は目を丸くした。
目配せをして倉庫の方へ移動する。
彼らが倉庫へと入ると埃が舞い視界が悪くなっていた。
「莉杏、大丈夫?」
「桜華!何があった!」
埃が落ち着き視界が良くなる。
そこには保管されていた魔道具が床に散乱し頭を抱えている法師二人だった。
「大丈夫だけど更に片付けが大変になったわね。」
「二人とも鍛錬の邪魔をしてごめんね、すぐ片付けるから。」
二人は申し訳なさそうに言う。
魔戒騎士二人は目を合わせ彼女らに視線を戻す。
「じゃあ手伝うよ、その方が早いでしょ?」
「自分の住む家だ、片付けは家主の仕事だからな。」
そう言うと二人は散乱した魔道具を片付け始めた。
四人は各々で協力して終わらせることにした。