意気込んで街に出てみたものの情報が何もないのは問題だったみたい。
昼に編集部を出てから数時間、港町へ来たもののこの写真の場所を探して歩いている。
場所自体は見つかったのだけど数年前の事件のためなんの手掛かりも無い。
今はカフェに入りノートパソコンでまたネット掲示板を見始める。
「もー、編集に居る時と何も変わらないじゃない・・・。」
溜め息をつきながらコーヒーを啜る。
すると日本橋での失踪事件がヒットした。
内容はとあるクラブに行った人の中に失踪者が多いということ。
ある雑貨店の店主が失踪したということ。
警察は捜索したものの見つからず事件性はないと結論付けたとのこと。
これは何か繋がりがあるかもしれない。
試しにクラブと雑貨店の跡地を思いカフェを出ることにした。
「嘘でしょ・・・。」
噂のクラブは閉鎖されていた。
事件性は無いものの失踪事件が多発したことが原因らしい。
オーナーの男も失踪したとのことで経営出来なくなったとのことだ。
現在はコンビニエンスストアになっていて話は聞けたものの情報を得られないという情報を得ただけだった。
「次よ次!まだ雑貨店があるわ!」
気を取り直して向かうことにする。
太陽が沈みつつある中現地へたどり着く。
雑貨店「あかどう」。
店主が失踪したとの話だったが灯りがついている。
よかった、ここなら何か情報を得られそうだ。
扉には「OPEN」と吊るしてあり店が営業していることがわかりほっとした。
入店すると鈴が鳴り店の中へ客が来たことを告げる。
「いらっしゃい!」
一人の男が元気よく出迎えてくれた。
無精髭の生えた彼は室内なのにマフラーをしている。
空調が効いてないわけではないしなんでなんだろう?
「何をお探しで?財布に鞄、ちょっとしたアクセサリーから小物までなんでもあるぜ!」
「えっと私、実はこういうものでして。」
商売魂を見せてきた彼の言葉を聞き流し名刺を差し出す。
「月刊メー?聞いたことない雑誌だな。あ、もしかしてこの店の取材?困ったなあ、大したものは売ってないんだけど、知る人ぞ知るって感じのお店紹介的な?うーん、それならいいかなあ、どうかなあ?」
彼は勝手に勘違いをして笑顔で独り言を呟き始めた。
「あの!そういう取材じゃなくて!よく見てください、オカルト雑誌って書いてあるでしょ?数年前にあったここら辺の失踪事件について調べてるんです。ここの店主も失踪したって噂を聞いたので取材に来ました。」
男の顔からふっと笑顔が消えました。
頭を掻き名刺をこちらに返してきた。
「あーそういうのなら断るよ。あの事件については俺たちもわからないし、前の店主が何処へ行ったのか・・・見当もつかないし・・・。」
目を伏せて喋っている。
記者としての感と心理学的に考えれば十中八九嘘をついている人の起こす行動だ。
彼が何かを知っているのは間違いない。
これでさっきの画像を見せたらどう反応するか試してみよう。
「そうですか。ならこの画像に見覚えはありませんか?」
編集長からもらった黄金騎士とギロチンの怪物の画像を見せた。
すると彼は目を開いて驚き、
「え、君はあの場に居たの?まさか牙狼とベビルの戦いを見ていたなんて・・・。」
「あの騎士は牙狼って言うのね、怪物がベビルと。」
手帳にメモを書く。
すると男はやってしまったと言わんばかりに頭を抱えた。
「あー、一般市民に余計な事を教えちゃった!やばい、烈花に怒られる!ううう・・・。」
「あのう、頭を抱えてるところ悪いんだけど取材はOKってことでいいのかしら?」
彼が顔を上げてこちらを見る。
泣きそうな顔をしていてこちらを見つめている。
なんだかとても悪いことをしてしまったように感じ頬を指で掻く。
「えーっと、なんかごめんね。でもせっかくここまで来たし取材に付き合ってもらえない?」
「これ以上はまずいよ・・・。俺がおっちょこちょいなのはしょうがないけどさすがに一般人を巻き込むのは駄目だ・・・。」
「でも私は満足したら誰にも話さないし、それにあなたもその烈花って人にバレなければいいんでしょ?じゃあ一日付き合ってよ!」
彼は頭を抱え頭をめちゃくちゃに掻きむしる。
悩みに悩んで数十分、彼は覚悟を決めたようにこちらに向き直った。
「あーもうわかったよ!間違っても烈花に言うなよな!」
私はその人がわからないけどとりあえず頷くことにした。
すると彼は奥に引っ込み身支度を整え戻ってきた。
彼は大きな鞄と大きな筆を持っている。
「あなた書道家なの?」
「違う、俺は魔戒法師!あーまた言っちゃったよ!俺ってなんでこうなんだろう・・・。」
彼のこれはお家芸のようなものらしい。
「もういいや!とりあえずついてきなよ。仕方ないから俺たちの仕事の一部を見せてやるからそれで納得してくれよな!」
彼はそう言って店を出ていく。
私もその後を追って出ていった。