『通信傍受艦アンドロメダCIC』
男は今日も敵国のユークトバニアの通信を傍受している。この男が所属する艦、アンドロメダは空母ケストレルと他三隻の艦と行動している。この艦隊の任務はセレス海の哨戒任務だった。
男はユークトバニアの通信を傍受することが飽きたので、軍規違反と知りながら、オーシアと民間の通信を傍受し始めた。傍受を始めてから五分が経った。すると、男はある物に気付く。それは民間通信にあった、謎の暗号通信だった。
何故民間通信に暗号通信があるのか。
男は不審に思い、その暗号通信を見た。この暗号通信は、オーシア語じゃなければユークトバニアじゃない。この暗号通信は15年前の戦争、ベルカ戦争で連合軍に敗れた国、ベルカ語の暗号通信だった。
何故今になってベルカ語の暗号通信が。
男はそう思って、このベルカ語の暗号通信の発信源を調べてみると、発信源は、グランダーIG社。かつて南ベルカ産業省と言われた、兵器生産工場。
これは裏がある。
男は確信した。男はこの暗号通信を紙に写し、処罰覚悟で上官のもとに行った。
『フリゲート艦オルヘェウス艦橋』
シンハァクシの散弾ミサイルによって、俺たちが所属する艦隊、第三艦隊は、ほぼ壊滅した。残った艦は、ほとんどが哨戒任務行きだった。俺たちとケストレルも同じ、哨戒任務行きになった。
ケストレルの周りには、俺たちも含めて四隻の艦がいるだけだった。
「しかし、空母に哨戒任務をやらせるとは。」
「しかたないさ艦長、艦載機ない空母なんかただのお払い箱ですよ。」
ケストレル甲板を見ると、本来あるはずの艦載機は一機しかないケストレルに所属する艦載機はシンファクシの散弾ミサイルによってほぼ壊滅。残った艦載機も、他の作戦でスノー大尉以外は撃墜された。そのため、今ケストレルに所属する艦載機はスノー大尉しかいない。
艦載機以外に所属する隊は、海兵隊だけである。
「そうだ、艦長。聞きましたか、ウォー・ドック隊のこと。」
「ああ、聞いたよ。彼らが民間施設に攻撃するはずがない。」
「そうですね、彼らが民間施設に攻撃するはずがない」
ウォー・ドック隊。その隊は俺たちがセントヒューレット軍港と第三艦隊集結の時に支援してくれ隊である。
彼らはその後、彼の基地であるサンド島基地が再び攻撃を受け、そしてその中には俺たちが所属する第三艦隊の大半をあっという間に沈めたシンファクシも参加していたが、アークーバードの支援とウォー・ドック隊によりシンファクシは轟沈し、サンド島も守り切った。
その数日後に行われた、ユークトバニア本土上陸作戦、フットプリント作戦にもウォー・ドックが参加していた。ウォー・ドック隊の効果的な上空支援により、フットプリント作戦は成功に終わった。
そして、事件が起こった。
フットプリント作戦が成功により、ユーク軍はバースターク半島から大規模な撤退を始めた。ウォー・ドック隊はその撤退部隊の追撃任務していた。ちょうどそのころ、ウォー・ドック隊がいた、作戦空域内で民間施設が攻撃を受け、多数の死者がでた。
作戦空域内のレーダーにはウォー・ドック隊しか確認しておらず、ウォー・ドック隊は首都オーレットの査問委員会に出席を受け、現在は調査が行われている。
「ウォー・ドック隊も気に何ますが私は、もう一つ気になることがあります。」
「なにが気になるのだ、スミス。だが、お前が俺たちの会話に入ってくるとは、めずらしいな。」
普段は俺とホークス話している時はスミスは話に入ってこない。入ってくるときは業務連絡のときぐらいだ。
「私もたまには、話したくなる時もあるので。」
「そうか。で、何が気になるんだ。」
「最近のオーシア軍の態度です。フットプリント作戦が始まる、少し前からおかしくありませ。」
確かにそうだ。今までオーシア軍は守りに専念していた。ハーニング大統領がユークトバニアと和平するためである。
だが、今のオーシア軍は攻めに変わっている。
「確かそうだ、最近のオーシア軍の態度がおかし。それに、政府までおかしくなっていないか、艦長。」
「俺もそう思っていたとことだ。それに、ハーニング隊ちょ・・・・・」
俺は思わず、大統領になる前のことをいってしまいそうになり、急いで口を閉じた。ホークスとスミスは首を傾げている。何か聞かれると厄介になるので、話を続ける。
「じゃなかった。ハーンニング大統領が表舞台から姿を消したことが気になる。」
「どういう事だ?」
「最近の政府発表はすべて副大統領によって、行われている。いともなら、ハーニング大統領が直々に発表していたはずだ。」
「いわれてみれば確かにそうだ。それに、今の戦争は明らかにハーニング大統領の政策と違いすぎる。」
ハーニング大統領の政策は世界的な平和政策で知られている。
ハーニング大統領も平和主義者で、この戦争が始まってすぐに記者会見に出て「ユークトバニアとは和平を望みたい。」と発表した。
だが今はどうだ。和平どころか、全面戦争に入っている。だが、ハーニング大統領はそう簡単には意思を曲げない人物としても知られている。
そんなハーニング大統領が全面戦争するわけがない。だとすると・・・・
「これはあくまでも俺の仮説だが、ハーニング大統領は何者かによって誘拐され、そしてアップルルースが政権を握り、大統領の名を借りて、この戦争をやっている事にすれば、大体の事が納得できる。」
「確かに、アップルルースならやれかねん。」
アップルルース副大統領はハーニング大統領とは違い、好戦派であり、そのためハーニング大統領を嫌っている。
「まあ、あくまでも仮説だが。」
俺たち三人は黙り込んで考えた。一体この戦争は何のためにやっているのか。
そして、ハーニング大統領は誘拐されているのか。そんなことを考えながら沈黙続いた。
「ホークス中尉。」
ホワイトの声が耳に入ってきてその沈黙を破った
「どうしたホワイト。」
「どうしたって通信コールが鳴っています。」
ホワイトから、そのことを聞いて通信コールがなっていることに気付いた。どうやらだいぶ前から鳴っていたらしい。
「ありがとうホワイト。今、行く。」
ホークスは通信機の前に行き、通信用のインカムを頭に掛けて、通信を始めた。しばらく通信を続けて、そして「わかりました。艦長に伝えます。」と言って通信を切り俺のほうに来た。
「ケストレルからです。本日1500時。本艦隊の各艦長はケストレルに集合せよ。とういことです。」
ケストレルに集合とは。よほど重大の話らしい。だが、今の艦隊は哨戒艦隊だ。
重大の話は極秘任務の話じゃないだろう。
「わかった。ホークス、艦を任せた。」
「わかった。」
そして俺は艦橋を後にした。
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『空母ケストレルブリーフィングルーム』
ケストレルのブリーフィングルームはガランとしているとしている。本来いるはずのパイロット達はおらず、代わりに各艦の艦長達がいるだけだ。
いったい何のはなしだろうか。そう思ったとき、ケストレル艦長アンダーセンと数人の乗組員が来た。
「すまないね、急に呼び出して。」
アンダーセンはそう言うとモニターの左側にある椅子に腰を下ろし、そしてアンダーセンと一緒に入ってきた乗組員はモニターを立ち上げる。
「すでに、知っていると思うが先日の民間施設への攻撃の件だ。」
モニターを見ると、そこにはオーシアのバーナ学園都市とアピード国際空港が写っていた。
「昨日、ユーク軍がこの二つを標的にしたテロが行われた。」
ブリーフィグルームは騒然とした。ある者は「そんな馬鹿な」と言う。またある者は「こんなことがあるのか」と言う。俺は「なぜこんなことが出来る」と思った。
バーナ学園都市とアピード国際空港には人がにぎわっている。そんな所でテロが起きれば、まさに大惨事になることは間違いない。
「おそらく、これは先日のユーク国内で起こった民間施設への攻撃のだと思うよ。」
モニターの画面には二つの映像が映し出されている。一つは、バーナ学園都市ともう一つはアピード国際空港だ。そして、その映像はまさに地獄だった。
バーナ学園都市の映像には突然、謎のガスが上がった。そのガスの近くにいった人が急に喉に手を当てて苦しみだした。そして血を吐いて、倒れた。それを見ていた人々はパニックになりガスから逃げだした。しかし、ガスはあちらこちらに上がりだした。人々はさらにパニックなり、我先とへと逃げていく。
一方、アアピード国際空港の映像ではすでに上空での戦闘が映し出されていた。戦闘機と戦闘機が互いの背後を取ろうと、必死で旋回している。すると突然、激しい轟音が空港に鳴り響く。
カメラの視点は轟音が鳴り響いてからすぐに上空から地上へ変わった。そして轟音の正体が分かった。それは輸送機から出てきた、戦車の砲撃だった
。戦車は無差別攻撃を開始。その一発が空港のターミナルをし、窓ガラスが派手に飛び散るさらに輸送機の中から、フル装備した歩兵まで出てきて、彼らもまた無差別攻撃を始めた。
そして、フル装備した歩兵の一人がこのカメラに気付いてカメラに向かってRPGを撃ち込んで。映像はここで途切れる。
「このユーク軍のテロによって、バーナ学園都市は200人の死傷者が出た。アピード国際空港は旅客機を中心に400人以上が死傷者とする事態になった。ああ、それと諸君らの身内の安否はすでに確認できているから大丈夫だよ。」
それを聞いたある艦長が「よかった。」と言った。おそらく身内がバーナ学園都市かアピード国際空港の近くにいるだろう。
だが別の艦長は「くそユークが」と言った。それを聞いたアンダーセンはピクリと反応した。
「確かにこのテロでユークトバニアに憎しみを持つ者もいるだろ。だが、その憎しみで新たに報復することは彼らの思うままになってしまうよ。」
アンダーセンの言葉を聞いて俺は思った。いや、たぶんここにいる全員が思っただろう。
アンダーセンが言った「彼ら」という単語に、それはつまりオーシアとユークトバニアの戦争に第3の戦力がいることを示している。
「アンダーセン艦長、彼らというのは。それが集まった理由ですか。」
「その通りだよ、ガレ艦長。これが集まった理由だよ。まず、これを見てくれ。」
アンダーセンがそう言うと、モニターに映し出されたのは暗号通信であった。これを見てすぐ俺はある国の暗号通信だと分かった。
「これは二週間前アンドロメダが傍受しました暗号通信だよ。」
俺は驚いた。この通信を使っていた国はもう使っていないはず・・・・
「何故…ベルカ語の暗号通信がいまになって。」
それを聞いた周りに艦長たちが驚いている。無理もない。ベルカ語の暗号通信は最後に使われたのはベルカ戦争時の時。
それ以来、全く使われていない。
「全く、その通りだよ。この暗号通信は間違いなくベルカ語の暗号通信だよ。しかし、なんでわかったのだ。ガレ艦長。」
アンダーセン艦長は不思議そうな顔で聞いてきた。
「ベルカ戦争時俺は駆逐艦トールの通信員でした。トールにも傍受機能がありました、その時はよくベルカ語の暗号通信をよく見ましたよ。」
「なるほど。」
アンダーセンは納得した。
「では話を戻そう。この暗号通信はすでに発信源と解読は完了しているよ。発信源はノースオーシア・グランダーI.G.社。かつては南ベルカ国営兵器産業廠と言われた所だよ。」
ノースオーシア・グランダーI.G.社。アンダーセンが言うとおりだ。
かつては南ベルカ国営兵器産業廠と言われた兵器生産工場である。南ベルカ国営兵器産業廠は二機の予算で三機生産可能という低コストで有名であった。
ベルカ戦争終結後オーシアに吸収され、今のノースオーシア・グランダーI.G.社になった。
「ここまで言えばわかると思うが彼らと言うのは旧ベルカ軍だよ。そして、旧ベルカ軍よって、ハーニング大統領はすでに誘拐されたあとだったよ。今、政権を指示しているのはアップルルース副大統領だ。ベルカはそうとう前から、この戦争を考えていたらしいね。アップルルース副大統領だけじゃなくって、軍上層部までもベルカに繋がっているよ。」
俺はさらに驚いた。まさかついさっきまで話していたことはすでに現実になっていたとは。しかも、アップルルース副大統領と軍上層部までも繋がっていたとは。
いや、逆に利用されているのだろう。
「この暗号通信の内容はさっき言ったハーニング大統領の誘拐とそのハーニングの監禁場所だったよ。監禁場所はノースオーシアの国境地帯南端に位置する古城だ。」モニターの画面にはベルカとノースオーシアの国境地帯南端の衛星写真が写した写真が映し出されている。そこには古城とそして、ベルカ戦争の傷跡。七つの核の一つのクレータがあった。
「ハーニング大統領はこの古城で監禁されているのはほぼ間違いない。
「だったら、すぐに救出作戦を!」
ある艦長が席を立ってこう言った。だが、アンダーセンは首を振った。
「残念ながらそれはできないよ。今の戦力じゃ救出作戦はむりだよ。」
アンダーセンの言うとおりだ。今の子の艦隊の戦力は、稼働可能な戦闘機はF-14が4機だがパイロットがスノー大尉しかいなく、事実上1機。後は海兵隊のシーコブリン隊。
どうあがいても戦力が足りない。それに軍上層部はすでにベルカの手の中だ。軍上層部にこのことを報告すれば、間違いなくこちらが消されるだろう。
「ただ、これを黙って見るわけにはいかない。今後アンドロメダは全通信を傍受する。いちおうみんなの意見を聞きたい。」
「賛成ですよ。これ以上奴らの好き勝手にはやらせるわけには行けません。」
俺が言うと、他の艦長も「そうです。これ以上ベルカの思う通りにはさせません。」と言った。それに続いて別の艦長も賛成し。気付は全艦長が全周波数を傍受することに反対する者はいなかった。
「わかった。では今日から全周波数を傍受するよ。それと、本艦隊はこれからカーウィン島に向かう。」
「なぜ、カーウィン島に?」
ある艦長が疑問そうにいった。
「もしかしたら、ノースオーシア・グランダーI.G.社はユークにも兵器を輸出しているかもしれん。極秘に輸出するなら、このカーウィン島付近を通るからね。」
「なるほど。」と言って、質問した艦長は納得して頷いた。
「では、他に質問はないかね。」
すると一人の艦長が手を上げた。それは先ほどの「だったらすぐに救出作戦を!」と怒鳴った艦長だった。
「アンダーセン艦長、いくら戦力が足りないと言っても、大統領の体力が気になります。やはりすぐにも救出作戦を。」
確かに、ハーニング大統領に体力が気になるのはわかる。だが俺はあまり気にしていない。なぜなら。
「確かに、大統領の体力が気になるのはわかる。だが、大丈夫だよ。ハーニング大統領は元・・・」
「陸軍の第32大隊、通称『地獄の犬』の元隊長だ。」
アンダーセンが言う前に俺が言った。そして、周りの艦長たちが驚いた顔をしている。無理もない。陸軍の第32大隊は『地獄の犬』と言われ。
ベルカ戦争時には圧倒的な強さ見せベルカ軍は『円卓の鬼神』の次に恐れられていた。
「なんで、知っているのかね、ガレ艦長?」
アンダーセンは驚いた顔をして聞いてきた。
「ベルカ戦争前は、俺は陸軍にいました。その時にいた隊がハーニング隊長が指揮する第32大隊だったですよ。とこらでアンダーセン艦長も、なんで知っているのですか。当時いた大隊の連中しか知らないはずだが。」
「私とハーニング大統領とは昔からの仲でそれで知っていたのだよ。」
なるほどと思った。そういえば俺が陸軍時代の時に海軍に知り合いがいるってハーニング隊長が言っていたな。それはアンダーセンの事なのだと、思った。
「というわけだよ。ハーニング大統領の体力は大丈夫だよ。では他に質問はないかね。・・・・・ないようだれ。では本日1700時にカーウィン島の進路をとる。あと、今日言ったことはまだ言わないでくれ。では、以上だ。各自、艦に戻ってくれたまえ。」
「「「「了解!」」」」
この日から小さな反撃の準備が始まった。