燐子 Side
CiRCLEに到着した私たち。練習を準備するみんなの雰囲気がいつもとは違う。今井さんや友希那さんは特にそうだった。
友希那 「それじゃ、始めようか。まずは一曲目から⸻」
⸻⸻練習はいつも通り順調だった。みんなの演奏と友希那さんの歌声はいつも通り。でも⸻
燐子 (今井さんと友希那さん……どこか不安そう……)
今井さんと友希那さんの不安そうな表情を私は読めた。あの二人に何か良くない事でもあったのか、気にかかる。
「⸻……ん、りんりん!」
燐子 「……」
あこ 「りんりん!」
燐子 「あっ……あ、あこちゃん……」
あこ 「りんりん、ボーッとしててどうしたの?」
燐子 「ご……ごめん、ボーッとしてたの?」
リサ 「珍しいね。燐子がボーッとするなんて」
紗夜 「白金さん?」
燐子 「あ、だ……大丈夫、です……」
紗夜 「そう……」
そう答える氷川さんの表情もなんだか不安そうに見えた。今井さんや友希那さんもそうだったけど、いったいみんな何があったのかな…
リサ 「でも一曲目の練習を始めたばかりなのに、なかなかやる気が出ないみたいだね…」
あこ 「それに、みんないつもと違って暗そうだし…」
友希那 「……」
燐子 「……」
今井さんの言う通り、一曲目の練習を始めたばかりなのに雰囲気はいつもと違って暗い。このままじゃ練習の雰囲気が出ない。
リサ 「……じゃあ、一旦休憩にしましょうか?」
友希那 「そうね、一旦休憩にしましょう」
今井さんの提案でひとまず休憩に入る。
【CiRCLE カフェテリア】
休憩に入ってカフェテリアに出ていると、Afterglowのメンバーたちもここにあった。
リサ 「あれって……Afterglowのメンバーたちじゃない?」
友希那 「そうね。みんな集まって何か話をしているのかしら?」
あこ 「そうですね…皆、真剣な顔で……何かあったのかな?」
燐子 「…………」
リサ 「さ、さぁみんな、休憩だから、考えるのは後にしようね、ね?」
友希那 「そうね、まずは注文をしましょう」
考えるのは後にして、私たちは一旦、カフェテリアでメニューを注文することにした。その時⸻
あこ 「⸻あれ?」
燐子 「どうしたの、あこちゃん?」
あこ 「紗夜さん?」
リサ 「え?」
あこ 「紗夜さん、いまボーッとしてるよ…」
友希那 「……?」
あこちゃんの疑問で振り向くと、氷川さんは何故かボーッとしていた。
紗夜 「…………」
友希那 「……紗夜?」
リサ 「紗夜?おーい」
紗夜 「……えっ?あっ、すみません、今行きます」
Afterglowを見つめる時の氷川さん、私たちが氷川さんを呼んだ時の氷川さんの視線は何かに焦っている視線だった。
リサ Side
カフェテリアで注文したメニューを待っている間、アタシ達は最近の話を交わした。
リサ 「そういえば、みんな夜になる前にちゃんと帰る?」
燐子 「そうですね……最近は噂のことがあるから……早く帰ろうと思うんです……」
あこ 「あこも早く帰ってくるようにとおねーちゃんに言われて早く帰ってるんだ!」
友希那 「そう、それはよかったわ」
燐子 「あの……今井さんと友希那さんは大丈夫ですか……?」
リサ 「あ、あたしは……」
友希那 「その……」
あこ 「どうしたの、リサ姉?友希那さんも⸻」
「お待たせしました、注文したメニューです!」
あこ 「あ、メニューが来たみたい!あこが持ってきますね!」
なんか話をしようにも迷っちゃう……きっとみんなを不安にさせる話なんだけど……そう心配していたところ⸻
友希那 「⸻話しましょう、リサ……」
リサ 「友希那?」
友希那 「今は話すのが一番よ」
リサ 「でも、みんなに不安を与えるのは……」
友希那 「大丈夫、それは心配だけれど、今は情報の共有が一番だから」
リサ 「だ、だよね……」
あこ 「メニュー持ってきました!」
友希那の言葉に頷いたアタシはちょうどあこも来たので話を始めた。
リサ 「実は、アタシたち、最近の噂がただの噂じゃないって思うんだ…」
燐子 「噂、ですか……?」
あこ 「どうして、そう思ったの?」
リサ 「うん……実はアタシたち…この前人狼と会っちゃって……」
あこ 「!!!」
燐子 「!!!」
紗夜 「!!」
それと同時にフォークが皿に落ちる音がした。その音に視線を向けると、紗夜だった。そしてアタシの話を聞いた瞬間、紗夜の手は震えていた。
リサ 「えっ、さ、紗夜?」
燐子 「氷川さん……?」
友希那 「紗夜、あなた手が震えてるみたいだけれど、大丈夫?」
あこ 「さ、紗夜さん、大丈夫ですか?」
紗夜 「……はっ、す、すみません……あまりにも驚いてしまって……」
友希那 「そ、そうかしら?」
リサ 「紗夜、本当に大丈夫?」
紗夜 「だ、大丈夫です……本当に大丈夫です……気にしないでください……」
リサ 「そ、そう?なら、話続けるよ?」
紗夜 「え、えぇ……どうぞ…」
この時の紗夜の反応を見て、アタシは紗夜が何かに焦っていることに気がついた。紗夜を見つめる友希那の視線もアタシと同じだった。
リサ 「それでアタシたち、あの日は眠れなくて……」
友希那 「あの日は、本当に大変だったわ」
あこ 「大変だったんだね……」
燐子 「でも……その話が本当なら、これはただの噂じゃないんですね……」
友希那 「えぇ、この噂はただの噂ではないわ。今は不安になるかもしれないけれど、こういう時は情報を共有するのが一番よ」
あこ 「はいっ!」
紗夜 「…………」
リサ 「……さぁさぁ、暗い話しはひとまずここまでにしましょう!せっかく注文したデザート、早く食べましょうね!」
友希那 「そうね、早く食べて練習に戻りましょう」
リサ 「ほら、みんな早く食べましょう!」
燐子 「は、はい……」
みんなで注文したデザートを食べているところに燐子が紗夜に話しかけた。
燐子 「あの…氷川さん……本当に大丈夫ですか……?」
紗夜 「白金さん、ありがとう。私は大丈夫よ」
燐子 「はい……分かりました……」
紗夜を心配する燐子の表情。紗夜は大丈夫と言ったけど、紗夜の目には心配と焦りが見えていた。話を終えたアタシたちはメニューを片付けて、練習に戻った。
【CiRCLE スタジオ】
休憩を終えて戻ったスタジオ。みんなが練習を再開した。練習はいつもと同じ、だったけど雰囲気はいつもと違った。みんながあの噂のせいで不安になっている。さすがにこのままじゃ練習をする雰囲気じゃないみたいだ。
友希那 「ふぅ……雰囲気が出ないわね…」
リサ 「うん……あの…紗夜、本当に大丈夫?」
紗夜 「…………大丈夫です」
燐子 「氷川さん……何かありましたか……?焦っているように見えるんですけど……」
紗夜 「本当に大丈夫です……あの……すみません……今日は先に帰ります……」
そう言った紗夜は先に帰った。紗夜が出てから、スタジオには沈黙が続いた。
リサ 「……どうする、友希那?」
友希那 「今日は練習がなかなかできないわね…これじゃ、練習を再開しても同じだわ。」
リサ 「確かに……」
友希那 「一旦、私とリサは次の予約をしてくる。あこと燐子は後片づけをしてちょうだい」
燐子 「はい……それじゃ、あこちゃん…」
そうして友希那とスタジオから出てロビーに行くところだった⸻
「⸻湊さん」
誰かが声をかけて振り向いたら⸻
友希那 「⸻あら、美竹さん。奇遇ね、どうしたのかしら?」
蘭 「あの、湊さんとリサさんに話があります」
リサ 「話?」
蘭 「その…話を聞いたんですけど」
友希那 「話?さっきカフェテリアでしてた話、聞いたのかしら?」
蘭 「はい、実はAfterglowのみんなと話をしている最中にRoseliaの皆さんの話を聞いたので…」
リサ 「そっか…」
友希那 「それで、なんで私たちを呼んだのかしら?」
蘭 「それが…人狼と遇ったんですか?」
リサ 「えっ?」
リサ (蘭が話したいことが人狼のことなら、蘭は人狼と会ったのかな?)
リサ 「あ、会ったよ、確かに……」
友希那 「それで、美竹さんはなんで私たちにそれを聞くのかしら?」
蘭 「実は、私たちも人狼と遇ってました」
リサ 「えっ、本当に!?」
友希那 「今の話、本当なのかしら?」
蘭 「ほ、本当ですよ!あの時、モカも一緒に居たので……」
リサ 「えっ、モカも見たの!?」
その話を聞いた瞬間、アタシたちは互いに向き合った。
リサ 「ゆ、友希那……」
友希那 「……思わなかったことだわ……」
蘭 「その……人狼について知っていることはありますか?」
蘭の問いに友希那は落ち着いて答える。
友希那 「ごめんなさい、私たちも人狼と遇ったのは初めてよ。それで人狼について知っていることは少ないわ」
蘭 「そ、そうですか……実は私たちも知っていることが少ないので…」
リサ 「そっか……」
友希那 「とにかく夜道は気をつけなさい。夜になると、人狼が動くから」
蘭 「はい、湊さんもリサさんも気をつけてください」
蘭はその言葉を残して自分のスタジオに入った。
リサ 「蘭とモカもあったなんて、本当に怖かったみたいだね……」
友希那 「私たちも気をつけましょう」
リサ 「うん……そうだね…あ、そうだ次の予約早くしますか!」
友希那 「そうね」
友希那 Side
練習をいつもより早く終えた私たち。あこがファミレスに行きたいと言って、私たちはファミレスへ行った。注文したメニューを待っている間、あこが何かを話した。
燐子 「そういえば私、気になることが……」
リサ 「何、燐子?」
燐子 「氷川さんのことで少し……」
友希那 「紗夜が?」
燐子 「はい……」
燐子はそう答えながら、紗夜が気になる理由を話した。Afterglowを見た時に焦っていた紗夜や人狼の話題が出た時の紗夜の反応を……
あこ 「じゃありんりんは紗夜さんに何かがあるって言いたいの?」
燐子 「うん……」
リサ 「紗夜、本当に何かあったのかな?」
友希那 「そういうのは後で紗夜に聞きましょう」
燐子 「は、はい……」
リサ 「でも紗夜、本当に大丈夫かな?」
友希那 「…………」
「お待たせしました!Wハンバーグとご飯大盛デザートのセットです!」
リサ 「あ、ありがとうございます」
あこ 「わぁ~、いっただきま~す!」
リサ 「はいはい、友希那も早く食べてね!」
友希那 「えぇ」
あこ 「そういえばりんりん、今日のNFOはどうするの?」
燐子 「今日はお休みかな…」
あこ 「そっか…」
ファミレスでの食事の間にリサが私に話しかける。
リサ 「友希那、さっきの燐子の話、どう思う?」
友希那 「本当に燐子の言う通りなら、関係があるのは間違いないけれど、まだ確証はないわ」
リサ 「そ、それもそうだけどね…」
友希那 「リサ、今はもう少し考えましょう」
リサ 「そ、そうだね……」
それから私たちはファミレスでの食事を終えた。ファミレスから出ていくと、日が沈み始めた頃だった。
友希那 「日が沈み始めたわね」
燐子 「そうですね……あの、リサさん…」
リサ 「どうしたの、燐子?」
燐子 「ひとまず…みんなで一緒に帰りましょうか……」
友希那 「燐子……」
燐子のお願いで一先ず一緒にみんなで帰ることにした。
【帰り道】
リサ Side
リサ 「日が沈むの、早いね…」
友希那 「そうね……」
帰り道。みんなで一緒に帰るのだけど、日はすでに沈んだ。
リサ 「できるだけ遇わなければいいんだけどね……」
友希那 「気をつけましょう。人狼はどこから出るかわからないわ」
あこ 「あの、友希那さん…」
友希那 「どうしたの、あこ?」
あこ 「その、人狼が来る前に、どこかに隠れた方がいいんじゃないですか?」
友希那 「どこかに隠れる?隠れる場所があるのかしら?」
燐子 「路地裏に隠れれば良いんじゃないかな……?」
リサ 「そ、そうだよ……今はとにかくどこかに隠れよ!」
アウウウウウー
友希那 「……!どうやら人狼が動き始めるみたいね」
リサ 「えぇ!?もうそんな時間なの!?」
友希那 「とにかく、今は隠れる場所を探しましょう、どこで遇うか分からないから」
アタシたちはとにかく隠れる場所を探し始めた。
あこ 「あの、もし人狼に追われたら、どうすれば良いの、りんりん?」
燐子 「も、もし追われていたら……後ろを見ないで走らなきゃ、だよね……」
友希那 「その通りよ。後ろを見れば、人狼はもっと速く私たちを追うかも知れないわ」
リサ 「はぁ、それにしても、早く隠れる場所を探さなきゃ……」
みんなで歩いてる中、どこからか足音が聞こえた。
燐子 「えっ……足音……?」
リサ 「そうだね、アタシも聞こえたよ」
友希那 「足音がするのは分かるけれど、いったいどこからかしら?」
あこ 「あこ、すごく気になります!」
リサ 「なんだか、足音が段々大きくなるような……」
友希那 「今はみんな落ち着いて⸻」
友希那が落ち着いて行きましょうと言おうとした時だった。
『Grrrrr…』
リサ 「っ!?」
後ろから聞こえた鬼気迫る獣の声。その声にアタシはこう言った。
リサ 「に、逃げよう……みんな……」
友希那 「リサ?」
リサ 「早く逃げようって!」
『Grrrrraaaaahhh!!!』
そう、人狼がアタシたちの後ろにいる。振り向かなくても人狼の唸り声が聞こえたのだから分かる。それで今はとにかく逃げるのが一番だ。でも⸻
あこ 「はぁ、はぁ、はぁ……」
燐子 「あこちゃん、もうちょっと頑張って……!」
あこ 「わかってるよ……!でも、あの人狼、速いって……!」
そう、今アタシたちを追っている人狼がアタシたちより速い。このままでは追いつかれるのは時間の問題かと思った。しかしみんながそう思ったその時だった⸻
友希那 「……っ!!あっちよ!」
あこ 「えっ、友希那さん!?」
アタシたちは見た、どこか身を隠せる場所を。でも、逃げ切るのでアタシたちは精一杯だった。そして人狼はアタシたちとの距離を詰めていた。
リサ (も、もうダメ……でも、逃げなきゃ……!)
そしてどれくらい走ったのか、アタシたちはようやく身を隠せる場所にきた。一人二人くらいは十分に入れるくらいの狭い路地裏に。アタシたちは、なるべくみんながちゃんと入れるように落ち着いて路地裏に入った。後ろは振り向かずに。人狼は路地裏へ入るアタシたちを見ては唸り声を出してどこかに消えた。一旦身を隠せたけど、アタシたちはどこに再び現れるか心配するほかなかった。
友希那 Side
【路地裏】
どうにか隠れる場所を探して身を隠せたけれど、さすがにみんな息切れだった。
リサ 「はぁ、はぁ、はぁ……」
燐子 「どうにか……隠れましたね……」
あこ 「はぁ、はぁ、はぁ……もう息切れだよ~~!」
燐子 「あ、あこちゃん……今は静かに……!」
リサ 「そ、そうだよ、あこ!大声を出したら人狼が……」
友希那 「そ、そうよ。はぁ、はぁ、はぁ……このまま追って来なければいいけれど……」
このままだったらみんな人狼に襲われて終わりだ。みんながそう思った。
リサ 「さ、さすがに怖いね、人狼……」
友希那 「えぇ……これで二回目かしら……」
再び遭遇した人狼、やっぱりその恐怖は私たちの中に強く残っている。そして今は隠れているけれど追われているのは紛れもない事実。あの人狼からどうやって逃げるか、良い案が浮かびそうにない。いったいどうすればいいのかと考えていたその時だった⸻
「⸻きゃあああああ!」
もう一人の悲鳴、私たちはみんなその悲鳴を聞いて驚く。
リサ 「えっ、悲鳴!?誰!?」
友希那 「リサ、大声を出さないで。人狼に見つかるから」
リサ 「で、でも……」
そして声は益々大きくなる。どうやら私たちの近くにいるみたいだ。
「は、速いよ!」
「ええっ!?」
燐子 「この声って……丸山さんと白鷺さん……?」
リサ 「ええっ!?彩と千聖が!?ってことは彩たちも!?」
燐子とリサの会話から推測すれば、丸山さんと白鷺さんも人狼に追われているみたいだ。
友希那 「これは、あの二人を助けないと……」
リサ 「で、でもどうやって?」
あこ 「そ、そうですよ!ここから出れば、きっと人狼が⸻」
「麻弥ちゃん!?」
リサ 「!?」
燐子 「大和さんも……!?」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「アヤさん!」
「も、もう……走るのは……」
今はPastel*Palettesのみんなが危ない。そう思った私は一旦出て、声の主を呼んだ。
友希那 「丸山さん」
リサ 「って友希那!?」
燐子 「友希那さん、何を……」
そして手を出して丸山さんの腕を掴み、こっちへ連れてくる。
彩 「えっ?うわぁっ!?」
イヴ 「あ、アヤさん!?」
友希那 「静かに、こっちよ」
彩 「……えっ?友希那ちゃ……」
友希那 「説明する時間はないから、早くこっちへ!」
イヴ 「は、はいっ!」
千聖 「麻弥ちゃん、早く!」
麻弥 「は、はいっ……!」
別の道から逃げていた人々をなんとかここへ連れてくる。やっぱり追われていたのはPastel*Palettesの四人だった。
リサ 「やっぱりPastel*Palettesだったね……ふぅ……って四人?」
友希那 「そうね、一人がいない。日菜は今一緒じゃないのかしら?」
彩 「あ、うん……って、リサちゃんもいる?どうしてここに?」
リサ 「あ、彩たちと同じ理由で逃げているけどね……」
千聖 「同じ理由?」
リサ 「今は静かにして、人狼が聞いているかも知れないから……」
千聖 「ここから出れば、直ぐに人狼に狙われるわ……そうしたらみんな終わり……」
そう、今ここから出れば、その瞬間終わりだ、ここにいるみんなが。みんなが焦っている中で、燐子が何かを話した。
燐子 「あ、あの……」
あこ 「り、りんりん、今は静かに……」
燐子 「あ、足音が……」
彩 「えっ?」
リサ 「あ、足音?」
燐子 「は、はい……その……二人分の……」
まだ人狼が彷徨いてるから、足音の正体は人狼かもしれない。みんながそう思った。そして二人分だという燐子の言葉に私はふと何かに気づく。
友希那 (二人分ってことは、人狼は一人だけじゃないってことかしら?つまり人狼は、私たちを追っていた人狼とパスパレの四人を追っていた人狼の二人ということかしら?)
あこ 「あ、あの……」
リサ 「どうしたの、あこ?」
あこ 「あこ、この路地裏、反対の方へ出られるんじゃないかって思うんだけど……」
この路地裏の反対側なら、確かに逃げ切れるかもしれない。けれど、一番の問題を言えば⸻
千聖 「確かに反対側へ通じる道があるみたいだけれど……まずはあの人狼たちの注意を逸らさないと……」
そう、人狼は未だ彷徨いていて路地裏から出た私たちを待っているかもしれない。だから反対側から出るのは慎重にしないとだった。
彩 「ところで……私、気になったんだけど……リサちゃんたちももしかして……」
リサ 「う、うん……そのことはまずここを抜けてから話すね……」
私は燐子にさっきの足音はまだ聞こえるか尋ねてみた。
友希那 「燐子、足音は聞こえてるの?」
燐子 「は、はい……」
リサ 「はぁ……参ったね……」
イヴ 「一体、どうすれば良いんでしょうか……?」
みんながどうやってここを抜けるか考えている最中だった。
あこ 「あ、足音?」
リサ 「えっ!?ちょっ、あこ、いきなり何言ってるの!?」
彩 「り、リサちゃん……あこちゃんの言う通りだよ……私たち以外に一体誰が……」
リサ 「うぅ……」
あこの言葉に私たちは再び息を殺す。人狼が私たちをみつけて来たのか、それとも別人なのか、未だわからなかった。そう考えている中、足音は益々大きくなった。
「⸻見つけました」
足音の正体が声を出した。
人狼姉妹の物語 「第一章: 遭遇」 十二話 Roseliaの遭遇 終わり
続く……