香澄 Side
金曜日の朝、香澄の部屋
香澄 「うぅぅ……」
昨日は結局ちゃんと眠れなかった。昨日夜に見た人狼がまだ頭から離せない。これからどうなって行くんだろう……
香澄 「(今は考えても仕方ないね……とりあえずみんな有咲の家で待ってるから早く行こう)」
有咲の家の前
たえ 「香澄、元気がないね」
沙綾 「香澄、何かあった?」
香澄 「……」
昨日見た人狼のこと、今はみんなに話せない。今もその話をするのが怖い。その時、有咲が家から出た。
有咲 Side
有咲の家の前
準備を終えて外へ出たら朝から香澄が私に抱きついてきた。
香澄 「うぅぅ…有咲……!」ダキ
有咲 「ちょ、香澄!朝から何抱きついてやがんだよ!」
香澄 「有咲~~~~~!」
その時の香澄の顔はまるで何かまずいことでもあったような顔だった。
有咲 「ちょ、何だよ!とりあえず離せよ、香澄!」
香澄 「私、恐かったんだよ~~~!」
有咲 「なんだよ一体?!何があったんだよ!」
沙綾 「有咲~、香澄~!そろそろ行こう!」
有咲 「分かった!ほら、香澄、早く行こう」
香澄 「うぅぅ……」
りみ 「香澄ちゃん、何があったの?」
沙綾 「さぁね、今日会った時からずっとあんな状態だったよ」
たえ 「香澄……」
沙綾 「……とりあえず、香澄が落ち着くまではじっとしようね」
この時の香澄は何を聞いてもちゃんと答えてくれるかどうか怪しかった。なぜなのか知らなかったが、香澄のこの顔は尋常じゃない気がした。
有咲 「(とりあえず今は香澄を落ち着かせねぇと……話しはその後に聞いても悪くねぇだえろう)」
午前中の日課はとりあえず香澄を落ち着かせることだけだった。香澄に何があったのかを聞くのはその後の昼間時間香澄を呼び出して聞くことにした。
昼間時間
沙綾 「少し落ち着いた?」
香澄 「うん……」
有咲 「ふぅ……お前落ち着かせるだけで苦労したんだぞ……」
香澄 「有咲……ありがとう……」
りみ 「それで香澄ちゃん、昨日何があったの?昨日ちゃんと帰ったの?」
香澄 「昨日はちゃんと帰ったよ。でも……」
たえ 「でも?」
香澄 「お、狼が……」
有咲、たえ、沙綾、りみ 「お、狼!?」
有咲 「ほ、本当かよ!?」
香澄 「うん…でもなんか普通の狼とは違ったよ……二足で歩いてたから……」
りみ 「二足!?」
有咲 「それ、もしかして……人狼?」
香澄は小さく頷いた。
有咲 「ほ、本当に人狼だったのか?」
香澄 「そ、そうだよ……」
香澄の言葉に皆が沈黙した。どうやらこれは噂どころかただ事じゃないようだ。
たえ 「これはただ事じゃないんだね……」
沙綾 「そうだね。ただの噂じゃないよ」
りみ 「それより香澄ちゃん、どうやって帰ったの?」
有咲 「それはそうだな。怖くはなかったのか?」
香澄 「もちろん怖かったよ。あの時はとにかく帰ることしかなかったから……」
りみ 「良かった……」
香澄 「でも、また会うのか怖いんだよ……」
有咲、たえ、沙綾、りみ 「……」
香澄 「それで気になるんだ……なんで人狼がこの町に居るのかなって……」
りみ 「そうだね……」
有咲 「とりあえず、お昼時間がもう終わるからできなかった話しは放課後にしようぜ」
沙綾 「わかった」
たえ 「じゃあ教室に帰るね」
紗夜 「……」
放課後
花咲川女子学院 校門前
有咲 「んで、どうする?これから……」
沙綾 「さぁ……とりあえず今日はみんなで一緒に帰った方が良いんじゃない?」
りみ 「そうかな…」
Poppin'Party 「……」
今後どうするかみんなで相談をしていても何も良い考えが思い浮かばなかった。
紗夜 Side
3-A
紗夜 「ふぅぅ……」
放課後の教室、私は一人残って窓の外を眺めながら、昨日あったことを思い出す
【回想】
香澄 『わぁ~~~~っ?!』ダッ
あの時、狼の状態だった私は戸山さんを見かけた。そして戸山さんに飛びかかった。私に怯えて逃げる戸山さんを、私の狼としての本能は彼女を追いかけ襲おうとした。逃げ惑う戸山さんに私の理性が言いたいことはひとつしかなかった
紗夜 『(戸山さん、早く逃げて……!このまま戸山さんを襲ったら、私は耐えられないから!)』
そして、戸山さんが家に入るのを見て、私の狼としての本能は戸山さんを追いかけるのをやめた。幸いなことに、戸山さんは無事帰ったのだ。
【回想終わり、現在】
紗夜 「(まさか戸山さんを襲おうとしたなんて……本当にどうにかなってしまったようだわ……怖い思いをさせてしまったから本当に戸山さんに申し訳が立たない……今の運命が恨めしい…)」
?? 「――あの、氷川さん……」
紗夜 「あ、白金さん。」
燐子 「電話が鳴ってるんですけど……」
紗夜 「…そうですね、ありがとう」
電話は日菜からだった。
紗夜 「ちょっと失礼しますね。もしもし、日菜?」
燐子 「(氷川さん、何があったのかな)」
紗夜 「――そう、あなたもだったのね」
日菜 『あたし、怖いよ。もしメンバーたちを襲ってしまえば、あたし耐えられないかも……』
紗夜 「そうね……私は危うく一人を襲うところだったわ」
日菜 『あたしたち、大丈夫なのかな……』
紗夜 「今はとにかく本能を押さえるしかないわ。厳しいけど」
紗夜 「(そう、これ以上辛い思いをしないためにも……辛い思いはもうたくさんだから)」
日菜 『おねーちゃん?』
紗夜 「あ、そろそろ切るわ。では」
日菜 『うん、じゃあ家でね』
私の押さえられない本能……一体いつになったらそれを押さえることが出来るのかしら…これから厳しいだろう。
「第一章: 遭遇」 二話 戸山香澄の遭遇の真相 終わり
続く……