僕と魔女と夕焼けと!   作:空色夏色

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2話目です!

感想や評価ってなかなか貰えないものなんですね!笑
ランキングに載ってる人たちってやっぱり凄い( ´ ▽ ` )



2話 僕と悪魔と

「誰が天使かい。焼き殺すよ?」

 

「…ご、ごめんなさい…」

 

 

 悪魔かな? 殺意が高いぞ。

 

 天使って言われて怒られたの初めてだ。人に向けて言ったのも初めてだけど。

 

 

 それにしても…なんというか、派手な格好をした人だ。服装も真っ赤だし、大きい三角帽子にはドクロの装飾ついてるし……なにより目のやりどころが困る程度には露出が多い。

 

 うん、天使のイメージとは全然違う。むしろこれは危ない人のように思えてきた。

 

 そもそも、敵か味方かもわからないのに天使はないだろうと、10秒前の僕に言ってやりたい。もしかしたら僕を拉致した連中の仲間かもしれないのに。

 

 

 ……そう考えると恥ずかしくなってきた。

 

 

「さて、寝起きのところ悪いけど、今から坊やに聞きたいことが二つある。正直に答えてくれたら……そうさね、ここから助けてあげようじゃないか」

 

「ほ、ホントに…!?」

 

「ああ、坊やは可愛いからね。大サービスさ」

 

 

 て、天使……!!やっぱりこの人は天使だったよ、兄さん!

 

 もう一度みんなに会えるんだ……!!

 

 そう思うと肩から力が抜け、安堵とともに涙が流れそうになる。奇抜な格好してるけど、優しい人でホントに良かった。奇抜な格好だけど。

 

 

『テオ、人を見た目で判断するのは良くありませんよ? 美しい心の持ち主が、必ずしも美しく、清潔な格好をしているとは限らないように……見た目だけでは、その人の内側までは測れません』

 

 

 ふと、アンジュが言っていた言葉を思い出す。

 

 

『世界中のみんなが、アンジュみたいに見た目も心も綺麗だったらいいのにねぇ』

 

『あ、ありがとうございます………えと、テオ? その、褒めてくれるのは非常に嬉しいのですが……。あまりそういうことを他の女性に言ってはダメですよ?』

 

『どうして?』

 

『どうしても、です。どうしてもと言うならサキに言ってあげてください。』

 

『どうして?』

 

『どうしても、です』

 

 

 ゼックスからは「子供と女性を褒めれない男にはなっちゃいけないぞ」って言われてるんだけどなぁ…。

 

 

『コホン……話が逸れましたが、大切なのは見た目ではなく心のありようです。人を見た目で判断しては素敵な出会いを逃すかも知れませんよ?』

 

 

 アンジュにそう言われてたのにも関わらず、見た目で判断してしまった自分が恥ずかしい。ダメだな…まだまだ教わったことを自分のものに出来ていない。

 

 でも、その三日後アンジュが「顔がタイプじゃないので」と言ってパン屋のカイルを振ったことを僕は知っている。どんまいカイル。

 

 何はともあれ、この人は味方みたいだ。見た目はともかく。

 

 

……てことは、あれ?

 

 じゃあ、この人は僕をさらった人たちの敵ということになるけど、見張りの人たちはどうしたんだろう? こんな派手な格好した侵入者を見逃すわけないと思うんだけど。

 

 

「ここの…人たちは?」

 

「イカれた研究してた連中かい? それなら一人残らずやっつけたから安心しな。しばらくここには誰も来ないさね」 

 

 

 やっぱりヤバい研究してたんかい。危うくモルモットにされるところだった……。

 

 いや、それよりも、一人でこの施設を制圧したのだろうか。見たところ怪我とかもしてなさそうだし……この人の言うことが本当なら、無傷でここの人たちやっつけたことになる。

 

 マジか、ガリルと呼ばれた黒髪の男の人なんて、超強そうだったのに。どんまいガリル。

 

 

「えと……強いんだね」

 

「まあね。それで、質問には答えてくれのかい?」

 

「も、もちろん!」

 

 

 本当に人は見かけによらない。武器も持ってないし、魔法使いタイプかな? 魔法使いタイプだとしても、もう少し安全性の高い装備をするものだけど、大胆不敵というかなんというか。

 

 胸が大きくて露出が多い人を確か、チジョって言うんだっけ? 危険だから近づいちゃダメってサキは言ってたけど、今は非常事態だから許してくれるだろう。

 

 

「じゃあ、さっそく質問だ。一つ、火のソフィア…って言ってもわからないか……。燃えるような赤い結晶を見たり聞いたりしたことはないかい?」

 

 

 こんくらいの大きさなんだが…と両手を使って教えてくれる。

 

 50cmくらいだろうか? 残念ながら、そんなに大きな結晶なんて見たら忘れないだろうし、ギルドで噂らしきものも聞いたことはない。

 もしかしたらサキなら知ってるかな、と思いつつも首を横に振る。

 

 

「二つ、周りで不思議な出来事とか何か聞いたことはないかい?突然、町が吹き飛ぶほどの大爆発が起きたりとか、マグマが村を呑み込んだとか」

 

 

 それは不思議どころじゃない気がする。もちろん、そんな大事件は起きてないし、似たような話も聞かない。先ほどと同じように首を横に振る。

 

 

「ありゃ、収穫ゼロ……か。坊やからは何か得られると思ったんだが…………あたしの感も鈍ったかねぇ」

 

 

 ふむ、と言いながら、その人は渋い顔をしながら手を顎にあてて考え込んでしまった。

 

 どうしよう、命の恩人だから力になりたいんだけど、全然役に立てていない。申し訳ない気持ちが僕を襲うが、このレベルの申し訳なさは風呂場でサキの裸を見た時以来だ。

 

 

 

 …………。

 

 

 いや、違うのだ……。

 

 ドアにはカギもかかってなかったし、電気もついていなかった。なのに、脱衣所に入るとバスタオルで身体を隠したサキがいたのだ。

 

 まさかそんなハプニングが待ち構えているとは思いもよらず、いつものルーティーンとして電気をつけてしまった僕は、バッチリとサキの半裸を見てしまった。

 

 

 「僕がお風呂に入る時間なのになんでいるの?」とか、「音すらしなかったけど、なんで気配消してたの? 気配消すの癖になってるの?」とか、そういう疑問は一切出てこず(後で出て来た)、予想外の出来事に頭も身体もフリーズしてしまった。結果、サキの身体を見続けてしまったことになる。

 

 

 十数秒経ったくらいだろうか、だんだんと顔を赤くしたサキがとうとう口を開いた。

 

 

『さ、流石に、そんなに見られるとは……思ってなかった。………テオのエッチ』

 

 

 このサキの一言に我にかえった僕は、

 

『わあああああああ! えと! その! ちが! と、とにかくごめんなさいッ!!!』

 

 

 とにかく、全力で謝罪したのだった。

 

 サキからすると、一緒に住んでいる男が急に脱衣所に入ってきて、裸を見てきて、そのことを謝りもせず、目を逸らしもせず、悪びれもせず、ただただ身体を見続けてきたのだ。 

 

 

…………これはやばい。

 

 

 兄さんには幻滅され、アンジュにはゴミを見るような目で朝までお説教され、ゼックスにはなんかムカつく顔をされそうな……そんな未来が見えた気がした。

 そして、何よりもサキにショックを与えてしまったかもしれないという罪悪感が、心の中に強く募っていた。

  

 

 わざとじゃないと、悪気はなかったと必死になって謝った。こんなに全力全霊で謝ったのは人生の中で初めてだった……と、後に僕は語る。

 

 なんとかサキは心広く許してくれたけど、おかげでその日は、鼻血は止まらないし、ゼックスには爆笑されるし、サキの裸が頭から離れなくて眠れないしで散々だった。

 

 ただ、何故か、アンジュは僕ではなくサキに説教をしていた。謎だ。

 

 

 ……だいぶ話が逸れてしまった。

 とにかく、このままなにもできないのは命の恩人に対して不義理が過ぎる。僕は雑念を振り払うかのように口を開く。

 

 

「で、でも、もしかしたらゼックスやアンジュなら知ってるかも!」

 

「へぇ………誰だい? その二人は」

 

 

 僕が話しかけると、その人は考えるのをやめ、興味深そうな顔でこちらを見てきた。

 

 そう、何も僕が知っている必要はないのだ。この人が必要としている情報が手に入ればそれで良い。アンジュやゼックスが所属しているルーナ教や騎士団には多くの情報が集まるし、その伝手を使えば、この人が探しているものも見つけれる可能性は非常に高くなる。

 

 そして、幸運なことに、この二人はそれぞれの組織の中でも、中々に顔が効くのだ。

 

 

「アンジュはルーナ教で司教をしていて、ゼックスは王国騎士団の団長をしているんだ」

 

「………どっちもなかなかの大物じゃないか。仲が良いのかい?」

 

 

 ホントはサキが一番の情報通ではあるけれど、諜報機関にしょぞくしているということは内緒だよって言われたし、念のためサキのことは伏せておこう。

 

 

「一緒に住んでるんだ。ちなみにゼックスはアンジュが好きでアンジュは兄さんが好きなの」

 

「その情報はどうでもいいねぇ」

 

 

 良くないよ。そのせいで僕がどれだけ悶々としていると思っているのか。応援したいけど応援できないもどかしさを知って欲しい。

 

 でも良かった。これで力になれるかもしれない。

 

 そう思いながら顔を見上げると、その人は少し残念そうな、決まりが悪そうな顔をしていた。……なぜに?

 

 

「どうしたの? お腹が痛いの?」

 

「ケンカ売ってるのかい? …………いやね、実は私はそう言った連中から命を狙われている立場でね」

 

 

 んん? どうしたんだろう。肌がピリピリしてきた。

 

 

「坊やに関係者がいなければ、私のことを秘密にする代わりに助けてあげても良かったんだが……ルーナ教や騎士団の関係者にポロッと情報を吐かれると面倒なんだよ」

 

 

 それはまるで、アンジュが使う上級魔法の波動と酷似していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────その人の手にゴウッと赤い炎が宿る

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、やっぱり死んどくれ」

 

 




全然話が進まない…

次話も牢屋の中です(笑)
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