僕と魔女と夕焼けと!   作:空色夏色

5 / 6
尊敬している人にアドバイスをもらい(本当にもらえるとは思ってもいなかった)、あーでもないこーでもないと頭悩ませてました(笑)

最近、小説のことしか考えてないなぁ( ̄▽ ̄)


それでは、記念すべき5話目です!


5話 僕と呪いと

「なんでいるの!? ここはどこ!? 僕をどうするつもり!?」

 

「へぇ……助けてあげたのに随分な言いようじゃないか。それに、私の名前を呼んだのは坊やだろうに」

 

 

 後退りながら、僕を焼き殺そうとした人物、ホムラを見る。

 

 ホムラは、後退る僕に何かをする素振りはないものの、その紅い目が、ギロリと僕を睨みつけていた。超怖い。

 

 いつ何をされても反応できるよう、ホムラの一挙手一投足に注目しながら、先程の発言を振り返る。

 

 今、僕の聞き間違いじゃなければ、ホムラは助けてあげたと言った気がする。

 

 

「えっ…と………助けてくれたの?」

 

「助けてあげたさ。気が変わってね」

 

 

 優しいだろ? とホムラは続けるが、素直には信じることができない。正直、ホンマかいなって感じだ。

 

 僕がこうして生きていることが、助けてあげたという発言を裏付けているけど、一回殺されかけている以上、どうしても慎重になってしまう。

 

 

「………………どうして助けてくれたのさ」

 

「坊やが私にお願いしたんじゃないか。ふふっ、あんなに情熱的に迫られたのは生まれて初めてでねぇ……キュンキュンしちゃって、思わず助けてあげたくなったのさ。覚えてないのかい?」

 

 

 覚えてないんだよなぁ。

 

 ホムラの魔法を凌いだところまでは覚えているんだけど、それからの記憶がさっぱりなのだ。その後に、なんか話したのは覚えているけど、とにかく必死だったからなぁ……。

 

 僕がなんてお願いしたのか、もの凄い気になるところだけど、「実は、なんて言ったか覚えてないんだよね!」と言える空気でもない。うむ、ここは黙っておこう。

 

 

 

 

 ────しかし……それにしても、派手な人だ。

 

 

 

 身長は、女性にしてはそこそこ高い。おそらく僕と同じくらいだろう。歳は……兄さんよりも少し上くらいだろうか?

 

 髪だけでなく、露出の多い服までもが赤で統一され、おかけで見た目は真っ赤に染まっている。

 しかし、それゆえに、透き通るような白い肌が、より美しく際立っていた。

 

 凛としていて、どこか近寄りがたい雰囲気を感じるが、男女問わず、見惚れてしまうくらい顔立ちは整っている。

 

 

「………ここは?」

 

「坊やが幽閉されていた研究所から西に進んだところさね。綺麗な川があったからね、ここで坊やの目が覚めるのを待っていたのさ」

 

 

 顔を横に向けると、確かに綺麗な川が流れていた。暖かな日差しに照らされて、水面がキラキラと輝いている。 

 

 僕にとっては、なんてことのない見慣れた風景だ。でも、だからこそ、助かったという実感を湧かせてくれた。

 

 

 ……ふと手元を見ると、手枷が外されていることに気がつく。跡は少し残っているが、僕を拘束していた冷たい感触はどこにもなかった。これもホムラが外してくれたのだろう。

 

 

 気を失った僕の手枷を外し、安全な川辺まで運び、目が覚めるまで待っていてくれた。なんとも至れり尽せりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホムラは、本当に命の恩人かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 そう考えながらホムラの方へと顔を向けると、ホムラは僕の方へと指を差しながら、言葉を続けた。

 

 

「何はともあれだ、約束通り助けてあげたんだ。今日から、坊やは私の奴隷さね。ま、私のそばに居れるんだから、光栄に思うんだね」

 

「………………は?」

 

 

 ホムラのセリフに思考が止まる。いや、止まっていないが、ホムラの発言がいまいち理解できなかった。

 

 ワタシノドレイサネ…………うん、何回考えても『私の奴隷さね』と変換される。

 

 つまり、ホムラは僕に奴隷になれと言っているのだろう。命を助けてくれた恩は返してあげたいが、要求レベルが高すぎないだろうか?

 

 

 

「なんだい、まさか嫌とは言わないだろう?」

 

「いや、普通に嫌なんだけど。何言ってんの?」

 

 

 一文字しか返事をしなかった僕を不思議に思ったのか、ホムラが僕に聞いてくる。それに対し、僕の返事はノーだ。奴隷がなんで光栄なのか、本当に意味がわからない。

 

 嫌なことはキッパリと断ろう。

 中途半端な返答は自分のためにも相手のためにもならないって、カイルを振った後のセシルが教えてくれたのだ。

 

 

 

 

 僕の返答に、ホムラの笑顔が固まったまま動かなくなってしまった。いや、こめかみだけピクピクと動いている。

 

 そのまま、手に炎を灯して僕の荷物へと……………ってこら待てい!

 

 

「わあああッ! やめてよッ! なにすんのさ! 僕の荷物燃やさないで!」

 

 

 何てことをするんだ。少し端っこが焦げてしまったじゃないか!

 

 

「おかしいねぇ……話が違うじゃないか。確か、助ける代わりに何でもするって言っていたと思うんだけどねぇ」

 

「え? そうなの? 実は全然覚えてな……ってウソウソ! いや、覚えてないのは本当だけど、何でもするから燃やさないで!」

 

 

 まったく! 大事な荷物だというのに………ってあれ? 何で僕の荷物がここにあるんだろう。

 

 

「この荷物はどうしたの?」

 

「ふんっ。研究所から出るときに坊やの荷物っぽいやつがあったからついでに運んでやったのさ」

 

「……………………ありがと」

 

 

 何だろうこの人、もしかして、めちゃくちゃ良い人なんじゃないだろうか。好感度ポイントが15上がった。

 

 奴隷はともかく、助けてくれた恩返しとしてお願いごとを聞いてあげても良いのかもしれない。

 

 

「奴隷……って何させる気なのさ。無実な人を殺せー、とか嫌だよ?」

 

「私をなんだと思ってるんだい」

 

 

 そう言いながら、ホムラはジトっ…とした目で僕を見てくる。

 

 そんな目で僕を見てくる前に、僕に何をしたか思い出してほしい。

 出会ってすぐに人殺しの魔法を撃ってきたからなぁ。申し訳ないが、一般常識すらも疑っているレベルだ。

 

 

 ……そう言うと荷物が燃やされそうだから言わないけど。

 

 

 

「坊やにお願いするのは、荷物持ちなり、買い出しなり……言ってしまえば雑用がメインだ。坊やは見るからに甘ちゃんだからねぇ、対人戦闘は特に期待はしてないさ」

 

 

 てっきり、ルーナ教や騎士団の人たちと殺し合え、みたいなことを言われると思っていたから、少し拍子抜けしてしまった。

 雑用も、そこまで負担が大きそうなものでもなさそうだ。

 

 

「……他には?」

 

「別になにも? 強いて言うなら、私の指示には従うことかねぇ。もちろん、奴隷になる話も永遠にって訳じゃない。火のソフィアが見つかれば自由にしてあげるよ」

 

 

 そういえば、そんな名前の結晶を探してたんだっけ。

 

 火のソフィアが何なのか、いまいち分からないままだけど、パパッと見つければすぐに解放されるのだ。そこまで悪い条件ではない気がする。

 

 むしろ、それくらいなら言われなくても、喜んで協力するくらいだ。

 

 

「人殺しの命令とか、しないよね?」

 

「くどいねぇ。安心しな、坊やに人殺しをさせるつもりなんてないさね」

 

 

 そんな命令を出されても従う気はないが、同意を取っておくことは重要だ。

 

 

「……突然ハサミで虐めてきたりとかしない?」

 

「する訳ないだろ……」

 

 

 ホムラは僕の発言に少し引いていた。

 

 僕だってこの質問が変な質問だってことはわかってるけど、仕方がないじゃないか、ハサミだけはトラウマなのだ。

 

  

「じゃあ……大丈夫かな?」

 

「じゃあ、契約成立だ」

 

 

 そう言いながらホムラはゆっくりと僕に近づき、そのまま抱きつくように僕の首へと手を回してきた。

 

 温かく、柔らかな豊満な胸の感触が布越しにハッキリと感じられる。

 

 

 ほええ!? いきなり何してるの!?

 

 

「ほえっ!? え、えと………ほ、ホムラ?」

「良いから、力を抜きな……」

 

 

 艶かしい指先が、そっと僕の首筋を撫でる。同時に、女性特有の柔らかく、ドキリとする匂いが鼻腔をくすぐってきた。

 

 

「ふあっ……………」

「ふふっ、可愛い反応するじゃないか」

 

 

 未だ感じたことのない感触と刺激に身体が勝手に反応してしまう。

 

 

 なにこれえ!?

 

 

 そりゃ、ホムラは美人だし、嬉しいか嬉しくないかで言うともちろん嬉しいけど……って違う! これは、なんとなく良くないことな気がする! は、早く離れないと!

 

 そう強く思うも、身体は動いてくれない。自分の手をキュッと握り締めるのが精一杯だった。

 

 理性ではいけないと思いつつも、このふわふわとした浮遊感に身を任せたくなってしまう。

 

 

「さぁ……こっち向きな坊や」

「あっ…………ほ、ホムラ……?」

 

 

 お互いの視線が交差するように、左手で僕の顔を優しく動かす。

 お互いの吐息が混じり合う距離で、僕とホムラの視線が交差する。

 

 

 

 

 

 

 そして────

 

 

 

 

 

 

 

 

ジュッ

 

 

 

「熱いッ!!!」

 

 

 うなじが熱い!!

 

 え? なになに? この人いきなり何してんの!?

 

 

「何すんのさ!?」

 

「あっはっはっは! 本当に坊やは可愛いねぇ。なぁに、坊やに契約の魔法をかけたのさ」

 

 

 ホムラの反応から、僕はからかわれたのだと悟る。

 

 

 くそう! この人ゼックスと同じタイプの人だ!

 

 

 騙された恥ずかさと、先ほどの感触や温もりが頭から離れず、顔がトマトみたいに真っ赤になっているのが自分でも良くわかる。

 

 穴があったら入りたいが、それよりも聞き捨てならないことをホムラは言った。

 

 せめてもの抵抗として、睨みつけながらホムラに尋ねる。

 

 

「むぅ〜……! 契約の魔法ってなんなのさ!?」

 

 

 うなじが火傷したのか、まだヒリヒリする。

 けど、ホムラの言い方からするに、炎で焼いて、はいおしまい…では済まない気がした。

 

 

「私の命令に背いたり裏切ったりすると、髪の毛が二度と生えてこなくなる魔法さ」

 

「呪われたーーーーーーー!!??」

 

 

 グハアッ!!(毛根の気持ち)

 

 な、なんてことを……!! ハゲたら兄さんに嫌われるかもしれないじゃないか!! 

 

 というより、そんな魔法あるの!?

 

 

「呪いだなんて失礼だねぇ、加護と言いな加護と。これで炎耐性がどれだけ上がると思ってんだい」

 

「デメリットが大きすぎるよ!! いらないよこんな呪い! お願いだから解除してよ!」

 

「残念ながら、私はまだまだ坊やを信用しきってないからねぇ。解除して欲しかったら相応の働きをすることさ」

 

「鬼! 悪魔! 魔女!!」

 

「坊やが裏切らなかったら良いだけの話さね。まぁ魔女なのは否定しないがね」

 

 

 つまり、この呪いを解除してもらうためには、まず信用を勝ち取らないといけないのか。

 そして、信用を勝ち取るためには最大限の努力をしないといけない……と。

 

 別に裏切る気持ちなんてこれっぽっちもなかったから別に良いんだけどさ……。

 

 なんだろう………行動を束縛されるだけで、こんなにも人は気持ちが重たくなるものなのか………。

 

 はあ、気が滅入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ん? 

 

 

「魔女なのは否定しないの?」

 

「魔女だからねぇ。言ってなかったかい?」

 

 

 ホムラの発言に、再び僕は思考が止まる。

 

 ホムラの顔は、子供が悪戯を成功させたときのように、ニヤニヤと歪められていた。

 

 

 

 

「私は炎を司る魔女なのさ」

 

 




自分の小説を読んでくださいとお願いするのって凄い照れますね(笑)

ただ、それ以上に感謝しかありませんでした。
皆さんも、ご一読ありがとうございます。
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