古株新人Vtuberの話   作:黒いファラオ

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1年ぶりの投稿にも拘わらず、総合日間20位にまで上がってました……
こんなにいったことないよ……

モチベ上がりすぎて書けました。


(リスナーには)突発コラボ

「うわぁ、すごいことになってるよコメント欄」

「ですねー、ちょっと引いてる」

「でも、それだけ上手くいったってことだ」

「そういうこと」

 

:待って《モモchannel》

:はい?

:なんで?

:いやいやいや

:頭がおかしくなった?《木南みかん》

:コメント欄がはやーい(棒)

 

「伏線はあったし~」

「茜ちゃん様がこんな新人の配信見に来るわけないじゃないですかー」

「そうそう……だから、私をどういう目で見てるのってば」

「そりゃ初代様でしょ」

「言い方に最早敬意が見えないんだよ」

 

 クスクスと茜さんが笑う。こんな会話をするのも随分と久しぶりだ。というのも、彼女とは昔からある程度交流があった。休止してからも、イベントに行ったりもしていたからモモたちと同じようなものだな。

 

:あー、なんかこういうの懐かしい

:ずるいずるいずるい《モモchannel》

:昔から割と交流あったよな

:まあ、他の子たちよりも近い関係性だったからなぁ

:モモちゃんが嫉妬で狂っている……

:ひょぇ……

 

「改めて、コラボありがとうございます」

「あんまり畏まられると困っちゃうな……どういたしまして。一番最初に選んでもらっちゃってよかったのかな?」

「茜さんを呼ばないで誰を呼ぶっていうんですか」

「それこそコメント欄に2人ともいるじゃん」

「あの2人にはドッキリがしたかったので計算には始めから入ってない」

「あははは!」

 

:ひどい……《モモchannel》

:まんまと驚いてますよ!《木南みかん》

:気持ちはわからんでもない

:いい反応してくれるからなぁ

:ホラゲーいい反応組なんだよな

 

 モモのホラゲーからしか得られない栄養素って存在するからな。コメント欄の君の気持ちはよくわかる。真面目な話、喜んでもらいたかったというのが半分ぐらいの本音だ。

 もちろんドッキリがしたかったのもほんと。

 

「長い間ご心配をおかけしまして」

「あはは、本当に心配したよ。何度も連絡しちゃってごめんね」

「いえいえ他の人たちも似たようなものだったので大丈夫です」

「それは大丈夫って言うのかな?」

 

 それだけ大事に思ってくれていたということだから、嬉しかったに決まってる。休止当初は本当にすごい量が送られてきて気が滅入ってしまったこともあったけれど。

 当時はやらかされた事件がキツいものだっただけに本気で辞めようと思っていた。……おそらくこれを彼女たちに明かすことは無いだろう。

 

「いろいろ勉強してたってさっき言ってたけど、バーチャルyourtuberは追ってたの?」

「休止してからもずっと見てましたよ。ケジメとして休止しただけでこの世界が嫌いになったわけじゃなかったですから」

「そっか、よかった。私にとってこの世界は特別なものだから」

「あなたから始まった物語ですからねぇ」

「初めましてしたってだけでずっとあったんだけどね~」

 

:茜ちゃんが会いに来てくれただけだからな

:おかげで新たな趣味が増えた

:バーチャル世界の住人だもんな

:みんなそんな感じのはず

 

 いわゆる初期組のバーチャルyourtuberはみんなバーチャルの世界に生きている。だから性別を変えることも簡単だし、顔つきもメイクを変えれば違ったものになる。

 その世界を教えてくれたのがこの人で、彼女に憧れてこの世界へと足を踏み入れた人たちはたくさんいる。恥ずかしながら俺自身もその一人なんだけども。

 

「そっかそっか、そうだよね。お誕生日にちゃんとメッセージ送ってくれるもん亡くんって」

「そりゃあお願いされたら送らないわけにもいかないじゃないですか」

「その言い方だと断れないみたいじゃん」

「仮にも俺は休止中の身だったんですけども。嫌じゃなかったから送りました」

「えへへ、ありがと」

 

:茜ちゃん可愛すぎる

:そりゃ我らがリーダーだからな

:これが、てえてえ……?

:そうだぞ

:尊いがなんでてえてえになるんだよ

:知らんのか? 知らん

:でも語感がいいから好きなんだよな

 

「戦隊の5人は全員現役なのがすごいなと思ってますよ俺は」

「ヒスイさんはなんか、違う方向に行ってる気がするけどね~」

「活動縮小で色んな人のモデルを担当するお仕事してますよね。確か、茜さんもメイクお願いしてませんでしたっけ」

「そうだよ~、今出してもらってる画像がそれだし」

 

 Vtuber戦隊の緑担当、ヒスイさん。色々と、本当に色々とキャラの濃い人で……通称「バーチャル美少年受肉お姉さま」。金髪ショタの見た目から発されるハスキーお姉さん声で数多くの性癖がぐちゃぐちゃにされてしまったという。

 彼(彼女)自身は、一人おねショタとかいうやばい発言を残している。彼女(彼)はモデルを当時から自作していて、今ではVRワールドで使えるアバターなどを製作販売したり他のVtuberの3Dモデルを担当していたりするすごい人だ。最近は仕事を辞めたらしい。

 

「アオイちゃんも単独VRライブするって宣伝してたよね」

「あの人ほんとにすごいですよね。歌はピカイチで当時から上手かったけど」

「お誕生日ライブって見てた?」

「見てました見てました。途中で泣くかと思いましたもん」

 

 Vtuber戦隊の青担当、ソラノアオイさん。いきなり現れ、そのパフォーマンス力の高さからあっという間に世間の注目を受けた。パフォーマンスというのが、歌唱力。歌ってみたを数々投稿していて、それを有名なアーティストさんが言及して……という感じだ。

 ちなみに、通常時の動画や配信ではあまりのポンコツさに本当に同一人物か怪しいとの声もある。俺も最初は疑った。けど、見ていれば間違いなく同じ人だとわかる。

 

 初瀬茜、ソラノアオイ、木南みかん、モモ・シャーティー、ヒスイ。赤・青・黄・桃・緑の5色で誰が呼んだかVtuber戦隊。当時はバーチャルyourtuber戦隊だっけな。最初に気づいたやつはすごい。

 

「……ずっと思ってたんですけど」

「? なに?」

「戦隊メンバー、純粋な色ってモモぐらいですよね」

「あはは、私も思ってた。モモちゃん以外はその系統の色だよね」

「だとしてもすごいんですけど」

「こういう偶然が広がっていくのが、この世界の好きなところかな」

 

:わかる、純正の色少ない

:おう、お前の黒色を忘れるんじゃないよ

:黒色の追加戦士って珍しいよな

:自分たちの発言が結構ダイレクトに届くのが面白いところ

:思ったより見られてるからこわい

 

「見てるぞ」

「見てるよ」

「ファンアートとか、感想とかは休止してからも見てたからな。別アカウントで」

「あ、やっぱりあるんだ」

「そりゃありますよ。完全な個人用なので秘密ですけど」

「ちなみに私もあるー。ふふ、そのいいねは私のだったのかもしれないよ~?」

 

:ひえっ

:見ないで

:私もありますよー《モモchannel》

:オタクアカウントがある《木南みかん》

:今のアカウントかな?

:変わんねえじゃん

:この反応よ

:あれ以上にあらぶっている可能性……?

 

「新しい子たちもチェックしてた?」

「どうしても気になっちゃいますし、何より大きな事務所が2つ出来たら見逃せないですよ」

「あそこは今すごいからねぇ。私も何度か関わってるし、お友達になってるよ」

 

 今のVtuberブームの火付け役といえば、しっかりとしたVtuber事務所のライバーたちだ。複数あるけど、やっぱりメインは2つ。

 多くのライバーたちの個性を重要視した事務所「ゆめのさき」。本当に色んな子たちがいるんだよな……一番有名なのは『リーダー』の愛称で呼ばれてる日野雲雀さん。レポ動画とか本人のヤバさが一気に跳ねて有名になってた。

 もう1つはほとんどが女性メンバーの「ベルサウンド」。鈴の音のような心地よさを……ってコンセプトだっけな。風宮りんさんっていうバーチャルyourtuberがいたんだけど、後からここの会社がバックにあったってわかったんだよね。技術力もあったもんなぁ……羨ましい。

 

「ベルサウンドさんは最近アイドル方面に力入れてきてますね。会社ってすごいなぁ……」

「私も一応会社所属だけど?」

「あなたの場合は色々特殊でしょうに。方向転換はいいけど、そっちに切りすぎると今まで出来たことが出来なくなったりとかしないのかな……。それは俺が気にすることじゃないか」

「まあまあ、気になっちゃう気持ちはわかるよ。何より、結局2年間この世界から逃げられなかったのがよーくわかったよ」

「そのために勉強してましたから」

 

:ゆめのさきはだいぶ増えて追えなくなってきた

:わかる。特別推してる子だけにシフトした

:それでいいんじゃない? 個性が違うんだしさ

:ベルもな、ライブは嬉しい

:近すぎるのも困りものだけど、離れていくのは寂しいよ~

:夢ニキ、Vtuber大好きか?

:あんな頃からやってるやつなんて好きに決まってるよなぁ?

:戻ってきてくれてほんと嬉しい

 

「ってやば、あまりいられないんですよね。軽く挨拶だけしてって話だったのに」

「いいよいいよ、融通は効くし」

 

 気づいたら想定より長引いてしまった。この配信自体も長く続けるつもりはなかったんだ。ちゃんとした配信は別で取るって決めている。

 

「配信も長引かせるつもりはなくて、まずは発表してって予定だったんだ。みんなもごめん」

「長い方が私たちは嬉しいぞー」

 

:そうだそうだー

:お詫びとして毎日配信しろ

:コラボしてください《モモchannel》

:コラボ!コラボ!《木南みかん》

:またやってくれるんやろ?

 

「うん、まだ色んな人とコラボはしていくつもりです。モモとみかんには恐らく事務所経由で予定が送られるはずなのでそっちで」

「あ、事務所にはオファーしてあるんだ」

「予定取れるかは別なので、本人たちだけ知らないです」

「うーん、ちゃっかりしてるねぇ……」

「というわけで、復帰配信はこれまでにします。茜さん、ありがとうございました」

「いえいえ~、久しぶりに会えてよかったよ~」

「みんなも、あんなので来てくれてありがとう」

 

:あの頃からの亡者をなめるなよ

:亡者だからな、集るぞ

:字面が最悪

:生きる楽しみが増えたぜ……

 

「はは、ほんとにありがとう。それじゃ」

「あ、言い忘れてたことがあった」

「はい?」

 

 あれ、なんか宣伝挟むみたいな話あったっけ……? なかったよな?

 

「亡くん、おかえり」

「……っ。ただいま、みんな!」

 

:おかえり!

:おかえり!

:待ってたよ!

:またよろしくな!

:おかえりなさい《モモchannel》

:おかえり~!《木南みかん》

 

 たくさんのファンたちの声を浴びながら、夢黒亡の復帰配信は幕を閉じることになった。この世界に帰ってきて……本当によかった。




今週は空き時間がほぼ無いので、今回みたいな爆速更新は無理です
ゆったりお待ちください
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