そして少年少女は手を伸ばす   作:chee

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ルスト誕生日おめでとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

というわけでルストへの愛を込めた楽錆if。
錆黴は誰かしらが書いてくれるので、昔からずっと書きたかったけどお蔵してきた楽錆の完成を試みました。錆黴過激派の方、ご注意ください。


第1話

光と光が交錯する。

 

荒れ果てた廃墟の夜空に星のように輝き舞うそのニつの光は、ニ機の機衣人だった。

 

「堕ちろカトンボ(ルスト)!!」

 

「…そっちこそ!!」

 

色とりどりの翼をはばたかせて十四の彩を持つ鳥(コーラシアス・ライラック)は宙を舞う。その鳥を撃ち落とさんとするのは真紅の機衣人(ネフィリム)二律灰反(ニリツハイハン)。その全くの別物をつなぎ合わせたような歪な構造をした機体から繰り出される予測不能な攻撃を更に理解不能な挙動で躱し続け、唯一の武器である『十束』による反撃を加えていく。

 

刀を振りかぶれば間合いから逃げる。銃を構えれば射線から外れる。予測不能な動きを予測しきった二機の動きは見ている誰もが理解できない。ただ三人(俺とルストとモルド)を除いて。

 

誰もが理解に苦しむ激闘は、真紅の機体を打ち負かした派手な機体が直後に自滅するというなんとも筆舌し難い幕切れで、俺の勝利で終わりを告げた。俺の三半規管を生贄に。

 

 

 

「…っかぁー!勝利の美酒を樽で飲んでる気分だわぁ!!…ウッ」

 

「ぐぬぬ…ていうかその煽り文句は前聞いた。ちょっと語彙力なさすぎるんじゃない」

 

「はっ!負け犬が何を言おうと聞く耳を持たねぇなぁ!!…ウッ」

 

久々にログインしたネフィリムホロウ。十四の彩りを持つ鳥(コーラシアス・ライラック)の操縦感覚が鈍ってて多少の不安があった。実際かなり危なかったもののなんとかルストを倒し切ることができた。…にしてもちょっと腹パンやめてくれませんかねぇ!踏ん張れ俺の三半規管!!!

 

「そもそもサンラクは業務用VRシステム使ってるのが卑怯。マシンのスペックが揃えば負けない」

 

「ほう。貴様己の弱さをマシンのせいにするか」

 

「当たり前。そもそもサンラクとは年季が違う。これは一度平等な環境で白黒はっきりつけるべき」

 

「ルスト…どうどう」

 

熱の入ったルストをモルドがなだめようとしているが、一切静まりそうにないルスト。っていうかコイツ声も表情も変えずにここまで圧が出せるのすごいな。それにしても平等な環境で決着か…面白そうじゃねぇか。

 

「いいぜ。やろうか。でもどうやるんだ?」

 

「ゲームセンターに置いてある据置型VRマシンを使う。あれなら絶対平等。というわけで今週末空けておくように」

 

まぁ予定自体はないから問題はないのだが、まだ気になることがいくつかあるな。

 

「別にいいが…どこのゲーセンでやるんだ?」

 

「サンラクの家の最寄りの駅のところでいい。たしかあそこはでかいゲーセンがあったはず」

 

なるほどあそこなら…って待て待て待て!!!

 

「いやなんでお前俺のリアル情報知ってる!?」

 

「……ふっ」

 

いや“ふっ”じゃなくて!怖い怖い!!

 

「実はこの間JGEの後にペンシルゴンさんから…」

 

「あんの外道…!!」

 

何なんだ!結局あいつ(外道鉛筆)のしわざなのか!!いくらなんでも個人情報は漏らさないと思っていたが甘かったかあの邪神め……!!!

 

「今となってはもう遅い。気にしたら負け」

 

「ルスト…人の個人情報勝手に手に入れておいてその言い草は流石にないと思うよ…」

 

まだモルドには常識が残っていたようだ。

 

「これに関してはペンシルゴンが悪い。サンラクはいい加減諦めて」

 

「許すまじあの外道…」

 

「これでペンシルゴンさんにヘイト移すサンラクもサンラクだよね」

 

なんだとモルドこのやろう。

 

「ということで週末は空けておいて。とりあえずサンラク、もう一回やろう」

 

「…もうちょい休まして」

 

「…貧弱」

 

ふっ。どうせ貴様には三半規管が勝手にブレイクダンス始めるかのようなこの苦しみはわかるまい。これは選ばれしもののみが味わう……いや待ってマジで気持ち悪い。

 

「まぁいいや、やるか」

 

「そうこなくちゃ」

 

ちなみにこのあと十四の彩りを持つ鳥(コーラシアス・ライラック)は開始七秒で壁のシミと化した。解せん。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そんなこんなでやってきた週末、俺は今駅でルスモルの到着を待っている。俺の格好はジャージにガスマスク…と行きたいところではあったが、瑠美にめちゃくちゃ怒られたので無難にTシャツ、パーカー、ジーンズを組み合わせたシンプルなものだ。凝った格好は俺には似合わないらしい。ほっとけ。

 

「思ったよりも近かったね」

 

「うん」

 

「電車代もこれくらいなら許容範囲かな」

 

「まぁ」

 

電車から一組の男女が出てきた。男は清潔感あるシャツをメインにシンプルに着飾っているなよっとした印象も受ける高身長の好青年。女は身動きの取りやすそうなスポーティながらも要所にこだわりを感じさせる可愛らしい服装のショートカットの美少女。JGEのときに見たルストとモルドで間違いない。

 

 

【旅狼ネフホロ部】

 

ルスト:サンラク、駅についた。

 

モルド:サンラクはもう来てる?

 

サンラク:来てるぞ。改札外の時計の下で待ってる。

 

ルスト:了解

 

 

そうチャットを返すと、こちらに目を向けたルスモルらしき二人組と目があったので、軽く手を振る。二人組がまっすぐ俺のもとに歩いてきた。

 

「お待たせ」

 

「おはよう、サンラク」

 

「あぁ、おはよう。それにしてもお前らよく俺が一目で判断できたな。顔知らなかっただろ」

 

「まぁ時計の下にいたのがサンラクだけだったから。あと、さっきペンシルゴンが今日のサンラクの服装を教えてくれた」

 

そう言いながら見せてきたルストの端末を覗き込むと、家の中で瑠美に撮影されたであろう今朝の俺の写真が写っていた。

 

「瑠美ィ…っていうか何?俺って家の中でもプライバシー守られないの??」

 

「うん。流石にこれは僕もどうかと思ったよ」

 

おお…モルドには常識が残っていたようだ…やっぱ俺たち常識人組がしっかりしないと…

 

「でも、ジャージにガスマスクはない」

 

ルストが示した画像には瑠美に怒られる前の俺の姿が写っていて………

 

「すいませんっした!!」

 

唯一の常識人たるモルドに頭を下げるのだった。

 

「なぜコイツ(モルド)だけに向かって頭を下げる」

 

お前にモルドほどの良心と常識が残ってないからだよこの鉛筆戦士二号め。

 

「にしてもルストも服装気合入ってるように見えるな」

 

「これ?ペンシルゴンに見立ててもらったやつ。現役モデルのネームバリューの賜物。格安で手に入った」

 

なるほど。あの外道モデルが関わっているわけか。道理でよく似合っている。実際に言いはしないがなかなかにかわいい。

 

「僕もびっくりしちゃったよ。夏蓮服のセンス変わったなぁと思って」

 

「…夏蓮??」

 

「あぁ、言ってなかった。佐備夏蓮。私のリアルネーム」

 

なるほど、夏蓮ってルストのことか。

 

「確かに言ってなかったね。僕は鹿尾野葉。改めてよろしくね」

 

「俺は陽務楽郎だ。よろしくな」

 

「それはペンシルゴンから聞いてる」

 

「くっそアイツ…」

 

ペンシルゴンまじ鉛筆戦士(形容詞)。絶対許さん。

 

「まぁいいや。鉛筆は後で〆る。二人ともリアルでは俺のこと楽郎って読んでくれていいから」

 

「別にどっちでも構わないが…何かあった?」

 

「前リアルでサンラクって名前使ったときにツチノコ捜索掲示板のガチ勢に追い回されて…」

 

「「えぇ…」」

 

まぁ、流石に引くよな。思い出してきたら震えが……

 

「なら、私たちのことも夏蓮と葉でいい」

 

「うん。僕も問題ないよ」

 

「あぁ。よろしくな」

 

夏蓮と葉。覚えた覚えた。

 

「(…ほとんどペンシルゴンさんから聞いてた情報通りだったね)」

 

「(…うん)」

 

「………」

 

このプチオフ会いきなりこの調子で大丈夫か。先行き不安すぎるぞ。

 

……って大体ペンシルゴンのせいじゃねぇか!!




続きます。
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