Fate/relation   作:パープルハット

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ぜひ観測者編からご一読ください。


幻視急行編3

【幻視急行編③】

 

お父さんが、包丁を振り上げた。

目の前で、お母さんだったはずのモノが転がった。

飛び散る赤色は、トマトケチャップよりずっと鮮やかで

でも、いい匂いはしなかった。

 

「ごめん、ごめんな」

 

お父さんは泣いていた。

どうしてだろう。

どうしてそんなに辛そうなんだろう。

嫌なら、やらなきゃいいのに。

 

「ごめんな、美頼。全部お父さんの所為なんだ。」

 

お父さんはお母さんの胸に刺さった包丁を抜いた。

公園の噴水みたいに、綺麗な赤色が噴き出した。

私はその場から動かなかった。

次は私の番だ、と知っていたけれど

逃げ出すことはしなかった。

泣き喚くこともしなかった。

死ぬのが怖くなかったから?

いいえ、きっと違う。

この後、お父さんも死ぬだろうから

またみんなで暮らせるでしょう?

またどうせ会えるんだから。

 

 

「という訳で、倉谷美頼、今日からこの第四区博物館のスタッフとしてお世話になります!よろしく~」

 

満面の笑みを浮かべる少女の登場に困惑する巧一朗と鉄心。彼女の後ろに立つ黒髪の美女サーヴァントは終始無言を貫いていた。

 

「えっと、倉谷…サン?俺や巧一朗と顔を合わせてヨロシクってことは、表のスタッフじゃないってことかな?」

「その通りです。」

 

鉄心の問いに答えたのはスタッフルームの扉を開け入って来た充幸であった。彼女が採用したという事は、つまり美頼は正真正銘、裏稼業のチームの一員になるということである。鉄心はアーチャーと共に、女性比率の向上に万歳する。

歓迎ムードの中で眉をひそめたのは巧一朗。当然、彼は美頼の参加を良しとしてはいない。だが館長や充幸が判断したことに異を唱えることも出来ない。充幸は彼の元へ寄り耳打ちした。

 

「彼女は、大丈夫ですから。」

「博物館の意思に反しないという事ですか?多分引っ掻き回しますよ、アイツ。」

「既に貴方のキャスターが存分に暴れてくれています。一が二に増えようと変わりませんよ。」

「…プラスに働くと、そう思っているんですね、鬼頭教官は。」

 

充幸は優しく微笑んだ。巧一朗は鬼頭充幸という人間を正しく理解している訳では無いが、その慧眼には絶大な信頼を置いている。年上と言っても大差ない齢で、いくつもの修羅を乗り越えてきた風格がある。

もしかしたら、このオアシスにおいては有り得ぬことだが、彼女は過去に聖杯戦争に関わったことがあるのかもしれない。

 

「何なに?内緒話?駄目だよ、みさっちゃん。コーイチローは私のモノなんだから。」

 

急に近付いてきた美頼に抱き着かれる巧一朗。ここまで懐かれるようなことをした覚えのない彼は顔を赤くしたまま振り解こうと躍起になる。そんな様子を充幸はにやにやと楽しそうに眺めていた。

 

「で、コイツはちゃんと仕事内容を知っているんですか?教官。」

「コイツ、じゃなくて美頼だよ。コーイチローは美頼って呼んでね。もちろん知っているよ、聖遺物の奪取、そしてオアシスという国そのものへの反逆でしょう?」

「あぁ、そうだ。俺たちのやっていることは、テロ行為に他ならない。災害を敵に回すってことだ。俺はお前……美頼にその覚悟があるとは到底思えないが。」

「覚悟かー、そうだね、無いよ!」

 

美頼はそう断言する。巧一朗は頭を抱えた。

 

「私、たぶんスパイとかハニトラとか、そういう場面で凄く役に立つと思う。私のサーヴァント、バーサーカーのクラスで真名は『ロウヒ』っていうんだけど、凄く強いし、博物館にとって武器になると思うんだよね。」

「美頼が単独で博物館の裏に辿り着いたことは知っている。そのサーヴァントが余りにも強力であることも。だが、そういう事じゃないんだ。この国に住まう心優しき人たちですら、俺たちは殺さなきゃいけないかもしれない。テロリストは非情さが無ければ…」

 

巧一朗がそう言いかけて、充幸がそれを制した。

 

「鬼頭教官?」

「倉谷さん、巧一朗さん、二人に任務を与えます。倉谷さんがメインとなって動き、巧一朗さんがサポートしてください。倉谷さんにとっては初めてのミッションですが、難易度はかなり高く、それでいて失敗は許されないものです。」

 

二人はそれぞれ資料を手渡される。それは同じく第四区内にある小規模な展示施設への潜入、加えて違法触媒の強奪であった。触媒は女ものの擦り切れた下着、経年劣化によりそれは生ごみのように黒ずみ朽ちている。ページを捲ると、それが過去にドイツから日本に輸入されたものであることが判明した。

 

「それは登録されていない触媒です。ですがこちらの調べで、それが『マールト』の物であることは判明しています。」

「まーると?」

 

美頼は首を傾げた。巧一朗も名前以外の詳しいことまでは知らない為、充幸の解説を待つ。

 

「ドイツ伝承で有名な、夢魔、の名前です。夜に人間の寝室に入り込んでは、悪夢やら淫夢やらを見せて生気を奪い取るとされています。夢魔は通常人間が捉えることの出来ない怪物の類ですが、マールトの一種は人間との結婚も果たしており、このように過去の遺物が残されているのです。」

「生気を奪うってことは、えっちなことをするっていうこと?」

 

美頼の何気ない質問に、充幸は頬を赤らめた。鬼の鑑識官もこういう所はピュアである。

巧一朗はコホンと咳払いをすると、資料の詳細を読み上げた。今回潜入する展示施設は博物館とは異なり、個人が経営するギャラリーに近い。正規の触媒も展示されており、そちらは見学も可能だが、金を出せば購入することも出来る。災害のキャスターに正式に認可された店舗であって、後ろ暗さは見当たらない。だがマールトの触媒を隠し持っているならば、裏の流通ルートがあるということだ。

 

「災害のキャスターの膝元でよくも抜け抜けと…」

 

美頼は呆れたが、博物館も人の事を笑えない立場である。むしろ触媒の占有率で言えば圧倒的に第四区博物館の方が極悪人だ。

 

「博物館は違法触媒の奪取後、全ての管理を当館の館長に委ねています。あの方にかかれば災害ですら把握できない保管庫を用意することも容易いでしょう。ですが、この展示施設はどうやって管理しているのか。実態は謎ですね。」

 

巧一朗も、当然ながら美頼も、館長の正体を知らない。膨大なデータと聖遺物を保有する謎の人物であり、その意思こそが博物館の意思である。災害を殺すという目標を共有した巧一朗は、キャスターと共に博物館へ加担することに決め、今に至る。そして彼は、館長の正体について薄々気付きつつあった。

 

「ちなみにみさっちゃん、肝心のお店のことが資料に全然記載がないんだけど。」

「それは倉谷さん、巧一朗さんが調べて下さい。秘匿されたものが多すぎるのと、相手が相手ですから、お二人だけで動くのがベストかと。」

「えーっ、博物館意外と手抜き~」

 

口を尖らせる美頼に対し、巧一朗は充幸の言葉が気になっていた。任務の性質上、ことは四区内で片付く筈だが、それを難易度の高いものと位置付けた。つまりは相当高レベルのセキュリティか、または博物館が相手にしたくない者がそこにいるか、だ。

 

「鬼頭教官、この展示施設の運営元は誰ですか?」

 

察しの良い巧一朗に充幸は口角を上げた。

 

「カズヒラスタディオ。第一区のアインツベルンカンパニーと密接な関わりを持つ、卸売業者です。」

 

充幸の言葉に目を剝いたのは美頼であった。彼女の手からするりと紙が零れ落ちる。彼女の父が経営していた倉谷重工にスパイとして潜り込み、その全ての技術をアインツベルンに横流しした男、和平松彦。その後行方を晦ませていたはずの彼の名を、ここで耳にすることになろうとは。充幸が美頼を任務に当たらせた以上、スタディオが和平と何か関係があることは明白である。

 

「倉谷さんの話は、博物館の面接で聞かせて頂きました。だからこの任務は貴女が相応しい。それが館長の判断です。」

「ちょっと待ってくださいよ、鬼頭教官。いくら何でもそれは…」

 

巧一朗もまた、美頼から過去を聞かされた。目の前で両親が死ぬ様を目撃したこと、その惨劇を生み出したのが和平松彦であったこと、そして彼女が和平を殺したいと切に願っているという事。だが、和平がどんな人間であったにせよ、彼を殺すことは博物館にとって有益ではない。アインツベルンが和平と関係を持っている以上、どう足掻いても博物館の悪事は大企業に対し明るみになる。同じ四区内で、聖遺物を狙う組織が存在すると認知されるだけでも非常に危険だ。

 

「美頼、もし任務の先に和平がいたとしたら、お前は…」

「殺すよ、コーイチロー。私がこの手で殺す。絶対に。」

 

美頼の目は虚ろである。彼女の気持ちが理解できる巧一朗には、どうしようも無かった。

つまり充幸や館長が巧一朗をサポートに付けたのは、美頼のお守り以上の、言わば火消要因である。

彼女の殺しを、絶対に隠し、漏れさせない。博物館の存在を悟らせない。アインツベルンにも、そして災害にも。

 

「マジかよ。」

 

巧一朗はがっくりと項垂れた。出来るか出来ないかで問われれば、間違いなく出来るだろう。だがそれを自分で判断するのではなく、他者から期待されるのは精神衛生上良いとは言えない。だが将来的に災害を相手取ることを考えれば、いま与えられた任務を全うに熟すほか無いのだ。

 

二人は足での調査を取り行うために、電車に乗り込み、目的地へと向かった。二駅分である為、歩いて行くには時間のかかる距離である。

巧一朗は度の入っていない眼鏡とキャップを被り変装。美頼はノリノリでウィッグを被り、普段の奇抜さとは打って変わる文学少女にチェンジした。

 

「コーイチロー、眼鏡かけていてもカッコいいじゃん。」

「巧一朗の名はもう呼ぶな。さっき偽の名刺を渡しただろう?」

「あ、ごめんごめん、良助だったよね。」

 

美頼自身は偽名を考えた末、高校時代の友人から一部拝借し、ナナと名乗ることにした。美頼は復讐相手がいるかもしれない状況だが、巧一朗とのお出かけを素直に楽しんでいる。

 

「ねぇ良助。どう、今の私。」

 

美頼は黒のセーラー服に身を包む。コスプレ感覚は止めろと巧一朗に止められたにも関わらず、彼女の好む衣装に着替えた。

普段の学生服とは異なり、制服自体が地味である分、より彼女の身体のラインが際立っている。敢えてリボンを結ばずに谷間を露出させ、巧一朗に見せつけてくる。

 

「いいんじゃないか、無駄に露出しなければ。」

「ハニトラだよー、ハ、ニ、ト、ラ。」

「はぁ、ったく。」

 

二人が乗り込んだ列車は満員で、二人は窓際に押しつぶされるような状態だ。だが美頼はここぞとばかりに胸や足を巧一朗に押し付け誘惑する。彼は彼女を守るような体勢になりながら、大きく溜息をついた。

 

「お前、こういうこと色んな男にやっているのか?」

「仕事の時はね。プライベートでは初めて。お金貰わずに、自分からするのは初めてだよ。」

「…お金に困っているのか?」

「まぁね。親が死んで会社倒産しているし、遺産も一部親戚に持ってかれたりしたしね。博物館がお給料くれるだろうけど、それじゃ返し切れないくらいには借金もしているし。」

「そうか。」

「なに、良助お金援助してくれるの?そんなことしなくてもヤらせてあげるよ?」

「ヤらないし、金も渡さない。悪いが、俺はお前に全く興味がない。ただの仕事仲間だよ。」

 

二人は人波に押されながら下車すると、一度その場で大きく伸びをする。

 

「まだ仕事始まってもいないのに、仲間って言ってくれるんだ。」

 

ニンマリとした笑みを浮かべる美頼に、巧一朗は頭を掻いた。

ただの揶揄うことが好きな年下女子高生に見えるが、その実は復讐に燃える成人済みの女。確かに、彼女に騙されてしまう男は一人や二人では無いだろう。彼女を上手く動かせば、博物館にとって強力な手札となり得る。だからこそ、充幸は初めてのミッションで、美頼の望みを叶えさせようとしているのかもしれない。

 

「行くぞ、この駅の徒歩五分圏内に対象の展示施設はある。気を抜くなよ。」

 

巧一朗と美頼が訪れたのは、白を基調としたアクセサリーショップのような高級感あふれる店舗、外看板には「enrichir」と書かれており、展示されたケース内には認可を受けたであろう聖遺物が並んでいた。購入した人間はデータローディングサービスを受け、実際にその触媒を用いて英霊召喚を行える。それだけに、その価格は一般小売店の高級ブティックなどを遥かに凌駕していた。

 

「エ…エンリッチャ?」

「オリシアだな。フランス語で、豊かになるとか、裕福になるとか、そんな意味だ。」

 

巧一朗も多言語に精通している訳では無い。そもそもオアシスにおいて外の世界への扉が塞がれている以上、学ぶことに何の意味も無い。彼がその単語の意味を知っていたのは、充幸がフランスという国に精通していた所以である。

二人が店内に入ると、スーツを着こなした若い女が出迎えた。巧一朗はその女のネームプレートを目に焼き付けておく。

 

「いらっしゃいませ。」

 

他に客がいない為、店内は静寂に満ちている。元気のいい美頼も、ここでは大人しい振る舞いを心掛けていた。

巧一朗は眼鏡のレンズに仕組まれたカメラで店内の様子を収めていく。別段怪しい物は存在しない。侵入者を探知するレーダーやブザーは、ブランドショップなら完備しているものである。彼は適当な会話で客のふりを続けながら、店のバックヤードの位置を特定していた。

 

「ねぇ見て良助、この聖遺物…」

「ネクタイの切れ端、だな。盲目探偵カラドスの物と書かれている。」

 

探偵という文字を見ると、巧一朗はキャスターを名乗る白銀の少女を想起する。彼は出会ってから今までその名を知ることが出来ていない。クラスがコラプスエゴである以上、何かの混じり者であることは想像に難くないが、その特定はもはや不可能である。

圧倒的な知識欲を以て、人の破滅を願う破綻者。彼女のマスターである人物は今頃何処で何をしているのであろう。思えば、奇妙な関係である。

二人が興味深くカラドスの触媒を観察していると、店の奥から黒スーツを着こなした恰幅の良い男が歩み寄って来た。

 

「探偵の遺物、気になりますか?」

「えぇ、専属従者になったら、どう私生活が劇的になるかと想像していたのです。」

 

現れた男は店のスタッフでは無い。それはネームプレートを付けていないことからも見て取れた。そして巧一朗はその正体にいち早く気付く。男を見て固まってしまった美頼を確認すれば容易に判断できることだ。

この男こそ美頼の復讐劇のヒール、和平松彦であろう。

演技を忘れ言葉を失う美頼を守るように、和平と会話する巧一朗。二人に面識があると思われる以上、悟らせてはまずいことが明白である。

 

「ただ、英霊召喚の性質上、必ず目的のサーヴァントが呼ばれるとは限らない。例えば、このカラドスを呼ぼうとしたら、ルイスが呼ばれたなんてジョークもあり得ますよね?」

「いえいえお客様。そこはローディングで呼び出される英霊をある程度まで絞り込むことが出来ます。もしお客様がカラドスをどうしても呼べないことが発覚した場合は、クーリングオフも当然対応しておりますので。ちなみに私はルイス・カーライルもそれはそれで人生を豊かにしてくれると信じていますよ。」

 

巧一朗は和平の手の動きや瞬きの数に至るまで記録していく。対して和平もまた、巧一朗の隣にいる美頼のことが気になっていた。

 

「お客様は、誰か会いたい英霊がいらっしゃいますか?」

 

和平は変装した美頼を嘗め回すように観察した。巧一朗は敢えて助け舟を出さず、美頼を見守ることにする。ここで無理に庇えば、一層怪しまれる可能性がある。

 

「私は…」

 

美頼は恐る恐る、乾いた喉からその言葉を絞り出した。

 

「隣のドアを叩け(ヒットザドアネクストドア)」

 

その言葉自体に意味は無い。だが、これはオリシアにとって重要な意を持つパスワード。二人はそのことを充幸の用意した資料で知っていたが、巧一朗がその暗号を発する予定であった。

だが美頼は、和平を前に、勝負の姿勢を見せることにしたのだ。

 

「(ったく、台本通りにはいかないな。さて、どう出る?)」

 

巧一朗は美頼の勇気とも無謀ともいえる行動に呆れ顔を浮かべつつ、和平の反応を窺った。

和平はにんまりと気持ちの悪い笑みを浮かべると、店のバックヤードへ二人を誘う。

 

「ちょっと、オーナー!」

 

女性店員も困惑の表情を浮かべている。彼女は和平から何も知らされていないただの従業員であったのだ。

和平に誘われるままにバックヤードに入る二人。別段怪しい雰囲気も無いが、和平は徐に並んでいた段ボール箱のタワーを取り去った。そこに現れたのは地下へ繋がっている階段である。

 

「さぁ、どうぞ。」

 

巧一朗は若干男心をくすぐられソワソワしたが、任務であることを思い出し切り替える。美頼は冷静なふりをしているが、その心臓は激しく脈打っていた。

そして彼らの前に古い扉が現れた。鍵付きのドアだが、鍵がかけられている様子は無い。和平はノブを捻り、中へ二人を誘導する。

巧一朗も、美頼も、目の前に広がっていた景色に驚愕する。オリシアの店舗よりずっと広い、まるでパーティー会場のような部屋に、所狭しと聖遺物が並べられていた。それも全て、巧一朗が確認する限りにおいて違法触媒である。そして二人を何よりも驚かせたのは、そこにいた客数である。オリシアの表側は誰もいなかったはずが、この裏側には十数の客が入り浸っていた。

巧一朗は先程の女性店員の反応を思い出した。彼女の困惑は、裏に客を通した事によるものでは無く、恐らく、初めて来訪した客を招き入れたことだ。ならば、この場所にいる者は恐らく常連客。白昼堂々、こんな場所で闇取引が行われていることとなる。

 

「なぁ、俺が聞くのもなんだが、災害への対策はどうしているんだ?移動屋台でもあるまいし、いつか足が付くだろう?」

 

丁寧語を取り去った巧一朗は、和平に一歩踏み入った話を吹っ掛ける。

 

「オリシアはかの大企業アインツベルンカンパニーに支えられ存在しています。ここは第四区に存在しながら、その権利は第一区のものなのです。」

「…アインツベルンに災害を従わせる力は無い。つまりは、災害のライダーか?」

「えぇその通り。災害のキャスター様が口を出せない理由、お分かりになられましたかな?」

 

この店舗が災害のライダーに認可を受けているならば、事態はより複雑となる。成程、充幸が難易度の高い任務と伝えた意味が理解できた。

美頼は一足先に中へ入り、数々の聖遺物を見学しながら、目的の物を探す。マールトの下着は部屋の最奥に展示されていた。

巧一朗もまた、彼女を追うように展示物を閲覧する。そして、それらの違法触媒の共通点を即座に解明した。これらは全て女の英霊を召喚する為の物。それも騎士の類では無く、もっとランクの低い者たちだ。マールトの件も含め鑑みると、何故ここがアングラでありつつも栄えているのか容易に判断出来た。

 

「(つまり、専属従者ならぬ、専属娼婦ということか)」

 

見回すと客の多くは四区内でもそれなりに名を馳せた企業の社長陣である。その手の甲にはマキリ製の令呪、それも三画以上彫り込まれているようだ。

 

「お客様は初めてですよねぇ。企業のトップともなれば、抱いた女の数は常人とは比べ物にならないでしょう。だからこそ、こういった趣味嗜好に至るのも無理はない、それが摂理です。」

「呼び出した英霊を令呪で屈服させ、性奴隷にする。英霊は妊娠もしないから楽だろうな。」

「ふふ、お客様はどのような娘がタイプですか?女スパイも、文豪も、あぁ、サキュバスなんてものもありますよ?一緒にいらっしゃった彼女さんも中々に発育がよろしいですが、人間では決して味わえない快楽がそこに存在しています。」

「あぁ。ここは良い店だ。今日は彼女とスリリングなプレイに興じているだけだから、次は一人で来るよ。」

 

巧一朗は美頼の手を引き、店を後にした。マールトの聖遺物の場所や、防犯装置の場所は全て特定済み。図面に起こして侵入経路を確保すれば、今日の夜にでも決行できる。

彼らが博物館へ帰る道のり、美頼は一言も言葉を発しなかった。

巧一朗にとって今回のミッションは簡単だ。マールトの聖遺物が目的であれば、すり替えを行えばいいだけの事。それが博物館の存在を悟らせずに済む方法である。幸い、マールトの触媒は展示物でも最高額であった。そう簡単に購入されることも無いだろう。勿論アインツベルンのチェックが入らなければ、の話ではある。

だが、美頼はオーナーである和平への殺意が増している。彼女は既に、ナイフを握る覚悟で任務に就いていた。和平を殺してしまえば、第一区にそのことが伝わり、必ず調べが入る。そうなるとリスクは二倍、三倍どころの話では無い。

博物館へ到着した後、巧一朗は美頼を庭園に呼び出した。心なしか、彼女は元気の無いように見える。店に着くまでは殺気立っていた筈だ。

 

「コーイチロー…私…」

「奴を殺すのは、辞めておくか?」

「……っ」

 

手入れされた美しき花々が嫌という程に鮮やかで、美頼は何度も目を擦った。

そして視界はぼやけていき、花の原型の無いままに、鮮やかさだけが焼き付いた。瞬きすると、視界を奪ったのは涙の雫であることを彼女自身理解したのだ。

 

「なんで、あんなやつが、生きているの?」

「なんで、あんな最悪な連中が幸せそうに笑っているの?」

「なんでお母さんとお父さんが死ななきゃいけなかったの?」

「なんで私だけこんな思いをしなきゃいけないの?」

「なんで、なんで、なんで、なんで、」

 

「なんで、人を殺しちゃいけないのよ」

 

美頼は天に叫んだ。

その問いに答える者はきっといない。

だから空へ吐き捨てる。

彼女の声は宙に消え、彼女の想いは頬を伝った。

 

「分かっているつもり、コーイチロー、もし私がアイツを殺したら、貴方は、博物館は大変な目に遭うかもしれない。だから殺すのは得策じゃない。だから、大丈夫。もう大丈夫。私は和平を殺さない。皆の為に、殺さない。」

 

それが美頼の結論だ。巧一朗のことを好きになったからこそ、彼に嫌われることはしたくなかった。

巧一朗は指で彼女の目元を拭う。そして彼は反省した。彼は倉谷美頼という人間を正しく理解できていなかった。

きっと美頼は、巧一朗よりずっと強い。彼が選べなかった選択肢を、彼女は選ぶことが出来たのだから。

 

「そうか、なら…………俺が和平を殺すわ。」

「は?」

「だってアイツむかつくし。」

「そんな理由で!?」

 

美頼は素っ頓狂な声を上げた。

 

「コーイチローの優しさだって分かる、けど、博物館の立場とか、色々まずいんじゃないの?だから私は…」

「どうでもいいだろ、そんな事は。新入りの癖に一丁前に気遣いやがって。俺たちはテロリストだ、最初に言っただろう。」

「…っ」

「それとも怖気づいたか?お前にはナイフは重かったか?」

「違う、殺せる。私は和平を殺すことが出来る。」

「ったく、ちゃんと覚悟は出来ているじゃねぇか。なら明日に決行だ。和平松彦を暗殺する。」

 

巧一朗は酷く冷たい目をしている。だが今の美頼にとって、その目が何よりも頼もしかったのだ。

 

「これは倉谷美頼の復讐劇だ。当然、バーサーカーにも協力してもらうぞ。」

 

巧一朗が美頼の影に向かって呼びかけると、黒髪の美女が現れ出た。突如呼ばれたことに不機嫌そうな顔を浮かべている。

 

「我に何をさせるつもりだ?弁えよ。」

「え、ちょっと待って、何でそんなに怒っているんだ?心当たりが無いんだけど。」

 

巧一朗はロウヒの態度に内心怯えつつも、和平殺害の計画を二人に向けて話した。美頼の顔は血の気が引き、ロウヒは逆に笑みが零れている。

 

「コーイチロー、本気?」

「いやだって、これしか無いだろう。」

「ハハハ、貴様中々に狂っているな!清廉潔白そうな顔をして、外道であったか!面白い。」

 

ロウヒにウケたことにより、作戦の決行が確定した。早速巧一朗は準備に入る為、博物館のデータベースへ向け歩き出した。

 

「ねぇ、コーイチロー、どうして私を助けてくれるの?」

 

美頼の心の底からの問いに、彼は当たり前であるかのように返答する。

 

「だって、アイツを殺してから、お前の人生が始まるんだろう?」

 

美頼はその時の巧一朗の笑みが、誰よりも温かったことを、この先も忘れることは無いだろう。

 

 

翌日の深夜、皆が寝静まった頃に、巧一朗たちは動き出した。和平の居場所の特定はロウヒが行い、現在オリシア店舗内にいることは確認済みである。巧一朗が直接地下へ潜入し、聖遺物を確保する。美頼は和平を捉え、速やかに殺害、その後遺体の処理を行う。ロウヒは和平に奥の手が用意されていた場合の切り札として投入予定だ。

派手に動けば、アインツベルンへ連絡する隙を与えてしまう。なるべく迅速に事を済ませねばならない。

オリシアの外側に回り込んだ巧一朗と美頼は、二手に分かれる。先ずはバックヤードで発注処理を行っている和平を、店舗内へ誘き出す。

美頼は巧一朗からその段取りを全て聞かされ、頭に叩き込むよう指導されていた。だが昨日偵察に来た時点で、巧一朗はオリシア内に数々のトラップを仕掛けていたようで、美頼は手順通り、比較的簡単に和平をあぶり出す。当然、店舗に和平しかいないのは確認済だ。

美頼が最初に入れたスイッチは、物が落ちてくる音である。静かな空間に突如鳴り響く異音は、和平をまんまとケース近くまで誘き寄せた。

 

「(今だ)」

 

彼女が次なるスイッチを作動させると、彼の目の前にあったケースが勢いよく割れた。飛び散る硝子が当たらないように腕で庇いながら、彼は後方へ勢い余って倒れ込む。そしてそのスイッチの発動に合わせて、入り口のガラスを叩き割り、中へ侵入した。通行人に気付かれる可能性もあるが、彼らはオリシア内に立ち入ることは出来ないだろう。何故ならば、入り口が破壊されて一秒も経たぬうちに、それは元通りとなった為である。新たに入り口のドアを創造したのはロウヒの技術、彼女のサンポは、宝具を用いずとも、現実に存在している者であれば即座に生み出すことが可能であるのだ。

そして尻餅をついた和平に馬乗りになった美頼は、彼が動けないように拘束し、ナイフを目前に突き立てた。

 

「な…あ…」

 

恐怖か、状況が飲み込めていないのか、彼は言葉を発することが出来なくなっていた。

 

「和平松彦。私の顔を覚えている?工場内でお父さんと話していた時に、貴方にお茶を出した娘がいたわよね。」

「な…なんだ、なんだ、誰だ?何をしている?」

 

和平は動転して、上手く呼吸が整わない。殺されるかもしれない恐怖が彼の脳を埋め尽くしている。

 

「お父さんの顔は覚えている?お母さんの顔は?お前が奪った命よ。」

 

和平は美頼の顔を見つめた。だが、彼は人を殺したことなど一度も無かったが故、その正体に気付くことは出来なかった。

 

「答えろ、和平!」

「わからない…工場?オートマタか?」

「そうよ、貴方がアインツベルンに横流しにした、倉谷重工の技術をね。だから経営難になって両親は命を絶ったの!私はその娘よ!」

「むす…め?え、何で?」

 

和平の思考は混濁する。恐怖が渦巻き、正常な思考が取り戻せない。彼は兎に角、生きる為にどうすべきか考えた。そして彼は自らが召喚したアサシンのサーヴァントに助けを請うことに決める。彼の腕の令呪が淡く光輝いた。

 

「アサ…アサシン、助けて、助けてくれ、殺されるんだ私は、何とかしてくれ!」

 

和平の上に乗るのは所詮、人間の小娘である。彼のサーヴァントは戦闘面において協力とは言い難いが、それでも人を一人殺すのは容易い。和平はアサシンが助けてくれることを確信し、落ち着きを取り戻した。

が、しかし、彼のサーヴァントが現れることは無かった。

 

「え?何で?」

「和平、あんたが召喚した『マールト』は現れないわ。それが隠し札だってことも、良助は、コーイチローは気付いていた。」

 

昨日の偵察時、階段を塞ぐ段ボールと、鍵のかかっていない扉に、巧一朗は疑問を持っていた。だからこそ、去り際に扉の鍵穴を目視で確認し、それがセメントのようなもので固められていることに気付いた。段ボールは地下通路を隠すためのものでは無く、中にいる誰かを出さない為のもの。そして『マールト』は鍵穴からすり抜けて侵入するというのもドイツ伝承通りで、和平は地下の部屋にてマールトの封じ込めを行っていたのだ。和平にとっての最後のセキュリティたるアサシンのサーヴァントは、今、巧一朗と対峙している。

美頼のお陰で難なく侵入に成功した彼は、部屋に入ると、異様なほどの甘い匂いに不快感を露わにした。これは昨日の偵察時には感じなかった、独特な香り。彼は強制的に、夢の世界に誘われる。

巧一朗が部屋の中央で倒れ込むと、部屋の隅にいた赤いロング髪の少女が、彼の上に乗った。

薄れゆく意識の中で、それがマールトであると判断する。幼い顔つきでありながら、セクシーランジェリーを身に纏い、扇情的に、蠱惑的に、巧一朗を魅了する。巧一朗は何とか意識を保ちながらも、金縛りに遭ったように動かなくなった身体を必死に動かそうとしていた。

マールトは巧一朗が夢に堕ちないことを悟り、次なる手に出る。それは彼女自身の魅惑で、無理矢理に生気を奪おうというものだ。

美頼やキャスターに比べ、身体つきは幼いながらも、そのテクニシャンぶりは彼の心臓を内側から掴んでくる。耳を舐め回し、服を破いた暁に、腹筋や胸板に舌を這わせる。夢魔の唾液には人間が持つものより何十倍ものフェロモンが含まれており、その快楽は並のものでは無い。

そしてマールトの意識が、巧一朗の下腹部に向いたところで、彼は何とか言の葉を絞り出した。

 

「マールト、貴方はあの太っちょの奴隷なのか。」

 

マールトは舌を使用した攻撃を止め、巧一朗を見つめた。

 

「私はアサシン、彼のアサシンです。」

「良いように玩具にされているんじゃないのか。」

「…彼の幸せは私の幸せです。彼の快楽は私の快楽です。」

「そうか、哀しい奴だな。」

 

巧一朗の言葉に怒りを覚えたのか、彼女は彼の唇を強引に奪い、彼女の唾液を流し込んだ。成すすべなく飲み込んだ巧一朗は、急激な肉体の火照りと血液の活性化に、息を荒くする。何度も行われれば、血液は沸騰する程に熱くなり、心筋梗塞などで命を落としかねない。

 

「私を語らないでください。」

「いいや、語るさ。貴方は可哀想だ。夢魔であっても、真っ当なマスターの元に召喚されていれば、こんな空気の悪い場所に閉じ込められずに済んでいたかもしれない。」

「黙れ」

 

マールトはそのか細い腕を伸ばして、巧一朗の首を掴みかかった。所詮は人間の一つしかない命だ。簡単に奪うことが出来る。

 

「黙れ、黙れ、黙れ、黙れ」

 

マールトは力を強めていく。

巧一朗は苦しみながらも、口角を吊り上げた。

 

「やっと幻惑の香りが消えたな。余裕を無くすからこういうことになる。」

 

部屋からは、彼女が夢に強制的に誘う甘い香りが消失し、これで彼女の幻惑にかかる者はなくなった。

地下室の扉の前で控えていたサーヴァントが、突入したと同時に、マールトの首を切り落す。

それは巧一朗が招霊転化で事前に呼び出していたサーヴァント『渡辺綱』。鬼に近い性質を持つマールトには最悪の相手であった。

そして和平のアサシンは消滅し、アインツベルンのオートマタだけががらんと崩れ落ちた。

 

「主、俺の役目は終わったようだな。」

「……」

「泣きそうな顔をするな。鬼を斬りたいときは、そうだな、俺以外の四天王を呼んでみるといいだろう。彼らはきっと、協力してくれる。」

 

そしてセイバー、渡辺綱は消滅し、毎度のように白銀の美少女キャスターが姿を現すのだった。

一方で、アサシン『マールト』が現れないことを悟った和平は、絶望の表情を浮かべた。

美頼は巧一朗の勝利を確信し、ナイフを握り締める力を強くする。

彼女の母親は父の振り被った一撃で絶命した。

だから、彼女もまた同じ動きで和平の胸を貫く。

 

「がはっ…っ」

 

その赤黒い血を大量に浴びながら、美頼は嗤った。

彼女の父親は自ら首を切り裂き絶命した。

だから、同じように和平の首元をナイフで掻き切る。

暗闇の中で、少女の復讐は終わりを告げた。

酷く呆気ないほどに、容易く、一つの命が終わりを告げたのである。

 

「美頼」

 

巧一朗は血塗られた美頼の元へ駆け寄った。

 

「大丈夫か、美頼。」

 

彼女が怪我をした様子は無い。だが彼は心配になって、美頼の血まみれの手を取る。

 

「コーイチロー…」

「大丈夫だ。明日には全てが元通りになる。後はバーサーカーに任せて、帰ろう。」

 

放心状態の美頼に対し、巧一朗はタオルでべったりした顔を拭ってやった。美頼は目の焦点が定まらぬまま、巧一朗の手をぎゅっと握り締めた。

 

「コーイチロー、服破かれて、なんかエロいね。」

「うるせぇ。」

 

 

翌日、博物館のラウンジコーナーで疲れた表情を浮かべる巧一朗の姿があった。無事、マールトの聖遺物は回収し任務は完了。侵入した痕跡は全て消し去った。博物館の存在を悟られることも恐らくは無いだろう。

彼は机に突っ伏したまま動かなくなる。疲労が蓄積し、眠気が止まらない。もしかすると、マールトの唾液が原因かもしれない。

そんな巧一朗の隣に、黒髪の美女が腰かける。彼女は注いでもらったホットコーヒーの香りを楽しみながら、情けない巧一朗の背を見て愉悦の表情を浮かべていた。

 

「バーサーカー、楽しそうだな…」

「何を言う、貴様に無理矢理働かされて、楽しい筈もあるまいさ。」

「で、和平松彦は、どうだ?」

「あぁ、いつも通り、オリシアのオーナーとして精を出しているよ。」

 

オリシアの店舗は何事もなかったかのように元通りであり、和平もまた、笑顔で裏稼業に営んでいる。昨夜の事がまるで無かったかのように、オリシアは今日も順調だ。

 

「しかし、マールトの聖遺物を入れ替えるだけで無く、和平松彦をも入れ替えるとはな。」

「……」

 

巧一朗の計画は、和平を殺害し、それをロウヒの宝具で処理させ、更に、和平の姿をしたオートマタを生み出すというものである。幾ら無限鋳造機サンポと言えど、ヒトを生み出すことは出来ない。どれだけ似た形のものを作り出しても、そこに魂は決して宿らない。

だから巧一朗は、和平の行動を完全に模倣したオートマタを編み出すことにした。

当然、アインツベルンのオートマタでは発覚してしまうが、倉谷重工の物であれば、既に廃業している為、足が付きにくい。和平オートマタは、偵察の際の細かい記録と、博物館のデータベースで肉付けし、和平が行う挙動をマスターさせた。ロウヒの力で精巧な和平松彦のボディを生み出し、それをオリシアに配置する。このオートマタには自動で博物館に情報を送信する機能を与えた為、アインツベルンや災害のライダーについても詳しく知ることが出来るかもしれない。

 

「倉谷重工を壊した男が、倉谷重工の技術によって死してなお存在を凌辱され続ける。愉快だな、全く。」

「バーサーカーはだから楽しそうなのか。」

「巧一朗、貴様が中々に外道だと知れて良かったぞ。これから楽しくなりそうだ。」

 

バーサーカーはコーヒーを飲み干すと、庭園の方へ向かった。その後ろ姿を、巧一朗は茫然と見つめていた。

そして入れ替わるように、手を振りながら走って来たのは美頼だった。一日も経っていないというのに、やけに元気がいい。

彼女は巧一朗の背に抱き着くと、頬を擦り付けながら、彼の匂いを堪能する。巧一朗は鬱陶しく、彼女を引き剥がした。

 

「お前、やけに元気だな。」

 

「だって、これから私の人生が始まるんだもん、ね!」

 

美頼は浮かべた笑顔は、今までで一番清々しく、やっと彼女を蝕んでいたものが消えたのだと、巧一朗は理解した。

 

「とりあえず、やりたいことリスト作って来たから!」

「うん?なになに。『コーイチローと付き合う!』か。残念、最初から夢叶わずだ。」

「何でよー!」

 

走って逃げる巧一朗と、それを追いかける美頼。

彼女の博物館での日々は、こうして始まったのであった。

 

 

【幻視急行編③ 終わり】

 

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