◇クライマックス1◇
日が暮れて休戦になってからはレティシア達は報告のために城の謁見の間へ向かっていた
バランドールではシズナが女王になってからは基本的に報告は書類で提出することになっていたけどシズナ直衛の私設の親衛隊であるレティシア達だけは直接報告することになっている
(エルドア)
「シズナ様、ただいま戻りました」
(ユウリ)
「勝手に出てしまって申し訳ありませんでした、いかような罰でもお受けします」
(シズナ)
「いいのですよユウリ、その旅で手に入れた月姫があらばこそ此度の戦いで守り抜くことが出来たのですから誰があなたを罰することがありましょうか」
(ユウリ)
「しかしそれでは…」
(シズナ)
「いいのです、女王である私がいいと言っているのですからいいのです」
(シズナ)
「それに月姫とあなたはいずれは出会わなければならなかったのですからむしろちょうど良かったとさえ言えます」
空気を読んだのか、それともぐだぐだと続いて欲しくはなかったのかスカーダインが前に出る
(スカーダイン)
「お初にお目にかかります、私はフォーリアの騎士でスカーダインと申します」
(シズナ)
「これはご丁寧に、私はバランドール王国の女王でシズナと申します、歓迎しますフォーリアの騎士、どうぞ我が家と思ってお寛ぎください」
(スカーダイン)
「ご丁寧な挨拶痛み入ります、彼女達には以前にフォーリアを救っていただいたご恩がありますので力の及ぶ限り協力させていただきます」
(スカーダイン)
「それと今は軍部の立て直しを最優先で行っていますので立て直しが完了次第軍を出してバランドール軍と合流いたしましょう」
(シズナ)
「それはとてもありがたいことです、期待してお待ちしております」
(シズナ)
「さて、細かい報告は食事をしながら聞くとしまして皆さんで食事をとりましょう」
女王に即位してからは忙しい日々が続いていたためシズナは常に二つの行動を平行して行うようになっていた
シズナにとつては食事の時でさえ仕事の事を考えながら食べる時間となっていた
ましては今はレナードの病室に仕事の書類を持ち込んで見舞いしながら仕事をしてるくらいである
その上今夜からは戦争の報告書とまだ続く戦いに備えてのあれやこれやで書類が激増することは確定である
おそらくまともな睡眠時間は確保出来ないと思われる
食事をしながら報告を終えたレティシアは気になっていたことを話すことにした
(レティシア)
「レナードが倒れておるしその上証がまだ揃っておらぬのにシンナイトは五体目覚めてしまったのう」
(シズナ)
「そうですね、今の状態で予言にある最後の目覚めが起きてしまっては思うと不安でなりませんね」
(シーザー)
「ならさっさとその証を手に入れちまえばいいんじゃねえのか」
(シズナ)
「そうですね、もう少し落ち着いてからと思っていましたが早く行動した方が良さそうですね」
(レティシア)
「残りの証は一つで持っておるのはおそらくはシズナの父上のヴァルドス王であろうな(公式な場でないのでシズナのことは呼び捨てにしてる)」
(シズナ)
「なら私も行きます」
(シーザー)
「もちろん俺達もいくぜ」
(レティシア)
「いや、シーザーとユウリは明日の戦いに備えて戦場へ戻っておいてくれ」
(ユウリ)
「なんでよ」
(レティシア)
「今日の戦いぶりを見て一つの戦場に騎士が一体いないと危ういと思ったのでな」
(レティシア)
「東の峡谷はしばらくであれば冒険者で持ちこたえられようが西の孤島は制空権をとられればいいように蹂躙されるのは目に見えておる、最低月姫は必要だの」
(スカーダイン)
「確かに東は私とエルドアが加わることで何とかなったな」
(エルドア)
「それに敵にも騎士があることを忘れてはいかんぞ」
(シーザー)
「やれやれ、そう言われると断れないな」
(ユウリ)
「しょうがないわね、レティシアもちゃんと証を手に入れてきなさいよ」
(レティシア)
「わかっておるわ」
シズナが信頼出来る侍女にレナードのことを頼んでる間にユウリ達は身支度を整えて旅装を確認していた
ところがユウリ達の準備が出来て後は回帰の書を展開するだけになってもシズナは現れなかった
いい加減焦れてきた頃になってシズナはやってきた
(シズナ)
「おまたせしました」
(スカーダイン)
「意外なくらい時間がかかっていたが何かあったのか」
(シズナ)
「ついでにグランサーの修復状況を確認していたのですがどうやら形ばかりの修復になりそうです」
(エルドア)
「そうか…」
(レティシア)
「あれほどの想いの籠った剣などそうそう打てるものではなかろう、しょうがないとしかいいようがないわ」
(レティシア)
(ミューレアスが残した証の力がかつて太陽王を討った剣であるファルシオスであることを期待するしかないかの)
(エルドア)
「ではいくぞ、望むはバランドール王国前国王ヴァルドス王との邂逅」
エルドアが回帰の書を展開すると回帰の書を中心に魔法陣が展開されてユウリ達を包み込む
魔法陣が消えた時にはユウリ達の姿は回帰の書も含めて消えていた
◇クライマックス2◇
転移が終わって最初に確認出来たのは城の中だということと大騒ぎになっていることだ、どうやらここは一年前にイシュレニアを名乗る前のウィザードが襲撃したきた時のようだ
そしてレティシアが回帰の書に入ったメンバーの確認をしようと精神を集中させるとメンバーとしてのシズナが一年前のシズナの位置にいることがわかった、それもホールの階段にいた
シズナ目の前の黒鎧の男が侍女をあっさりと刺し殺したことから一年前のあの時に戻ったことを理解した
(シズナ)
(だとすればお父様が)
前王…、いや国王のヴァルドス王が今すぐにでも目の前の黒鎧に殺されることを思い出し今の自分に出切ることで守るために行動を開始した
(シズナ)
「戦神の加護」
一度限りの物理攻撃絶対無効結界がヴァルドス王を包み込む
ヴァルドス王を襲う黒鎧の凶刃が結界に弾かれ仮面越しでもそれとわかる程に驚き声をあげる
(黒鎧(ドレギアス))
「なに?」
シズナはこの一年国の立て直しで忙しい中かつて無力なまま攫われたことを教訓とし、自分が国にとってどれほど重要な位置にいるのかを理解して、せめて自分の身を守れるくらいの力は欲しいと望み、仕事の合間に魔法の修練を重ねていた
その結果として一部の重要な精霊魔法と神聖魔法を行使出来るくらいにまでは上達していた
そして魔法を使えば回帰の書の転移で階段の下に現れていたレティシア達が気がつかないわけがなかった
シズナの元へレティシアの転移で飛ぶと共にエルドアがドレギアスに斬りかかることで時間を稼ぎ今度はシズナとヴァルドス王を含めて階段の下へ転移した
エルドアはシズナとヴァルドス王の護衛につきレティシアとスカーダインがドレギアスと対峙していた
(ドレギアス)
「このままでは目的を果たすことが出来んな、その女はもらっていくぞ」
(スカーダイン)
「そうはさせん」
スカーダインが両手に剣を構えてドレギアスとの距離を詰める
右袈裟、左袈裟、逆袈裟と剣筋が円を描くように収束してドレギアスを狙うが左手に持った剣と右手に溜めた魔力による変則二刀でスカーダインの剣を受け止める
ドレギアスの右手の魔力はスカーダインの剣を止めながらも溜め続けることが出来るのかスカーダインの攻撃を左手の剣で受け止めた時を狙ってスカーダインの顔を狙って右手を突き出す
ドレギアスの右手からは闇色の魔力の塊が射出されスカーダインはギリギリで察知して避けようとしたが完全には避け切れずにスカーダインの仮面を吹き飛ばす
スカーダインの仮面は床を転がり仮面に閉じ込められて窮屈そうにしていた豊かな金髪はそのままスカーダインの背中を覆った
(ドレギアス)
「なぜ貴様がここにいる?!」
ドレギアスが驚くのも当然である、なぜならスカーダインの仮面が外れて現れた顔はカーラなのだから
カーラは一年前のこの時間はもう一人のドレギアスとして指揮をとっていたはずである
どうやら回帰の書にとってスカーダインはカーラとは別人だと判断されていたようである
今回の回帰で過去の自分と成り替わらなかったのはカーラだけのようである
(カーラ)
「それほど不思議か、私はかつての過ちを正すためにここにいる!」
カーラは己に気合を入れて再びドレギアスに斬りかかる
だがドレギアスの守りは硬くキィン、カァンと流れるように見事な連撃を仕掛けてもダメージを与えれるほど切り込むことは出来なかった
(カーラ)
(これではダメだ、どうすればいい)
ドレギアスに通用する攻撃を求めて過去を思い返すと脳裏に浮かぶのはユウリが月姫を求めてきた時に協力したあの時
バンヘイブン荒野でワイバーンを倒したあの技
(カーラ)
(あれはエルドアの魔法陣で出来た技、だがあれも私の技に違いはない、出来ないなんてはずはない)
カーラは舞うかのような剣戟から一転して力任せに押し込んでドレギアスとの鍔迫り合いに持ち込む
そのまま自分に後はないと己を追い込んで精神集中する
カーラの体から赤いオーラが立ち上ってくる
カーラは鍔迫り合いの状態から剣を弾いて一旦離れると剣も含めて体中に赤いオーラを纏って一気に叩き込んできた
(カーラ)
「ウオオオオオオ!、
隙の無い流麗さはそのままに力強く凄まじいまでの速さで連続して斬りつける
ドレギアスは左手の剣と右手に溜めた魔力で受け流して辛うじてダメージを受けることは免れたがたまらずに後ろへと下がる
ドレギアスが思わず下がったところで『ガィン』という音と共にドレギアスの仮面が吹き飛ぶ
ドレギアスの仮面の下から緑の髪が見えてところでレティシアが追い打ちを掛ける
(レティシア)
「これで決めてくれる、速さは時の一側面にすぎぬ、音速、光速、神速、時の河にて光を掴め、
レティシアの姿が消えたと思ったらドレギアスの上空から囲むようにして無数の実体を持ったレティシアが両手剣ファングを構えて降ってきた
時空鏡像とは一瞬前の時間へ転移することを繰り返すことで無数の実体による同時攻撃を可能とする無茶苦茶な秘儀である
(ドレギアス)
「グギャアアアアアアア!」
カーラの技によって後ろに押されその上仮面を吹き飛ばされたドレギアスにこの無茶苦茶な技を凌ぐ術はなかった
それでも持前のしぶとさで体中から血を流しながらもドレギアスは生きていた
そして改めてドレギアスの顔を確認するとそれは皆が知った顔だった
(カーラ)
「貴様、シャブールか」
(シャブール)
「不思議か?、私としては貴女がなぜここにいるのかの方が不思議なのですがね」
(カーラ)
「そうか、私は貴様がドレギアスであることを不思議とは思わん、むしろあり得ることだと思っていた」
(レティシア)
「それに貴様はカーラのことを不思議がっている場合ではないのではないのか」
(シャブール)
「それもそうですね、これでは目的を果たすことも出来ませんし撤退させていただきましょう」
そういうとシャブールは一瞬にして魔法陣に包まれて姿を消した
(カーラ)
「古代魔法か、便利なものだな」
(レティシア)
「ああまで鮮やかに使われるととっさに止めることも出来ぬわ」
(作者)
「毎度お馴染み後書きコーナーだよ」
(レティラ)
「今回は月姫を手に入れて帰還してから回帰の書のボスバトルが終わるまでだね」
(レティシア)
「原作ゲームでは色々とご都合主義なことが起こりまくっておったがそのあたりことは無視して最低限のご都合主義ですむようにして進めておるな」
(作者)
「だって原作ゲームみたいに時間のかかる地下通路を抜けて間に合うとか一年前の自分がいないとかあまりにもご都合主義だと白けるというかばからしくならない?」
(レティラ)
「そーいやあたし達の場合は一年前の自分という扱いになっていたから直接現場に出ていたね」
(作者)
「それと後はカーラだけど、あそこまで見た目が違っていれば別人扱いされてもおかしくないかなーっと思ってああいう扱いにしました」
(レティシア)
「まあ、それは納得できんこともないのう」
(レティラ)
「そうなると次は技の説明だね」
(レティシア)
「カーラの朱雀炎舞はエルドアの使う四聖獣王陣で四聖獣の朱雀の力を宿して使えるようになっておったはずだが」
(作者)
「どうやら一度使ったことがあることと自分を極限状態に追い込むことで限界突破して自力で使えるようになったようだね」
(レティラ)
「演舞のように鮮やかに滑らかに舞い踊る炎の剣舞は一見の価値があるよ」
(レティシア)
「次は妾の時空鏡像だの」
(レティシア)
「これは転移で一度斬りつけてから時属性の高等術式を無詠唱で使用することによって一瞬前のごく近い位置に移動して斬りつける、更に一瞬前に移動して斬りつけるということを繰り返すことによって無数実態のによる同時攻撃を可能とする無茶苦茶な技よ」
(作者)
「某運命の英霊佐々木小次郎の燕返しと同じくらいのレベルで無茶苦茶な技だね」
(レティラ)
「こんな無茶苦茶なことはレティちゃんみたいな時空戦闘の出来る人じゃないとまず無理だよね」
(作者)
「それでは、また次回お会いしましょう」