ただ読者の皆さんを混乱させただけだったという。
「あったかいね。」
「そう?」
「うん。」
俺達は、体を寄せ合って夜の道を歩く。
「そこのアパートだよね?何階?」
「3階。階段を上がってすぐだよ。」
「これ持って上がるの大変でしょ。エレベーターを使おうよ。」
「でも3階だよ?待ってるより、階段を上がる方が早くない?」
「じゃあエレベーターがすぐに来るなら乗ろう。・・って、今1階じゃん。乗った方が早いね。」
「そうだね。」
「階段はそこか。エレベーターも階段も近いって便利だね。」
「ここしか空いてなかったんだって。夜もエレベーターの音がするから、夜寝れないこともあるけど。」
「それ結構な問題だよ。」
「まぁね。でも慣れれば楽だと思う。」
「そっか。あっ、着いた。早いね、さすが新築。」
「そうなの?」
「うん、これ新築だよ。」
「そうなんだ。あっ、こっちね。」
「いや、家まで着いていくのは不味くない?」
「え、そう?私は何も思わないけど。」
「ならいいけど・・」
「ここ。すぐ近くでしょ。」
「ホントだね。荷物、中まで運ぼうか?」
「ううん、大丈夫。玄関に置いといてくれればいいから。」
「オッケー。じゃあこれで。始業式にまた。」
「あっ、ちょっと待って。忘れ物。」
「忘れ物?」
「こっち来て。」
「あぁ。」
その後どうなったのか、俺は覚えていない。ただ、右の頬になにやら温かいものが当たったこと、別れ際の妖夢の顔がまた赤くなっていたことは覚えている。
家に帰ると、すでに魔理沙は夕食を食べ終えていた。食べたものはそのままだが。
「ただいま。またカップラーメン食べたの?」
「それしかなかったし。早いから。」
「他にも食べるものあるだろ。カップラーメンは体に良くないし。」
「私は風邪引いたことないぜ。」
「そういう問題じゃない。あと、食べたものぐらい片付けろ。」
「はいはい。それより、早く食べたらどうだ?」
「口が減らないなぁ。」
「どうも。」
「褒めてない。俺が食ってる間に風呂入っといて。」
「はいよ。で、何食うんだ?」
「チャーハン。すぐ作れるから。」
「兄貴もいっつもチャーハンじゃん。」
「チャーハンとカップラーメン、どっちが体にいいかはすぐ分かるだろ。・・聞いてないか。」
俺がそう言った時には、魔理沙は部屋を出ていた。
「ふぅ~、いい湯だった。アイスアイス~。」
「あのなぁ・・体壊すぞ。」
「だーかーら、私は風邪引かないって。」
「じゃあもう勝手に食え。」
「公認っと。」
「俺は風呂入るからな。」
「はいは-い。」
「・・おい、お前、脱いだ服そのままじゃねーか。」
「あ、忘れてた。しまっといてくれ。」
「はぁ?いや、まだシャツくらいならいいよ。思いっきり下着が置いてあるんだが。」
「いいだろ別に。」
「良くない。ちゃんと洗濯機に入れろ。」
「うるさいなぁ。やっといてよ。」
「意地でもやらないんなら、こっちだって考えがある。」
「ほーう、どんな?」
「もうお前の部屋の掃除はしない。」
「えっ、それは困るぜ。」
「あぁ、困るだろうな。お前の部屋は半分ゴミ屋敷だから。お前は自分から掃除しないし。」
「分かったよ、入れるよ。入れるから。」
「ちょろい。」
「うっさい。別に問題ないだろ。兄妹なんだから。」
「お前、歳っていうものを考えろよ。」
「12と16だけど。」
「思春期だって言ってんの。とにかく、服は自分で洗濯機に入れろ。」
「はーい。早く入らないと湯が冷めるぜ。」
「誰のせいだと思ってんだよ。」
風呂あがり、個人的にはもうゆっくりしたいのだが。魔理沙はそうはいかないようだ。
「で、今日妖夢さんとはどこまで行った?」
「どこまでって言うのは?」
「キスはした?」
「してない。」
「ハグは?」
「してない。」
「なんだ、面白くない。」
「あぁ、そうだろうね。もういい?部屋戻りたいんだが。」
「ダメ。」
「なんでだよ・・」
「なんでって、そりゃぁ・・」
そう言うと、魔理沙はとんでもない行動に出た。俺に飛び掛かってきたのだ。
「ぶはっ!何すんだ!」
「へへへ、たまには甘えてもいいだろ。」
「とりあえず離れろ・・息が苦しい。」
「あぁ、悪い。」
「さっきも言っただろ。思春期なんだから。」
「そんなの関係ないだろ。兄妹だぜ?」
「だからこそ、だよ。」
「だって兄貴、最近構ってくれないじゃん。」
「お前が中学入って忙しくなったからだろ。」
「中学入ったらダメって誰が決めたんだ?」
「決まってない。道徳とか倫理とかの問題。」
「細かいことはいいって。」
「・・で、もういいだろ。」
「良くないぜ。まだある。」
「なんだよ。」
「これだぜ。」
まさか、とは思ったが、これは夢ではなかった。
魔理沙の息が顔にかかるのを感じたかと思うと、次の瞬間、左の頬に彼女の口が振れていた。
さてさて、健介はどうなるのか・・それにしても羨ましい。
次話はまた来週ですかね。(予定は未定)