この学校は主が勝手に作った学校であり、どこかモチーフにした学校があるわけではありません。
写真を撮って中に入ると、まだ人はあまり来ていないようだった。
俺や妖夢と同じように、早く来てクラスを見たい人か、親がうるさいからさっさと出てきたかの二択だろう。
「えーっと、校舎はあれだな。教室は二階。」
「クラスは4つだね。学年全員で何人かな?」
「120とかじゃないかな。・・あっ、文。」
「お~、おはようございます。朝からデートですかぁ。」
「いや、俺らは・・」
「はいはい、冗談ですよ。先に行ってまーす。」
文はさっさと行ってしまった。
俺は前のことを思い出し、妖夢の顔に目を向けると・・
「・・//」
・・案の定、赤くなっていた。
「ほら、俺らも行くよ。」
「えっ?」
「だから、クラスを見に行くよ。」
「あぁ、うん。」
「また顔赤くなってたよ。」
「そ、そうかな?」
「思いっきり赤くなってた。」
「だって、いきなりあんなこと言われたら・・」
「それはそうだけど、前にも同じことあったじゃん。」
「うん。」
「まぁいいか、行くよ。」
教室は階段を上がって左だ。1年生は二階で、2年生は三階。3年生だけは北校舎だ。
・・それにしても、不思議な作りだ。階段の右側は広い図書室があるだけで、教室は左に固まっている。それなら、左側にも階段が欲しい所だ。一階の理科室に行くのに時間がかかりすぎる。
クラス名簿は教室の前に貼ってあるので、廊下には生徒が溢れている。知り合いを探してみたが、ぱっと見、まだ来ていないようだ。
「まず4組は・・違うか。一番近いからここが良かったんだけど。」
「そんなに変わらないと思うけど・・」
「いや、1組と4組じゃ階段からの距離がかなり違うよ。」
「そっか。あっ、3組も違った。」
「じゃあ2組か・・2組であってくれ!」
そう言いながら名簿を見ると、そこには確かに俺の名前があった。いや、すぐ下に妖夢の名前もある。・・というか、俺の真後ろだ。
「やった!同じクラス!」
「あぁ、それにしても1組じゃなくてほんと良かった。」
「他の知り合いはどう?何組だった?」
「えーっと・・文、2組かよ。にとりもだし。・・咲夜も?おいおい、固まってるぞ。」
「良かったんじゃない?それはそれで。」
「そうだな。決まったことだし、今からどうこう言ってもダメだ。じゃ、さっさと入ろう。人が多くて話しづらい。」
「うん。二人で前後の席だね。」
「あぁ、ラッキーだった。」
「今日、入学式の後はバイト?」
「うん、その予定。・・って、ちょっとこの話はまだしたらダメ。」
「どうして?」
「まだ正式に認められてないから。ほら、今日書類提出だけど、俺は事情があるから。黙認って言ったら変だけど、一応認められてはいるんだよね。でも他の人はまだだから、あまりこういうこと
言うと面倒なことになる。」
「あぁ、そっか。」
「まぁ、幸い人がいないから助かったけど。って、文、何してんだ。」
「いやぁ、この位置だとお二人の写真がいい感じに撮れるんですよねぇ。」
「今すぐやめろ。」
「はーい。」
「あっ、そういえば射命丸さんって学校新聞書いてるんだよね?」
「文でいいですよ。そうですね、書くつもりです。さっそく今日のことを書いて記事にします。」
「熱心だね。」
「まぁ、楽しいですし、学校中を回ることになるので、学校のことが早く覚えられますし。」
「その分忙しいよね?」
「えぇ、でも大したことないですよ。・・あっ、しまった。」
「?どうかした?」
「あのですね、校門の写真を撮るのを忘れました。今から撮ってきます。」
「校門?見出しに出すの?」
「えぇ。あ、あと健介さん。」
「なんだ?」
「この間のこと、後で聞きますからね。」
「あぁ、うん。」
「この間のこと?」
「いや、何でもない、何でも。な?」
「えぇ、大したことじゃありません。では行ってきまーす。」
校門の写真を撮るだけで時間がかかるのはなぜか。俺には分からないが、文は結局入学式ギリギリで戻ってきた。
当然、担任には顔と名前を覚えられた。
「射命丸、入学式から遅刻ギリギリだぞ。」
「すみません、こだわってたら時間が過ぎてました。」
「そうか、だが早く並べ。お前待ちだ。」
「はいはーい。」
「返事は一回でいい。」
「はーい。」
俺はその声を聞きながら、妖夢に声をかけた。
「妖夢、中途半端に口紅をしてるのはなんで?」
「・・口紅塗ってるときに家を出たから。」
「いや、せめて塗ってから来ようよ。」
「だって、お母さんがうるさいもん。『口紅塗ったら次は髪ね』って。」
「そうだった。あっ、行くよ。」
「うん。」
ー俺は講堂へ向かいながら、文への返事を考えていた。
次回で20話ですね。ちょっと長くしようかな・・
今日(投稿日)はエイプリルフールですが、「小さい嘘」ってどの程度なんでしょうね。
↓今後のこと書きました
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