俺と男勝りの妹と幼なじみと   作:石ころ革命

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結局遅くなりました。
この学校は主が勝手に作った学校であり、どこかモチーフにした学校があるわけではありません。


第十九話 入学式早々に

写真を撮って中に入ると、まだ人はあまり来ていないようだった。

俺や妖夢と同じように、早く来てクラスを見たい人か、親がうるさいからさっさと出てきたかの二択だろう。

 

「えーっと、校舎はあれだな。教室は二階。」

「クラスは4つだね。学年全員で何人かな?」

「120とかじゃないかな。・・あっ、文。」

「お~、おはようございます。朝からデートですかぁ。」

「いや、俺らは・・」

「はいはい、冗談ですよ。先に行ってまーす。」

 

文はさっさと行ってしまった。

俺は前のことを思い出し、妖夢の顔に目を向けると・・

 

「・・//」

 

・・案の定、赤くなっていた。

 

「ほら、俺らも行くよ。」

「えっ?」

「だから、クラスを見に行くよ。」

「あぁ、うん。」

「また顔赤くなってたよ。」

「そ、そうかな?」

「思いっきり赤くなってた。」

「だって、いきなりあんなこと言われたら・・」

「それはそうだけど、前にも同じことあったじゃん。」

「うん。」

「まぁいいか、行くよ。」

 

教室は階段を上がって左だ。1年生は二階で、2年生は三階。3年生だけは北校舎だ。

・・それにしても、不思議な作りだ。階段の右側は広い図書室があるだけで、教室は左に固まっている。それなら、左側にも階段が欲しい所だ。一階の理科室に行くのに時間がかかりすぎる。

クラス名簿は教室の前に貼ってあるので、廊下には生徒が溢れている。知り合いを探してみたが、ぱっと見、まだ来ていないようだ。

 

「まず4組は・・違うか。一番近いからここが良かったんだけど。」

「そんなに変わらないと思うけど・・」

「いや、1組と4組じゃ階段からの距離がかなり違うよ。」

「そっか。あっ、3組も違った。」

「じゃあ2組か・・2組であってくれ!」

 

そう言いながら名簿を見ると、そこには確かに俺の名前があった。いや、すぐ下に妖夢の名前もある。・・というか、俺の真後ろだ。

 

「やった!同じクラス!」

「あぁ、それにしても1組じゃなくてほんと良かった。」

「他の知り合いはどう?何組だった?」

「えーっと・・文、2組かよ。にとりもだし。・・咲夜も?おいおい、固まってるぞ。」

「良かったんじゃない?それはそれで。」

「そうだな。決まったことだし、今からどうこう言ってもダメだ。じゃ、さっさと入ろう。人が多くて話しづらい。」

「うん。二人で前後の席だね。」

「あぁ、ラッキーだった。」

「今日、入学式の後はバイト?」

「うん、その予定。・・って、ちょっとこの話はまだしたらダメ。」

「どうして?」

「まだ正式に認められてないから。ほら、今日書類提出だけど、俺は事情があるから。黙認って言ったら変だけど、一応認められてはいるんだよね。でも他の人はまだだから、あまりこういうこと

言うと面倒なことになる。」

「あぁ、そっか。」

「まぁ、幸い人がいないから助かったけど。って、文、何してんだ。」

「いやぁ、この位置だとお二人の写真がいい感じに撮れるんですよねぇ。」

「今すぐやめろ。」

「はーい。」

「あっ、そういえば射命丸さんって学校新聞書いてるんだよね?」

「文でいいですよ。そうですね、書くつもりです。さっそく今日のことを書いて記事にします。」

「熱心だね。」

「まぁ、楽しいですし、学校中を回ることになるので、学校のことが早く覚えられますし。」

「その分忙しいよね?」

「えぇ、でも大したことないですよ。・・あっ、しまった。」

「?どうかした?」

「あのですね、校門の写真を撮るのを忘れました。今から撮ってきます。」

「校門?見出しに出すの?」

「えぇ。あ、あと健介さん。」

「なんだ?」

「この間のこと、後で聞きますからね。」

「あぁ、うん。」

「この間のこと?」

「いや、何でもない、何でも。な?」

「えぇ、大したことじゃありません。では行ってきまーす。」

 

校門の写真を撮るだけで時間がかかるのはなぜか。俺には分からないが、文は結局入学式ギリギリで戻ってきた。

当然、担任には顔と名前を覚えられた。

 

「射命丸、入学式から遅刻ギリギリだぞ。」

「すみません、こだわってたら時間が過ぎてました。」

「そうか、だが早く並べ。お前待ちだ。」

「はいはーい。」

「返事は一回でいい。」

「はーい。」

 

俺はその声を聞きながら、妖夢に声をかけた。

 

「妖夢、中途半端に口紅をしてるのはなんで?」

「・・口紅塗ってるときに家を出たから。」

「いや、せめて塗ってから来ようよ。」

「だって、お母さんがうるさいもん。『口紅塗ったら次は髪ね』って。」

「そうだった。あっ、行くよ。」

「うん。」

 

ー俺は講堂へ向かいながら、文への返事を考えていた。




次回で20話ですね。ちょっと長くしようかな・・
今日(投稿日)はエイプリルフールですが、「小さい嘘」ってどの程度なんでしょうね。
↓今後のこと書きました
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=259102&uid=330396

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