さて、健介は誰に出会ったのか。
「あっ!健介君!」
声がした方を見ると、そこには一人の少女が立っていた。
「妖夢?妖夢だよな!」
「うん!やっと会えた!久しぶり!」
間違いなかった。その声の主は、俺の幼なじみー
「本当に久しぶりだな。小学校入ってから会えなかったから、10年振り?」
「うん。この町に戻ってこれたの。お母さんと二人で。」
「そっか、お父さんは単身赴任してるんだっけ。」
「そう。今まで、お父さんが『中学生と母親二人で暮らすなんで絶対にダメだ!』って聞かなかったんだけど、私も高校生になるし、それに・・」
「それに?」
「健介君と一緒の高校だよって言ったら、『それなら、まぁ、いいだろう。』って!」
「なんだそれ。まるで俺が一緒に住んでるような言い方じゃないか。」
「でも、家は前と同じでしょ?私の近所だもん。歩いて3分くらいだよ。」
「それなら、一緒に帰れr・・あっ、でも俺はバイトがあるんだった。よりによって反対側なんだよなぁ。」
「毎日、バイト?」
「いや、火曜日は定休日。あと、バイトが多い日は来なくていいよ、っ言われてる。店長、俺がなんでバイトしてるか知ってるからさ。優遇ってほどじゃないけど、気にかけてくれるんだ。」
「いい人だね。」
「あぁ。・・・・なぁ、ここで話してると邪魔になるし、人の少ない所で話さないか?入学式まであと20分くらいあるし。」
「そうだね。それなら、あの木の下はどう?」
「そこだと座れないだろ。」
「いいよ、服が汚れるくらい。」
「うーん、妖夢がいいならそれでいいか。」
嘘だった。本当は、妖夢の服が汚れるのは見たくもない。見たくないのに、なぜか受け入れてしまった。
ー二人は移動して、桜の下に座る。
「綺麗だね。」
「あぁ。すぐに散ってしまうけど、だから綺麗なんだよな。」
「うん。私もそう思う。」
「でもさ、なんていうか、もっと綺麗なものって、身近にある気がするんだ。」
「どこに?」
「それは・・分かんないけど。でも、身近にあると思う。」
しばらくの間、俺と妖夢は沈黙した。
やがて妖夢が口を開く。
「魔理沙ちゃんってさ。」
「うん。」
「今でも健介君にべったりなの?」
「べったりってわけじゃないけど、でも、親離れならぬ兄離れが出来てないんだよ。俺がいうのもどうかと思うけど。」
「仲がいいのは良いことだよ?」
「そりゃ分かってるさ。でも、俺がいなくなったら、あいつ、生きていけるのかな?」
「大丈夫だと思うよ。中学生だし、すぐに彼氏作るんじゃない?それに、料理とか、上手いんでしょ?」
「いや、実は・・はっきり言うけど、壊滅的。」
「あちゃ~。じゃあ、掃除とかは?」
「あいつ、全然掃除しないんだよな。上手いんだけど。」
「健介君がやってあげたら?」
「無理!とてもじゃないが中学生の妹の部屋に入って掃除なんて絶対に無理!」
思わず、俺の声が裏返った。
「・・洗濯は?」
「さすがにそれは自分でやらせてる。」
「そう。てっきり、洗濯も・・」
「ねぇ、妖夢?お前の中の俺って変態なの?」
「そんなことないよ。だって、聞いた限りでは、魔理沙ちゃんは家事が出来ないんでしょ?」
「それとこれとは全然違う。」
「ふーん。でも、安心した。」
「なんで?」
「だって、日ごろから妹の部屋を掃除したり、洗濯もやってるってお父さんが知ったら、すぐに連れ戻されそうだから。」
「そんなに大袈裟に言わなくても。」
「たぶん、お父さんはこのことを知ったら、すごく怒ると思うけど・・『俺の娘に手を出すな!』って。」
「安心しろ、手は出さない。」
「本当?」
「本当!あと、俺の目をじっと見るのはやめろ!」
「顔、赤くなってるよ?」
「うるさい!急に見つめられたら照れるだろ、誰だって!」
「アハハ、怒った怒った。小さい頃、よくこうやってからかってたなぁ。」
「全く、妖夢は変わらないな。」
「そう?だいぶ変わったと思うよ。」
「そうかな。」
「うん。あまり覚えてないけどね。」
「なんだそれ。根拠なしじゃん。」
「いいでしょ?」
俺達は、思わず笑いが零れる。
「懐かしいなぁ。小さい頃、二人で外を走り回って、大きな木の下で寝転がってたよね。」
「あぁ。今でもあの木はあるよ。」
「本当に?」
「あぁ。もっと大きくなってる。」
またしても沈黙。先に口を開いたのは、やっぱり妖夢だった。
「今度、その木の所に行かない?」
「いいな。その後、近くの喫茶店でも行くか?」
「うん。いつ行く?」
「えーっと、今日明日は無理だな。木曜日とかどう?」
「いいよ。バイトはいいの?」
「だって、その日、始業式だろ。店長が休みにしてくれたんだ。その分、来週はずっとバイトだけど。」
「じゃあ、木曜日にしよっか。集合場所は?」
「校門でいいだろ。それとも一度家に帰って、着替えてからにするか?」
「私は着替えたいなぁ。一度帰って、健介君の家の前に集合しない?」
「妖夢がそれでいいならそうしようか。」
「うん!じゃあ、そろそろ始まるし、行こ!」
「あ、もうこんな時間か。よし、行こう。」
ー二人は入学式が行われる体育館に向かう。
「!」
ふと気が付くと、妖夢が俺の手を握っている。ちらりと妖夢を見ると、やや顔を赤らめているが、嬉しそうでもあった。
「妖夢?俺の・・」
「今日だけ。誰も見てないよ。嫌だった?」
「嫌ではないけど、俺達、付き合ってないから・・」
その時、妖夢の、俺の手を握る力が急に強くなった。
俺は、どう反応すればいいか分からなかったが、手を握り返した。
その時、俺の肩に、桜の花びらが落ちた。
「魔理沙ちゃん、何組だと思う?」
「どうだろう。ずっと2組だし、そろそろ1組とか来るんじゃないかな。」
「それ、ギャンブラーの
「よく知ってるな。」
「えへへ、私、国語は自信あるから。」
ー二人はそう言って、笑った。
時間は来週末になりそうです。気長にお待ちください。
キャラクター設定について。書いてほしい方いらっしゃいますか?昨日投稿した小説に感想or評価のところに書いてほしいと書きましたが、こっちにお願いします
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