スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダーthird 作:風人Ⅱ
―ショッカー基地―
『イッ、イーッ?』
『イーッ!』
施設内部を改造し基地として利用されている巨大なダム。基地の所々に見回り役の戦闘員達が巡回している姿が見られる中、見回りの戦闘員達に見付からない距離にまで接近した響志朗一行は物陰に身を隠し、物陰から顔を覗かせて基地の様子を伺っていた。
フェイト「……此処が例の、ディジョブドが捕まってるって言う基地?」
紲牙「その筈だ、恐らく中にいると思う。どうにかして侵入しないといけないが……」
響志朗「……ざっと見た限り、警備も厳重で他に侵入経路もなさそうだな。中に入るなら正面からしかないが、このまま全員で突っ込むとなると脱出経路の確保が難しくなるか……」
此処にいる全員なら突入してディジョブドの下にまで辿り着くのはそう難しくはないだろうが、救出に成功した後にディジョブドを抱えたまま戦いながら基地から脱出するのはあまりにも非効率的過ぎる。
追っ手の事もある以上、下手に体力を消耗するような真似は避けたいと響志朗も考える中、アリサの腰に挿さるクロノスブレイドがアドバイスを口挟む。
CB『ならば此処は、チームを別けて陽動組と救出組を作るべきだろう。丁度此処にいる6人で3:3に別けられるだろうしな』
響志朗「……それが妥当だな……よし、誠、祐輔。俺とフェイト達が基地の正面で騒ぎを起こす。お前達はその隙に紲牙と一緒に中に侵入し、ディジョブドの救出に向かってくれ」
祐輔「え……」
誠「お、俺達でですかっ?」
まさか自分達の名が呼ばれるとは思っていなかったのか、揃って意外そうな表情を浮かべる祐輔と誠に対し、響志朗は小さく頷きながら他の面々の顔を見回していく。
響志朗「恐らく基地の内部には魔法を使った罠も多数張り巡らされている。だが祐輔の力ならそれも無効化しつつ、魔法以外の罠には誠の魔法でフォローすれば突破は可能の筈だ。ディジョブドの救出後は誠の魔法で一気に脱出すれば、俺達も頃合いを見て離脱するだけで被害や体力消耗も軽微に抑える事が出来る。身体強化が可能な俺を含め、フェイトもアリサも逃げ足が速いライダーだからな……このチーム別けが一番のベストだろう」
祐輔(……驚いたな……一瞬で其処まで考えてたなんて……)
CB(状況判断も上手い、各々の能力の特徴もしっかり捉えている……まるで最初から全てを知っているかのように……)
各々の長所を考えた上で即座に作戦を立てる響志朗に祐輔も目を見張る一方で、響志朗に対してクロノスブレイドが更に己の中の疑心を深める中、響志朗は一同の顔を見回しいつでも動けるか確認を取っていくと、徐に身を起こして物陰から一歩踏み出す。
響志朗「俺達が派手に動き回って奴らの注目を集める。誠達はその騒ぎに乗じて一気に乗り込め……いくぞッ!」
―ダッ!―
『……イ?―バキァアアッ!!―イィーッ?!』
先陣を切って物陰から飛び出し、響志朗はすぐ近くにいた戦闘員をすれ違い様に殴り飛ばしながらショッカー基地に正面から突っ込んでいった。
そして他の見回りの戦闘員達も響志朗の存在に気付いて慌てて肩から提げる銃を構えて迎撃しようとするが、それよりも速くフェイトが咄嗟に放ったスロットルシューターの銃弾が戦闘員達の頭を纏めてヘッドショットで射抜いていき、アリサもフェイトの横を駆け抜けてクロノスブレイドを振り回しながら戦闘員達へと大胆に切り込んでいく。
アリサ「そらそらぁーッ!!こんな雑魚ども相手じゃ私達は止められないわよーッ!!とっとと怪人でもショッカーライダーでもなんでも出して来いやーッ!!」
フェイト「アリサ!あまり敵を挑発しないの!皆も今の内に早く!」
祐輔「っ、分かった!」
誠「此処はお願いします!紲牙、いくぞ!」
紲牙「ああ!」
響志朗とアリサが正面で派手に暴れ、フェイトが振り撒く銃弾で引き起こした爆発から辺り一帯は黒煙に覆われ視界を阻んでいる。乗り込むなら今しかないと、誠、紲牙、祐輔は一気に戦場を駆け抜けて基地内へと突入していき、三人の侵入を確認した響志朗も派手に動き回るべくそのまま他の戦闘員へと殴り掛かろうとするが、其処へ……
―バッ!―
『ツォラァアアッ!!』
響志朗「──!グゥッ!」
フェイト「ッ?!響志朗!」
響志朗の背後から突如何者かが不意打ちの飛び蹴りを仕掛け、響志朗はそれにいち早く反応し慌ててその場から飛び退き紙一重で不意打ちを回避した。
そして、受け身を取って体勢を立て直した響志朗が顔を上げて不意打ちを仕掛けた何者かに目を向けると、其処にはゆっくりと振り返る姿を黒煙の向こうから現すライダー……紲牙とアリサを襲ったGAの姿があったのだった。
響志朗「GA……」
アリサ「アンタ、さっきの……!」
GA『フッ、逃した鼠がのこのこ戻ってきてくれるとはな……手間が省けて助かる』
フェイト「ッ……まさかそっちも此処に来ていたなんてねっ……」
GA(リオン)『フフ、覚悟してもらうっスよ?今度は逃したりはしないっスから……来い、コマンド部隊ッ!』
―ダダダダダダダダダダダッ……!!―
此処に来て予想外の敵の増援に響志朗達が苦い表情を浮かべる中、GAが不敵な笑みと共に高らかにそう叫びながら片腕を掲げた直後、基地のあちこちから全身に重火器を積んだ灰色のライダー達……シャドー同様、ショッカーのダークライダーであるコマンドを元とした量産型コマンド部隊が現れ、一斉にそれぞれが手にするアサルトライフルの銃口を響志朗達に突き付けた。
アリサ「コイツらは……?!」
響志朗「量産型コマンドか……!気を付けろ!奴らは一体一体が火力に長けた火薬庫そのものだ!的にならないように逃げ回れ!」
フェイト「そんな簡単に……!―ズガガガガガガガガガガガガガガァッ!!―くっ!」
アリサ「あっぶなぁッ?!」
あちらこちらから狙いを付けられているこの状況下で無茶なアドバイスを飛ばす響志朗に思わず反論し掛けるフェイトだが、その声もコマンド達が放った銃声に掻き消されてしまい、三人は四方から飛来する無数の銃弾から逃れるように咄嗟に物陰へと飛び退いていくのであった。
◆◇◆
―ズガガガガガガガガガガガガガガァッ……!!―
誠「──?!今の銃声は、外から……?」
祐輔「僕達も急いだ方がいいかもしれない……!紲牙君、紲那君の居場所は?!」
その一方、基地の内部に侵入した誠、紲牙、祐輔の三人は罠や戦闘員達を退けながら紲那の気配を辿れる紲牙と共に先に進み続けていた。
紲牙を先頭に道中で発動し掛けた地雷魔法を祐輔の無効化の力で打ち消し、通路の奥から現れる戦闘員を誠のウィザーソードガンで狙い撃ち撃破しながら進む中、突き当たりの別れ道にて紲牙が左の通路を指差す。
紲牙「こっちだ!向こうから兄弟の、ディジョブドの気配を感じる!」
祐輔「分かった……!誠君!」
誠「はい!」
―バシュッバシュッバシュッバシュッ!―
『イィッ?!』
『イーッ?!』
ウィザーソードガンで追ってくる残りの戦闘員達を掃討し、誠と祐輔は紲牙が指差す左の通路を急ぎ駆け抜けていく。そして三人が通路を抜けて拓けた場所に出ると、其処には……
―……ジャラッ……―
ディジョブド『…………ぅ…………』
天井から吊るされる鎖に両腕を拘束され、両膝を付いて力なく項垂れるディジョブドの姿があった。
紲牙「兄弟!」
祐輔「紲那君っ!」
誠「この人がディジョブドか、今鎖を……!」
紲牙と祐輔と共に拘束されるディジョブドの下に駆け寄り、誠はSモードに切り替えたウィザーソードガンでディジョブドの両腕の鎖を斬り裂きディジョブドを解放し、祐輔と共にディジョブドの身体を支えるように抱き抱えていく。
祐輔「紲那君、しっかり!僕らの声が分かる?!」
ディジョブド『…………ぅ…………っ…………あ、貴方達は…………?』
誠「紲牙の仲間です!彼と一緒に、貴方を助けに来ました!」
ディジョブド『紲牙、が…………?』
誠と祐輔に支えられながら、僅かに顔を上げて紲牙に目を向けるディジョブド。それで何か得心を得たのか『そっか……』と納得する中、その時遠くから聞こえてくる爆音を耳にして祐輔は慌てて二人に呼び掛ける。
祐輔「話は後にしよう!今は早く此処から抜け出さないと……!誠君!」
誠「はい!ちょっと待ってて下さい、すぐに俺の魔法で──」
ディジョブド『ああ…………助けに来てくれて、本当にありがとう……おかげで……
──君達を始末する事が出来るよ……』
祐輔「……え?―バキィイイッ!!―がふっ?!」
誠「?!ゆ、祐輔さっ―ドゴォオオッ!!―ゴハァアッ?!ァッ……?!」
聞き取りづらい声でボソッとそう呟いた直後、なんとディジョブドはいきなり祐輔の顔を殴り飛ばし、更に誠の鳩尾に鋭い拳を叩き込んだのだ。
あまりに突然の出来事に誠も困惑を露わに腹を抑えて膝を付く中、ディジョブドは誠の右腕を掴んで彼の右手のドライバーオンウィザードリングを抜き取り、そのまま誠の肩を蹴り飛ばし祐輔の隣に叩き付けた。
誠「がああっ……!!」
祐輔「誠君っ!っ……紲那君、まさかっ……!」
ディジョブド『フフッ、流石にもう気付いてるでしょう?そう、僕はショッカーライダー……最初から君達を此処へ来させる為に、偽の情報を流したのさ』
『──そして、のこのこ助けに現れた所を纏めて一網打尽にする……実に効率的な作戦でしょう?』
誠から奪ったウィザードへの変身に必要なドライバーオンウィザードリングを見せびらかしてディジョブドが笑う中、広場の奥にある階段の上から新たなライダー……"黄昏華"が変身する『仮面ライダーRT』が姿を現した。
祐輔「黄昏華ちゃん……?!」
RT『あら、彼の無効化の神が私の名をご存知とは、とても光栄ですわ♪……お礼に、貴方だけは念入りに痛め付けてから捕らえるとしましょう』
ディジョブド『無効化の神の力は強大だからね。その力をショッカーに取り込められれば、僕達の支配は更に盤石となる。加えて要指名手配犯の君を始末できれば、ショッカーでの僕達の地位も……ねぇ?』
誠「ッ……まんまと釣られたって訳かよっ……」
祐輔「みたいだね……それでもやるしかない……!誠君は下がってて!紲牙君、悪いけど君も紲那君達と戦って──!」
ディジョブドが既にショッカーライダーに堕ちてしまっていたのはショックだが、この可能性を考慮していなかった訳ではない。こうなった以上、変身出来ない誠を守りながらディジョブドとRTと戦うしかないと即座に切り替え、祐輔は紲牙と共に変身しようと腕時計を回して出現させたキャンセラーベルトを腰に巻こうとするが……
―バァアンッ!―
祐輔「……?!―ズガァアンッ!―ぐうっ?!」
誠「ッ!祐輔さん?!」
ベルトを腰に巻こうとした祐輔の背後から、不意に一発の銃弾が飛来して祐輔の手からベルトを弾いてしまったのである。そして弾かれたベルトはそのまま床を転がりながらディジョブドの下へと落ちて踏みつけられてしまい、それを見た祐輔も右手を抑えいきなり銃弾が放たれてきた背後に慌てて振り返ると、其処には……
紲牙「──悪いなぁ、祐輔、誠……お前達との仲良しごっこも、此処で終わりだ」
──二人に銃形態のディジョブドブッカーの銃口を突き付け、口端を歪に吊り上げて笑う紲牙の姿があった。
誠「紲、牙……お前……?!」
祐輔「ッ……紲牙君っ、まさか君もっ……」
ディジョブド『そっ、紲牙は最初から僕らの仲間なのさ』
RT『情報の信憑性を深めるのに一番手っ取り早いのは、サクラの存在ですもの。見事な演技力でしたわ、紲牙様♪』
パチッパチッパチッと、誠と祐輔を此処まで連れてきた紲牙に称賛の拍手を贈るRT。一方で誠は自分達が騙されていた事に一瞬悲痛な表情を浮かべるも、すぐに険しい顔付きでキッと紲牙を睨み付けた。
誠「本当に騙してたのか……あの時、自分の身を顧みずにディジョブドを助けたいって気持ちを打ち明けたのもっ、全部っ!」
紲牙「決まってるだろ?言っておくが、騙した俺が悪いんじゃない。優しさを利用される方が悪いのさ!」
『KAMENRIDE:DIJOBDO DARKNESS!』
誠の沈痛な訴えも非情に切り捨て、紲牙は腰に巻いていたドライバーにカードを装填しディジョブドダークネスへと変身しながらディジョブドとRTと共に誠と祐輔へ徐々に迫っていき、指輪とベルトを奪われた二人も迫り来る三ライダーを前に壁際に追い込まれていってしまう中、祐輔はディジョブド達を見据えたまま己の手を見下ろし熟考していく。
祐輔(変身能力は封じられたけど、まだ僕と誠君には無効化の力と魔法がある……何とかして隙を作れれば、僕の力で紲那君達の洗脳を──)
ディジョブドD『おっと……言い忘れていたが、無効化の力で俺達の洗脳を解こうだなんて考えるなよ?そんなことされたら俺達も死んじまうからさ』
祐輔「……ッ!死ぬ、って……どういう……?!」
ディジョブド『言葉通りの意味だよ。僕たちショッカーライダーは無理に洗脳が解かれてしまえば、その処置として脳が自動的に破壊されるように仕込まれてるのさ。裏切り対策としてね』
RT『ショッカーは貴方の力を特に警戒していますもの。洗脳されたライダーを助け出そうとその力を行使するかもしれないと考え、その対策を講じておくのは当然の事でしょう?』
祐輔「なっ……」
クスクスと口元に手を添えて笑いながらそう語るRTだが、祐輔と誠はその内容に言葉を失い絶句してしまう。
強引に洗脳が解かれた瞬間、自分達の脳を壊されて死ぬ事になる。
そんな非人道的な方法で命を握られていながら平然としていられるディジョブド達を信じられないものを見るような目で見つめ、誠は堪らず三人の顔を見回して声を震わせながら叫ぶ。
誠「なんでそんな平気でいられるんだっ……お前ら、ショッカーに自分達の命を握られてるんだぞっ!そんなの可笑しいって思わないのかっ?!」
ディジョブド『?何を言っているんだ、可笑しいのは君達の方だろ?』
ディジョブドD『偉大なるショッカーに逆らう者には死を!それはショッカーライダーとて例外ではない。寧ろ俺達が道を踏み外さないように、こうしてショッカー自らその対策を施して下さってるんだ。その有難みが理解出来ないとは、哀れな奴らだなぁ』
祐輔「っ……狂ってるっ……」
自分達の命が握られている事に何の疑問も抱かず、何より彼らが正気であるなら決して口にしないような発言を聞かされ改めてこの世界の異常さを思い知らされる祐輔だが、どの道そんな事情では無効化の力を使う事は出来ない。
何か他に手はないのかと悩む間にもディジョブド達は二人を捕らえようと迫っていよいよ壁に張り付くまで追い込まれてしまい、最早万事休すかと半ば諦め掛けていた、その時……
―バゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーオオオオオォォンッッッ!!!!―
誠&祐輔「「──?!」」
ディジョブドD『グッ?!』
RT『な、何ですの?!』
ディジョブド達が二人に襲い掛かろうとした直前、突然誠と祐輔が背を付ける広場の壁を何かが突き破ったのである。
そんないきなりの事態に二人だけでなく、ディジョブド達も驚きと動揺を露わに突き破られた壁の方に振り返ると、其処には壁を突き破ったものと思われる床を転がる残骸……否、半壊して全身から無数の火花を撒き散らす量産型コマンドの姿があり、そして……
―ジャラッ……ジャラッ……―
third『──生憎だったな……その二人はやらせん』
祐輔「……!」
誠「響志朗さん!」
そう、量産型コマンドが突き破った壁の穴の向こう側から鎖の音を鳴らし、悠然とした足取りで姿を現したのは外でフェイトとアリサと共に陽動として動いていた響志朗が変身するthirdであり、thirdの登場に誠は笑みを、祐輔は驚きを浮かべる中、ディジョブド達はthirdの乱入に動じながらもすぐに軽く鼻で笑いながらthirdを睨み付けた。
ディジョブド『誰かと思えば旧式の改造人間か……フッ、まさか君みたいな骨董品が、一人で僕たち三人を相手するつもりかい?』
third『さてな……だが、今のお前達を相手取る程度、俺一人でも十二分にこなせるかも分からんぞ?』
ディジョブド『……何?』
ディジョブドD『言ってくれるじゃねえか、俺の演技も見抜けなかった節穴野郎が……!』
third『……そうだな。ロクに情報の出処を調べもせず、お前の話を鵜呑みにしたのは確かにこちらの非だ。それに関しては認めよう……だが──』
紲牙を信じたのは自分達の非だと認めた上で、thirdは拳を静かに握り締めて構えを取る。
third『──それでも、そいつ等はお前の言葉を真摯に受け止め、己の危険を顧みず此処まできた……そんな奴らの優しさを利用して嘲笑うお前達などに、俺が負ける道理などないッ!』
誠「響志朗さん……」
祐輔(……あの人……)
いつもは冷静な筈のthirdが、誠達の優しさを嗤う敵を前に感情を露わに怒号を飛ばす。その意外な姿に二人も呆気に取られ、ディジョブド達もthirdから発せられる気迫に圧されて思わずたじろぐ中、thirdはそんな三人を挑発するようにクイッと軽くジェスチャーする。
third『さっさと掛かって来い……騙した相手が悪かったと、身を持って後悔させてやる』
ディジョブド『っ、時代錯誤なライダーが、舐めた口をっ……!』
RT『その言葉、そっくりそのままお返しして差し上げますわッ!』
thirdの挑発が癪に障ったか、ディジョブド達は誠と祐輔に目もくれず三人掛かりで一斉にthirdへと襲い掛かる。
thirdに一番近い距離にいたディジョブドDがディジョブドブッカーSモードで最初に斬り掛かるが、thirdはディジョブドDの脇を掻い潜りながら素早い裏拳でディジョブドDの背中を殴り飛ばし、次に脚を振り上げて蹴り掛かるRTの攻撃を捌いて退けつつディジョブドブッカーGモードで銃撃を仕掛けてきたディジョブドの弾丸を左腕でガードしながら一息で距離を詰め、そのまま鋭いブローをディジョブドの鳩尾に叩き込んで怯ませながらディジョブドの左手から指輪とベルトを奪い取ると、内部構造が露出する程のエネルギーを込めた左足で背後から再度襲い掛かろうとした二人ごとディジョブドに全力のハイキックを叩き込んだ。
―ドグォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!―
ディジョブド『ウワァアアアアアアッ!!?』
RT『キャアァアアアアアアッ!!?』
―バゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!―
祐輔「す、すごい……」
third『誠!祐輔!』
祐輔「えっ?―ヒュンッ!―うわっと!あ、これっ」
誠「俺の指輪!」
間近で初めて目にするthirdの戦いぶりに祐輔も圧倒される中、ディジョブド達を壁の向こう側へと蹴り飛ばしたthirdがこの隙に奪い返したキャンセラーベルトとドライバーオンウィザードリングを祐輔と誠に投げ渡した。
そしてthirdは二人がベルトと指輪を受け取ったのを確認しディジョブド達を追撃しようと背を向けるが、その寸前で足を止め、祐輔に僅かに顔を向ける。
third『俺を見張るつもりなら、途中で降りる事は許さん……何があっても、最後まで諦めるな』
祐輔「……えっ」
thirdの口から投げ掛けられたのは、先程ディジョブド達を前に半ば諦め掛けていた祐輔を激励する言葉。thirdはそれだけを伝えると共にディジョブド達を追って壁の穴を潜り抜け、thirdのその意外な言葉に祐輔も呆然となっていたが、直後に苦笑いを浮かべて顔を俯かせた。
祐輔「まさか、疑ってる相手から励まされるなんてね……」
誠「……?祐輔さん?」
祐輔「……ううん、なんでもない。僕達も行こう!」
誠「え、あ、はい!」
『Driver On!Press!』
力強い眼差しで顔を上げ、腰にベルトを巻く祐輔の力強い言葉に少し戸惑いながらも誠も右手に付けた指輪を腰の手形型バックルに翳しドライバーを出現させる。そして、二人はそれぞれ変身の構えを取り……
祐輔「変身ッ!」
『GATE UP!CANCELER!』
誠「変身ッ!」
『Flame!Press!』
『Hi-!Hi-!Hi-Hi-Hi-!』
二つの電子音声が重なるように響き渡り、誠はウィザードに、祐輔は新撰組の武士をモチーフとした『仮面ライダーキャンセラー』へと変身すると、それぞれ得物を手にしthirdとディジョブド達を追って基地の外へと飛び出していったのだった。