スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダーthird   作:風人Ⅱ

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スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダーthird⑨(中編)

 

 

―ブォオオッ!ズガァアンッ!ガギィイイイイッ!―

 

 

ソニック『ハァアアッ!タァアッ!』

 

 

量産型コマンド『!!』

 

 

量産型コマンド『?!』

 

 

third達が基地内部でディジョブド達の罠を脱したその頃、外では陽動組であるソニックに変身したフェイトが量産型コマンド達を相手に持ち前の素早さを武器に銃弾の雨を素早く掻い潜りながら圧倒する姿があり、その近くにはクロノスに変身したアリサがクロノスブレイドを手にGAと真っ向から打ち合い、激闘を繰り広げる光景があった。

 

 

―ガギィッ、ズシャアアアアアアアアアアッ!!―

 

 

GA『ぐぅううっ?!まだだっ、この程度っ……!!』

 

 

クロノス「そうよ、まだまだこんなもんで済むと思わない事ね!こっちは散々アンタ達に痛め付けられたんだから、倍にして返さないと気が済まないっての!」

 

 

GA(リオン)『コイツっ……!調子に乗るなっスっ!』

 

 

 

剣の切っ先を突き付けて啖呵を切るクロノスの台詞に憤りながらGAは地を蹴って再びクロノスへと襲い掛かり、対するクロノスもGAが放った蹴りをクロノスブレイドで弾きながら素早い返しの刃でGAの胴体を斬り裂き火花を撒き散らした。其処へ……

 

 

―ガギィイッ!!ドゴォッ、バキィイッ!!ドグオォンッ!!―

 

 

ディジョブド『ハァアッ!デェイッ!』

 

 

third『むん……!ハァッ!』

 

 

RT『グッ……!ウァッ?!』

 

 

ディジョブドD『チィッ!コイツッ!』

 

 

ソニックとクロノスがGA達を相手に奮闘する戦場へと、thirdがディジョブド達と戦いながら現れた。

 

 

背後からディジョブドDが振るった斬撃を背中に受けてもビクともせず即座に反撃して蹴り飛ばし、RTの上段蹴りを払いながらディジョブドが横薙ぎに振るうディジョブドブッカーSモードを左腕で防ぎつつミドルキックを打ち込んで後退りさせる。

 

 

1対3という一見不利な状況下でも一歩も引かずthirdが上手く立ち回る中、GAを押し退けたクロノスがthird達の姿を視界の端に捉えて振り返った。

 

 

クロノス「響志朗!って、紲牙……?!アンタ……!」

 

 

ソニック『ッ……どうやら予想通り、ディジョブドの救出自体が罠だったみたいねっ……!』

 

 

third『そういう事だ……!お前達はそのままGAとコマンド部隊を頼む!こちらは──』

 

 

キャンセラー『──僕達が抑える!』

 

 

ウィザード『ハァアアッ!』

 

 

―ガギィイイイイッ!!―

 

 

RT『グゥッ?!』

 

 

ディジョブドD『グッ!テメェらっ……!』

 

 

1対3でthirdを相手取るディジョブド達の横合いから不意にキャンセラーとウィザードが飛び掛かり、キャンセラーはRTを、ウィザードはディジョブドDとそれぞれ戦闘に入っていく。

 

 

そしてthirdとの戦闘で残ったディジョブドは構わずディジョブドブッカーSモードを振りかざしてthirdに斬り掛かるも、thirdは横殴りに振るった右腕で斬撃を弾き返しながらディジョブドに強烈なラッシュを叩き込んで怯ませていき、一方でキャンセラーはRTの攻撃を次々と刀で捌きつつ素早い斬撃を打ち込んで吹っ飛ばしていった。

 

 

RT『ああぅぐっ!こ、これが無効化の神の力、ですかっ……!』

 

 

キャンセラー『悪いけど加減は出来ないよ……!こっちも全力で行かせてもらうから!』

 

 

『Eden's form!』

 

 

現状洗脳を解く方法がない以上は戦闘不能にするしか彼等を止める術はないと、速攻でRTを無力化する為にキャンセラーは何処からか取り出した腕輪を右腕に装着し、騎士のような外見となった純白の形態……『仮面ライダーキャンセラー・エデンズフォーム』に姿を変える。

 

 

そして左手に現れた銃をRTに向けて乱射しながら一気に距離を詰めて右手のキャンセラーソードでキャンセラーが斬り掛かる中、ディジョブドDの剣と斬り結ぶウィザードが左手の指輪を替えながらディジョブドDを前蹴りで蹴り飛ばし、手形型のバックルに左手を翳していった。

 

 

『Flame!Dragon!』

 

『Bow!Bow!Bow-Bow-Bow-!』

 

 

ウィザードFD『騙したツケは払ってもらう……!覚悟しろよっ!』

 

 

『Copy Please!』

 

 

ディジョブドD『ハッ……!俺の嘘も見抜けなかった奴が、やれるもんならやってみやがれェッ!』

 

 

ウィザーソードガンの手形に新たに指輪を取り替えた右手をタッチし、もう一本のウィザーソードガンを複製して二刀流で挑むウィザードにディジョブドDも鼻で笑いながら対抗していくが、thirdを始め実力者揃いのライダー側の戦闘力を前にディジョブド達も徐々に追い込まれつつあり、やがて量産型コマンドを数体にまで減らしたソニックがスロットルシューターにシグナルバイクを装填していく。

 

 

『HISATU!FULL THROTTLE!』

 

 

ソニック『幾ら火力や性能が長けていようと、中身の伴わない量産型を集めた程度じゃっ!』

 

 

―バシュッバシュッバシュッバシュッバシュッ!!!!―

 

 

量産型コマンド『!!』

 

 

量産型コマンド『?!』

 

 

―ズドドドドドドドドドドドドドドドォオオオオッ!!!チュドォオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオオォンッッッッ!!!!!―

 

 

元は強力なダークライダーをコピーしたのだろうが、オリジナルの技量を持たない烏合の衆の量産型を集めた所で敵ではない。

 

 

量産型コマンド達の動きを完全に読み切りばら撒くように乱射したソニックの必殺の銃弾が急所を次々に撃ち抜き、量産型コマンド達はボディの内側から火花を散らして次々と爆発を起こしていった。

 

 

そして、その爆発を背にクロノスも剣を上段に振り上げながら高台からGAに目掛けて飛び掛かり……

 

 

『TIME CRASH!』

 

 

クロノス「うぉおおおりゃあああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーああああァァッッッ!!!!」

 

 

―ブザァアアアアアアアアッッ!!!!―

 

 

GA『ぐ──ぁあああああああああああああああああっっ!!!?』

 

 

時破壊の力が刃に注ぎ込まれたクロノスブレイドによる強力な一刀が両腕をクロスさせたGAの防御ごと斬り裂き、無数のスパークを散らせながら膝を着かせた。

 

 

更にRTと真っ向からの奮戦を繰り広げるキャンセラーも至近距離からの銃撃でRTを吹っ飛ばして距離を取りつつ、地面を転がるRTに向けて銃の狙いを定めていく。

 

 

キャンセラーE's『キャンセラーシューティング……』

 

 

『CANCELER SHOOTING!』

 

 

RT『グッ……!ハ、ハッキングを──!』

 

 

キャンセラーE's『させないッ!』

 

 

―カチッ……!バシュウウゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーウウウゥゥッッッッ!!!!―

 

 

RT『?!うっ、ウァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!?』

 

 

バックルからメモリを抜いて対抗しようとするRTだが、それよりも速く銃の引き金を引いてキャンセラーが放った砲撃が凄まじい速度でRTに直撃して爆発を起こし、RTを壁に叩き付け戦闘不能へと追い込んだのであった。

 

 

―バキィイッ!ガギィンッ!グガァアアンッ!―

 

 

ディジョブド『グゥッ!デェエアァッ!』

 

 

third『ふっ、ハァッ!』

 

 

一方で、thirdはディジョブドが突き放った剣の突きを片手で払いながら身体ごと回転しディジョブドに上段後ろ回し蹴りを打ち込んで怯ませると、すかさず遥か上空へと跳び上がってきりもみ回転からキック態勢に入り……

 

 

third『ライダァアアアアキィィィィィーーーーーイィックッ!!!』

 

 

『FINALATTACRIDE:DI·DI·DI·DIJOBDO!』

 

 

ディジョブド『クッ……!―ドゴォオオオオオンッッ!!!―グッ、ウグァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!?』

 

 

よろめきながらもバックルにカードを装填して咄嗟に反撃に出ようとしたディジョブドに渾身のライダーキックが炸裂し、ディジョブドの身体が派手に吹っ飛ばされて地面を転がっていく。

 

 

そして残るディジョブドDもウィザードの華麗な二刀流捌きに翻弄されて攻めあぐね、ウィザードの放った二刀流の突きを受けて吹き飛ばされると、ウィザードは新たに指輪を取り替えた右手をウィザードライバーに翳していく。

 

 

『cho-iine!special!』

 

『saiko-!』

 

 

―ギャオォオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオオォンッッッッ!!!!―

 

 

ドライバーからの電子音声と共に、ウィザードの周囲を炎を纏った竜が駆け巡ってウィザードと一体化し、胸部からウィザードラゴンの頭部が出現した。それを見てディジョブドDもすぐにディジョブドブッカーから取り出したカードをバックルに投げ入れスライドさせた。

 

 

『FINALATTACRIDE:DI·DI·DI·DIJOBDO DARKNESS!』

 

 

ウィザードFD『ハァアアアアアアッ……ハァアアッ!!』

 

 

ディジョブドD『ヅオリャアアアアッ!!』

 

 

―ズダダダダダダァンッッッ!!!バシュウウゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーウウウウゥゥッッッ!!!!―

 

 

電子音声と共に銃形態に切り替えたディジョブドブッカーの銃口をウィザードに向けてエネルギー弾を放った瞬間、それを迎え撃つ形でウィザードも胸部のドラゴンの口から火炎放射を放ちエネルギー弾と真っ向から衝突し互いの攻撃を撃ち落としていく。

 

 

そして最初の激突から立て続けに火炎弾とエネルギー弾を乱射し合い互いの攻撃を相殺し続けていくが、徐々にウィザード側がディジョブドDを押し始めていき……

 

 

ウィザードFD『コイツで、トドメだァッ!!』

 

 

―バシュッバシュッバシュッバシュッ!!バシュウウゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーウウウゥゥッッッッ!!!!―

 

 

ディジョブドD『グッ……?!ウグァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!?』

 

 

ディジョブドDをエネルギー弾ごと火炎放射が飲み込み、ディジョブドDを吹っ飛ばしていったのであった。そしてディジョブドDは勢いよく地面を転がりながら変身が強制解除されて紲牙に戻り、震える両手で何とか起き上がろうとするが……

 

 

―スチャッ……―

 

 

ウィザードFD『──此処までだ……』

 

 

紲牙『……ッ!』

 

 

紲牙の喉元に、ウィザードがウィザーソードガンの切っ先を突き付けて動きを封じた。僅かにでも動けば剣先が喉を貫く。冷たい輝きを放つ切っ先を見て紲牙も声も発せずウィザードの顔を見上げると、ウィザードは剣の柄にもう片方の手を添えていく。

 

 

ウィザードFD『洗脳を解く方法がない以上、このまま見逃せばお前達はまた俺達を追ってくるんだろ……?だったらいっそ、此処で──』

 

 

―ガギィイイイインッ!!―

 

 

キャンセラーE's『ハァアッ!……ッ?!誠君っ、待ってっ!!』

 

 

残った量産型コマンドを撃破していた中、紲牙に突き付けた剣を振りかざすウィザードを視界の端に捉え、キャンセラーが慌てて大声で呼び止めようとする。

 

 

だが、元の世界の記憶もない今のウィザードに紲牙を手に掛ける事への躊躇がある筈もなく、此処で見逃した場合のリスクを考えて非情に徹し、振りかざしたウィザーソードガンを紲牙に目掛けて振り下ろそうとするウィザードを見てキャンセラーが慌てて踏み出した、その時……

 

 

 

 

 

―ガシッ……!―

 

 

third『──止めておけ』

 

 

ウィザードFD『……?!』

 

 

キャンセラーE's『!……え?』

 

 

 

 

 

そう言って紲牙の首級を跳ねようとしたウィザードの剣を止めたのは、ディジョブドを撃破後、いつの間にかウィザードの背後に移動して素手で刃を掴むthirdだったのだ。

 

 

ウィザードを止めた思わぬ人物の姿を見てキャンセラーは足を止め呆気に取られたような顔を浮かべ、ウィザードも自分を止めたthirdに顔を向け困惑を露わにした。

 

 

ウィザードFD『響志朗さん……?!でも──!』

 

 

third『お前が危惧するリスクも分かる……だが、それでも殺せばきっと後悔する……俺のようにな……』

 

 

ウィザードFD『……え?』

 

 

重々しい声音でそう告げたthirdの言葉にウィザードが怪訝な反応と共に思わず聞き返すと、thirdは僅かに視線を落として俯き暫し口を閉ざした後、変身を解除して響志朗へと戻り、淡々と言葉を続けていく。

 

 

響志朗「嘗てこの世界の基盤となったfirstの世界を守っていた二人の英雄……firstとsecondを手に掛けたのは……この俺なんだ……」

 

 

キャンセラーE’s『ッ!』

 

 

ウィザードFD『なっ……』

 

 

CB『(……やはりか……)』

 

 

響志朗の口から告げられたのは、あまりにも衝撃的過ぎる事実。

 

 

ブレイク・ザ・ワールドの原因ともなったfirstとsecondの殺害は、響志朗の手による物だった。

 

 

つまりは全ての元凶と言える存在だった響志朗からの告白にライダー達の間に衝撃が走る中、響志朗はグググッ……と刃に手が食い込むほど力を込めたせいで流れる自分の血を見つめたまま、何処か沈痛な面持ちで己の心の内を吐露していく。

 

 

響志朗「俺はずっと後悔してきた……嘗てショッカーに屈し、firstとsecondを手に掛けたこと……ブレイク・ザ・ワールドを引き起こしたことでこの歪んだ世界を生み出し、大勢の人間が犠牲になるのを強いてしまったことを……ずっと……」

 

 

ソニック『響志朗……』

 

 

クロノス「…………」

 

 

自分がショッカーに従い、firstとsecondを抹殺したせいでこの狂った世界が生まれ、今なお数え切れないほど多くの人間が犠牲になっている。

 

 

その事実を何処までも強く、深い後悔の念を滲ませて語る響志朗に一同も声も発せず口を閉ざす中、響志朗は刃から手を離してウィザードの目を真っ直ぐ見据える。

 

 

響志朗「firstとsecondがそうであったように、仮面ライダーは人々にとっての希望だ……それを奪ってしまった後悔は、決して消えはしない……そんな想いを、お前にまで背負わせたくはないんだ……」

 

 

ウィザードFD『……希望……』

 

 

紲牙「…………」

 

 

取り返しの付かない過ちを犯してしまったが故に、そんな苦しみを誰にも味わせてたくない。

 

 

響志朗にそう告げられてウィザードだけでなく紲牙やディジョブド達も何か感じ取ったのか、顔を俯かせて無言となり、ウィザードもそんな紲牙を見つめると徐に剣を下ろし、変身を解除し誠に戻った。

 

 

響志朗「誠……」

 

 

誠「……俺が今まで戦い続けて来られたのは、皆の希望を守りたいって言う一心からでした……なのに、そんな俺が希望を奪うような真似なんかしたら、それこそ本末転倒って奴ですよね……」

 

 

響志朗の方へと振り返り、苦笑いを浮かべる誠のその言葉に響志朗も僅かに微笑み返し、そんな二人の様子を遠くから見つめながらキャンセラー達も変身を解除すると、祐輔は響志朗の背中をじっと見据えていく。

 

 

祐輔(あの人が滝さんと十文字さんを……ブレイク・ザ・ワールドを引き起こした元凶だった……つまりあの人を倒せば、もしかしたら全ての世界が元に──)

 

 

もしそうなら、此処で起きた今までの悲劇が全てなかった事になるかもしれない。その可能性が脳裏を過ぎり、戦闘後で油断してる今なら好機かもしれないと考える祐輔だが、同時に先程聞かされた響志朗の後悔と告白を思い起こされ、祐輔は複雑げに眉を寄せてしまう。

 

 

祐輔(でもあの人は……自分の罪を告白してでも誠君を止めようとした……その想いが本当のモノなら、僕は……)

 

 

CB(……祐輔)

 

 

彼の戦いに贖罪の意味も込められているのだとすれば、その機会を奪おうとするのは果たして正しい事なのか?そう考えて悩むそんな祐輔の姿をクロノスブレイドも無言で見守る中、響志朗と誠が踵を返して祐輔達の下へ戻って来るが……

 

 

 

 

 

―ジャキッ……バァアアンッ!―

 

 

祐輔「──?!危ないッ!!」

 

 

響志朗「……?!」

 

 

―ガバァアッ!!ガギィンッ!!―

 

 

誠「なっ……!」

 

 

フェイト「響志朗っ!祐輔っ!」

 

 

高所から響志朗を狙って突き付けられる銃口の妖しげな光が煌めき、その光に気付いた祐輔が慌てて響志朗の下へと駆け付け、響志朗に目掛けて放たれた凶弾から紙一重で守ったのである。

 

 

地面に倒れた二人を見て誠とフェイトも慌てて駆け寄り、アリサは咄嗟に今の銃弾が放たれてきた方へと振り向いて敵の姿を確認すると、其処には……

 

 

 

 

零「…………」

 

 

 

 

アリサ「っ!あの男って、確か戦国世界で……」

 

 

祐輔「ぐっ……零、さん……?!」

 

 

いつの間に此処まで接近していたのか、停めたディケイダーの上に跨り、銃口から白煙が立ち上るライドブッカーGモードを手にしたヘルメットを被る男……進や響志朗の行く先々にも度々その姿を現していた零の姿があり、見覚えのある男の顔を目にした祐輔とアリサが揃って目を剥いて驚愕を浮かべる中、響志朗は零を睨み付けながら徐に身を起こしていく。

 

 

響志朗「黒月零、ディケイドか……これ以上の長居は危険だな……急いでこの場を離れた方が良さそうだ」

 

 

フェイト「えぇ、罠だったのならもう此処に留まる必要もないもの、ねっ!」

 

 

―バシュッバシュッバシュッ!!―

 

 

零「ッ!クッ……!」

 

 

基地で派手に暴れ回った以上、増援が送り込まれて来るのも時間の問題だろう。その前に此処を離れねばと、響志朗の提案に頷きながらフェイトはスロットルシューターを零に向けて乱射していき、襲い来る銃弾に零も咄嗟にディケイダーの影に隠れ銃弾を凌いでいく中、響志朗達はその隙に自分達のマシンを停めた場所に向かって走り出していくが、その道中で響志朗は祐輔に目を向け口を開いた。

 

 

響志朗「祐輔、さっきのは……」

 

 

祐輔「……まだ貴方のこと、100%信用したわけじゃないよ……」

 

 

だけど、と、祐輔は響志朗の目を見据える。

 

 

祐輔「さっき誠君を止めた時のあの言葉……あれだけは、信じてみたいと思ったんだ……それだけだよ……」

 

 

響志朗「……そうか……すまない」

 

 

CB『…………』

 

 

アリサ「ちょっと二人とも何駄弁ってんのっ?!急ぎなさいってっ!」

 

 

祐輔「あ、う、うん!ごめん……!」

 

 

フェイトのインパクトソニックの後部座席に乗ったアリサに急かされ、響志朗と祐輔もすぐさまトライサイクロンに乗り込んでマシンを起動させていく。そしてフェイトが弾幕を張って零の動きを封じている隙に全員がマシンを発進させて基地を離れた後、零はディケイダーの影から身を起こして響志朗達が走り去っていた方角を睨み据えて舌打ちした。

 

 

零「逃がしはしないぞ……今度こそ……」

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

―市街地―

 

 

同じ頃、軍服姿のショッカーの監視隊員達が市民の言動に目を光らせ徘徊する姿があちこちに見られる夜の市街地。まるで誰かを探しているかのように監視隊員達が忙しなく街中を駆け回る中、そんな監視隊員達の目を盗み、物陰を転々と移動する挙動不審なサングラスとウィッグ、帽子を深く被った女二人組の姿があった。

 

 

鳰「──うー……やっぱりこっちの方もショッカーが徘徊してるっスっ……」

 

 

すずか「私達のこと、向こうも逃す気はないみたいだしね……指名手配書もあんなに貼られてるし……」

 

 

物陰から僅かに顔だけ出し、街中を駆け回る監視隊員達の様子を見る怪しい格好をした二人組の女……ショッカー警視庁での反ショッカー同盟によるクーデター時、カツラの手により裏で逃がされていた元特事課の鳰とすずかは監視隊員の目を盗んで安全な場所へ逃げようと試みていたが、脱走した進と同様自分達の事も探しているのか、心なしか普段より市内を巡回する監視隊員達の数も多く、壁の至る所に鳰とすずかの手配書が貼られており、変装なしで街を歩けば一発で捕まるであろう程の厳重な警備になっていた。

 

 

鳰「うう……カツラ課長は死んでしまうし、シン先輩も行方知れずで音信不通だし……何で特事課メンバーが揃ってこんな目に遭わなきゃいけないんスかぁっ……」

 

 

すずか「ちょっとほらっ、こんな所でしょげてる場合じゃないってばっ……!今はとにかく、ショッカーの目が届かない何処か遠くに―PPPP、PPPP!―……へ?」

 

 

何処まで行ってもショッカーの監視の目が広く逃れられるか不安になり、壁に額を擦り付けて落ち込んでしまう鳰に喝を入れようとしたすずかだが、そんな彼女の懐の携帯から不意に着信音が鳴り響き、すずかが一瞬驚きながら携帯を取り出しディスプレイを見てみると、其処には公衆電話からの着信が表示されていた。

 

 

鳰「これ、公衆からっスか?」

 

 

すずか「みたいだけど……も、もしもしっ?」

 

 

進『──すずか……!良かった、無事だったんだな……!』

 

 

すずか「?!し、進?!」

 

 

鳰「ええ?!」

 

 

携帯の着信に出て通話口から聴こえてきたのは、警視庁でのクーデター以降行方知れずとなっていた進の声。その声の主に驚いてすずかと鳰も思わず驚きの声を上げてしまい、何かあったのかと監視隊員達の不審げな視線を一斉に集めてしまうが、二人はそんな監視隊員達に何でもないように愛想笑いを浮かべて一礼し、そのままそそくさと物陰に身を潜めて進と通話を続けていく。

 

 

すずか「無事だったのかはこっちの台詞よ……!そっちは今大丈夫なの?!」

 

 

進『あ、あぁ、ショッカーの追撃には遭ってるが、こっちはこっちで何とかな……それより、こうして連絡したのには実は頼みがあって──』

 

 

ミユ『ちょっと進兄ちゃん……!悠長に話してる場合じゃないってば!早く本題に移ってくれないとアタシらの居場所がバレちゃうよっ……!』

 

 

進『って、わーってるって!そう急かすなや……!』

 

 

すずか「?今の、子供の声……?」

 

 

通話口の向こうから聴こえてきた進を急かすような聞き覚えのない少女の声を聞き怪訝な反応を浮かべるすずかだが、声の主の少女を宥めた進は若干慌てた声音で通話に戻る。

 

 

進『今のは気にしないでくれっ……それよりもすずか達に頼みたい事があって、実はあるライダーについて調べてもらいたいんだ。名前は黒井響志朗、仮面ライダーthird……そいつの経歴や過去について、ショッカー本部のデータベースをハッキングして探って欲しい』

 

 

鳰「ショ、ショッカー本部のデータベースにハッキングって、またいきなり無茶な要求言いますねシン先輩っ……」

 

 

すずか「黒月響志朗、ね……それは別に構わないんだけど……もしかしてこれ、飛鳥に関係する事だったりするの?」

 

 

進『え……飛鳥って、それどういう……?』

 

 

すずかの口からいきなり飛鳥の名前を出されて動揺し困惑を露わに聞き返す進。するとすずかは、真剣味を帯びた口調で進も知らなかった情報を語り始めていき、それを聞かされた進は思わず息を呑んで目を見開いた。

 

 

 

 

 

◆◇◇

 

 

 

 

 

―森林・山奥の洞窟前―

 

 

ショッカー基地のダムを後にして数時間後。日がすっかり落ちて辺りが暗闇に包まれる中、とおる森林の奥地にまでマシンを走らせて響志朗達が辿り着いたのは山の奥に存在する洞窟の前だった。

 

 

アリサ「この洞窟って……」

 

 

響志朗「ライダータウンへと続く通路の洞窟だ。此処を通ればライダータウンまで一気に辿り着ける」

 

 

フェイト「……マシンは通れそうにないわね……此処に置いていくしかないみたい」

 

 

洞窟の中を軽く覗いてみるが、中の構造が入り組んでいてマシンが走り抜けるのは無理だと一目で分かる。此処からは歩きで行くしかないと外にマシンを置いていく事を決め、トライサイクロンからライトを手にした響志朗が先頭に立って一同の顔を見回す。

 

 

響志朗「灯りを照らせる者で先行して進む。中は見ての通りの暗がりだ、足場にも注意を払って付いてきてくれ。誠、魔法で灯りを頼む」

 

 

誠「分かりました」

 

 

『Light please!』

 

 

響志朗に頷き返し、誠も指輪を取り替えた右手をバックルに翳して電子音声を鳴らすと、右手の指輪から光を発しながら響志朗と共に先行する。

 

 

そして残りのメンバーも二人の後に続いて足元に注意しながら進んでいき、一同が広々とした空間に出た、その時……

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガァアンッ!!―

 

 

響志朗「ッ!下がれっ!」

 

 

誠「うわぁっ?!」

 

 

アリサ「な、何よ今度は?!」

 

 

一同の足元に突然何処からか飛来した無数の銃弾が撃ち込まれて火花を散らし、響志朗達が慌ててその場から飛び退き銃弾が放たれてきた方へと振り返ると、其処には昼間の時と同様にライドブッカーGモードの銃口を突き付ける男……腰にディケイドライバーを巻き付けた零が佇む姿があった。

 

 

祐輔「零さん……!」

 

 

響志朗「っ……どうやら先回りされていたようだな……」

 

 

零「ああ、此処の洞窟の事は事前に調べて調査済みだったからな。此処に来る事が分かっていればお前を待ち伏せするのもそう難しくはなかったよ、third」

 

 

響志朗「…………」

 

 

何処か煽るような口調で零がそう言い放った途端、響志朗は険しげに眉を寄せて零をまっすぐ睨み付けていき、彼の隣に立つアリサも喰って掛かる勢いで零に向けて叫び出す。

 

 

アリサ「アンタねっ、しつこいのも大概にしなさいよ?!こっちは今先を急いでんの!アンタに構ってる暇なんて──」

 

 

零「そっちにはなくともこっちにはある。……いや、正確に言えば、俺が用があるのはお前達ではなく、其処にいるthird一人だけだ」

 

 

フェイト「え……?」

 

 

自分の関心は四人ではなく、響志朗にしかない。零にそう言われて四人も訝しげに零と響志朗の顔を交互に見ると、零は構わず他の四人の顔を見回しながら話を続けていく。

 

 

零「お前達も既に知ってるんだろう?其処にいる男……thirdがfirstとsecondを抹殺したことで、ブレイク・ザ・ワールドを引き起こした全ての原因であると」

 

 

響志朗「…………」

 

 

誠「それは……けど、それがアンタに何の関係が……!」

 

 

零「あるんだよ……俺は元々その為だけに、今までthirdを追っていたんだからな」

 

 

祐輔「?……零さん、もしかして……」

 

 

CB『お前……ショッカー側のライダーじゃないのか?』

 

 

ショッカーと敵対する誠達に関心を向けないなど、今まで戦ってきたショッカーライダー達と比べてその言動には何処か違和感を感じる。

 

 

もしや今の零はショッカー側のライダーではないのか?、祐輔とクロノスブレイドが疑問げにそう問い掛けると、零は響志朗を見据えたままその疑問に答える代わりに結論を語る。

 

 

零「ブレイク・ザ・ワールドを引き起こした元凶であるthirdさえいなくなれば、firstとsecondの死も、並行世界同士の融合も、この狂った歴史の中で起きた悲劇も全てなかった事に出来るかもしれない……だったら話は簡単だ。thirdを此処で破壊する。そうすれば全てが終わらせられる可能性が高いんだ」

 

 

フェイト「破壊って……」

 

 

誠「ちょっと待ってくれよ!そんな事しなくたって、ショッカーさえ倒せば全てが元に戻るんだ!何も響志朗さんを殺さなくたって……!」

 

 

零「それで元に戻らなければどうする?歴史が歪んだ原因はショッカーや二人の死だけじゃない、元々firstの世界には存在しなかったthirdの存在もあるんだ……仮にショッカーを倒せたとしても、歪みの原因の一つであるthirdを生かしたままじゃ世界を修復する際に影響が出て、何かを取りこぼす可能性だってある」

 

 

誠「え……存在しなかった、って……?」

 

 

響志朗「…………」

 

 

thirdという名のライダーは、元々存在しない存在。零の口から始めてそのことを聞かされた誠達は思わず響志朗の方へ振り向くと、響志朗は瞼を伏せたまま何も語らず、事情を知る祐輔も顔を俯かせて口を詰むんでしまう中、零は左腰に戻したライドブッカーから徐にカードを取り出していく。

 

 

零「何よりその危険性を抜きにしても、ソイツは滝と十文字の仇だ……俺からしてみれば、それだけで十分ソイツを倒す理由になる……今は記憶のない誠はともかく、お前にとってもそうじゃないのか、祐輔」

 

 

祐輔「……それは……」

 

 

違うとは言い切れない。友人だった二人の仇ともなれば、思わぬ所がないと言えば嘘になる。

 

 

しかしと、誠を制止した時の響志朗の表情や感情が脳裏にチラついて離れない祐輔が拳を握り締めて苦悩を浮かべる中、零は徐に右手を差し出し響志朗以外のメンバーに呼び掛ける。

 

 

零「thirdをこちらに渡せ。それで全てのカタが着く……これ以上、お前達がその身を粉にして戦う必要なんてないんだ」

 

 

フェイト「……けど……」

 

 

響志朗「…………」

 

 

響志朗一人の命で、この狂わされた歴史はなかった事に出来る。そう言って響志朗を差し出す事を要求する零に対してフェイト達も迷いを露わに互いの顔を見合わせ、響志朗も事の成り行きを彼らに任せるつもりなのか、瞼を伏せたまま無言を貫いている。

 

 

そして、他の面々の反応から反対はないと受け取った零は響志朗の下へと歩みを進めていくが、其処へ……

 

 

 

 

―……ザッ!―

 

 

祐輔「…………」

 

 

零「……ッ!祐輔……?」

 

 

響志朗「……!」

 

 

 

 

響志朗に近付こうとした零の前に、祐輔が割って入り立ち塞がったのである。

 

 

そんな祐輔の行動に零だけでなく誠達、響志朗も驚きで目を見張る中、祐輔は未だ迷いを振り切れていない様子で口を開く。

 

 

祐輔「ごめん、零さん……零さんの言ってる事も間違ってはいないのかもしれない……でも僕には、此処でこの人を渡す事が正しい事とも思えない!」

 

 

零「……ソイツは滝と十文字を‪殺った相手だ。あの二人の仇を庇うのか……?」

 

 

祐輔「……確かに、この人がやった事は決して許されない罪だと思うし、それを擁護しようとは思わない……けど、それだけがこの人の全部じゃないと、僕は思う」

 

 

響志朗「……祐輔……」

 

 

祐輔「……まだ僕は、響志朗さんの全部を分かった訳じゃない。何も分からないまま、この人はこうだと勝手に決め付けて何かを決めたくはない……だから、あの時の言葉の真意を確かめるまでは、この人の事を信じたいって思う!それが僕の答えだよ、零さん……!」

 

 

力強くそう言い切り、祐輔は腕時計を操作し腰にベルトを巻き付けていく。

 

 

それが意味するのは、零との対峙。

 

 

そんな祐輔の姿を前に響志朗も呆然と見つめる中、祐輔の言葉を聞いた誠達も祐輔の隣に並ぶように立ち構えていく。

 

 

誠「アンタの言いたい事も分かる。けど……それでも俺は、此処まで俺を救ってくれた人を見捨てるような人間にはなれない!」

 

 

フェイト「例え回り道でしかないのだとしても、それで自分の納得がいく結末に繋がるのなら、私は迷わずそっちを取る……!」

 

 

アリサ「もう仲間に裏切られたり、裏切ったりするのはこっちもゴメンなのよ!一緒に戦った仲で悪いけど、此処は押し通らせてもらうわ!」

 

 

響志朗「……お前たち……」

 

 

祐輔「……人に此処まで見栄を張らせたんだから、そっちも途中で投げ出すような真似はしないよね、響志朗さん?」

 

 

響志朗「……ああ……すまないっ……」

 

 

短く、しかし力強く感謝を口にしながら祐輔達と共に肩を並べてジャケットを翻し、腰のベルトを露出させる響志朗。そんな一同の姿を見渡し、零は瞼を伏せて小さく吐息を漏らした。

 

 

零「全員一致、交渉は決裂か……ならこちらも、力強くにでもthirdを渡してもらう……!変身ッ!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

バックルにカードを装填し、鳴り響く電子音声と共に零の周囲に出現したクウガ〜キバの九つのエンブレムが人型の残像に変化して零と一つになるように重なっていき、最後に灰色のスーツを身に纏った零の仮面にバックルから飛び出したプレートが収まったと共にスーツの色がマゼンダに変化していく。

 

 

全ての変身シーケンスを終え、『仮面ライダーディケイド』となった零は両手を叩く様に払って臨戦態勢に入り、対する響志朗達もそれぞれ変身動作を行い……

 

 

『変身ッ!!』

 

 

『GATE UP!CANCELER!』

 

『Flame!Press!』

 

『Hi-!Hi-!Hi-Hi-Hi-!』

 

『SIGNAL BIKE!』

 

『RIDER!SONIC!』

 

『GATE UP!』

 

 

五人の力強く掛け声が洞窟内に響き渡り、巻き起こる風と共に五人はthird、キャンセラー、ウィザード、ソニック、クロノスへと変身を果たしていった。

 

 

そしてディケイドが左腰に収めたライドブッカーを剣形態のソードモードに切り替え刃を撫でると、third達も得物を手に身構え、どちらからともなく地を蹴って互いに激突し戦闘を開始していったのであった。

 

 

 

 

 

 

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