スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダーthird   作:風人Ⅱ

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スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダーthird⑨(後編)

 

―洞窟内―

 

 

―ガギィインッ!!ガギィインッ!!ズガガガガガガガガガガガガガガガガァンッ!!ガギィイイイイインッ!!―

 

 

キャンセラー『ハァアアアアアアッ!』

 

 

ディケイド『ハァッ!ぜぇええぃやぁああァッ!』

 

 

クロノス「グッ……!ハッ!」

 

 

ブレイク・ザ・ワールドの発端であるthirdを倒す為に立ち塞がるディケイドを相手に、変身し五人掛かりで挑むthird達。流石に五体一とあってか四方からの連携攻撃に対してディケイドも防戦が多く一見押され気味に見えるが、それでも五人からの攻撃を巧く防ぎ、避けながらのカウンター狙いの反撃を仕掛けて着実にthird陣へとダメージを与えていくなど、相手が一人であるにも関わらず思うように攻撃が通らない戦況が続きライダー達の中にも焦燥感が芽生えつつあった。

 

 

―ガギィイイイイイッ!!―

 

 

ソニック『くっ!こっちの攻撃が全部防がれるっ……!今まで戦ってきたどのショッカーライダー達とも違うっ……!』

 

 

ディケイド『当然だ、お前達が戦ってきたのは洗脳されて本来のパフォーマンスを封じられたライダー達なんだ……。本来通りに戦えるのなら、お前達にも遅れは取らんッ!』

 

 

―ズシャアァアアアアッ!!―

 

 

ウィザード『ぐぅうっ……!だったらっ!』

 

 

『Flame!Dragon!』

 

『Bow!Bow!Bow-Bow-Bow-!』

 

『Connect please!』

 

 

ライドブッカーによる一刀を受けて吹っ飛ばされながらも即座に受け身を取って立て直すと、素早くスタイルチェンジしてフレイムドラゴンスタイルに変身したウィザードは更に魔法を用い、自身の真横に出現させた赤い魔法陣に右腕を突っ込むと、魔法陣から抜き取った右腕に腕時計のようなツール……ドラゴタイマーを装備し、タイマーの針を操作してレバーをタッチした。

 

 

『Drago Timer!set up!』

 

『Start!』

 

『Water Dragon!』

 

『Hurricane Dragon!』

 

『Land Dragon!』

 

 

ウィザードWD『ハァッ!!』

 

 

ウィザードHD『ズェエエァッ!!』

 

 

ウィザードLD『ダァアアッ!!』

 

 

ディケイド『!―ガギィインッ!!―チッ!』

 

 

ドラゴタイマーを起動したと同時に、ディケイドの周囲に青、緑、黄色の魔法陣が立て続けに出現し、其処からウィザードの各スタイルの強化形態であるウォータードラゴンスタイル、ハリケーンドラゴンスタイル、ランドドラゴンスタイルが続々と飛び出し、不意を突くようにディケイドの三方向から斬り掛かった。

 

 

しかしディケイドもすぐさま奇襲に対応して三人の斬撃を退けながらウィザード達から距離を離し、ライドブッカーから一枚カードを取り出していく。

 

 

ディケイド『分身戦法か……だが生憎、そういうマジックはこっちにもある!』

 

 

『ATTACRIDE:ILLUSION!』

 

 

バックルにカードを装填してスライドし電子音声が響くと、ディケイドの身体から三つの残像が現れて実体を持ち、三人のディケイドに分身していく。更にそれだけで終わらず、分身達はそれぞれのライドブッカーからカードを一枚ずつ取り出し、自身のドライバーに一斉にカードをセットしスライドさせていった。

 

 

『FORMRIDE:KUGA!RISING DRAGON!』

 

『FORMRIDE:KUGA!RISING PEGASUS!』

 

『FORMRIDE:KUGA!RISING TAITAN!』

 

 

連続で鳴り響く電子音声と共に、分身達の全身に稲妻が走りながら徐々にその姿を変えていき、体中に金色のラインが走る三人のクワガタムシのライダー……仮面ライダークウガ・ライジングドラゴンフォーム、ライジングペガサスフォーム、ライジングタイタンフォームへとフォームライドしていった。

 

 

ウィザードFD『ッ?!姿が変わった……?!』

 

 

『『『ハァアアッ!!』』』

 

 

分身した上、更に別のライダーに姿を変えたDクウガ達を見てウィザードが驚愕する中、それを他所にDクウガ達は一斉にウィザードの分身達に飛び掛って戦闘に入っていき、分身同士で戦い合ってる隙にディケイドもライドブッカーを構え直しウィザードへと斬り掛かるが、其処へthirdが間に割って入りディケイドの剣を片腕で受け止めた。

 

 

ディケイド『ッ!third……!』

 

 

third『お前の相手は誠だけではない!』

 

 

―ガシィッ!―

 

 

ソニック『ハァアッ!!』

 

 

―バシュッバシュッバシュッバシュッ!!―

 

 

ディケイド『!―ズガガガガガガガガガガガガァアアンッ!!―グウゥッ!』

 

 

刃を受け止めたthirdがディケイドの腕ごとライドブッカーを押さえ込んで動きを封じたと同時に、その隙を狙ってソニックが連射した銃撃がディケイドの肩に直撃し怯ませた。其処へ更にキャンセラーとクロノスが追撃を仕掛けディケイドへと立て続けに斬撃を叩き込んでいくと、トドメにウィザードが剣の突きを打ち込み、ディケイドはゴロゴロと地面を転がりながら勢いよく吹っ飛ばされていく。

 

 

ディケイド『ッ……流石の連携だっ……だが……!』

 

 

『FORMRIDE:FAZE!AXEL!』

 

 

徐に身を起こして仮面の汚れを拭いつつ、すかさず新たなカードをドライバーに装填するディケイド。そうして電子音声と共にディケイドの全身に真紅のラインが走って眩く発光し、光が晴れると共にディケイドの姿が胸部の装甲を展開したΦの仮面の戦士……仮面ライダーファイズ・アクセルフォームへと姿を変えた。

 

 

ソニック『また変わった……!』

 

 

ウィザードFD『クッ……!これ以上好きにやらせるかッ!』

 

 

他の仮面ライダーの力を多用出来るディケイドにこれ以上主導権を奪われる訳にはいかないと、Dファイズが何かをする前に叩くべくウィザードがウィザーソードガンを構え正面からDファイズへと突っ込んでいくが、Dファイズはそれに対して徐に左腕に身に付けたファイズアクセルに指を伸ばしボタンを押していく。

 

 

『Start Up!』

 

 

―シュンッ!―

 

 

ウィザードFD『……ッ?!消え……?!―ドグォオッ!―グァアアッ?!』

 

 

third『誠!―バキィイッ!―ぐぅうっ?!』

 

 

ファイズアクセルから電子音が鳴り響いた直後、Dファイズは残像のように消えたかと思いきや目にも止まらぬ高速移動でウィザードをすれ違い様に殴り飛ばしたのだ。更にDファイズはそのままthird達の間を高速で駆け抜けながら次々と打撃を加えて吹っ飛ばしていき、ギリギリでDファイズの一撃をガードしながらも衝撃に耐えられず吹き飛ばされたクロノスは態勢を立て直し、擦り傷を負った頬を力任せに拭った。

 

 

クロノス「やってくれるじゃないっ……!けどね、高速戦ならこっちだって遅れは取らないってのっ!」

 

 

『TIME QUICK!』

 

 

ソニック『このままじゃキリがない……!響志朗達は先に行って!コイツは私達が引き受けるわ!』

 

 

『SLOT!SONIC!』

 

 

これ以上こんな所で時間を無駄に浪費する訳にはいかないと、third達に先を急ぐように促して高速戦に長けたクロノスとソニックがDファイズの相手を引き受け立ち向かっていき、三人のライダーの衝突により一際巨大な激突音と衝撃波が洞窟内に広がっていった。

 

 

third『アリサ、フェイト……!』

 

 

キャンセラー『行こう響志朗さん……!ライダータウンはもうすぐなんでしょう?!』

 

 

third『……ああ、こっちだ!』

 

 

DファイズAX『ッ……!行かせるかthirdォオオオオオオオオオッ!!』

 

 

―シュンッ!―

 

 

クロノス「ッ?!なっ?!」

 

 

Dファイズの相手を二人に任せて一気にライダータウンを目指そうとするthird達を行かませいとし、Dファイズはクロノスが振り下ろしたクロノスブレイドを避けるように飛び越えながらそのまま二人を無視しthird達へと構わず突っ込んでいく。

 

 

そして、Dファイズの放った拳がthirdを捉えて打ち込まれようとしたその時、thirdとキャンセラーの後ろを走るウィザードが背後に振り返りながらバックルに素早く右手を翳していった。

 

 

『Defend Please!』

 

 

―ガギィイイイイッ!!―

 

 

DファイズAX『グッ……?!』

 

 

キャンセラー『誠君……!』

 

 

ウィザードFD『行って下さい!此処は俺が!』

 

 

third『すまない……!祐輔!』

 

 

キャンセラー『っ……分かった!』

 

 

Dファイズの拳を防御魔法で凌いだウィザードに助けられ、thirdとキャンセラーはその隙に先を急いで洞窟の奥へと駆け抜けていき、Dファイズも遠ざかる二人の背中を見て思わず舌打ちしながら何とか追撃しようとするも、それを阻むようにウィザードが立ちはだかり、更に背後から追い付いてきたクロノスとソニックの妨害によって足止めさせられてしまう。

 

 

―ドドドドドドドドドドドドドドドドォオンッ!!―

 

 

キャンセラー『皆……!』

 

 

third『急ぐぞ祐輔!ライダータウンに着けば味方を呼んで誠達の救援に向かえる!あと少しだ!』

 

 

背後から鳴り響く激しい戦闘音を聞いて一同の安否を気にするキャンセラーにそう言いながら、thirdはキャンセラーと共にライダータウンまでの道を一気に疾走していき、曲がり角を曲がると、暗がりの洞窟を照らすように僅かな光が洞窟の奥から見え始めてきた。

 

 

キャンセラー『光が……!』

 

 

third『もうすぐだ!このまま一気に──』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガァンッ!!―

 

 

third『?!』

 

 

キャンセラー『なっ……?!』

 

 

出口からの光明が見えて二人が走る速度を早めようとしたその時、背後から突然無数の銃弾が放たれて二人の周りに着弾し火花を撒き散らした。一体何事かと、thirdとキャンセラーが慌てて背後へと振り返ると、其処には……

 

 

『イッ、イーッ!』

 

 

『イーッ!』

 

 

エクス『…………』

 

 

エグザム『…………』

 

 

雷牙『…………』

 

 

キャンセラー『?!り、稟君っ……!?晃彦さんに雷さんまでっ?!』

 

 

third『ショッカー……!もうこの場所を嗅ぎ付けたのか……!』

 

 

量産型のダークライダー達や戦闘員達を引き連れ、悠然とした足取りで迫り来る三人のライダー達……祐輔の異世界の友人である稟が変身するエクス、晃彦が変身するエグザム、雷が変身する雷牙の姿があり、突如現れた友人達の姿にキャンセラーが驚愕する中、thirdは切羽詰まった様子で舌打ちし拳を構え即座に迎撃体勢に入っていくのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァアアッ!!!―

 

 

ソニック『ハァアアアアアアッ!!』

 

 

クロノス「てやぁああああああああああッ!!」

 

 

DファイズAX『ぜえぁああああッ!!』

 

 

その一方、thirdとキャンセラーを先に行かせてDファイズの足止め役を買って出たソニックとクロノスは凄まじい速さで壁や天井を蹴り上げながら縦横無尽に洞窟内を駆け巡り、Dファイズと何度も正面から衝突してぶつかり合う凄まじい激闘を繰り広げていた。

 

 

砕けて宙を舞う破片が三人の激突の衝撃波で更に砕かれて粉塵となり、壁や床に亀裂が走って徐々に激しさを増していく高速戦を目の当たりにしながら、ウィザードは三人の動きを辛うじて目で追いながら新たに指輪を取り替えた右手をバックルに翳していく。

 

 

『Bind Please!』

 

 

―ジャラァアアアアアアッッ!!!!―

 

 

DファイズAX(……?!鎖……拘束魔法か……!)

 

 

ウィザードライバーからの電子音声と共に、Dファイズの周りに出現した赤い魔法陣から無数の鎖が伸びDファイズに目掛けて一斉に襲い掛かった。

 

 

それを見たDファイズは咄嗟に方向転換し次々と襲い来る鎖を素早く避けながら魔法を使うウィザードを先に潰そうと狙いを変え突き進んでいくが、Dファイズがこちらに狙いを変えた事に気付いたウィザードは続けざまに指輪を交換しバックルに右手を翳していく。

 

 

『cho-iine!Thunder!』

 

『saiko-!』

 

 

―バチバチッ……ズドドドドドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!―

 

 

DファイズAX『ッ?!なっ……ぐぅううううっ!!』

 

 

再度の電子音声と共に、Dファイズが避けようとした無数の鎖に凄まじい雷撃が走ったのだった。

 

 

二つの魔法の合わせ技。それにより鎖と鎖の間を潜り抜けようとしたDファイズは雷撃をまともに喰らって動きを一瞬止めてしまい、其処へすかさずDファイズの頭上から銃を振りかざしたソニックが飛び掛かるも、痺れが走る身体に鞭を打ったDファイズはソニックの攻撃を僅かに身を逸らして避けながら彼女の腕を脇で抑え込むが、それも織り込み済み。

 

 

今度は素早く死角に回り込んだクロノスがDファイズの顔に目掛けてクロノスブレイドの切っ先を思い切り突き出すも、それを見たDファイズは僅かに顔を引き攣りながらも慌てて顎を引き剣の切っ先を喉元ギリギリで回避しながらクロノスの利き腕をもう片方の空いた脇で抑え込んだものの、それで完全に身動きが取れなくなったDファイズの額にウィザードがウィザーソードガンの剣先を突き付けた。

 

 

ウィザードFD『悪いな、これでチェック(詰み)だっ……』

 

 

DファイズAX『ッ……流石だな……やはり俺一人じゃ勝ち目は薄かったか……』

 

 

ソニック『良く言うわ……。貴方、最初から響志朗を除いて私達とは本気で戦ってないでしょ……?』

 

 

DファイズAX『……何を根拠に……』

 

 

クロノス「あんまり舐めないでよねっ。その二人はともかく、短い間だけど戦国世界で一緒に戦ったアタシの目までごまかせると思ってるの?」

 

 

DファイズAX『…………』

 

 

『Three……two……one……』

 

『Time Out!』

 

 

ソニックとクロノスにそう問い詰められて無言になる中、ファイズアクセルの時間切れを告げる電子音声が無機質に鳴り響く。

 

 

それと共にDファイズは徐にバックルのサイドハンドルを開き変身を解除して零へと戻ると、それを見た三人も零が戦意を失ったと悟って変身を解除して元に戻り、誠達の顔を見回した零は僅かに溜め息を漏らし視線を逸らした。

 

 

零「俺の目的は始めっからthirdだけだ……奴を逃した以上、これ以上お前達と戦う理由は俺にはない」

 

 

フェイト「だから本気で戦うつもりもない、と……ねえ、そもそも何故其処まで響志朗を倒す事に固執するの?時空修復に彼の存在が障害になる、貴方がfirst達と親しい仲であった事は話を聞いていて理解はしたけど、貴方のソレは最早執念染みた何かを感じるわ……」

 

 

零「…………」

 

 

零が響志朗を付け狙う理由は分からなくもないが、響志朗も今は己の過去を憂いて自分達と共にショッカーと戦っている。

 

 

そんな彼を一方的に敵視して頑なに倒そうとするのは何故なのか、その理由を問うフェイトに対して零は顔を背けたまま暫し無言を貫いていたが、やがて根気強く返答を待つフェイトに対し先に折れたのか、複雑げに眉を顰めながらもう一度溜め息を吐いて瞼を伏せた。

 

 

零「……お前達はあの男を信じて、苦しい戦いや裏切りも乗り越えて此処まで来た……ショッカーとの全面対決を前に、全ての真実を知ってお前達の心を手折るような真似はしたくなかったんだ……奴のようにな……」

 

 

誠「え……?」

 

 

アリサ「どういうこと……?」

 

 

CB『…………』

 

 

零の言葉の意図が読めず、三人が怪訝な顔を浮かべる中でクロノスブレイドだけは何かを察した様子で無言のまま零の話の続きを待ち、零も僅かに逡巡した後、意を決したように顔を上げてフェイトの目を見据えたまま口を開いた。

 

 

零「仮面ライダーthirdは……黒井響志朗はお前達が思っているような男じゃない。……あの男は最初から、この世界を元に戻すつもりなんてないんだ」

 

 

「「「……え……?」」」

 

 

真剣な眼差しを向ける零の口から告げられたのは、今まで彼等が抱いてきた黒井響志朗という男の人間像を崩すもの。淡々とした口調でその事実を話す零の内容に対し、三人は呆気に取られたように言葉を失い絶句する事となる。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

―ガギィイイッ!!ガギィイイイッ!!ガギィイイイイイイイインッ!!―

 

 

エグザム『ハッ!!ハァアアッ!!』

 

 

third『グゥッ!ァああッ!』

 

 

キャンセラー『っ、響志朗さんっ!―ズガガガガガガガガガガガガァアアンッ!!―うぐぅうっ?!』

 

 

場所は戻り、洞窟の出口付近ではライダータウンを目前にしてショッカーライダー達とエンカウントしてしまったthirdとキャンセラーが大勢の敵に囲まれ、苦戦を強いられる姿があった。

 

 

後方に控える量産型コマンド部隊の正確な高火力射撃、前線では戦闘員と怪人達を従えキャンセラーの剣技とまともに渡り合えるエクスや、高速戦闘やその補足を可能にする能力を持った雷牙とエグザムに徐々に押されて追い詰められていき、やがて、肩で息をするほど消耗した二人は背中合わせにショッカーライダー達と対峙しボロボロの身体で拳と刀を身構えていく。

 

 

third『ッ……ライダータウンを前にして厄介な障害が立ち塞がるとはなっ……祐輔、此処はお前だけでも──』

 

 

キャンセラー『冗談でしょっ……貴方のこと信じるって零さんに言い切っちゃったんだから、行くのなら一緒にだよ……!』

 

 

自分の中に響志朗を見捨てる選択肢なんてない。傷付いた身体でthirdの台詞を遮るようにそう言いながらキャンセラーは最後まで共に戦うと宣言し、そんなキャンセラーの言葉にthirdも一瞬衝撃を受けたように息を呑んだ後、僅かに俯いた仮面の下で小さく口端を吊り上げた。

 

 

third『そうか……ハハ……良いものなんだな……背中を預けられる、仲間って奴は……』

 

 

キャンセラー『……っ?響志朗さん……?―ドゴォオオッ!―ウァアアッ?!』

 

 

何処か満足げにそう呟いたthirdに対して思わず振り向こうとしたキャンセラーの背中に不意に衝撃が走り、気付けばキャンセラーは宙に浮いて吹っ飛ばされ、そのまま地面を転がって倒れ込んでしまう。

 

 

一体何事かと慌てて身を起こし顔を上げれば、其処には、自分を殴り飛ばしてショッカーライダー達の包囲網から救い出し、一人大勢の敵に囲まれ逃げ場を失ったthirdの姿があった。

 

 

キャンセラー『響志朗さんっ?!なんでっ……!』

 

 

third『ッ……お前達はこの世界の希望だっ……それを繋ぐ事こそが、俺の戦いなんだっ!』

 

 

『ATTACSPELL:RAIGA CROW!』

 

 

雷牙『ハァアアッ!!』

 

 

エグザム『ゼェエアアッ!!』

 

 

包囲網から抜け出たキャンセラーを逃すまいとして、雷牙とエグザムがそれぞれ得物を手にキャンセラーへと迫る。しかしそれを阻むように後ろ回し蹴りを放って二人の前にthirdが立ち塞がるが、聖剣を振りかざして飛び掛かるエクスの剣戟を前に捌き切れず押されていき、トドメに全力で放たれた真っ向斬りをまともに受け吹っ飛ばされてしまう。更に……

 

 

―ザッ……―

 

 

ベルクロス『…………』

 

 

オリオン『…………』

 

 

クロウ『…………』

 

 

キャンセラー『っ?!あ、あれはっ……?!』

 

 

third『グッ……ッ……!八柱神っ……神のライダーまで出て来たのかっ……?!』

 

 

洞窟の奥から更なる増援として戦闘員や怪人の軍勢を引き連れ、現れたのは今までのショッカーライダー達とは明らかに次元の違う威圧感を発する三人のライダー……祐輔や幸助と同じ八柱神の一員、英雄と想像の神である"東海 竜也"が変身する『仮面ライダーベルクロス』、創造の神である"田中 祐樹"が変身する『仮面ライダーオリオン』、魔導の神である"アルス・マキナ"が変身する『仮面ライダークロウ』の三大神。

 

 

この絶望的な状況下、更なるダメ押しと言わんばかりに現れた最悪の増援を目の当たりにしてキャンセラーも仮面の下で絶望的な表情を浮かべてしまう中、thirdはそんなキャンセラーを一瞥すると、ふらつきながらもボロボロの身体を起こし、キャンセラーの壁となるようにショッカーライダー達の前に立ち塞がった。

 

 

キャンセラー『む、無茶だ響志朗さんっ!幾ら響志朗さんでもあの人達を相手に敵う訳ないっ!逃げるんだっ!』

 

 

third『っ……そんな事は百も承知だ……それでも、お前を逃がす壁役ぐらいならっ……!』

 

 

エクス『ダァアアッ!!』

 

 

ベルクロス『フンッ!』

 

 

例え敵わなくとも、キャンセラーを逃がすまでの足止め役ぐらいこなしてみせると一歩も引く姿勢を見せないthirdに、三大神を加えたショッカーライダー達が襲い掛かる。

 

 

先陣を切って飛び掛かったエクスの斬撃を掻い潜って避けながら背中を蹴り付け吹っ飛ばすが、其処へ雷牙の爪が襲い掛かり咄嗟に脇で抑え込むも、動きを止めた瞬間を狙ってベルクロスが背後からthirdの背中を斬り付けて怯ませ、更にオリオンとクロウの同時射撃がthirdに浴びせられ無数の火花を撒き散らしながら吹っ飛ばされてしまう。

 

 

third『グウッ!うっ……は、早く行け祐輔っ……!お前だけでもライダータウンに辿り着くんだっ!』

 

 

キャンセラー『馬鹿言わないでよっ!このまま貴方を見捨てて自分だけ助かるなんてっ、出来る訳ないでしょっ?!』

 

 

third『言っただろっ!俺は希望を繋ぎたいっ!嘗てこの手でfirstとsecondという希望を絶ってしまったからこそっ、今度こそ守りたいんだっ……!お前達の事をっ!』

 

 

キャンセラー『っ、響志朗さんっ……!』

 

 

ショッカーライダー達の猛攻を必死に退け、自分を逃がす為に一人奮闘するthirdの姿を見て沈痛な顔を浮かべるキャンセラー。

 

 

しかしそれでもthirdの抵抗も長くは続かず、エクスとエグザムのカリバーを受けてまるで血飛沫のように火花を撒き散らすthirdの肩にオリオンが容赦なく剣を叩き込み、そのまま袈裟斬りで胴体を斬り裂かれその場に力無く崩れ落ちてしまった。

 

 

キャンセラー『響志朗さァァああんッッ!!!!』

 

 

third『ァッ……グッ……行くんだ祐輔ェええええッッ!!!俺に無駄死にをさせるなァァああああああああッッ!!!』

 

 

キャンセラー『ッ……!クッ……!!』

 

 

地面に倒れ付しても、なおも諦めずオリオンの足にしがみ付いてキャンセラーを逃がそうとするthirdの叫びに押され、キャンセラーは悔しげに唇を噛み締めながらthirdに背を向けて洞窟の出口に向かって一直線に走り出す。

 

 

光を目指して進む中、背中越しに聞こえてくる戦闘音とthirdの悲痛な叫び声を耳にしながら引き返したくなる気持ちを必死に抑え込み、傷付いた身体を引きずってキャンセラーは遂に出口を抜け光の向こうへと飛び出したのであった。

 

 

 

 

 

◆◆◇

 

 

 

 

 

―ライダータウン―

 

 

──命からがら洞窟を脱し、祐輔が辿り着いたのは巨大な都市だった。

 

 

響志朗曰く、ショッカーに反抗する為にfirstとsecondが築き上げ、ショッカーの手から逃れた人々とライダー達が共に暮らす街、ライダータウン。

 

 

ショッカーの勢力に追い込まれたライダー達の状況的にももっと寂れた街風景を想像しがちだったが、近代的な建物の作りに美しい噴水、街の至る所に飾られたオブジェクトの数々に祐輔は衝撃を受け、傷付いた身体を抑えながら周囲を見回していく。

 

 

祐輔「こ……此処が、滝さんと十文字さんがいるって言うライダータウン……?でも、皆は何処にっ……?」

 

 

街の中に足を踏み入れてからこの広々とした噴水広場に辿り着くまで、人らしき人とは誰ともすれ違う事もなかった。人の気配がしない街を見回し、この街に集まっているという他のライダー達の姿を探しながら祐輔が怪訝に眉を顰める中、その時……

 

 

『───……け…………ゆ……け…………祐輔…………』

 

 

祐輔「……!え……この声、て……?」

 

 

何処からともなく、途切れ途切れの声が聞こえてくる。その謎の声に最初は不審に思い一瞬身構え掛けた祐輔だが、何処か聞き覚えのあるその声に警戒を緩め、声をもっと良く聞き取れるように意識を集中して耳を傾けていく。

 

 

『祐輔……祐輔……聞こえているか……?俺だ……』

 

 

祐輔「この、声……まさか、滝さんっ?!」

 

 

『──ようやっと辿り着いたか……随分と待ちくたびれたぜ……』

 

 

祐輔「!十文字さんの声も……!」

 

 

そう、謎の声の正体は祐輔も良く知る異世界の友人達……響志朗の手により殺害され、しかし電子頭脳となって生き永らえていると聞かされてた仮面ライダーfirst/本郷滝と仮面ライダーsecond/十文字隼人の声だったのだ。

 

 

間違えようのない、聞き馴染みのある友人達の声を聞いて祐輔の表情も安堵で幾分か和らぐ中、滝はそんな祐輔を柔らかな声で労う。

 

 

滝『良く来てくれたな。此処に辿り着くまで、決して楽な道じゃなかっただろ……』

 

 

祐輔「っ……いや、僕なんて全然っ……そ、それより大変なんだっ!街のすぐ其処までショッカーが迫ってる!早く助けを送らないと、響志朗さんや誠君達がっ……!」

 

 

滝『分かってる。だからその為の準備も既にこっちで進めてるんだ。お前も急いで合流してくれるか?』

 

 

祐輔「?合流って、何処に……?」

 

 

隼人『俺と本郷の声を頼りに着いてこい。其処で奴らを迎え撃つ作戦会議を始める』

 

 

祐輔「……わ、分かりました……」

 

 

何処か強引な口振りに若干戸惑い気味に頷きながら、祐輔は言われた通り滝と十文字の声を頼りに二人が指示する場所へと向かっていく。そして、人気のない街の中を暫し歩いた末に辿り着いたのは……

 

 

祐輔「──お、お屋敷……?」

 

 

祐輔が辿り着いたのは、表に『本郷』の表札が飾られている豪邸の屋敷。滝のイメージとはとても掛け離れたその屋敷を目の当たりにして祐輔も戸惑いを露わにし、屋敷の門の前に立った瞬間、門と共に屋敷の扉が独りでに開かれていき、一人の老執事が祐輔を出迎えた。

 

 

「──お待ちしておりました。阿南祐輔様」

 

 

祐輔「え……あ、貴方は……?」

 

 

「失礼しました……私、この屋敷にて滝様の執事を務めております。立花藤兵衛と申します」

 

 

祐輔「!立花藤兵衛って……確か仮面ライダー1号のおやっさんの……?」

 

 

深々と祐輔に向けてお辞儀をする滝の執事を名乗る老人……"立花 藤兵衛"の名を聞いて驚きを浮かべる祐輔だが、藤兵衛はそれを他所に僅かに身を引き、屋敷の中へ通していく。

 

 

藤兵衛「滝様達が奥でお待ちです。どうぞ、中へ」

 

 

祐輔「……は、はい……」

 

 

藤兵衛に促されるまま、祐輔は恐る恐る屋敷の中へと足を踏み入れる。

 

 

そしてそのまま藤兵衛に案内され屋敷の奥へ進んでいき、地下へと続く螺旋階段を降りていくと、屋敷の中の雰囲気が徐々に一変して壁や天井などに埋め込まれた無数のコンピューターや機械が見え始めていく。

 

 

祐輔「ここって……」

 

 

藤兵衛「滝様達はこちらの奥に。少々お待ちを」

 

 

目移りするほどの多くの機械やコンピューターが張り巡らされた室内を物珍しげに祐輔が見回す中、藤兵衛は部屋の一角に置かれた巨大な本棚の中から一冊の本を抜き取り、棚の奥に隠されたスイッチを操作する。

 

 

すると次の瞬間、ゴゴゴゴゴッと激しい音を立てて巨大な本棚が左右に別れていき、現れたのは機械の壁に覆われた広い空間。

 

 

壁に埋め込まれた大量のコンピューターから無数のコードが伸び、その中央にはコードに繋がれる巨大なマシーンが佇む姿があった。

 

 

祐輔「これ……」

 

 

滝『──久しぶりだな、祐輔。こうして会うのはどれほど振りになるかな……』

 

 

祐輔「ッ?!た、滝さんっ?……まさか、これが……」

 

 

藤兵衛「はい。そのマシーンの中に、滝様達の電子頭脳が埋め込まれているのです」

 

 

祐輔「っ……!」

 

 

巨大なマシーンから聞こえる滝の声と藤兵衛の説明から、このマシーンが滝と十文字そのものであると聞かされ動揺を隠せない祐輔。

 

 

響志朗に倒された事で肉体を失ってるのは知っていたが、だとしても、まさか此処まで人の形をしてなかったとは思わずショックを隠せない祐輔だが、そんな彼に対し十文字の呆れるような声がマシーンから響き渡った。

 

 

隼人『んな辛気臭い顔してんなよ……俺もコイツも、生き延びる為とは言え自ら望んでこの姿になったんだ。お前が気に病むような事じゃねえ』

 

 

祐輔「っ……だけど……」

 

 

滝『悪いな祐輔。久々の再会だってのに、いきなりこんな姿を見せられちゃ無理もないわな……。けど、今はあまり時間がないのも確かだ』

 

 

祐輔「っ!そうだったっ……!ショッカーがこの街を嗅ぎ付けたみたいなんだ!それで僕を先に行かせようと、誠君達や響志朗さんがっ……!」

 

 

滝『ああ、分かってる。thirdは本当によくやってくれた。

 

 

 

 

 

……おかげで、"最優先ターゲットのお前を此処まで連れて来られたんだからな"』

 

 

祐輔「…………えっ?」

 

 

―シュバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!―

 

 

祐輔「?!なっ……うあああああああああああああっ!!!?」

 

 

 

 

今まで柔らかかった滝の声が、不意に低く、無機質な色に変わった。

 

 

その変化に気付いた祐輔が思わず顔を上げて聞き返そうとした瞬間、いつの間にか祐輔の足下にまで伸びていた無数のコードがまるで意思を持っているかのように突如祐輔に襲い掛かり、祐輔の体中に巻き付いて完全に身動きを封じてしまったのである。

 

 

祐輔「ァッ……!ぐっ……た、滝さんっ……な、なんでっ……!!?」

 

 

滝『……残念ながら、このマシーンに彼等の意志は宿っていないんだよ』

 

 

隼人『いや、正確に言えば彼ら二人の電子頭脳を搭載しているのは本当さ。けど、彼らの意識は封じられていて目覚める事は決してない』

 

 

滝&隼人『『何せ彼等に求めたのは、このマシーンを起動させる為の強靭なパワーに他ならない。それ以外の要素は必要ないのさ。このマシーンにはね』』

 

 

祐輔「っ……お、おまえ、はっ……?!」

 

 

声は確かに滝と十文字のモノ。しかしその口調は明らかに二人とは違い、其処で漸く、これは何者かが二人の声をボイスチェンジャーのように利用して切り替えながらあたかも滝と十文字が此処にいるように装って話していたのだと気付き、祐輔は自分を逃すまいとしてキツく締め上げてくるコードの拘束に苦しみながらも、二人ではない何者かの意思が宿る目の前のマシーンを睨み付ける。

 

 

祐輔「お前、はっ……一体っ……だれ、なんだっ……?!」

 

 

滝?『ふむ……そういえば君とこうして対面し、ちゃんと自己紹介をした事はなかったかな?』

 

 

隼人?『それともこのfirstの世界では既に出会っていたか……まあいい。こうして彼の無効化の神と対面出来たんだ。此処まで辿り着いた君に敬意を表し、私如きの名で良ければお教えしよう』

 

 

滝と十文字を騙る何者かがそう告げた瞬間、ガチャンッ!とまるでルービックキューブのように巨大なマシーンが変形を繰り返していき、形状を変化させていく毎にマシーンの表面にあるマークと文字が浮かび上がっていく。

 

 

それは祐輔が、この世界に飛ばされてから幾度となく目にしてきた鷲のシンボルマークと、『SHOCKER』の文字。

 

 

それを目にして祐輔が思わず目を見張る中、ザザザザザァッ!と、変形を終えた巨大なマシーンの前にノイズ混じりの映像が投影されていく。

 

 

其処に映し出されたのは、滝でも十文字でもない一人の男の姿……。

 

 

不敵な笑みをその顔に貼り付け、男はゆらりと掌を上に中空に手を掲げながら高らかにその名を口にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

『私の名はジェノバ……ジェノバ・スカリエッティ。嘗て此処とは違う遠い世界にて滝君達に敗れた、ショッカーの亡霊さ』

 

 

 

 

 

 

 

 

祐輔「ジェノバ……スカリエッティ……!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

"ジェノバ・スカリエッティ"。その名には聞き覚えがある。

 

 

firstの世界におけるジェイル・スカリエッティの兄であり、ショッカーを統べる首領。

 

 

──そして、滝の家族を殺害して彼が改造人間となるきっかけを作った、滝にとっての怨敵でもある全ての元凶。

 

 

それが目の前に投影された男の正体なのだと聞かされ祐輔が驚愕を露わにする中、脇に控えていた藤兵衛が徐に前に出ながらその姿が変化していき、コブラの仮面を纏った黒いロングコートの怪人……サーキット場にて誠を追い詰めたレルド・スネイクが変身するコブラへと変わっていった。

 

 

祐輔「ッ?!ショッカーの怪人……?!」

 

 

ジェノバ『さて、では早速で申し訳ないが、君をショッカーライダーにさせてもらうよ?あまり長話をしている余裕はこちらにもないのでね……レルド』

 

 

『お任せを』

 

 

ジェノバの送るアイコンタクトに頷き返し、コブラは目の前に電子パネルを出現させてキーボードを素早く打ち込んでいく。

 

 

すると祐輔を拘束するコードに電流が走っていき、身体の中に何かが入ってくるような異物感と嫌悪感が同時に襲い掛かってくる。

 

 

祐輔「これ、はっ……?!」

 

 

ジェノバ『君が今まで戦ってきたライダー達にも施してきた洗脳さ。彼らほどの猛者達が、如何にして我々に忠誠なショッカーの戦士となったか……それを君自身も身をもって体験するといい』

 

 

祐輔「ッ……!!」

 

 

つまり、今まで自分達も戦ってきたショッカーライダー達はこうやって洗脳してきたのだとジェノバの言葉から察し、祐輔は必死に身動ぎ拘束を振りほどこうとするも、それを感知したのか拘束はより強固になって祐輔を縛り付けていく。

 

 

ジェノバ『無駄だよ。それは君達を研究して作り上げ、他の外史のライダー達は勿論、神のライダー達も脱する事が叶わなかった特製の拘束だ。幾ら君とは言えど、其処から逃れる事は……―バチッ……バチバチバチッ……!―……うん?』

 

 

余裕を露わに逃れる事は決して不可能だと断じようとしたジェノバだが、それを遮るように不意に聞こえた不審な音を聞いて不思議そうに顔を上げると……

 

 

―バチバチバチッ……バチチチチチチチチチィイッ!!!!―

 

 

祐輔「ぐっ……ぅっ……ッ……ぁ、ァああああああああああああああああああっっっっ…………!!!!」

 

 

拘束された状態のまま、祐輔が必死の形相で腹の底からの咆哮と共に自身の身体から神々しい光……神氣を放出してコードに逆流させ続けていたのだ。その過剰なエネルギー量にコードが負荷に耐え切れないのか、徐々に火花を撒き散らし始めていた。

 

 

ジェノバ『おおっと、これはいけないな……レルド?』

 

 

『了解』

 

 

その光景から祐輔が何をしようとしてるのか悟ったのか、ジェノバがレルドに目配りを送ると同時にレルドも素早く電子パネルを操作し巨大なマシーンの周りに何重もの隔離シャッターを降ろしていき、それを確認したレルドもカメレオンの力で透明化しその場から姿を消した瞬間……

 

 

 

 

 

 

―シュウゥウウウウウウウッ……ドッガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアアァァァンッッッッ!!!!!!―

 

 

 

 

 

 

──屋敷から巨大な青い火花が放たれた直後、神氣を解放した祐輔の力が暴走して凄まじい大爆発を巻き起こし、地下の施設ごと屋敷を木っ端微塵に吹き飛ばしたのであった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

祐輔「……ぜえぇっ……ぜえぇっ……ぜえぇっ……ぜえぇっ……うっ、ぐぅっ……!」

 

 

……神氣を暴走させた自爆により窮地を脱し、跡形もなく吹き飛んだ屋敷から脱出した祐輔は先程よりも傷付いた身体を引きずり、噴水広場まで息も絶え絶えに引き返してきていた。が……

 

 

『──そんなボロボロの身体で、一体何処へ逃げようと言うんだね?』

 

 

祐輔「……ッ!」

 

 

そんな祐輔の姿を嘲笑うかのような声が背後から響き渡り、身体をふらつかせながらも振り返る。

 

 

其処には今まで何処に身を隠していたのか、ショッカーの怪人や量産型のダークライダーの大群が続々と街の中から現れて迫り来る姿があり、その中にはコブラの他にも彼と同じショッカーの幹部であるアベルが変身するリザードの姿もあり、そして……

 

 

―ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォオオオオッッッッ……ガゴォオオンッッ!!!―

 

 

ジェノバ『──やれやれ。私と相対する者達は何故こうも揃いも揃って自爆好きなのか……何度目の当たりにしても理解に苦しむよ』

 

 

街の中心地からは、先程の祐輔の自爆から難を逃れ地上へと姿を現した巨大なマシーン……ジェノバの姿もあり、目の前の視界を埋め尽くす程の数のショッカーの大群を前に、祐輔は巨大マシーンを睨み付けて口を開いた。

 

 

祐輔「ジェノバ・スカリエッティっ……貴方が今回の事件の、ブレイク・ザ・ワールドの発端となった元凶だったのかっ……!」

 

 

ジェノバ『フフッ……そう、その通りさ。そして改めて、ようこそと言わせてもらおうか?君を歓迎するよ。ライダータウンを改め、私達の楽園……SHOCKER TOWN(ショッカータウン)に!』

 

 

祐輔「……ショッカー、タウンっ……?」

 

 

どういう事だと、祐輔は困惑を露わに思わず聞き返してしまう。

 

 

響志朗の話では滝や十文字を始め、此処に多くのライダーがショッカーへの反抗に備え集まっていたのではなかったか。

 

 

彼から聞いていた話とは何もかもが相違し戸惑いを隠せずにいた祐輔だが、不意に一つの可能性が脳裏を過ぎって「まさか……」と凍り付き、ジェノバはそんな祐輔の反応を見てクツクツと含み笑う。

 

 

ジェノバ『察しが良くて助かるな。……いや、君の場合は始めから疑っていたのだから、当然の帰結と言えばいいのかな?』

 

 

 

 

 

 

―コツッ……コツッ……コツッ……―

 

 

 

 

 

 

ジェノバ『君は優しく、人を知ろうと自ら歩み寄る人間だ。だからこそ相手の事情や心情を理解しては同情し、絆され、受け入れる……それが例え、相手がどんな大罪人だとしても……ねぇ?』

 

 

祐輔「…………嗚呼…………」

 

 

成る程と、ジェノバの言葉を聞きながら祐輔は得心を得たと納得するように吐息をこぼし、目の前に現れた男の姿を見た途端、思わずその口に笑みを浮かべた。

 

 

無論、それは喜びとか、安堵からとか、決してそんなものじゃない。

 

 

己のあまりの甘さに対して思わず漏らしてしまった、自分自身に対する自嘲の笑みだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

祐輔「ほんとさ……時々すっごく嫌気が刺すよ……自分の度の過ぎたお人好しっぷりにさっ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

響志朗「──しかし同時に、それはお前の美点でもある。……少なくとも、俺は其処に助けられた部分が多々あったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

己を卑下して嗤う祐輔に対し、そんな言葉とは裏腹に淡々とした口調でそう告げるのは、ショッカーのシンボルマークが胸に刻まれた黒いロングコートを纏った男。

 

 

──祐輔を救う為にその身を犠牲にし、消息不明となった筈の黒井 響志朗その人だった……。

 

 

 

 

 

 

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