スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダーthird   作:風人Ⅱ

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スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダーthird⑩(前編)

 

 

―SHOCKER TOWN(ショッカータウン)―

 

 

自分を先へ進ませる為、命を賭してまで戦い犠牲となったハズの仲間……黒井響志朗がショッカーのシンボルマークを胸に刻んだコートを装い、奴等と肩を並べて自分の前に立ちはだかった。

 

 

その事実だけで全てを悟った祐輔は自嘲気味に力の無いの笑みを浮かべ、傷付いた身体を抑えたまま響志朗に向けて口を開いた。

 

 

祐輔「結局、さ……貴方の口車に乗せられて、ほんの一瞬でも信じた僕が馬鹿だったって、そういう訳だよね……最初から、こうなる事が狙いだったんでしょっ?」

 

 

響志朗「……そうだな。だが告白すれば、いつ俺の目的を見破られるかと内心では気が気でなかったよ。特にお前は聡い人間だからな……首領の言う通り、俺の過去を知り、俺を信じたいという、お前の中の善意が疑念を勝る事を信じる他なかった」

 

 

 

その点は本当に賭けだったよと、今までの祐輔達との旅の記憶を思い返すかのように瞳を伏せてそう呟き、瞼を開いた響志朗は鋭い目付きで祐輔を見据えていく。

 

 

響志朗「俺を恨みたければ恨めばいい……嘗てfirstを始めとするライダーがそうであったように、裏切りこそ仮面ライダーの代名詞……最も俺は、徹頭徹尾ショッカーのライダーだ。忠誠は誓えど、裏切りはない」

 

 

祐輔「っ……響志朗さんっ、貴方はっ──!」

 

 

「──そうかよ……だったらこっちももう遠慮はしない」

 

 

祐輔「……え?」

 

 

―ズガァアアンッ!!―

 

 

自らをショッカーの忠実なライダーであると称する響志朗に祐輔が喰って掛かろうとしたその時、何処からかそんな男の声と共に一発の銃弾が響志朗に目掛けて放たれた。

 

 

しかし響志朗は涼しい表情で祐輔を見つめたまま片手だけで銃弾を掴み取り、今の銃弾が放たれてきた方へと振り向くと、其処には銃形態のライドブッカーの銃口を響志朗に突き付けながら歩いて来る零の姿があった。

 

 

祐輔「零さん……?!」

 

 

響志朗「……黒月零か。誠達はどうした?」

 

 

零「あの三人ならとっくに別の場所へ逃がしてある……始めからライダータウンなんて存在しない。他のライダー達がこの街に集まってお前達に反旗を翻そうとしてる。そうほざいてアイツらのように、今までも他の奴らを罠にハメてきたんだろ?」

 

 

響志朗「……フッ。俺に疑心を抱くお前にその確証を掴ませない為に、俺も色々と頭を使ったよ。お前の追跡を撒く為にコイツらやショッカーライダーを使ったり、祐輔の時のように敢えてやられ役を演じたりと苦労を重ねてな……おかげでこの瞬間まで、お前の目を欺く事が出来た」

 

 

零「…………」

 

 

そう言って零を挑発するように不敵な笑みを浮かべながら掴んだ銃弾を離して地に落とす響志朗に対し、零もライドブッカーを突き付けたまま鋭い眼光で響志朗を睨み付ける中、そんな二人のやり取りを聞いた祐輔は零に目を向けて口を開いた。

 

 

祐輔「零さん……響志朗さんがショッカーの人間だったて、最初から知ってて……?」

 

 

零「……いや、アイツの言うように其処までの確証を得られた訳じゃない……それでも奴と同行していた筈のライダー達が続けざまにショッカーライダーになっていくのを目にして、奴には必ず何かあると疑念を抱いてからずっと足取りを追っていたが、確証を得る所か、度重なる妨害に遭って今の今まで尻尾を掴む事も出来なかった……俺みたいな奴が動くのを読んでて、予め策を敷いてたって訳か?」

 

 

ジェノバ『──そうだね。特に君達は油断ならない相手だと、私も嘗ての戦いで嫌というほど思い知らされた身だ。打てる手は打ち、脅威になりかねない芽は容赦なく刈り取る。それでも折れなかった君達のしぶとさには私も改めて驚かされたよ……流石は一度、我がショッカーを打ち倒した滝君達の仲間だ』

 

 

祐輔「……?ショッカーを打ち倒した、って……」

 

 

そう言えばと、祐輔はふとジェノバが自らの正体を明かした時に口にしていた言葉をふと思い出す。

 

 

『私の名はジェノバ……ジェノバ・スカリエッティ。嘗て此処とは違う遠い世界にて滝君達に敗れた、ショッカーの亡霊さ』

 

 

あの時の言い方、まるで滝達がショッカーを壊滅させた事があるかのように聞こえたが、確か滝達は現在もショッカーと戦い続けている筈だし、そんな話を彼等から聞いた事は一度もない。

 

 

一体どういう事なのかと祐輔も困惑を露わにする中、その様子に気付いたジェノバが疑問に答えるかのように真相を語り出した。

 

 

ジェノバ『君が困惑するのも無理もないだろうね。何せ、私は君達が知るfirstの世界の私とは別人……要するに違う世界の滝君達に倒された存在なのさ、この私は』

 

 

祐輔「ッ!それってつまり……並行世界の、ジェノバ・スカリエッティっ……?」

 

 

今自分達が対峙するあのジェノバは祐輔や零が知るfirstの世界のショッカーの首領ではなく、並行世界の滝達に既に敗れた違う世界の別人。

 

 

それが今二人の目の前にいるジェノバの正体であると知り祐輔が驚きで目を見開く中、ジェノバは更に言葉を続けていく。

 

 

ジェノバ『この融合した世界の基盤となったfirstの世界ではどうだったかは知らないが、私の世界ではショッカーはあと一歩、本当にあと一歩と言う所で世界征服を果たせた筈だった……しかし滝君とその仲間達の前にショッカーは壊滅させられ、私も敗れて命を落とした。だが、肉体を失う事にはなったが私の魂だけはこうして運良く生き永らえ、次元をさ迷い続け、其処で様々な世界の可能性を目にしてきてね。やがてとある世界の可能性を覗き、私は『彼女』を見付けたんだ』

 

 

―ザザザザァッ……ザザザァッ!―

 

 

ジェノバがそう告げたと共に電子頭脳の前にノイズ混じりのスクリーンが投影され、何かの映像が映し出されていく。

 

 

其処に映るのは、電子頭脳の内部の一部に取り込まれる半壊した一人の仮面ライダー。

 

 

腰にはヒビ割れたV3のダブルタイフーンが巻かれ、頭には複眼に亀裂が走るfirstに酷似した仮面を纏い、その体付きからジェノバの言うように女性であると分かる。

 

 

祐輔「あれは……仮面ライダー……?」

 

 

ジェノバ『そう、此処や私の世界とはまた別の世界……ifの可能性を辿ったfirstの世界にて、滝君とフェイト君に敗北した仮面ライダーさ。その名を『reborn』……文字通り、超速再生に特化した最新型の改造人間だ。最も、それすらも滝君の前では通用しなかったようだがね?』

 

 

祐輔「reborn……」

 

 

零「……成る程な。ようするに別世界の滝達に敗れたソイツの残骸を回収して、並行世界の間をさ迷っていたお前はその力で此処までショッカーを復活させたって訳か……」

 

 

電子頭脳の内部に取り込まれる謎のライダー……並行世界の滝とフェイトに敗れたと言う『仮面ライダーreborn』の残骸を見て、一度は壊滅した筈のショッカーやジェノバが此処まで復活出来たカラクリを悟りそう推察する零に対し、ジェノバは肯定の意味も込めて不敵に微笑んでみせた。

 

 

ジェノバ『全てが全てそうとは言わないが、rebornのお陰でショッカーを立て直せたというのは事実さ。彼女の能力は勿論、そのボディとデータを基に一から研究を見直し、嘗てのシリーズからより発展した改造人間をこうして生み出す事が可能となり、君たち外史ライダー達をショッカーライダーとするノウハウを手に入れ、そして……firstとsecond、Zero driveをも凌駕する最強最新鋭の改造人間、thirdを生み出す事が出来たという訳だ』

 

 

祐輔「……響志朗さん……」

 

 

響志朗「…………」

 

 

つまり響志朗は、滝達や他の怪人とは元から開発系統の異なる仮面ライダー……過去に滝達に敗れた今までのシリーズの失敗や、最新型のrebornを基に造られた改造人間であるのだと聞かされた祐輔が思わず響志朗に視線を向けるが、響志朗は腕を組んだまま瞼を伏せて無言を貫き、それを他所にジェノバは高らかに言葉を続けていく。

 

 

ジェノバ『一度は水泡の夢と散った私の野望にも、こうして再びその機会が巡ってきた。正に天命、神は私を見放さなかったという訳だ。ふふっ、どうかな?今からでも遅くはない。君達でさえ良ければ、嘗てのクラウン達のように復活した我がショッカーに幹部として迎え入れる事も考えるが?』

 

 

零「死に損ないが笑わせるなっ……首領直々に出てきたんなら話が早い。滝と十文字の仇もある、third諸共今度こそ此処で息の根を止めてやるっ!」

 

 

祐輔「くっ……!」

 

 

不気味に微笑んでショッカーに勧誘するジェノバを一蹴し、今度こそ事態の元凶である響志朗とジェノバを仕留めるべくディケイドライバーを腰に当てて変身しようとする零と、そんな零を見て自身も無理を押して変身しようと腕時計に触れる祐輔。

 

 

だが、それを見たリザードは妖しげに微笑みながら近くの怪人にアイコンタクトを送り、怪人が背後に向けて片腕を掲げて何かの合図を送ると、響志朗達の背後から一人の男……先のショッカー警視庁でのクーデターの際に爆発に巻き込まれた筈のゼノンが包帯だらけの姿で現れ、その手には一人の女性を拘束していた。それは……

 

 

祐輔「なっ……あ、飛鳥ちゃん?!」

 

 

飛鳥「っ……?!祐輔さんっ?!」

 

 

そう、二人の前に連れて来られたのは、クーデターの際に進の危機を救う為に自ら飛び降り、命を落とした筈の飛鳥だったのだ。

 

 

思わぬ人物との再会に祐輔と飛鳥も互いに驚愕してしまう中、飛鳥の下へと歩み寄ったリザードが彼女の頬を撫でていく。

 

 

『フッフフッ。いざって時に役立つかと思って、生かしといたのは正解だったようね。幾ら数では勝ってる上に消耗しているとは言え、流石にアンタ達と真っ向から戦いたくはないもの♪苦汁を舐めてまで生き延びた甲斐があったってものよね、ゼノン?』

 

 

ゼノン「ふぅっ……ふぅっ……ふぅっ……!!殺してやるっ……カツラの遺した希望などっ……残らず全てェエエエエッッ……!!」

 

 

『って、聞いちゃいないわねコイツ……例の爆発からギリギリ生き延びて瀕死の状態で運び込まれたって聞いたけど、再改造効き過ぎじゃない?何か前よりキチっててヤバめなんだけど?』

 

 

『……思考回路にまで破損が生じていたとの話だったからな、流石に完全な修復には至らなかったんだろう。今のゼノンを突き動かしているのはカツラ・ヨウランへの憎悪だけと聞くが……任務に支障が出ないのならそのまま放っておいても問題はないだろうさ』

 

 

そう言って血走った目付きでカツラへの憎悪を口にするゼノンを横目に見るも、コブラはすぐに興味なさそうに手袋をハメ直しながら祐輔と零に視線を移し、リザードもヤレヤレとジェスチャーしながら右腕からチェーンソーの刃を展開する中、零は飛鳥を一瞥して無表情のまま響志朗を睨み付ける。

 

 

零「この期に及んで、そんな手が通用するとでも思ってるのか?お前達を消し去ればこの世界で起こった出来事は全て無かった事になると分かってるんだ。今更人質を使った所で──」

 

 

響志朗「……大局を見据えれば確かにその通りだ。だが、それが分かっていたとしても非情になり切れるかどうかはまた別の問題だろう?祐輔は勿論の事、お前は善人でないにしても悪人ではない……口ではそう言いつつも、実際に誰かを見捨てられるような外道ではあるまい?」

 

 

零「…………」

 

 

ジェノバ『徹底抗戦を望むのなら、こちらはそれでも構わないさ。ただ体力に余裕がある君はともかく、祐輔君は私の手から逃れる為に自爆した後だ。酷く消耗した彼と共に他のショッカーライダー達もいるこのSHOCKER TOWNで、加えて最強の仮面ライダーであるthirdを相手に勝ち目があるとは思えないがね……フフフッ』

 

 

零「……チッ……」

 

 

飛鳥「っ……わ、私の事は構わないで下さいっ!それより今は、お二人が生き延びる事を考えてっ!」

 

 

祐輔「ッ……飛鳥ちゃん、でもっ……!」

 

 

そう言われても飛鳥を見捨てて逃げる事など出来る筈がないが、今の祐輔と零にそれ以外にこの場を切り抜ける手段はない。

 

 

ジェノバの言うように此処は敵の本拠地の真っ只中。この場を切り抜けるだけなら零が祐輔を連れて逃げるだけで良かったが、人質を使われてはまた話が変わってくる。

 

 

零も口先でどうにか人質には利用価値がないと油断させて救出するつもりだったようだが、それすら通じない。

 

 

忌まわしく舌打ちする零を嘲笑うかのように響志朗が率いるショッカーの軍勢が徐々に迫り、祐輔と零も後退りしてしまう中、その時……

 

 

「──だったらその最強の称号、俺の手で剥ぎ取ってやるよ」

 

 

祐輔&零「「?!」」

 

 

響志朗「……!」

 

 

追い込まれる二人の背後から突如響き渡る男の声。その声に釣られて響志朗達は勿論、祐輔と零も思わず背後に振り向くと、其処には歴史改変前の彼がトレードマークとしていたスーツを身に纏い、悠然とした足取りで歩いて来る青年……進の姿があったのだった。

 

 

祐輔「し、進さん?!」

 

 

飛鳥「シン先輩……!」

 

 

進「……アイツらから聞いてた通りだ。無事だったんだな、飛鳥……」

 

 

突然現れた進を目にし驚きで目を見開く祐輔と飛鳥だが、進は助けられなかったと長く負い目を感じていた飛鳥の無事に心の底から安堵するようにホッと吐息を漏らし、すぐに真剣な表情に切り替わり祐輔の前へと歩み出て響志朗と対峙していく。

 

 

進「よう、ちょっと会わねえ間に随分雰囲気変わったじゃないか。イメチェンでもしたか?」

 

 

響志朗「……かもしれないな……しかしその様子だと、お前も事の真相はとっくに知っているんだろう?」

 

 

進「……まあな、頼りになる情報通のおかげで色々と知ることが出来たよ……お前達が俺らを騙して、罠にハメようとした事も全てな」

 

 

アイツ等にまで危ない橋を渡らせる事になっちまったけどなと、thirdの正体や其処から首領であるジェノバの事まで探り当ててくれたすずかと鳰の顔を思い浮かべながら内心苦笑する中、ゼノンの背後に付き従う軍服姿のショッカー隊員達の中に入り混じる子供の隊員の一人が、進に向けて怒号を飛ばした。

 

 

「それが分かってて……何でわざわざ此処へ来たんだよ!」

 

 

進「?……君達は確か、あのサーキット場にいた……?」

 

 

子供の隊員達の顔を良く見ると、彼等の顔ぶれに見覚えがある。

 

 

確か誠が現れたサーキット場にいたショッカーユーゲントの候補生だった筈だが、此処にいるという事はあの後ショッカーユーゲントとしてショッカーに入ったのだと理解し一瞬複雑げに眉を顰めるが、それを他所にリザードは右腕に展開したチェーンソーの刃を回転させ、

 

 

『一度逃した裏切り者がのこのこ戻ってきてくれるなんてねぇ。いいわ、其処の二人を捕らえるついでにアンタは私が始末してあげる……今度こそその首を切り落としてあげるわ!』

 

 

進「……熱烈な歓迎痛み入るよ。けど、今の俺が用があるのはお前達でも、響志朗でもない」

 

 

響志朗「……何?」

 

 

一度逃がした獲物を仕留める機会が再び巡ってきたと嬉々とした顔を浮かべるリザードだが、進は冷淡にそう言いながら力強く電子頭脳を睨み付け、強気な口調で電子頭脳を指差しながら高らかに告げる。

 

 

進「ショッカー首領、ジェノバ・スカリエッティ!アンタに俺の挑戦に応える度量はあるか!?」

 

 

ジェノバ『……挑戦?』

 

 

進「そうだ。お前達は口癖のように言ってたよな?マシンを最も速く操れる者こそ、最も優れた改造人間になれるって。……それがお前達にとってthirdであるなら、コイツを倒して俺が証明してやるよ。お前達が造ったthirdが最強なんかじゃないって……コイツとショッカーライダー、俺のエクセリオンでマシンを使った、レース勝負でな!」

 

 

祐輔「レ、レース……?」

 

 

零「お前、何いきなり突拍子もないこと……!」

 

 

この危機的状況下でそんな強気な発言をする進の意図が読めず、祐輔と零も困惑を露わに進を見つめ、一方の響志朗も進の提案を聞いて一瞬呆気に取られた表情を浮かべるも、直後に可笑しげに噴き出し軽く鼻を鳴らした。

 

 

響志朗「何を言い出すかと思えば、レースで勝負だと?お前は既に俺に敗れた事を忘れたのか?」

 

 

進「……『相手を完膚無きまで叩き潰すまで、勝ったとは言えない』……俺にそう言ったのはお前じゃなかったか、黒井?」

 

 

響志朗「…………」

 

 

進の提案を馬鹿馬鹿しげに一蹴しようとするも、以前進達に響志朗自身が語った狂的なまでの『勝利を追及する』という姿勢を指摘され、今まで笑みを浮かべていた響志朗の顔から表情が消えた。

 

 

それに対して進もしてやったりと言いたげに不敵な笑みを返し、響志朗だけでなくジェノバ達にも向けて語気を強く言葉を続けていく。

 

 

進「速さに拘るのなら、俺とスピード勝負をしろ。俺が負ければショッカーライダーにするなり、この命を取るなり好きにすりゃいい。だがもし俺が勝った暁には、飛鳥を解放して……子供達をお前らのふざけた野望から解放してもらうぜ」

 

 

「……!」

 

 

『何を戯けた事を……!』

 

 

『裏切り者風情が頭に乗ってんじゃないわよ!誰がそんな取引に乗──!』

 

 

ジェノバ『──良いだろう。その挑戦に応えようじゃないか』

 

 

響志朗「?!首領……?」

 

 

そんな馬鹿げた取引に応じる訳がないとコブラやリザード達がそれぞれの得物を手に進へと襲い掛かろうとするも、ジェノバから返ってきたのは予想外な快諾。

 

 

自分達の首領の思わぬ返答に響志朗達も戸惑いを浮かべて電子頭脳を見上げていく中、ジェノバは声に愉悦を含ませ楽しげに語る。

 

 

ジェノバ『私も此方この身体になってから娯楽に障れる機会もそうなくてね。一世一代の勝負、私も是非とも愉しみたくなったよ』

 

 

『首領っ、しかし……!』

 

 

ジェノバ『良いじゃないか。彼を此処で手に掛けるのは容易いが、それではあまりに面白味がない……first達を倒す為に造った私のthirdが君を完膚無きまで叩き潰すその姿、此処から楽しみにさせてもらうよ』

 

 

進「そうかい、なら今の内に高みの見物を楽しんでな……アンタの造ったthirdは、俺の手で倒すっ!」

 

 

響志朗「…………」

 

 

嘗てのリベンジも込め、正面切って響志朗に宣戦布告する進。

 

 

対する響志朗は無言のまま鋭くさせた目付きで進を睨み付け、ジェノバも愉快げに笑いながら街中に響き渡る程の声で告げる。

 

 

ジェノバ『ではこの場を借りて、高らかに宣言しようじゃないか。ライダーGP(グランプリ)の決定を!レースの開催は明日だ。……それまでの間、君達には大人しくしていて貰うよ?』

 

 

「イッ、イーッ!」

 

 

「イーッ!」

 

 

―チャキッ!―

 

 

零「ッ!」

 

 

祐輔「くっ……!」

 

 

飛鳥「シンさんっ、祐輔さんっ……!」

 

 

進「……心配すんな飛鳥。今度こそ助ける。信じて待っててくれ」

 

 

飛鳥「っ……」

 

 

戦闘員達に短剣を突き付けられて拘束される進達を不安げに見つめる飛鳥だが、そんな彼女を安心させるように進も柔らかく微笑み返し、祐輔と零と共に明日のレースに備え何処かへと連行されていくのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―牢屋―

 

 

進「──傷の具合はどうだ、祐輔?大丈夫か?」

 

 

祐輔「うん、こっちは大丈夫。こう見えて結構打たれ強いからさ、僕も零さんも……」

 

 

数時間後。進達が戦闘員達に連行され連れこられたのは、SHOCKER TOWNの中にあるショッカー基地内の牢屋の中だった。

 

 

明日のレースに備え祐輔と零と共に牢屋の中に入れられた進は横一列に三つ並べられる中央のベッドの上に腰掛け、包帯だらけの祐輔を気遣う中、反対側のベッドに進に背を向けて座る零が溜め息混じりに口を開いた。

 

 

零「さっきのレース勝負、どういう意図があって言い出したんだ?奴等が約束なんて守る義理堅い連中じゃないって、一時は奴らの側にいたお前も分かってる筈だろ……?」

 

 

進「……そうだな……けど一つ、俺の中でまだ繋がらない事があるんだ」

 

 

祐輔「……?繋がらないって、何が……?」

 

 

何かが引っ掛かるような言い方をする進に祐輔が怪訝な眼差しを向けてそう聞き返すと、進は両手を組みながら響志朗と共にいた時の記憶、すずかと鳰から聞いた情報を合わせて思考しながら口を開いていく。

 

 

進「黒井の旅は、始めから俺達をこの街に誘き寄せる為のショッカーの罠だった。ただ殺す為にしては手が込み過ぎてるし、回りくどいとも思わないか?」

 

 

祐輔「……つまり……僕達を殺す事が目的じゃない、ってこと?」

 

 

訝しげにそう口にする祐輔に対し、進も重々しく頷き返す。

 

 

進「恐らく黒井も知らない、首領の目的がある筈だ。奴が自ら最強と謳うthirdが敗れたとなれば、奴も何かしらのアクションを起こすかもしれない。そうなれば……」

 

 

零「ジェノバの真の目的、ないしその手掛かりが露呈するかもしれない……それを暴き出す為のレース、って訳か?」

 

 

進「ああ。……それから、もう一つ……」

 

 

祐輔「?」

 

 

ジェノバの真の目的を暴く以外にも、何か気になる事がある様子の進に祐輔と零の視線が集まる。しかし、進は牢屋の前に立つ見張りの戦闘員を僅かに一瞥し、

 

 

進「……もう寝よう。全ては明日になってからだ」

 

 

祐輔「え……ちょ、進さん!」

 

 

あんな意味深な事を口にしておきながら突然話を切り上げ寝台に包まろうする進を見て思わず待ったを掛けてしまう祐輔だが、進は自分のベッドの上の電球を消してそのまま横になってしまい、残された祐輔と零も互いに顔を見合わせてしまう中、進はベッドの上で横になりながら一人物思いに耽っていた。

 

 

進(……黒井……お前は───)

 

 

 

 

 

 

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