スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダーthird   作:風人Ⅱ

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スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダーthird③

 

 

―ショッカーユーゲント選抜試験会場―

 

 

―ブウゥォオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーオオォンッッッ!!!!―

 

 

――街から少し離れた場所に存在するサーキット場。其処では、ショッカーユーゲント候補生である子供達がそれぞれマシンを操って激しいレースを繰り広げる光景があり、ショッカーの幹部達がそのレースの様子を見守る中、先頭の三台のマシンが他のマシンを振り切ってフィニッシュラインを走り抜けゴールし、直後にレース終了を注げる合図と共にショッカーの隊員がチェッカーフラグを激しく振り、試験は終了したのであった。

 

 

「―――おめでとう。君たち三名を、ショッカーユーゲントとして迎え入れよう」

 

 

……そして、レース終了後。試験レースでトップ3を飾り、ショッカーユーゲントとして選ばれた三人の少年達を表彰台に立たせたショッカーの幹部の一人……黒い革のロングコートを纏った金髪の男は、ショッカーの一員の証である軍帽を進呈して少年達の頭に順に被せていき、少年達の顔を見回しながら話を続けていく。

 

 

「嘗て、我等ショッカーにとって仇敵であったfirstだが、奴のその圧倒的なまでの性能は確かに我々を凌ぐ程だった……つまりfirstがそうであったように、マシンを最も速く操れる者こそ、最も優れた改造人間への道が拓ける……その可能性を秘めた君たち次世代には、我々も大いに期待している」

 

 

「光栄であります!」

 

 

―バッ!―

 

 

少年の一人が金髪の男の言葉にそう返すと共に、男の背後に控える隊員達がショッカーの敬礼のポーズを取り、少年達もそれに応えるように敬礼を返す。そして、金髪の男はその光景を前に満足げに頷き、その場を後にしようと踵を返し歩き出すが、その時……

 

 

 

 

 

 

「―――其処までだ、レルド・スネイク!」

 

 

『っ?!』

 

 

突如、何処からか男を呼び止めるように少年の声が響き渡った。それを耳にしたショッカーの隊員達や少年達が声の主を探し辺りを見渡す中、金髪の男……レルド・スネイクだけは静かに足を止めて背後の建物の方へ振り返り、建物の屋上からこちらを見据える一人の少年……"桜崎 誠"の姿を瞳に捉えた。

 

 

レルド「やはり現れたか、指輪の魔法使い……いいや、桜崎誠」

 

 

誠「……その言い方、此処に俺が来るのを分かってたって事か?」

 

 

レルド「貴様が主に現れるのは、我々ショッカーが次世代として子供達を育成する士官学校や、施設が殆どだからな……この試験は、お前を誘き寄せる為のデコイの役目も含めて開かれているんだよ」

 

 

レルドがそう語ると共に、背後に控えていた隊員達はレルドの前に出ながら軍服を翻して強化スーツへと姿を変えていき、それぞれにマスクを取り出して頭に身に纏い、ショッカーの怪人……スパイダー、タートル、ラットへと変身していくと、誠も腰の手形型バックルに右手に嵌めた指輪を翳していく。

 

 

『Driver On!Press!』

 

 

誠「要するに罠って事か……だとしても、お前達に子供達を改造人間になんてさせない……!変身ッ!」

 

 

―カチャッ!―

 

 

電子音と共に銀色のベルト部を露出させたバックル……ウィザードライバーの出現と共に、バックル横のレバーを操作してバックル部の手形を左側に切り替えると、誠は左手中指に嵌めた赤い宝石の指輪のカバーを下ろし、バックルの手形に翳していく。

 

 

『Flame!Press!』

 

『Hi-!Hi-!Hi-Hi-Hi-!』

 

 

まるで歌うように響き渡る電子音声と共に誠が左手を真横に突き出した瞬間、誠の左側に赤い魔法陣が出現して誠の身体を独りでに潜り抜けていき、魔法陣から姿を現した誠はルビーをモチーフにした丸い赤の仮面と赤のボディ、黒いローブを纏ったライダー……火を司る形態である『仮面ライダーウィザード・フレイムスタイル』へと変身し、左手の赤い指輪を構え静かに告げる。

 

 

ウィザード『さぁ、ショータイムだ……!ハッ!』

 

 

―ダァンッ!!―

 

 

『ほざけウィザードォッ!』

 

 

『今度こそ貴様もショッカーライダーにしてくれるわァッ!』

 

 

決め台詞を口にすると共に屋上から飛び降りるウィザードに向けて、タートルとスパイダーが先陣を切って飛び出し襲い掛かる。

 

 

だがウィザードは着地と共にタートルの脇の間を潜り抜けながら、スパイダーの攻撃をエクストリーム・マーシャルアーツを用いた華麗な動きで避けると共に回し蹴りを打ち込んで吹っ飛ばし、更に背後から不意を突こうとしたラットの腕を抑え込みながら左手に新たに黄色の宝石の指輪を装着し、バックル横のレバーを操作して左手をバックルに翳していく。

 

 

『Land!Press!』

 

『Do!Do!Do!DoDoDom!Dom!Do!Do!Do!』

 

 

―ドゴォオオオオォッ!!―

 

 

『ゴホォアッ?!』

 

 

再度鳴り響く電子音と共にウィザードの足元に現れた黄色の魔法陣を潜り抜けると、ウィザードはトパーズをモチーフにした四角型の黄色の仮面と黄色のボディ……土を司る形態である『仮面ライダーウィザード・ランドスタイル』に姿を変えながら、ラットに剛力な肘打ちを叩き込んで遥か後方まで吹っ飛ばし、更に正面から迫り来るタートルに地功拳を次々と叩き込んで後退りさせていく。

 

 

『ガハァアッ!!お、おのれぇ……!』

 

 

『ならばこれでぇえっ!』

 

 

―ブシャアァアアアアアアアアアアアッ!!!―

 

 

ウィザードLS『っ?!な、うぉおっ?!』

 

 

三体の中でも特にパワーを誇るタートルが押し負けるのでは正面から戦うのは得策ではないと作戦を変え、スパイダーはマスクの口から勢いよく糸を噴き出してウィザードに浴びせていき、糸を絡ませ動きを封じてしまう。それでもどうにかランドスタイルのパワーで糸を引きちぎろうともがくウィザードだが、この好機を逃すまいと三方から襲い掛かるスパイダー達を目にして咄嗟に左手に緑の宝石の指輪を装着し、バックル横のレバーを操作してバックルに左手を翳した。

 

 

『Hurricane!Press!』

 

『Fuu-Fuu!Fuu-!Fuu-!Fuu-!Fuu-!』

 

 

―ビュオォオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!―

 

 

『ッ?!な、何だ?!』

 

 

『ガァアアッ?!』

 

 

再度電子音と共に頭上に現れた緑色の魔法陣を潜り抜けると、ウィザードは凄まじい強風を身に纏って身体に絡まる糸をスパイダー達ごと吹き飛ばし、新たに姿を変えたウィザード……エメラルドをモチーフにした逆三角形の緑色の仮面と緑のボディが特徴の風を司る形態、『仮面ライダーウィザード・ハリケーンスタイル』は風を用いて滑空するようにタートルとスパイダーに向かって突っ込みながら銀色の剣、ウィザーソードガン・ソードモードですれ違い様に斬り伏せた。

 

 

―ガキィイッ!!ズバァアッ!!―

 

 

『グ、ォオォッ?!』

 

 

ウィザードHS『さぁ、コイツでフィナーレだ……!』

 

 

『Flame!Press!』

 

『Hi-!Hi-!Hi-Hi-Hi-!』

 

 

タートルとスパイダーの間を潜り抜けたウィザードはそのまま上空へと飛翔しながらフレイムスタイルへと戻り、更に右手中指の指輪を取り替えながらバックル横のレバーを操作して右手側に切り替え、右手にバックルに翳していく。

 

 

『cho-iine!kick strike!』

 

『saiko-!』

 

 

ウィザードライバーからの電子音声と共にウィザードを包む風が拡散し、上空でクルリと側方回転しながら赤い炎を纏った右足を地上のタートルに目掛けて突き出しキック態勢を取り、そして……

 

 

ウィザード『ダァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!』

 

 

―ズドォオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオォンッッッッ!!!!!―

 

 

『がぁッ……!!?ぐぅああああああああああっ!!!!』

 

 

―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―

 

 

ウィザードの必殺技……ストライクウィザードが見事に炸裂し、タートルは断末魔と共に炎に包まれて木っ端微塵に爆散したのであった。そして、タートルが撃破された光景を目にしたスパイダーとラットはウィザードの戦闘力を前に怯み、思わず後退りしてしまうが……

 

 

―ザッ……―

 

 

レルド「……お前達は下がれ。奴は俺が相手をする」

 

 

『!』

 

 

『レ、レルド様……!』

 

 

そんな二人の背後から、ゆっくりと前へと踏み出たのはウィザード達の戦いを傍観していたレルドだった。そして、レルドは黒の革の手袋を嵌め直しながらウィザードと対峙していき、僅かに口端を吊り上げた。

 

 

レルド「流石にやるな、桜崎誠。貴様が相手とあっては、並の改造人間が相手にならんのも無理はないか……どうだ?その力、我々ショッカーの為に使う気は未だ沸かないか?貴様がそのつもりなら、俺の傍に置いてやらんでもないぞ?』

 

 

ウィザード『……またその話か……前にも言っただろ……?そんな戯れ言に付き合うつもりはない。俺は、今もこの世界で希望を捨てずにお前達に立ち向かおうとしてる人達の為に戦うってなぁ!』

 

 

レルド「……考えは変わらず、か……ならば仕方がない……貴様が確固たる意志の下で我らに歯向かうのなら、こちらも力づくで従わせるのみだ……」

 

 

自分の誘いを断ったウィザードに落胆の溜め息をこぼすと共に、レルドは鋭い目付きでウィザードを見据えたまま何処からか取り出した仮面を取り出して頭部に被り、ダークブルーのコブラの怪人……コブラへと姿を変え、ウィザードと対峙しながら右手でクイックイッとジェスチャーしていく。

 

 

『掛かって来い……。お前が相手にしようとしているショッカーがどれほど強大か、その身に直接分からせてやる……』

 

 

ウィザード『ッ……!魔法使いを舐めんなッ!』

 

 

―ズギャギャギャギャギャギャギャギャギャアァンッ!!!―

 

 

変身した事で先程までの雰囲気から一変し、圧倒的なオーラを放つコブラに気圧されながらも先手を打って素早く変形させたウィザードガン・ガンモードでコブラを銃撃するウィザード。

 

 

……だが、コブラは肉眼では捉えられない筈のウィザードの放った銃弾を片手だけで次々と素早く掴み取り、徐ろに掌を開き、握り潰した弾丸を足元に散らばらせていく。

 

 

ウィザード『っ!……銃は効かないって事か、だったらッ!』

 

 

『Water!Press!』

 

『Sui-!Sui-!Sui-!Sui-!』

 

 

銃がダメなら接近戦だと、ウィザードはウィザーソードガンを再び剣に切り替えながら左手に青の宝石の指輪を装着してバックルに翳し、前方に出現した青色の魔法陣を一息で走り抜けてサファイアをモチーフにした雫をイメージするひし形に近い形状の青の仮面に、青色のボディ……水を司る形態の『仮面ライダーウィザード・ウォータースタイル』へとスタイルチェンジしながらコブラに斬り掛かるが……

 

 

―シュッ……ドゴォオオオオォッ!!―

 

 

ウィザードWS『?!なっ、がぁあっ?!』

 

 

コブラは僅かに身を逸してウィザードが振りかざしたウィザーソードガンの刃を避けると同時に、まるで蛇のようにしなやかな軌道を描きながら放たれた右拳がウィザードの脇腹に突き刺さったのだ。

 

 

そして、思わぬカウンターを受けたウィザードが怯んだ隙を逃さず、コブラは更に追撃を仕掛けて『しなる鞭のように円弧を描く』と『垂直かつ直線的』という二つの軌道を組み合わせての牽制と可変軌道による強襲を叩き込んでいき、その読みづらい怒涛の連撃の嵐にウィザードも対応が追い付かず完全に防戦一方となり、コブラが放ったミドルキックをまともに受けて吹っ飛ばされてしまう。

 

 

ウィザードWS『グウゥッ?!ぐっ、クソッ……!』

 

 

『……どうした桜崎誠。まさか、この程度でもう根を上げるとは言うまいな?』

 

 

ウィザードWS『ッ……!それならッ……!!』

 

 

あれだけの猛攻の後とは思えない余裕に満ちた様子でロングコートを翻すコブラのその挑発にウィザードも躍起になり、ウィザーソードガンの手形型パーツの親指部分を起こしてパーツを開き、ウォーターウィザードリングを装着した左手で握手するように翳ざしていく。

 

 

『Water!Slash Strike!』

 

『Sui-Sui-Sui!Sui-Sui-Sui!』

 

 

ウィザードWS『はぁああああああああああっ……!!!』

 

 

ウィザーソードガンから響き渡る電子音と共に、刀身を覆う青い魔法陣から放出される水を纏ったウィザーソードガンを構え、徐々に力を溜めていくウィザード。だがそれに対し、コブラは未だ冷静さを保って悠然と佇んだまま身構えもせず、そんなコブラに目掛けてウィザードがウィザーソードガンを振り下ろし巨大な水の斬撃波を放った。が……

 

 

―……ブォンッ、ザバァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―

 

 

ウィザードWS『……?!き、消えたっ?!―ガシッ!―ウァアアッ?!』

 

 

そう、ウィザードの放った水の斬撃波が直撃する寸前、なんとコブラは周りの景色に同化するように突如姿を消して斬撃波を回避してしまったのだ。

 

 

消えたコブラを見てウィザードも驚愕を隠せず動揺するが、直後に背後から誰かに左腕を捻られて組み伏せられた上、見動きが取れない状態から何かが首に巻き付いて締め付け呼吸困難になり、どうにか視線だけでも動かし背後を見ると、其処には何もない空間から徐々に姿を現す怪人……先程消えた筈のコブラがウィザードの腕を捻りながら、自身のロングコートの裾をウィザードの首に巻き付けて締め上げる姿があった。

 

 

ウィザードWS『ッ!レ、ルドっ……!』

 

 

『……俺の肉体は、嘗てショッカーの怪人だったコブラをベースに、カメレオンの擬態能力を兼ね備えている。故に、このような芸当も出来ると言う訳だ……』

 

 

―ギリギリギリギリギリィイッ!!―

 

 

ウィザードWS『がぁッ?!がっ、ぁあっ?!』

 

 

そう言いながらコブラはウィザードの首に巻き付けるロングコートの裾を更に締め上げていき、ウィザードも凄まじい力で首を締め付けられ意識が遠退き始めていく。

 

 

『降伏するのなら早く言え……でないと、意識よりも先に首の骨が逝くぞ?』

 

 

ウィザードWS『ぎっ、グッ……!誰っ、がぁッ……!!』

 

 

『Liquid!Press!』

 

 

コブラの忠告を頑なに拒み、ウィザードライバーのバックルに新たに取り替えた右手の指輪を翳して電子音声を鳴らすウィザード。直後、ウィザードの身体が液状化してコブラの拘束から抜け出し、そのまま上空を駆け巡りながら液状化を用いた体当たりをコブラに試みるウィザードだが、コブラはそれらを払い除けながら体内のエネルギーを外側に向け拡散させて衝撃波を放ち、液状化したウィザードを吹き飛ばして元の姿に戻してしまった。

 

 

ウィザードWS『グゥッ!!クッ……俺の魔法が通じない……!』

 

 

『これがショッカーの力のほんの一端だ。貴様の戦闘パターンは、全て熟知している……これだけの力を見せ付けられて、それでもまだ足掻くつもりか?』

 

 

ウィザードWS『……当然』

 

 

コブラの予想では、全ての攻撃を悉く打ち破られた事でいよいよ戦意喪失にまで追い込まれたかに思われたウィザードは未だ闘志を衰えさせず、新たにフレイムウィザードリングに似た赤の宝石の指輪を左手に装着し、レバーを操作して起動させたドライバーのバックルに左手を翳していく。

 

 

『Flame!Dragon!』

 

『Bow!Bow!Bow-Bow-Bow-!』

 

 

―ギャオォオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーオオォンッッッッ!!!!―

 

 

電子音声と共に竜の雄叫びが響き渡り、目の前に現れた赤い魔法陣をウィザードが潜り抜けると同時に炎の竜の幻影が魔法陣から現れ、ウィザードの周りを飛び回りながら一体化してウィザードの身体を業火で包み込み、新たな姿へと変化させた。

 

 

頭部に2本の角、両肩に大型の魔法石が追加され、胸部に竜の顔を模した装甲が施された赤いローブを纏った姿……ウィザードが自身の体内に住まうファントム、ウィザードラゴンの力を宿した形態である『仮面ライダーウィザード・フレイムドラゴンスタイル』に変化し、ウィザーソードガンを構え直していく。

 

 

ウィザードFD『魔法使いってのは諦めが悪いんでね……例えどんな絶望の中でも、心さえ折れなければ希望は見えてくるハズ……俺はずっと、そうやって戦ってきたんだ……!』

 

 

『……面白い。だったらその希望とやらを何処まで保てるか、見せてもらおうか』

 

 

『『ゥウウウォオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーオオォッッッ!!!!』』

 

 

そう言いながらコブラは後ろに控えさせていたラットとスパイダーをウィザードに嗾け、対するウィザードもウィザーソードガンを巧みに扱い二体の攻撃を捌きながら反撃していき、強化変身した事で複数を相手に圧倒していくが、其処へ……

 

 

―ブォオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーオオォンッッッ!!!!キキィイイイイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーイイィッッッ!!!!―

 

 

ウィザード達が戦いを繰り広げるその場に、路上から一台の赤いマシン……ウィザード襲撃の通報を受け駆け付けたエクセリオンが現れた。そして、エクセリオンが停車すると中から飛鳥とエンジンドライバーを手にした進が降り、怪人を相手に奮闘するウィザードを見て飛鳥は驚愕を浮かべた。

 

 

飛鳥(あれは、ウィザード?!誠君もこの世界に……!)

 

 

進「性懲りも無くまた現れやがったか。いくぜドライバーさん、全てのライダーは……俺達が倒してやる!」

 

 

ED『OK。Start Your Engine……!』

 

 

ウィザードを見据えてそう息巻き、進はエンジンドライバーを腰に巻き付けながら駆け出してバックルのキーを回すと共に、懐から取り出した赤いミニカー……シフトソニックの車体の半分を回転させてレバーモードに切り替え、右腕のシフトブレスに装填しレバーを倒した。

 

 

―ガチャンッ!―

 

 

進「変身ッ!」

 

 

ED『ENGINE!TYAAAAPE!SONIC!』

 

 

エンジンドライバーからの音声と共に、進の足元から頭上へと上昇しながら出現した赤いタイヤのビジョンから発生したフィールドに包まれながら赤い装甲が進の全身に次々と身に纏い、最後にエクセリオンの前輪から放たれたタイヤが進の肩に装備されると共にエンジンへと変身し、そのまま勢いを殺さずウィザードの背中に背後から蹴り掛かっていく。

 

 

―ドグォオオッ!!―

 

 

ウィザードFD『うあッ?!ッ!お前は……ショッカー警察のっ!』

 

 

エンジン『さぁ、覚悟してもらうぜ?仮面ライダーウィザード!』

 

 

飛鳥(!あの二人……お互いの事を覚えてないっ……?)

 

 

嘗て元の世界で共に戦った事がある筈の二人だが、この歪んだ歴史の影響で互いに関する記憶をも失くしているのか、ショッカーの怪人達と共にウィザードを追い詰めるエンジンはエンジンドライバーを通してエクセリオンから射出してもらったホイール剣を手にウィザードと激しく火花を散らしながら斬り結び、ウィザードの剣と鍔迫り合いになっていく。

 

 

―ジジジィッ!ギギギギィイッ……!―

 

 

ウィザードFD『ぐっ……!誰が来たってっ、負けられるかっ……!あの子達の希望はっ、絶対に奪わせないっ……!』

 

 

エンジン『ッ!希望だと……?』

 

 

エンジンのホイール剣に押されながらもウィザードが口にしたその単語に何かを感じたのか、僅かに動揺し動きが鈍るエンジン。ウィザードはその隙を逃さずにエンジンに蹴りを打ち込んで距離を開き、右手の指輪を取り替えようとするが……

 

 

―バシュッバシュッバシュッバシュッバシュッ!!―

 

 

ウィザードFD『……?!―ズガガガガガガガガガガガガガガガァアンッ!!!―ぐぁああっ?!』

 

 

エンジン『っ!何っ?』

 

 

突如、ウィザードの左肩に何処からか飛来した無数の魔力弾が直撃して火花を撒き散らした。突然の不意打ちにウィザードも怯み、今の魔力弾が放たれてきた方へとエンジンが振り返ると、其処には、敵意を込めた眼差しでウィザードにデバイスを突き付けるショッカーユーゲントの少年達の姿があった。

 

 

「俺達の希望を奪ってるのは、お前だっ!」

 

 

「ショッカーが築こうとしてる平穏な未来を邪魔するお前なんかに、俺達の夢を邪魔させてたまるかっ!」

 

 

「消えちまえ、仮面ライダーっ!」

 

 

―バシュッバシュッバシュッバシュッ!!―

 

 

ウィザードFD『グッ!ち、違うっ……!ショッカーが作ろうとしてるのはっ、君達が思ってるような平穏な未来なんかじゃないんだっ!』

 

 

『キェエアッ!!』

 

 

心無い罵声と共に少年達から放たれる魔力弾の雨を浴びせられながらも必死にそう呼び掛けるウィザードだが、其処へ飛び掛かって来たラットをウィザーソードガンで斬り伏せて少年達の下に向かおうとするもエンジンに背後から羽交い締めにされてしまう。それでも、ウィザードは少年達に向かって叫び続けた。

 

 

ウィザードFD『ショッカーが築こうとしてる平穏って言うのはっ、奴等にとって都合の良い世界だっ!!人間社会の自由を奪い、恐怖を植え付ける事で人間を支配するっ……!!そうやって改造人間だけの未来を築く事で、アイツ等は君達の自由や夢、意思をも全て奪うつもりなんだっ!!』

 

 

エンジン『え……』

 

 

飛鳥(誠君……やっぱり、彼にはまだ元の世界での記憶が完全にはなくなってない……?)

 

 

歴史改変による影響を受けながらも、元の世界と変わらず人間を守る為に戦おうとするウィザードの姿に飛鳥もそう考える中、ウィザードは今の話を聞いて動揺するエンジンの拘束を無理矢理振り払って少年達の下へと走り出すが……

 

 

 

 

 

 

―シュバババババババババババババババァアッ!!!―

 

 

ウィザードFD『ッ?!グッ、グァアアアアアッ?!』

 

 

エンジン『ッ?!な、何だ?!』

 

 

突如何処からか無数の影が目にも止まらぬ速さで現れ、ウィザードに何度も突撃して吹き飛ばしてしまったのだ。突然の攻撃にウィザードはそのまま全身から白い煙を立ち上らせてゴロゴロと地面を転がり、どうにか上体を起こすと、無数の黒い影はエンジンの前に集まってその姿を露わにしていく。それは……

 

 

『…………』

 

 

『…………』

 

 

『…………』

 

 

エンジン『!こ、こいつ等は……?』

 

 

飛鳥「に、忍者?!」

 

 

そう、エンジンの前に姿を現した黒い影達の正体は、忍者の姿をした赤い瞳を持つ漆黒の怪人達……ショッカーのダークライダーである仮面ライダーシャドーと全く同じフィルムに、禍々しい黒に染め上げられたボディのライダー達であり、そのライダー達を目にしたコブラは驚くように目を見開いた。

 

 

『ショッカーの隠密部隊だと……?まさか……』

 

 

「―――そのまさかよ、レ~ルドくん?」

 

 

『!』

 

 

何か思い当たる節がある様子のコブラの背後から、人を小馬鹿にしたような女の声が響き渡る。その声に釣られるようにコブラが振り返ると、其処には広場の階段の上から悠然とした足取りで降りて来るボディスーツ姿の茶髪の女の姿があり、その女の姿を見た途端にコブラは仮面の下で嫌悪感を露わにする。

 

 

『アベル……貴様、何故此処にいる?』

 

 

アベル「フフッ、何故?決まってるじゃない。反逆者のウィザードがまた現れたと通報を受けて駆け付けたのよ。貴方に任せてたんじゃ、また奴を取り逃がすかもしれないしねえ?」

 

 

『……無粋だな。奴は俺が仕留めてこそ意味がある。お前の手を借りる必要などない』

 

 

アベル「貴方がそう思ってても、上は同じ事を考えてはいないわ。次に奴を捕らえなければ、どんな手を使ってでも抹殺しろ。それが上からの指示よ。……それともまさか、ショッカーの命令に背くなんて馬鹿な真似はしないわよね、レルド?」

 

 

『……チッ……』

 

 

上からの指示とあらば従わぬ訳にはいかないが、それでも不本意なのか、コブラは顔を背けて忌々しげに舌打ちし、茶髪の女……レルドと同じくショッカーの幹部の一人であるアベル・シューケルトは、そんなコブラを見てニヤリと笑みを浮かべながらウィザードを見据え……

 

 

アベル「それじゃ、レルドのお許しも出た事だし……行きなさい、下忍共っ!」

 

 

量産型シャドー『……!』

 

 

量産型シャドー『……!』

 

 

―シュンッ!!―

 

 

ウィザードFD『ぅっ、くっ……!―ズバババババババババババババァアッ!!!―ぐぅああああああああああああああっ!!!!』

 

 

アベルがそう指示したと共にシャドーに酷似した忍者のライダー達……量産型シャドーで編成された隠密部隊は不気味に輝く赤い瞳を光らせながら一斉に背中に差した刀を抜き取り、直後に再び肉眼では捉え切れない速さでウィザードに斬り掛かっていった。魔法を使わせる隙も与えず、まるで血しぶきのように無数の火花を撒き散らすウィザードへの追撃は徐々に激しさを増していき、更に後方へと何体か後退した量産型シャドー達は何処からか取り出した手裏剣を構え、それを目にしたウィザードは自身のすぐ背後の少年達に気付き……

 

 

―シュバババババババババババババババァアッ!!!―

 

 

ウィザードFD『クッ……!―ズガガガガガガガガガガガガガガガァアンッ!!!―がはぁああっ!!』

 

 

『……?今のを避けなかった……?』

 

 

後方に何体か後退した事で量産型シャドー達の猛攻が僅かに緩み、余裕で避けられる筈だった隠密部隊の手裏剣を敢えて受けるように喰らったウィザードを見て怪訝な顔を浮かべるコブラだが、アベルはウィザードの後方の少年達に目ざとく気付いて納得したように口端を吊り上げ、隠密部隊に念話を送っていく。

 

 

アベル(奴の背後の子供達に狙いを集中させなさい……アレが魔法使いの弱点よ)

 

 

量産型シャドー『……!』

 

 

量産型シャドー『……!』

 

 

―ジャキィッ!―

 

 

ウィザードFD『ぐっ……ッ?!卑怯だぞショッカァーッ!!』

 

 

再び手裏剣を構え直す隠密部隊の視線の先の少年達に気付き、それでショッカーの狙いを悟ったウィザードは慌てて少年達の前へ飛び出して指輪を取り替えようとするも、それよりも速く隠密部隊の手裏剣が放たれ……

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガァアアッッ!!!ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァアアアンッッッッ!!!!!!!―

 

 

ウィザードFD『グウゥッ?!ガッ……!!うぁああああああああああああああああああああああああああァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!』

 

 

―ドッガアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアァンッッッッ!!!!!!―

 

 

「う、うわぁああああっ!!?」

 

 

エンジン『なっ……』

 

 

飛鳥「ッ!誠君ッ!!」

 

 

背後の少年達を庇いながら、容赦なく浴びせられる手裏剣の雨を前にウィザードも悲痛な悲鳴と共に爆発し、爆炎の中から変身が解除された誠が血まみれの姿に変わり果て、力無く地面に倒れ伏してしまった。その光景を前にエンジンも呆然としてしまうが、誠が先程庇った少年達を見て仮面の下で目を見開き、愕然としてしまう。

 

 

エンジン(まさか……ウィザードが庇うと分かってて、わざとっ……?)

 

 

アベル「ハッハハハハハッ!!無様ねぇ、魔法使いさァん?将来敵になる相手を庇って力尽きるだなんて、こんな間抜けな終わり方は他にはないわよぉ?」

 

 

誠「――――ッ…………なに、言ってんだっ…………」

 

 

アベル「……あ?」

 

 

今の誠の有様を無様だと嘲笑うアベルにそう返すと、誠は血で汚れた手を強く握り締めながら覚束ない足で立ち上がり、アベル達を力強く見据える。

 

 

誠「俺達にとってっ、人間は敵なんかじゃないっ……!例え彼等からどんなに憎まれ、裏切られても……!人々の自由を守り、希望の光を灯し続けるっ……それが『仮面ライダー』のっ、在るべき姿なんだっ!!」

 

 

エンジン『……仮面、ライダー……』

 

 

何故か、誠のその言葉にエンジンの胸がざわつく。

 

 

知っている。何故かは知らないが、自分はその在り方を、姿を、何処かで何度も目にしてきたような既視感がある。

 

 

……だが、何故?

 

 

内から湧き上がる答えの分からない疑問にエンジンも戸惑う中、アベルはそんな誠の姿を鼻で笑った。

 

 

アベル「ナニ、この茶番?此処って三流劇場の舞台かなんかだったっけ?あーあ、なーんか白けちゃったなぁ……エンジンくーん?もういいからソイツ、アンタの手で始末してくれる?」

 

 

エンジン『……え……』

 

 

自身の胸の内の疑問に戸惑うエンジンに向け、アベルがボロボロの誠を顎で指しながら抹殺命令を下す。しかしエンジンはその命令を受けてもその場から動かず、ただ誠を見据えたまま立ち尽くしている。

 

 

アベル「?……ちょっと、上司が命令してんのに無視ってナニ?」

 

 

エンジン『ッ……けど、子供を利用するなんてやり方で……』

 

 

アベル「はぁあ?アンタまでなに甘ったれたコト言ってるワケ?"勝利の為なら如何なる手段も問うな"……ショッカーの掟に背くなんて、それが何を意味してんのか分かってんの?」

 

 

エンジン『それは……』

 

 

自分はショッカー警察の刑事であり、その任務はライダーの逮捕、或いは抹殺だ。その任務に背くという事はショッカーへの反逆行為と同様の意味であり、逆らえば、自分だけでなく相棒である飛鳥にまで責任が問われるかもしれない。しかし……

 

 

エンジン(クソッ……どうしまったんだ俺はっ……?胸のギアに泥が詰まっちまったみたいで……今にもエンジンが止まりそうだっ……)

 

 

飛鳥「……シンさん」

 

 

今自分がやろうとしている事は本当に正しいのか?一度抱いた疑問は決心を鈍らせ、思わず掌を握り締めて顔を俯かせるエンジンだが、その時……

 

 

 

 

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァアンッ!!!―

 

 

アベル「……?!」

 

 

『何?!』

 

 

『ギャッ?!』

 

 

『ガァアアアアアアッ?!』

 

 

―ドッガアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアァンッ!!!!!!―

 

 

飛鳥「えっ……?」

 

 

エンジン『っ?!こ、今度は何だよっ?!』

 

 

誠を抹殺するべきかエンジンが迷う中、突如何処からか無数の弾丸が飛来しアベル達に襲い掛かったのだ。いち早くソレに反応したアベルと隠密部隊、コブラだが、ラットとスパイダーは回避が遅れた事により弾丸の雨を浴びせられて木っ端微塵に爆発し、突然の事態にエンジンも困惑してしまうが、その時、エンジンの目の前を空から降り注いだ何かが遮った。ソレは……

 

 

エンジン『……羽根……?』

 

 

そう、エンジンの目の前を過ぎったのは一枚の黒い羽根。しかもそれだけでなく、羽根は更に何処からともなく無数に降り注ぎ、その光景をエンジンが呆然と見上げる中……

 

 

―キキィイイイイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーイイィッッッ!!!!―

 

 

エンジン『!』

 

 

空を見上げるエンジンの前に、一台の車型のマシンが停車した。

 

 

白が主のカラーリングに、車の前部に二丁のガトリング・ユニットが搭載され、マシン背部には6本の巨大なマフラーが装備されている。

 

 

そして、そのマシンに乗るのは、黄色の複眼とマフラーにダークトーンの仮面を纏ったライダー……。

 

 

エンジン『……お前、は……?』

 

 

『―――無様だな……全てのライダーを倒すとほざいていながら、その様か?』

 

 

エンジン『ッ!何だとっ?!』

 

 

出会い頭に喧嘩を売るような台詞を投げ掛けられ、思わず憤るエンジン。そんな姿を見て、謎のライダーも仮面の下で意味深な笑みを浮かべながらクイックイッとジェスチャーし……

 

 

『癪に障ったのなら付いてこい。次は俺が相手をしてやる』

 

 

―キキキキィイイッッ!!!!ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオォンッッッッ!!!!!―

 

 

エンジン『なっ……ま、待ちがやれっ!ドライバーさんっ!』

 

 

ED『分かっている!エクセリオン!』

 

 

何者かは知らないが、奴もライダーであるならばこのまま逃がす訳にはいかない。猛スピードで走り去る白いマシンを追う為に、エンジンはエンジンドライバーに呼び寄せてもらったエクセリオンに素早く乗り込み、謎のライダーを追い掛けて急発進で走り出していくが……

 

 

アベル「チッ……!逃がすか!隠密部隊っ!」

 

 

量産型シャドー『!』

 

 

―バシュッバシュッバシュッバシュッバシュッ!!!ドッガアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアァンッ!!!!!!―

 

 

エンジン『グッ?!あっぶねぇっ!』

 

 

謎のライダーを逃がすまいとアベルが命令を飛ばすと共に、量産型シャドー達は柄の部分に札を貼り付けたクナイを一斉に投擲し、白いマシンとエクセリオンの周囲に着弾すると同時に巨大な爆発を巻き起こした。謎のライダーのマシンだけでなく、危うくエクセリオンまでも爆発に巻き込まれそうになるが何とか爆炎の中を駆け抜け、二台のマシンはそのまま路上へと飛び出し何処かへと走り去っていってしまい、それを見ていた飛鳥はアベル達の気が謎のライダーに向いている隙に誠へと駆け寄り、誠の腕を掴んで手錠を取り出した。

 

 

飛鳥「桜崎誠、貴方を確保します」

 

 

―ガチャンッ!―

 

 

アベル「……おい、お前何してる?私はそいつを始末しろと言った筈よねぇ?」

 

 

飛鳥「……申し訳ありません。ですが、可能であれば捕えろと言う上からの指示とお聞きしましたので、ショッカーの戦力強化も考え、こちらの方が宜しいかと思いまして……」

 

 

アベル「……チッ……まあいいか……。じゃあアンタはとっととソイツ連行しちゃいなさい。あのライダーはエンジンに任せるとして、私は"ネズミ狩り"に戻るとするわ」

 

 

『ネズミ?……ショッカーのデータベースに侵入しようとしていた、firstの仲間の生き残りか……まだ捕らえられていなかったのか?』

 

 

アベル「あと一歩ってとこまでは追い詰めたわよ。ただ、ウィザードが現れたと知らせが届いて受け取っている隙に逃げられてねぇ……ま、深手は負わせてあるし、隠密部隊にも追撃は任せてあるから、見付かるのは時間の問題だろうけど」

 

 

『……どうだかな』

 

 

大して焦りのないアベルの言葉を一笑しながら仮面を取り外してレルドに戻ると、呆然と立ち尽くすショッカーユーゲントの少年達の下に歩き出し、アベルもそんなレルドの背中を見据えて鼻を鳴らしながら隠密部隊を連れて逆方向に歩き出す。そして、飛鳥はそんな二人の様子を緊張した面持ちで伺いながら、誠を連れて急ぎ足でその場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

―山岳道路―

 

 

―ブゥウオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオオオォンッッッッ!!!!!!!―

 

 

一方その頃、謎のライダーが駆る白いマシンを追って山道をエクセリオンで追走するエンジンだが、前へ前へ出ようと幾ら試みても、その度に白いマシンに阻まれて中々追い越す事が出来ない膠着状態に陥っていた。

 

 

―キキィイイイイイッ!!―

 

 

エンジン『ッ!クッソッ……!何なんだよコイツっ……!!』

 

 

『…………』

 

 

思うように走る事が出来ず、次第に苛立ちを募らせて熱くなり、マシンを操る操縦も荒々しくなっていくエンジン。対する謎のライダーはそんなエンジンの様子の変化を伺いながら、次の急カーブを前に僅かに白いマシンの車体を左へと逸らした。

 

 

エンジン『っ!今だっ、貰ったっ!!』

 

 

ED『ま、待て進!このままのスピードではっ――!』

 

 

それを好機と取ったエンジンはエンジンドライバーの警告も聞かず素早くギアを切り替えながら一気に加速し、白いマシンが空けた右側を駆け抜けてそのまま急カーブを曲がり切ろうとするが……

 

 

―ギキィイイイイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイイィッッッ!!!!―

 

 

エンジン『ッ?!し、しまったっ……!!』

 

 

急カーブを曲がろうとした瞬間、エクセリオンの後輪が突如横滑りして車体が勢いよく回転し出したのだ。慌ててハンドルを切り態勢を立て直そうと試みるエンジンだが、謎のライダーはその隙にエクセリオンの横を余裕げにすり抜けて追い抜き、エクセリオンから離れた場所に車を停止させた。

 

 

―キキキキィイイイイイイイイイイイイイイッッッッ!!!!―

 

 

エンジン『ッ……!……危なかったっ……』

 

 

ED『進!奴が……!』

 

 

エンジン『え……?』

 

 

危うくガードレールを突き抜け兼ねなった事にゾッとするエンジンだが、エンジンドライバーの声に釣られて前を向くと、其処には、謎のライダーがゆっくりと白いマシンから降りる姿があり、それを見たエンジンもエクセリオンから降りて謎のライダーと対峙していく。

 

 

エンジン『お前は……』

 

 

『…………』

 

 

先程までカーレースを繰り広げた謎のライダーの姿を、エンジンは目に焼き付けるように観察していく。

 

 

先程一目見た特徴に加え、ボディに手足のグローブとブーツ、上下に鋭い牙が覗く形状のクラッシャーが青に近い緑色に染まり、その手足には何故か引き千切った跡のような鎖を垂らす手枷と足枷を身に付けている。

 

 

そして、先程は身体の右側しか見えなかった為に分からなかったが、左側の複眼部分に"痛ましい傷跡"を残した謎のライダーは、エンジンをしばし見つめた後に深く溜め息をこぼした。

 

 

『今のレース、アレがお前の全力か?……だとしたら、とんだ期待外れだな……』

 

 

エンジン『っ!何だとっ?』

 

 

落胆した様子でそう告げる謎のライダーに思わず食って掛かるエンジンだが、謎のライダーはまるで射抜くような眼差しでエンジンを見据えたまま……

 

 

『今までのお前はせいぜいショッカーの飼い犬だったが、その方がまだマシだった。……今のお前は、今の己の在り方に疑問を抱き、戦う意志も、覚悟も揺らいでいる』

 

 

エンジン『ッ……!それ、は……』

 

 

そう言われ、エンジンの脳裏を過ぎるのはショッカーの非道を目の当たりにし、本当に自分の行いが正しいのかと迷い立ち尽くすだけだった自分の姿。その事を突かれて言い淀み、顔を背けるエンジンを見て謎のライダーも無言のまま白いマシンに乗り込み、

 

 

『そんなお前を倒した所で、俺に得るものは何もない―――戦う価値もないという事だ……』

 

 

―ギュイィイイイイイイイッ!!!ブゥウオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオオオォンッッッッ!!!!!―

 

 

エンジン『!ま、待てっ!』

 

 

そう言い残しながらマシンを再び走らせ、謎のライダーはエンジンの静止の声も振り切って何処かへと走り去っていき、謎のライダーを取り逃がしてしまったエンジンはやり場のない感情をぶつけるようにエクセリオンに拳を叩き付けてしまう。

 

 

エンジン『クッソ……何なんだ、アイツは一体っ……』

 

 

ED『――進、今のライダーについては後回しにした方がいい。それよりも、緊急事態が起こった』

 

 

エンジン『……?緊急事態……?』

 

 

ED『ああ……飛鳥が桜崎誠と共に、行方をくらましたらしい……』

 

 

エンジン『?!何だってっ?!』

 

 

あの謎のライダーが何者なのか考える暇もなく、エンジンドライバーから新たに聞かされた衝撃の情報にエンジンも驚愕してしまうが、其処で何かを思い出したように慌ててエクセリオンに乗り込み、街に戻る為に引き返し走り出していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―ザッ……―

 

 

零「―――そうかよ……"次"は、アイツって事か……」

 

 

 

 

そして、エクセリオンが走り去った後、茂みの向こうからフラリと姿を現した男……先程、進と飛鳥の写真を撮っていた零は路上に出てエクセリオンが走り去った方向をジッと見つめた後、それとは反対の方向に謎のライダーが走り去っていった方角を、まるで仇でも見るような鋭い目付きで睨み付けていたのだった。

 

 

 

 

 

 

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