スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダーthird   作:風人Ⅱ

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スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダーthird⑥

 

 

―港・倉庫街―

 

 

進「――――…………ッ…………ぁ…………?」

 

 

無数のコンテナ群がズラリと立ち並ぶ、青い海が見える人気のない港。其処に停められたエクセリオンの車内にて、いつの間にか気を失っていた進が重たい瞼を開いて漸く目を覚まし、額を抑えながら僅かに頭を起こしていく。

 

 

 

進「……ッ……ここ、は……」

 

 

ED『――気が付いたかね、進』

 

 

進「……!ドライバー、さん……?」

 

 

まだ意識が覚醒し切れない進の視界の端に、いつもの定位置である車内のダッシュボードに収まるエンジンドライバーの姿が映り、思わず身を起こそうとする進だが、エンジンドライバーはそれを止めるように静止の声を掛ける。

 

 

ED『まだ横になっていた方がいい。ハイウェイのデメリットで身体に負担が掛かっているのもそうだが……今の君には、とにかく休息が必要だ』

 

 

進「……っ?休息って……いや、それより一体なに、が――――」

 

 

何故自分が気を失っていたのか、その訳をエンジンドライバーから聞き出そうとして、不意に、今ままで起きた出来事が進の脳裏を過ぎった。

 

 

燃え盛るショッカー警視庁……。

 

 

カツラとの最期の通信と、チーターエスカルゴとの戦い……。

 

 

そして……炎に包まれる警視庁から落ちていく、飛鳥の最期の表情が―――。

 

 

―バタァンッ!!―

 

 

ED『進ッ!!』

 

 

誠「――うわぁッ?!し、進さんっ?!」

 

 

全てを思い出し、直後に進はエクセリオンの車内から扉を開けて勢いよく外へと飛び出した。背中に自分を呼び止めるエンジンドライバーの声、扉を開けて車の外に出てから真横から聞こえた声……エクセリオンの外で風に当たっていたらしい誠の驚きの声が響くが、進は構わず慌てた様子で周囲を見回しショッカー警視庁を目で探すと、自分の現在地を瞬時に理解してショッカー警視庁がある方角へと振り返り、その先に広がる遠方の光景を目にして言葉を失ってしまう。何故なら……

 

 

 

 

 

―――ショッカー警視庁が立っていた筈の場所。其処には、周囲一帯が焼け野原と化し、建物の残骸が辺りに転がるだけで建物の原型が何一つ残らない、巨大なクレーターのみが存在していたからだ。

 

 

進「…………ぁ…………そん、な…………」

 

 

その凄惨な光景を目の当たりにし、膝から崩れ落ちるように力無くその場に座り込んでしまう進。そして、そんな進の下にエンジンドライバーを手にした誠が静かに歩み寄り、誠の手に握られるエンジンドライバーが進に向けて重たく口を開いた。

 

 

ED『進……』

 

 

進「……ドライバーさん……誠……課長は……飛鳥はっ……」

 

 

誠「……それ、は……」

 

 

この場にいない飛鳥とカツラの安否を問い掛ける進に、誠とエンジンドライバーもどう説明するべきかと迷い言葉を探すが、其処へ……

 

 

「―――カツラ・ヨウランはお前達を逃がす為、署内中に仕掛けた爆弾を一斉に起爆させて改造人間達共々逝った……朝霧飛鳥も、あの高さから落ちれば先ず助からないだろう」

 

 

進「……!」

 

 

そんな二人の代わりにそう答えるように、不意に進達の背後から聞き慣れない男の声が響いた。そして、その声に釣られて進達が振り向いた先に、エクセリオンから少し離れた場所に停められた白い車型のマシン……トライサイクロンと、そのマシンの方から歩み寄って来るサングラスを掛けた黒髪の青年の姿があった。

 

 

進「お前は……」

 

 

「……カツラ・ヨウランには感謝すべきだろうな……あの男が犠牲になってくれたおかげでショッカーの追撃の手もなく、俺達はこうして無事に逃げ切る事が出来た……奴の死にも意味があったと言う事だ」

 

 

進「ッ……!なんだよそれっ……意味があるとかないとかの問題じゃねぇだろっ!!何も出来なかったっ……!!助けられたかもしれないっ、目の前にいた筈なのにっ……!!なのに課長はっ……飛鳥はっ……!!!」

 

 

淡々とした一言でカツラ達の死を片付けようとするサングラスの青年の言葉に、進が思わず詰め寄って胸倉に掴み掛かる。だが、二人を失ったショックによりグチャグチャな心情から言葉を詰まらせて俯き、青年は無言のままそんな進の腕を掴んでいく。

 

 

「到底納得出来ないか?だが、それが今在るこの世界の姿だ……意味もなく命という命が奪われ、奪われた側の人間は今お前が抱いてる絶望を抱えたまま希望もなく生き続け、そんな奴等を他所に、奪った側の連中は当然の事だと嗤って蔓延り続ける……その結果、反ショッカー同盟のような人間が増え続け、あのクーデターのように無謀にもショッカーに挑み、誰の記憶にも残らず、自分の死に本当に意味があるのかも分からないまま死んでいく……そんな中で、あの二人の死には意味があっただけまだマシな方だ……そんな世界が続くんだよ。これまでも、これから先もな……」

 

 

進「……ふざ……けんなっ……ふざけんなッ!!!何が意味だッ!!何がマシだッ!!そんな簡単に人の死が認められる世界が本当なものかよッ!!!そんなんであの二人の命を奪った免罪符になる訳がねぇッ!!!なっちゃいけないだろうがァああッ!!!」

 

 

「だからなんだ?だったらどうする?此処で幾ら喚こうが、お前の声は何一つ届かず、この世界はこれから先も続いていく……ショッカーが在る限り、この絶望は決して終わらない……それだけが真実、正義なんだよ」

 

 

進「ッ!!」

 

 

そう、進が幾ら納得出来ずとも、この世界での正義はショッカーしか持たない。物事の基準を決められるのは支配者であるショッカーだけ。だから、ショッカーが正義と認めればソレが真の正義。ソレは人の命も例外ではないのだ。それでも……

 

 

進「―――違う……そうじゃねえだろ……」

 

 

それでも、進はその事実を真っ向から否定し、青年の顔をまっすぐ見据えた。

 

 

進「正義ってのは、物事の全部を決める為の基準なんかじゃないっ……!罪を犯した人間に、法律の下で、それ相応の罰を正しく与える手助けをする為のもんだっ……!その為に俺たち警察官がいるっ!市民が安心して暮らせるようにっ!皆の幸せを守る為にっ!だから、俺はっ……!!」

 

 

「…………」

 

 

進「俺は……正義なんてもんを掲げて、人の命を奪う事を正当化するショッカーを絶対に認めないっ……!!飛鳥が最期まで望んでいたように……俺は……俺はっ、刑事として、仮面ライダーとしてっ……!!市民の自由と平和の為にっ……この力を使うっ……!!!」

 

 

誠「……進さん……」

 

 

飛鳥やカツラの仇だけじゃない。独善的な正義なんてものを掲げ、ただただ非道の限りを尽くすショッカーへの激しい怒りで青年の胸倉を掴む手に力を込め、ショッカーと戦う決意を改めて固める進。そして、そんな進の言葉を聞いた青年はジッと進の目を見つめた後、進の両腕を掴んで静かに離させ下ろしていく。

 

 

「それがお前の答え、か―――なら、俺もお前にこの力を貸そう……同志としてな」

 

 

進「……え?」

 

 

青年がそう口にしたのは、進も予想していなかった意外な返事だった。しかし、青年は唖然とした表情を浮かべる進を他所に乱れた服を整えつつ、サングラスを外して初めてその素顔……顔の左側をわざと隠すように髪を下ろし、右側だけ晒した青目で進を見つめながら口を開いた。

 

 

「さっきは試すような言い方をして悪かった……非礼を詫びさせてくれ。俺の名は、黒井 響志郎……お前と同様、元はショッカーの戦士として戦い、今はショッカーと戦っている仮面ライダーの一人だ」

 

 

進「……仮面、ライダー……」

 

 

目を伏せて、僅かに頭を下げながら謝罪し名を名乗る青年……"黒井 響志郎"が口にした仮面ライダーの名を思わず口ずさみ、改めて、今の自分の立場の不慣れさを感じ入る進。漸く落ち着きを取り戻して気付いたが、今まで狩る側として対峙してきたライダーとこうして共にいるのは奇妙な縁だと、そんな事を考える進の背後で、エンジンドライバーがいつもの落ち着いた口調で話し出す。

 

 

ED『どうやら彼は、君の中のショッカーの命令に従えない反発心と迷いを悟り、自分と同じようにショッカーから離反すると見抜いて、先の誠との戦いで私達に接触してきたらしい』

 

 

響志郎「……あのカーチェイスも、お前達をショッカーの目から遠ざけ、お前の中の本心を引き出すのが目的だった。そして、その後もお前達がショッカーから抜け出した時の手助けをする為に、影でお前達をマークしていたが……」

 

 

進「マークって……じゃあ、あのクーデターの時に現れたのは……」

 

 

響志郎「偶然じゃない。お前達を逃がす為の逃走ルートも確保出来ていたのも、お前達の離反を予期しての事だった。……だが、カツラの手によってあのクーデターが起こり、殺され掛けていた反ショッカー同盟の構成員達を裏で逃がすのに手間取り、お前達の助けに間に合う事が出来なかった……俺がもう少し早く駆け付けていれば、カツラ・ヨウランは無理でも、せめて彼女だけでも救えていたかも分からない……すまなかったな……」

 

 

進「…………。別にアンタが謝る事じゃないだろう……飛鳥を救えなかったのは、俺の責任だ……それだけは、他の誰にも背負わせるつもりなんてねぇよ」

 

 

響志郎「……そうか……強い男だな、お前は……」

 

 

響志郎を責める訳でもなく、飛鳥を救えなかったのは己の責任だと語る進の姿を見て、何処か羨むように微笑する響志郎。すると、そんな二人の話を聞いていた誠が話の間に割って入り、響志郎に向けて口を開いた。

 

 

誠「あの……ところで響志郎さんは、これからどうする気なんですか……?さっきもその事を聞いて、進さんが目覚めるまで待てって言ってましたけど……俺達は一体、これからどうすれば……」

 

 

そう、進が自分達と共にショッカーと戦う決意を固めてくれたのは良いが、問題はこれからだ。進の拠点であった特事課は警視庁と共に消え、カツラのおかげでショッカーの追撃も遅れているようだが、じきに向こうも部隊を整えて追ってくるに違いない。その前に別の何処かに身を隠したいが、ショッカーの監視の目が光る街中では見つかるのも時間の問題でしかない。その事について心配げに問い掛ける誠だが、響志郎は顎に手を添えて少し考える素振りを見せた後……

 

 

響志郎「そうだな……行き先についてならアテがあるから心配は入らないが……その前に、二人に一つ聞きたい……お前達は、この世界がどのようにして生まれたか、何処まで詳しく知っている?」

 

 

誠「え……何処までって……ブレイク・ザ・ワールドの事をですか?」

 

 

進「どのようにして生まれたかって……そんな重々しい感じで聞く事か?皆が知ってるような事だろ?ある世界を基点に発生した謎の光を発生源に、数多の平行世界が引き寄せられて融合してしまった多元世界……それが俺達の世界だって―――」

 

 

響志郎「そう。一般的には其処までの情報が広まり、皆の中では既に常識の一部として浸透され、認識されている……だが、一度でも可笑しいと疑問に思った事はないか?数多の世界が融合した原因が、その謎の光である事は分かっているのに、その光の発生源である『この世界の基点となった世界』については、誰も知らないという事に」

 

 

進「……この世界の、基点となった世界……?」

 

 

それはつまり、ブレイク・ザ・ワールドが最初に発生した世界の事か。確かに、自部達は今あるこの世界をあるがままに受け入れて生きて来たが、この多元世界の基点となった元の世界については誰も知らないし、知ろうという気さえ起こらなかった。しかし、今その話が何か関係あるのだろうかと揃って怪訝な顔を浮かべる進達だが、響志郎は空に目を向けて話し続ける。

 

 

響志郎「本来、他の世界と他の世界が融合して一つの世界を形作るなんて不可能に近い話だ。そんな真似をすれば、その世界にしか存在しない独自の事象が必ず邪魔をして噛み合わず、互いの世界の自浄作用が反発し合って対消滅、運良く融合出来たとしても此処まで調合性の取れた世界が生まれる事は先ずありえない……。それが無数の平行世界となれば尚更だ」

 

 

ED『……成る程。つまり君が言いたいのはこういう事だね?本来であれば不可能に近いこの多元世界の誕生は、自然や偶然などと言ったモノによって生まれた訳ではなく、"何者か"の陰謀によって故意に生み出されたモノだと……』

 

 

誠「えっ……?」

 

 

進「陰謀って……まさか……」

 

 

響志郎「……そうだ……その"何者か"こそが、この世界の基点となった世界―――firstの世界で暗躍し、ブレイク・ザ・ワールドという事象を引き起こした事で、今あるこの世界を支配した組織……ショッカーの陰謀だったという事だ」

 

 

「「なっ……」」

 

 

ブレイク・ザ・ワールドを引き起こした元凶……それが今この世界を支配下に置くショッカーの手によるモノだった。そんな話を突然聞かされ動揺する進と誠だが、響志郎は構わず説明を続けていく。

 

 

響志郎「本来、ショッカーが此処まで勢力図を広めて世界を支配するなどありえない事の筈だった。何故ならショッカーには、元の世界で奴らにとって仇敵と言える者達……firstやsecondを始めとしたライダー達と、彼等に協力する仲間達という抑止力的存在があったからだ……しかし……」

 

 

進「……そのfirstとsecondの死をきっかけに、ショッカーを止められる存在がいなくなった事で、ブレイク・ザ・ワールドを引き起こすまでの事態になっちまったって事か……」

 

 

響志郎が言わんとしてる事を察し、進は顎に手を添えてそう推察する。

 

 

firstの世界の事情がどうだったかまでは分からないが、firstとsecondは今在るこの世界でも伝説として語り継がれる程の存在だ。

 

 

その二人を失った事による影響力の結果がこの世界の姿なのだとしたら、それだけで、firstとsecondの存在が如何に大きかったかを物語っている。

 

 

響志郎「それがこの世界が生まれた経緯……つまりこの世界は、初めから全てショッカーの思惑によって都合の良いように作られた奴らの為の『楽園』……それが、お前達が今まで目にしてきたこの世界の正体だ」

 

 

誠「ッ……ふざけてるっ」

 

 

進「要するに、何もかも全部連中のせいって事かよ……」

 

 

響志郎「ああ……だが、それは同時に、お前達が救えなかった連中を本当の意味で救えるチャンスでもある」

 

 

進「……えっ……?」

 

 

全ての元凶はショッカーにある。その結果、カツラや飛鳥を始めとした多くの人が死んだのだと知り改めて怒りを滾らせる進と誠に響志郎が告げたのは、二人の思考を停止させるだけの衝撃を孕んだ言葉。その耳を疑うような台詞に思わず唖然となる二人を他所に、響志郎は構わず話を続けていく。

 

 

響志郎「ブレイク・ザ・ワールドによって生み出されたこの歪んだ世界は、本来なら存在しない筈の世界……この世界の中で起きた出来事は全て、正しい歴史の中にはない事柄という事だ。つまり、もしこの世界を構築している無数の平行世界の融合を解き、元の世界に戻す事が出来れば―――」

 

 

誠「―――ッ!もしかして……!」

 

 

進「この世界と一緒に、その中で起きた間違った歴史も消えてなくなる……飛鳥や……課長達の死が、なかった事になるってのか……?」

 

 

響志郎「あくまでも可能性の話だがな……しかし、限りなく現実味のある可能性の話だと、俺はそう思っている」

 

 

進「……ぁ……」

 

 

ショッカーの手によって生み出されたこの世界を元に戻す事で、飛鳥やカツラ達の死をなかった事に出来るかもしれない。その可能性を示されて胸の内に渦巻いていた絶望に一筋の希望の光が差し、進の顔にも何処か救われたかのように余裕が取り戻され始め、響志郎はそんな進と誠の顔を交互に見て説明を続けていく。

 

 

響志郎「俺達の戦いとは、その可能性を現実のモノとする為の戦いでもある……そしてその為に、各地に生き残るライダー達が既に、"firstとsecond"と共にショッカーへ反旗を翻そうと結集し始めている」

 

 

進「っ!firstと、secondと共にだって……?」

 

 

誠「だ、だけど、二人は確かショッカーに殺された筈じゃ……?」

 

 

響志郎「……表向きにはそうなってる……だが実際には、二人の魂はまだ生きている」

 

 

firstとsecondがまだこの世に存在している。そう言いながら響志郎は、二人の間をすり抜けてその内容を説明していく。

 

 

響志郎「二人の肉体は確かに滅んだ……だが、firstとsecondは死の間際、自分達の魂を電子頭脳に移す事で生き永らえ、今も密かにとある街に身を潜めてショッカーとの最終決戦に備え準備を進めている……。その街こそが、ショッカーの手を免れた人々がライダーと共に暮らし、firstとsecondの魂が宿る地―――俺達はその街を、『ライダータウン』と呼んでいる」

 

 

進「……ライダータウン……」

 

 

響志郎「各地の生き残りのライダー達はその街を目指して集結し、ショッカーへの反撃の狼煙を上げようとしている。……俺はその事をライダー達に伝え回る為に旅を続けていたが、その役目もお前達二人に伝えたので最後となった」

 

 

だから、と響志郎は二人の方に振り返り、進と誠の目を真っすぐと見据える。

 

 

響志郎「その役目を終えた今、俺もライダータウンを目指しショッカーとの決戦に参加するつもりだ……お前達は、どうする?」

 

 

誠「どうするって……そんなの、決まってるじゃないですか」

 

 

進「ああ……ショッカーを倒して、このふざけた世界を元の形に戻す……それで飛鳥や課長達が戻ってくるって言うなら、やらない理由の方が見つからないだろ……!」

 

 

響志郎「……そうか……そう言ってくれると、信じてた……」

 

 

ブレイク・ザ・ワールドを引き起こした元凶であるショッカーを討ち倒し、全ての世界を元の形に戻す事で今度こそ飛鳥達を救い出す。決意を新たに自分達も共に戦う事を告げた進と誠を見て響志郎も微笑し、早速ライダータウンに向かう道を教える為の話し合いを行おうと二人に歩み寄ろうとした、その時……

 

 

 

 

 

 

『―――漸く見付けたよ……。こんな所に居たんだね、裏切り者さん達?』

 

 

「「「……?!」」」

 

 

 

不意に、そんな三人の姿を見てほくそ笑むかのような声が何処からか響き渡った。その声を聞き、進と誠は声のした方へと振り返り、響志郎が目の前に視線を向けると、其処には……

 

 

 

 

 

 

V3『――馬鹿な真似をしたものだね……この世界でショッカーを敵に回して逃げ切れるなんて、本気でそう思ってたの?』

 

 

バロン『愚かだからこんな真似をするんだろ?偉大なショッカーの素晴らしさが分からないんだ……だったらそれを分からせてやるのも、同じライダーとしての努めさ……』

 

 

遠くからゆっくりと、三人の下に向かって歩み寄って来る二人のライダー……緑色の複眼とマフラー、暗めのダークトーンのボディに、濃い金色のグローブを身に付けたライダー……"風見 真司"が変身する『仮面ライダーV3』と、首に巻いた赤いスカーフを特徴とし、茶色いボディと黄色い瞳を持つライダー……"刃山 翔"が変身する『仮面ライダーバロン』の姿があった。

 

 

進「っ!アイツ等は……!」

 

 

響志郎「……歴史改変の影響によってショッカーに敗れ、奴等に捕まり洗脳されたライダー達――ショッカーライダーだ……」

 

 

誠「ッ……アイツ等まで投与してくるなんて……向こうも本気で俺達を潰すつもりかっ……」

 

 

ショッカーとの戦いの中で既に交戦経験があるのか、苦虫を噛み潰したような険しい表情でショッカーに洗脳されたV3とバロン……ショッカーライダーを睨み据えて変身しようとする誠だが、それを横から響志郎が腕を伸ばし制止した。

 

 

誠「響志郎さん……?」

 

 

響志郎「まだ魔力が完全に回復し切っていないんだろう?その状態で戦いに出るのは危険を伴う……此処は俺に任せろ」

 

 

誠「えっ……で、でも……!」

 

 

響志郎「この中で回復能力に長けているのはお前だ。恐らく、これから先の旅でお前の力に頼る場面も必ず多くなる。その為にも先ず、お前は自身の回復に専念するんだ」

 

 

誠「ッ……けど、俺はまたっ……」

 

 

響志郎「……先の警視庁の件で、逸る気持ちも分かる……だが、俺達はもう同志なんだ。その重みをお前だけに背負わせるつもりもなければ、これ以上増やさせるつもりもない……頼ってくれ、俺達を」

 

 

誠「……!」

 

 

先の警視庁での戦い。其処で何も出来なかった事に密かに自責の念を感じていたのか、まるでその心情を読み取ったかのような響志郎の言葉に誠も驚きを露わにハッとなり、響志郎と僅かに視線を交わした後、少しだけ考える素振りを見せた後に控え目に頷きながら、進の手にエンジンドライバーを握らせて静かに背後に下がっていき、その気配を背中で感じ取った二人はV3とバロンと対峙していく。

 

 

進「悩める少年のナイーブな心のケアを忘れずか……見掛けによらず年長者らしい事するんだな、アンタも」

 

 

響志郎「年長者と呼ばれる程じゃない。俺もまだ二十そこいらの若造だ。……最も、俺よりお前の方が、あの少年にもっと上手い言葉を掛けられたのではないかと思うがな……」

 

 

進「謙遜すんなよ」

 

 

そう言って微笑しながら、エンジンドライバーを腰に巻き付ける進。それを横目に響志郎も微かに苦笑すると、V3とバロンを見据えながら瞬時に"戦士の顔"へと切り替わり、上着を翻して腰に装着したベルト……タイフーンのバックルを撫でながら露出させていく。

 

 

響志郎「油断はするな……。洗脳されているとは言え、相手も俺達と同じ条件を持つライダーだ。奴等を倒しても、また別のライダーが追って来る……俺達以外のライダーはみな敵だと思え」

 

 

進「……ああ……いくぜぇッ!」

 

 

―ギギギギギィッ!―

 

 

バックルのギアを回してドライバーのエンジンを起動させ、懐から取り出したシフトソニックをレバーモードに切り替えて右腕のブレスに装填する進。

 

 

そして、それに続くように響志郎もゆっくりと左腕を斜め右……まるで、firstのZERO driveを彷彿とさせるような構えを取りながらベルトの右腰の突起部、コンバーターを右手で押し込んでバックル部を開き、風車を露出させると共にそのままゆっくりと円を描くように両腕の位置を入れ替え……

 

 

進「……変身ッ!」

 

 

ED『ENGINE!TYAAAAPE!SONIC!』

 

 

響志郎「変っ……身ッ!」

 

 

―ジャキィイッ!!―

 

 

響き渡る電子音声と共に、進はエンジンに、響志郎は右腕でsecondを彷彿させるL字の構えを取りながら左手で左腰のコンバーターを押し込み、タイフーンの風車を勢いよく回転させていく。

 

 

直後、何処からか黒い風が吹き荒れて響志郎の身体に収束すると共にライダースーツを形成していき、響志郎の身体に身に纏われると、スーツと同様に黒い風で形成されたマスクとクラッシャーを手にして顔に装着していき、手足に鎖の垂れる枷を身に付け、左目に痛ましい傷痕を残したライダー……『仮面ライダーthird』へと変身し、二人は変身完了と共にゆっくりとV3とバロンと対峙していく。

 

 

V3『まだ無駄な抵抗を続けるって言うのかい?なら良いよ……どっちが真の3号の名に相応しいか……骨の髄まで思い知らせた上で、君達もショッカーライダーにしてあげようッ!』

 

 

third『―――良いだろう。ご指名とあらば相手をしてやる……進、V3は俺が引き受ける。お前はバロンを頼む』

 

 

エンジン『了解だ……いくぜ、ひとっ走り付き合えよッ!』

 

 

バロン『ほざけッ!』

 

 

『Phoenix Form!』

 

 

啖呵を切るように決め台詞を口にするエンジンを一蹴し、電子音声と共に巨大な赤い羽根を背中から生やし、西洋風の剣を手にしたバロン・フェニックスフォームがエンジンに斬り掛かる。

 

 

そしてその様子を尻目に、thirdとV3は相手の動きを探るかのように悠然とした足取りで立ち回り、直後、V3は素早く右拳を、thirdは右脚を鋭く振り上げてほぼ同時に激突し、戦闘を開始していくのであった。

 

 

 

 

 

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