スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダーthird   作:風人Ⅱ

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スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダーthird⑧

 

 

──ジークローバーX8の襲撃に遭い、響志郎達とも引き離され窮地に陥っていた所を阿南祐輔とミユ・ナカジマに救われた進。

 

 

一先ず他のショッカーライダーに見つからぬように茂みに隠したエクセリオンの車内に二人を搭乗させた後、改めて自己紹介を済ませた後にお互いについて話し合っていた。

 

 

進「──って事は……何だ?俺とアンタは、この世界が生まれる前から既に知り合いだった、って事か?」

 

 

祐輔「まあ、ね……進さんや他の人達は歴史改変の影響を受けてるせいでその記憶はないみたいだけど、実際僕らは元の世界で何度も会った事があるんだ」

 

 

 

主にある人に無理矢理連れられて、と付け加えて苦笑する祐輔。

 

 

しかし進は祐輔からそんな話を聞かされても困惑を顕わにするだけで実感を持てず、ただ訝しげな表情を浮かべ俯いてしまう。

 

 

進「その……悪いが、俺にはアンタとこうして話してても実感湧かないって言うか……正直、アンタの話の全部を使用することは出来ねぇ……」

 

 

祐輔「うん……それは無理もないと思う。僕も進さんの立場だったら、すぐには全部を全部、受け入れられるとは思えないし「だけど……」……え?」

 

 

今はこの世界の住人として存在する進の立場からして、それも仕方がない事だと頷く祐輔だが、進はそんな祐輔の言葉を遮るように声を漏らし、祐輔の顔をまっすぐ見て言葉を紡ぐ。

 

 

進「それでも……何でかな……話の内容はともかく、アンタ自身のことは信用出来る……自分でも良くは分からないんだが、そう思う自分がいるのも確かだ……」

 

 

祐輔「……進さん……」

 

 

進「だから、まあ……俺は、そう思った自分の直感を信じて、アンタ等の事を信じたい……自分の心のギアに従うって、課長や飛鳥にもそう誓ったしな……」

 

 

そう吐露しながら、自分の左胸を鷲掴んでカツラとの最期の通信や飛鳥の言葉を思い起こしていく進。

 

 

祐輔もそんな進の横顔を見て何かを感じ取ったのか、僅かに微笑を浮かべて「そっか……」と小さく返すと、其処へ後部席で二人の話が終わるのを待っていたミユが身を乗り出して二人の会話に割って入った。

 

 

ミユ「兄ちゃん達、今はそんな悠長に話してる余裕ないよ!隠密部隊がいつ追い付くかも分からないんだし、早く話を進めて此処から離れないと……!」

 

 

祐輔「あ、うん、分かってるっ。……で、僕とミユちゃんが進さんと接触しようと思った理由なんだけど……進さん達が一緒にいた、thirdっていう仮面ライダーの件が関係しててね……」

 

 

進「……?響志郎が……?」

 

 

祐輔の口か出た思わぬ名前に思わず面を食らった顔を浮かべる進だが、そんな進とは対照的に、祐輔は真顔のまま前を向いて話を続けていく。

 

 

祐輔「多分、その響志郎って人から話は聞いてると思うけど、この世界の基盤となった世界……firstの世界じゃショッカーと戦い続けてたライダー達がいたんだけど……その中に、thirdって仮面ライダーは存在してないんだよ」

 

 

進「……えっ?」

 

 

firstの世界に、"third"という名のライダーは存在しない。突然そう聞かされ思わず我が耳を疑い祐輔に聞き返す進に、ミユが祐輔の話を補足するように説明し始める。

 

 

ミユ「アタシも滝兄ちゃん……firstの世界出身で、皆と一緒にショッカーと戦ってきたけれど、thirdなんて仮面ライダーの事は知らない……。もしかしたらアタシ達が知らないだけで、実際は元々アタシ達の世界にいたって可能性もあるけど……」

 

 

祐輔「でも、thirdの出現と、滝さんと十文字さんの死……其処から発生したブレイク・ザ・ワールドが、全くの無関係だとは思えなくてね……。だから僕とミユちゃんはthirdについて調べる為に、ショッカーの本部のデータベースに侵入して情報を集められないかって密かに動いてたんだけど……」

 

 

進「は……?データベースに侵入って、ようするにハッキングって事かっ?」

 

 

まさかそんな、ショッカー相手に何処ぞのスパイ映画みたいな真似事を二人だけでしていたのかと思わず顔を引き攣らせてしまう進だが、祐輔もミユもそんな進の言葉に揃って首を横に振った。

 

 

祐輔「流石に僕達だけでって言うのはね……。正直その手の知識は僕らも皆無だから、出来れば阿南家の力を頼りたい所なんだけど、この世界でも阿南家が健在なのか分からないし、もしかしたらこの世界の様子じゃショッカー側に成ってる可能性も否めないから下手に連絡も取れなくて……」

 

 

ミユ「だから、ショッカーと敵対してる進兄ちゃん達の助力を借りたくてこうして接触しに来たんだけど……進兄ちゃんの知り合いに誰か、システム系に精通してる人って知らないかな?」

 

 

進「システム系に精通って、んな急に言われてもっ……あっ……」

 

 

大体、仮にも元公務員の自分にそんな犯罪技術に長けた知り合いがいないか普通聞くかと呆れつつも、進の脳裏にふと一人の少女……自分と同じ特事課に所属し、警視庁でのクーデターの際にカツラの手によって逃されたと言う『彼女達』の顔を思い出し、思わず間の抜けた声を漏らしたのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―郊外・鉱石場―

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!!バキッ!ズバァアッ!―

 

 

「ハァアッ!タァッ!」

 

 

『イーッ?!』

 

 

『クッ、ウォオリャッ!!』

 

 

『グォオッ?!』

 

 

──そして、夜が明けてから翌日。市街から遠く離れた地にある荒野にて現在、ショッカーの大群に追われ囲まれる二人の戦士の姿があった。

 

 

一人はライドブッカーに似た剣を用いて戦いながらも怪我を負っているのか、心無しか動きが鈍い全身黒甲冑姿の仮面ライダー。

 

 

もう一人はそんな黒甲冑のライダーを守りながら戦い、大振りに振るう剣で周りを囲む戦闘員達を纏めて斬り裂く、仮面ライダーとは違い漆黒のブーツにスカート、漆黒のジャケットにプレートアーマー、背中には黒いマントを靡かせ、顔に黒いバイザーを装着した年端もいかぬ金髪のポニーテールの少女。

 

 

そしてそんな二人と相対するのは、無数の戦闘員と怪人達を従えて悠然と佇む仮面の戦士……"シュラ・ツヴァルト"と"銀翼リオン"が変身する『仮面ライダーGA』であり、GAは未だ抵抗を続ける二人を見て軽く鼻を鳴らした。

 

 

GA(リオン)『いい加減、無駄な抵抗は止めたらどうスッか?紲牙さん、アリサさん?』

 

 

GA『既にショッカーはお前達を最優先捕獲対象として捕捉している。何処へ逃げても、抵抗しても無意味でしかないぞ』

 

 

『クッ……!』

 

 

嘲笑を含めてそう語るGAに、怪人の武器とせめぎ合う黒甲冑のライダー……"輝晶紲牙"が変身する『仮面ライダーディジョブドダークネス』は険しい顔を浮かべ、そんなディジョブドDをフォローしながら黒い戦士の少女……"アリサ・バニングス"が変身する『ライダー少女クロノス』は自分達の周りを包囲する怪人達を睨み付けて牽制しつつ、両手に握るクロノスブレイドに向けて叫ぶ。

 

 

クロノス「クロノスブレイドッ!まだ退路は見付かんないワケッ?!これ以上の時間稼ぎは私も紲牙も持たないわよッ?!」

 

 

CB『言われなくともやっている!しかし、負傷してる紲牙を連れてこの包囲網を突破するとなると……』

 

 

GA(リオン)『出来ないッスよねえ?だって此処まで逃げるまでに度重なる戦闘を繰り返して、殆ど体力も残ってない筈ッスから』

 

 

GA『最も、後ろの奴を見捨てて逃げるって言うんならお前達だけでも逃げられるかも分からないがな……どうする?時の神の後継者?』

 

 

GAがそう問い掛ける合間にも、後方から更にショッカーの増援が到着してクロノスとディジョブドDの包囲網に加わっていく。

 

 

それを見て、クロノスも自身の背後で腕を抑えるディジョブドDを一瞥し、何かを思案するように瞼を伏せるが、それも一瞬。力強く瞼を開き、クロノスブレイドの切っ先をGAに突き付けた。

 

 

クロノス「冗談……こっちだってね、伊達や酔狂なんかでコイツを助けた訳じゃないのよ。一度助けると決めたからには、何がなんでもソレを貫き通す……!どれだけアンタ達に追い詰められても、アタシのその意志は何一つ変わらないわッ!」

 

 

ディジョブドD『アリサっ……』

 

 

GA『……成る程。流石は時の神の意志を継いだ者という事か……あぁ、だからこそ──』

 

 

GA(リオン)『その仲間を見捨てられない甘さを見越しての、この包囲網なんスよ……。紲牙共々、此処で捕らえてショッカーライダーにしてやるッスッ!』

 

 

『ガァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!』

 

 

クロノスの啖呵を前に片腕を掲げてGAが叫んだ瞬間、クロノスとディジョブドDを包囲したまま様子見していた怪人と戦闘員の大群が雄叫びを上げて一斉に二人へと飛び掛かり、それに対してクロノスとディジョブドDも迎撃しようとそれぞれの武器を構え直し、そして……

 

 

 

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!!!―

 

 

『ッ?!グッ、ウォオオァアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアァァッッッッ!!!!?』

 

 

―チュドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオオォンッッッ!!!!!―

 

 

クロノス「……え?」

 

 

GA『?!何だッ?!』

 

 

二人に飛び掛かろうとした怪人や戦闘員の真横から、突如無数の弾丸の雨が飛来して直撃し、怪人達を次々と爆散させたのである。

 

 

そんな突然の事態にクロノス側もGA側も動揺や驚愕を顕わに一瞬硬直して動きを止めてしまうが、其処へ、黒のバイクと白い車型マシン……インパクトソニックとトライサイクロンに乗ったフェイトと響志郎達が駆け付け、ドリフト回転で周囲の残った怪人達を吹き飛ばしながらクロノスとディジョブドDの前に止まっていく。

 

 

ディジョブドD『ッ!お前等は……?』

 

 

響志郎「乗れ!逃げるぞ!」

 

 

クロノス「えっ……?の、乗れって、アンタ達一体……?」

 

 

誠「説明は後でしますっ!今はこの場を切り抜けましょうっ!フェイトさんっ!」

 

 

フェイト「えぇ……!」

 

 

―バシュウゥッ!バシュウゥッ!バシュウゥッ!―

 

 

『ゴハァッ?!』

 

 

『イーッ?!』

 

 

GA『グッ?!このっ!』

 

 

響志郎と誠が困惑するクロノスとディジョブドDを説得する間に襲い掛かろうとしたGAや怪人達に、フェイトがバイクのハンドルから引き抜いた武器……スロットルシューターを乱射して怯ませていき、その隙に誠はトライサイクロンから降りて半ば強引にクロノスとディジョブドDをマシンに乗せると、三人が乗り込んだのを確認した響志郎はすぐさまギアを操作しながら猛スピードで走り出していき、フェイトもその後を追うようにマシンを走らせて素早くその場から離脱していった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―山岳・工場跡地―

 

 

──それから数十分後。GA達からの追跡を逃れる為に山中の廃工場に逃げ込んだ響志郎達はマシンから降り、未だ半信半疑で警戒心を抱いてる様子のクロノスとディジョブドD……アリサと紲牙に自分達がショッカーと敵対し、ショッカーへの反撃の準備の為にライダータウンを目指している事を説明していた。

 

 

アリサ「それじゃあ、アンタ達はその旅の道中で、ショッカーとの決戦に備えてアタシ達を仲間にする為に助けたってこと?」

 

 

響志郎「ああ。こちら側の動機としてはそんな所だ……勿論、無理に手伝えとも言う気はないが」

 

 

誠「でも、ショッカーを倒しさえすれば、この世界に融合した他の世界も元の姿に戻れると思うんです!そうすれば……」

 

 

CB『……この歪んだ歴史の中で起きた出来事も全てなかった事になり、殺された者達も生き返る事が出来る、か……確かに、理に適ってはいるな……』

 

 

アリサ「……どうする、クロノスブレイド?」

 

 

ショッカーを倒す事に手を貸すのに異論はないが、その為に彼等を仲間として認めて信用すべきか否か。腰に差した相棒に意見を求めるアリサに、クロノスブレイドも僅かに思案した後に響志郎を見つめ……

 

 

CB『──まぁ、いつまでもコソコソと身を隠してばかりいてはキリがないのは確かだ……事態の早期解決を優先するなら、一先ずこの三人に付いていっても問題はないだろう』

 

 

アリサ「ってことは、この人達を信用していいって訳ね?」

 

 

CB『我の意見はあくまでも客観的なものだ。それを聞いてどうするかは、後はお前自身で決めろ』

 

 

アリサ「あっそ……じゃあアタシもアタシで勝手にさせてもらうわよっ」

 

 

肝心な所で投げやりなんだからと、顔を背けて小声でぼやきながら溜め息を吐くアリサだが、すぐにいつもの表情に切り替わり響志郎達に顔を向けていく。

 

 

アリサ「まぁ、そんな訳だから、アタシもアンタ達に付いてくわ。アリサ・バニングス、クロノスよ。宜しくね。んで、こっちが相棒のクロノスブレイドで……」

 

 

と、改めて自身の自己紹介とクロノスブレイドを紹介しつつアリサが背後へ振り向くと、其処には此処まで逃げる最中に応急処置で巻いていた包帯をフェイトの手を借りて解き、誠の治癒魔法で完全に回復した紲牙の姿があった。

 

 

紲牙「輝晶紲牙、ディジョブドダークネスだ。さっきは危ない所をありがとうな……」

 

 

響志郎「礼なら良いさ、俺達も自分達の利害の為に助けただけだからな。……それで、お前の方はこれからどうする?」

 

 

紲牙「…………」

 

 

アリサは自分達と一緒に行く事を決めたが、紲牙の方はどうするのか。自分達と一緒に行くか、それとも別に動くかの選択を紲牙自身に委ねて問い掛ける響志郎に、紲牙も僅かに俯き思案すると……

 

 

紲牙「そうだな……出来れば俺もお前達と一緒に行きたいが、その前に俺にはやらないといけない事……ディジョブドを助けに行かないとならないんだ」

 

 

誠「ディジョブド……?」

 

 

響志郎「仮面ライダーディジョブド、輝晶紲那か……あの男もショッカーに捕まっているのか?」

 

 

紲牙「あぁ……俺はずっと兄弟……ディジョブドを救う為に動いていたんだが、アイツがこの先の街にあるショッカーの基地に捕まってると情報を得て、其処へ向かう道中にさっきの連中に襲われてな。追い詰められて、もう駄目かと思った矢先にアリサが助けに現れて……」

 

 

アリサ「アタシ達も、気が付いたら何故かこの世界に迷い込んでてショッカーに追われてたのよ。それから訳も分かんないままずっと身を隠しながら情報収集してたんだけど、そんな時にショッカーに襲われてる紲牙を偶然見付けてね。咄嗟に助太刀して一緒に逃げてる最中に、アンタ達が助けに現れたって感じね」

 

 

フェイト「成る程……そういう経緯で二人一緒だったってことなのね……」

 

 

紲牙「まあな……だから、俺はまだお前達と一緒に行けない。ディジョブドを救い出すまでは……」

 

 

響志郎「無謀な真似は止めておけ。お前一人で助けに行ったところで、さっきのように返り討ちに遭って同じように捕まるだけだ」

 

 

紲牙「……それは……いや、だとしても俺は……!」

 

 

それでも自分は行くと、力強い眼差しで響志郎を見つめる紲牙。すると、響志郎もそんな紲牙の視線を受け止めながら僅かに無言になった後、目を伏せて溜め息をこぼした。

 

 

響志郎「勘違いするな、別にディジョブドの救出自体を反対してる訳じゃない。……助けに行くのなら、一人よりも大勢の方が良いだろう?」

 

 

紲牙「……え?」

 

 

誠「そうですよ!そんな無茶するより、此処にいる全員で行った方がきっと上手く行きます!俺達をもっと頼って下さいよ」

 

 

アリサ「誠の言う通りね……っていうか、アタシもそれを見越して仲間になるって言ったんだから、こっちの気遣いを無駄にするようなこと言わないでよねっ」

 

 

紲牙「それは……だが、いいのか?」

 

 

響志郎「さっきも言ったが、俺達はライダータウンに向かいながらショッカーとの決戦に備えて仲間を集めてる最中だ。ディジョブドを助け出すことで戦力を増やせるなら、それに越したことはない……最もそれ以上に、一度助けた相手をむざむざ危険な場所に一人で行かせたとあっては俺も目覚めが悪い」

 

 

フェイト「……素直じゃないのね、貴方も……」

 

 

響志郎「む……」

 

 

わざわざ遠回しな言い方をする響志郎にやれやれと肩を竦めるフェイトと、彼女に不器用と指摘されてバツの悪そうな顔を浮かべる響志郎。

 

 

そして紲牙もそんなやり取りを交わす二人を見て一瞬呆気に取られるが、足元に目を落として深く考え込んだ後、顔を上げて頷き返した。

 

 

紲牙「すまない……迷惑を掛ける事になるのは重々承知だが……頼む……。どうか、力を貸して欲しい」

 

 

誠「勿論!」

 

 

響志郎「話は決まったな……それで、ディジョブドの居場所は?」

 

 

紲牙「この先にあるダムだ。ショッカーはその内部を改造して基地の一つにしてるらしく、ディジョブドも其処に捕まってるらしい」

 

 

フェイト「なら、先ずは其処に向かう所からね。行きましょう」

 

 

紲牙の頼みを聞き入れ、ディジョブドが捕まっていると言われるダムへと向かうべくそれぞれのマシンに乗り込もうと歩き出す一行。のだが……

 

 

響志郎「…………」

 

 

誠「……?響志郎さん?」

 

 

一行がそれぞれのマシンへと向かう中、何故か響志郎だけはその場から動かない。それに気付いた誠達が足を止めると、響志郎は僅かに顔だけを背後に向けて口を開く。

 

 

響志朗「お前も一緒に来ればどうだ?コソコソ後ろから付いてこられては、こちらもやりづらくて仕方がない」

 

 

「「「「えっ?」」」」

 

 

自身の後ろ斜めの物陰を見つめて突然そんな事を言い出した響志朗の言葉に、誠達は思わず漏れた間の抜けた声と共に彼の視線の先へと顔を向けていく。すると、一同が見つめる物陰からゆっくりと何者かが姿を現し、その人物を目にしたフェイトとアリサは息を呑んだ。何故なら……

 

 

フェイト「あ、貴方は……」

 

 

CB『……祐輔』

 

 

祐輔「…………」

 

 

そう、一同の前に姿を現したのは昨夜ミユと進と共にいた筈の祐輔だったのだ。そんな思わぬ人物の登場にフェイトとアリサも呆気に取られる中、そんな彼女達のただならぬ様子に誠と紲牙はそれぞれ頭上に疑問符を浮かべながら祐輔とフェイト達の顔を交互に見た。

 

 

誠「ええっと……もしかして二人共、知ってる人なんですか?」

 

 

祐輔「……ああ、そっか。今の誠君と紲牙君も僕の事を知らないんだったね。僕は──」

 

 

響志朗「──阿南祐輔、仮面ライダーキャンセラー。嘗て断罪の神の導きによって神化を果たし、無効化の神として八柱神に数えられた神の一人だ」

 

 

紲牙「?!か、神だって……?!」

 

 

響志朗の口から祐輔の素性、彼が神と呼ばれる存在であると聞かされて驚愕を隠せずに祐輔の顔を見る誠と紲牙。そして進と同様歴代改変の影響を受けているそんな二人の反応に祐輔も頬を掻いて苦笑いを浮かべてしまう中、そんな祐輔に先に我に返ったアリサが訝しげな口調で口を開いた。

 

 

アリサ「でも、どうして貴方が此処に……?まさか、他のライダー達みたいにショッカーライダーとして私達を──!」

 

 

CB『……いや、だとしたらわざわざ隠れる事なく、とっくに襲い掛かって来ても良かった筈だ。例えショッカーライダーになっていたとしても、祐輔一人の戦闘力なら此処にいる全員と十分に渡り合えてただろうからな』

 

 

祐輔「いやいや、流石に買い被り過ぎだから幸助さんっ。僕だって多勢に無勢だと思ったらわざわざ一人で来たりはしないってっ」

 

 

響志朗「つまり、此処へ来たのは戦うつもりではない……という事なんだろう?」

 

 

祐輔「……まぁ、一応はそういう事になる……のかな?」

 

 

謙虚な物腰でクロノスブレイドの言葉を否定する祐輔だが、響志朗からの問い掛けに対しては何処か彼を信用していない様子で響志朗の目を見据えながらそう返し、響志朗もそんな祐輔の目をジッと見つめ返すと、やがて瞼を伏せて口端を吊り上げた。

 

 

響志朗「まあどちらでもいい……俺達と戦う気がないならお前も手を貸せ。ショッカーの基地の攻略に、お前の力はこれ以上ないほど有効になる。無効化の力を持つなら、お前もフェイトのように歴史改変の影響を受けず正気のままなんだろう?なら、全ての世界の歴史を元に戻したいと言う思いは断然強いハズだ」

 

 

祐輔「……それは確かにそうだけど……でも、僕が改変の影響を受けていないって事は、気付いているんでしょ?僕が貴方をどう思っているのかなんて──」

 

 

歴史改変の影響もなく、元のfirstの世界の事情を知る祐輔からしてみれば、黒井響志朗という男の存在は正体不明で不信を覚えるのも無理からぬ人物だ。

 

 

そんな自分の不信感が分からない筈もないのに、このまま自分の同行を許すつもりなのかと言外に告げる祐輔の疑問に対し、響志朗は無言のまま踵を返しながら、

 

 

響志朗「今この状況で必要なのはショッカーを打倒出来る力だ。お前のその力と歴史を元に戻したいという思いだけで、俺にとっては十分お前を信じる価値がある……お前が俺をどう思おうともな」

 

 

祐輔「…………」

 

 

響志朗「俺を使用出来ないのなら、傍で監視すればいい。俺が不審な動きを見せた時、お前なら後ろから俺を仕留めるのなんて造作もないだろ?」

 

 

自分を信じられないなら後ろから討てばいいと、響志朗は祐輔にそれだけ伝えると共に自身のマシンの下へ向かっていく。誠達もそんな響志朗の背中と祐輔の顔を戸惑い気味に交互に見ながら響志朗の後を追い掛けていき、祐輔も響志朗の後ろ姿を見据えたまま僅かにその場に留まった後に彼等を追って歩き出すが、そんな祐輔に向けてクロノスブレイドが密かに念話を送っていく。

 

 

CB(やはりお前も無事だったようだな。まぁ、そうでなくてはまた一から鍛え直せばと思ってた所だが)

 

 

祐輔(いやこんな状況なんだから流石にそれは勘弁して下さいよっ……それより、幸助さんも気付いてるんでしょ?あの人のこと)

 

 

CB(……流石にな。だが今の所、奴の正体や目的を掴もうにも情報が少なすぎる。それに我の予想では、此処で奴を問い詰めた所でこの状況を打開出来るとも思えん)

 

 

祐輔(それは、つまり……)

 

 

CB(暫くの間、奴を泳がして動向を探る。尻尾を出す時が来れば、自ずと奴の真意や目的も分かるハズだ……上手く行けば、この歪んだ世界を裏で動かす黒幕も)

 

 

祐輔(黒幕って……ショッカーの?)

 

 

CB(……まだそれで済む話ならいいが、な……)

 

 

祐輔(え……?)

 

 

何処か歯切れが悪くそう呟くクロノスブレイドに祐輔も思わず訝しげに聞き返すが、クロノスブレイドはそれ以上は何も語ろうとしない。そんな様子から祐輔も怪訝な表情で首を傾げながらもそれ以上の追求はしなかったが、ふと何かを思い出したように顔を上げてクロノスブレイドの方に顔を向けた。

 

 

祐輔(そうだ……そういえばミユちゃんの事なんですけど──)

 

 

CB(ミユだとッッ!!?!!?)

 

 

祐輔(……え、ええと……此処へ来る前に僕とミユちゃんは一緒に行動してたんですけど、今はある人と一緒に別行動を取ってて……取り敢えず、幸助さんに会う事になったらミユちゃんは無事にしてるって事を伝えようと思ってたんですけどっ)

 

 

CB(おお……そうか、そうかっ、それだけ聞ければ一先ず安心だっ。ミユの身に何かあれば、最早この本体を捨ててでもショッカーを根絶やしにせねば気が済まない所だった……)

 

 

祐輔(……相変わらず病的なまでのシスコン振りですね……)

 

 

心底ホッとしたようにサラッと恐ろしい発言をするクロノスブレイドに顔を引き攣らせつつも、其処はどんなに姿が変わって変わらないのだなと妙な安心感を覚える祐輔。

 

 

そしてその後、アリサと紲牙、祐輔を加えた響志朗一行はショッカー基地に捕らわれているとされるディジョブドの救出の為にそれぞれのマシンを走らせ、紲牙の案内を受けながら山道を進んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

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