一ヶ月もお待たせして、申し訳ございません!!
ご期待に応えられる出来かは知りませんが、楽しんでいただけると嬉しいです!!
イッセーside
俺の名前は兵藤 一誠。
駒王学園に通う2年生で、実家でもある本屋『ファンタジック本屋 ドラゴン』の臨時店主(本来は父さんが経営しているんだが、母さんと一緒に海外出張で出払っている為、息子の俺が店番を任されている)だ。クラスメイトやみんなからは“イッセー”と呼ばれ、慕われている。
将来の夢?それは勿論、父さんと同じく有名な小説家だ。子供の頃から本が好きだった俺は、父さんの書いた小説や昔話に童話、図鑑などの様々な本を読みあさり、いつしか俺も人の役に立つような本を書きたいと思うようになった。
小説家もそうだけど、
そして、俺は中学時代に駒王学園に入学した頃から、勉強や宿題の合間に書いた小説の原稿を親友やクラスメイト、果てには先生達に見せて読んだ感想や、アドバイスを元に新作を執筆する日々を送ってたんだが……高校生になってからは、中学生時代の幼馴染である桐生 藍華が俺の書く小説に目をつけ、新聞部にスカウトをしにきた。スカウトといっても、俺の執筆した小説を学園新聞に載せるという事だった。
まぁ、俺としては一々クラスメイトや先生達に渡す手間が省けるし、なにより学園の生徒や先生達から多くの感想を貰えるので一石二鳥だ。だから、藍華の誘いに乗って新聞部に俺が執筆した小説の原稿を渡して、学園新聞に掲載させてもらった。すると、それが予想を覆す大好評で学園の話題になった。それからも、引き続き俺は学園新聞に載せる小説の原稿を書きつつ、藍華がそれを貰うという…正に本物の小説家と担当編集者のような関係に至ったってワケさ。
「……ねぇ、イッセー。さっきから誰と話してるの?」
「え?いやぁ、別に何にもないけど?」
「まさか、私の悪口なんて言わないでしょうね?一体、誰のおかげで学園の有名小説家にしてあげたと思ってるのよ?」
「そんなワケないだろ。藍華には感謝しているし、何より長い付き合いだ。受けた恩を仇で返すほど、俺はバカじゃない」
「そうそう、私に感謝してよね。なんてったって、幼馴染なんだから♪」
「わかったよ。ったく、調子が良いんだからな…」
まぁ、藍華の性格は把握しているから対応が楽だな。さっさと約束を済ませて、原稿を渡してやろう。
そう思いながら、目的地の広場に到着した俺はあるクレープの移動販売車を見つけた。
「亮太!」
「あ、イッセー兄ちゃん!」
俺を見つけて嬉しそうに手を振る少年、名前は『工藤 亮太』。俺の父さんと母さんの学校時代の友人である『工藤 亨』さんと『工藤 美沙』さんの息子だ。幼い頃から亨さん達から親子三人でクレープをご馳走してもらっている仲で、父さん達が海外出張で出払っている時も遊びに来てくれている。
「やぁ、イッセーくん」
「こんにちは」
「どうもです。どうですか?クレープの売れ行き」
「あぁ、繁盛してるよ。これもお母さんのトッピングのおかげかな?」
「ヤダ、お父さんったら…それをいうなら、お父さんの手際の良さでしょ?」
「そうか?なんか、照れるな…」
「ふふ、お二人は仲良しなんですね?夫婦だからかな?」
「まぁ、そうだろうな」
「あら、イッセーくん。その娘は?」
「俺のクラスメイトです」
「初めまして、桐生 藍華です」
「お、イッセーくんにもついに彼女ができたか?ヤルな…」
「ちょっ!?ヤダ、彼女だなんて……」///
「そ、そうですよ。あんまり、からかわないでくださいよ……」///
「もう、お父さん?あんまり、年頃の子達をからかっちゃダメですよ」
「悪い悪い、ついな?」
「あ、そうだ。亮太、今日はお前の誕生日だろ?ハッピーバースデー!おめでとう!!」
「うん!覚えててくれたの!?」
「あったり前だろ?それと、亮太へのプレゼントだが……パパとママに頼まれて俺が一生懸命に選んだのが、この本だ!」
俺はバッグから綺麗にラッピングし、誕生日プレゼントに選んだ『家なき子』の絵本を亮太に渡した。
「うわぁ〜…ありがと、イッセー兄ちゃん!」
「よかったな、亮太!」
「イッセーお兄さんから貰った本、大事にするのよ?」
「うん!」
亮太の喜ぶ姿に二人は微笑ましく笑う。そして、プレゼントを渡した俺も嬉しいけどな。
そう、思ってると……
「すいませ〜ん。注文イイですか?」
「こっちもお願いしま〜す!」
「あ、は〜い!」
「いま行きます!悪いね、ちょっと行ってくるよ」
「あ、はい」
お客さんの呼びかけに亨さんと美沙さんは足早に、お店に向かっていく。
その瞬間………
ブゥワァアアアアァァッ!!!
「おわっ!?」
「きゃあっ?!」
「な、なに!?」
「ッ!?藍華!亮太!」
俺と藍華、亮太の場所とお店に向かっていた亨さんと美沙さんとの間に突然、眩い光の境界線が出現する。その直後……
パラパラパラパラッ!!!
まるで、本のページをめくるようかの様に周囲の景色が徐々に変わり始める。そして、それが止むと……目の前にはまるで、異空間ともいえる不思議な世界といわんばかりの美しい風景となっていた。
空には幾つもの宙に浮く巨大な岩や七色のシャボン玉、海の生物であるクジラや巨大な鷲…更には空想上の生き物であるドラゴンが自由に飛び交い、その下の地上と思われる所には世界樹と言わんばかりの巨大な樹木と富士山クラスの山や自然あふれる森と湖が広がっている。
「綺麗…なにこれ?スッゴ…」
「……なんだここ…ッ!?この風景は…!」
俺は藍華と亮太と共に美しく不思議な風景に目を奪われていたが、咄嗟にカバンの中からいつも持ち歩いている大きな飛び出す絵本を取り出してページを開いてみる。
すると、ページを開くと同時に目の前の風景と全く似ている絵がゆっくりと立ち上がりながら飛び出す。
「やっぱり、似てる……!」
「マジでびっくり…って、私…どうなっちゃってるの?まさか、死んじゃった!?」
「いや、死んでは無いだろうが……それよりも一体、どうなってんだよ…これ…」
「ママ!」
「ッ!亮太、行くな!!」
突然の事態に呆然していた俺は、境界線の先に行こうとする亮太を抱きしめながら止める。
当然だ、自分のパパとママが目の前からいなくなればパニックになるに決まってる。
「パパとママがいなくなった…パパ!ママ!」
「大丈夫だ、亮太。パパとママは、俺が絶対に捜して出してやる!約束だ…」
「イッセー兄ちゃん…」
「それに、亮太にプレゼントした『家なき子』の主人公の子もお母さんを捜していた。でも、諦めずに捜したから会えたんだ。今頃、ママもお前とはぐれて…泣いているかもしれない。だから、亮太も負けちゃダメだ!」
「うん…」
よし、なんとか落ち着いてくれたな…にしても、本当になにがどうなっているのやら……
俺がそう思っていると……
ドカァアアアアアアアン!!!
何処からか爆発音が鳴り響き、人々の悲鳴が響き渡った。
「向こうの方からか……藍華、亮太を頼む!」
「ちょ、ちょっとイッセー!?」
亮太を藍華に任せ、俺は爆発音が鳴り響いた所に駆けつけると…其処には人間よりも一回り大きな手が飛び交い、人々を襲いながら街の建物を次々と破壊していた。
すると、大きな手によって破壊された建物の一部がまるでボロボロの本の様に変わっていく。
「な…なんだよ、これ……ッ!?」
『フッフッフッフッ…!』
建物の影から、すり鉢状の頭部に先ほど街を破壊していた大きな手が付き、左腕が大きな怪人が右手に持つ掌サイズの小さな本を眺め、不敵に笑いながら現れた。
「おい、その手に持っている本はなんだ!?」
『本は我等の力。本により世界は我等のモノとなるのだ!』
「ふざけんな!本を…本を使って人を苦しめていいはずがないだろ!!」
『邪魔だ!!』
「ッ!グアァアっ!?アグっ!ガハッ?!」
怪物は、俺に目掛けて頭部に付いた両手を飛ばした。
俺はかわしきれずに両手による連続攻撃をモロに食らい、地面を何度も転がりながら倒れる。
すると、そこへ亮太の事を頼んだ藍華が急いで俺の元に駆け寄ってきた。
「イッセー!大丈夫!?」
「あ、藍華…!お前、どうして……」
「イッセーのことが心配になって……って、何あの変なの!?」
『この世界に人間は必要ない。消えろ!』
怪物がそう叫ぶと、地面から大きな口を開いた巨大な怪獣が飛び出す絵本の様に現れ、まるで掃除機の様な勢いで周囲にあるもの全てを吸い込み始めた。
ズォオオオオオオオオ!!!
「きゃああああ!?」
「藍華!」
怪獣の吸引力は人間をも吸い込む勢いで、俺は咄嗟に柱にしがみつき、吸い込まれる藍華の手を握った。
ま、マジでヤベェ…!
「もう、ダメ……イッセー、手を離して!!このままじゃ、イッセーも……!」
「バカ野郎!諦めんな!!お前は、俺の未来の担当編集者になるんだろ!?それに、明日は友達と遊びに行く約束をしたはずだ!!簡単に約束を破ってんじゃねぇ!!!」
「で…でも……!」
「だから、約束だ!!俺が必ず、お前も亮太も…そして街も……全部なんとかしてやる!!!だから、簡単に諦めるな!!!!」
「イッセー……!!」
とは言ったものの……クソ!どうすれば……!
「ッ!これだ……ハァッ!!!」
ガンッ!!
プシャアアアァァァッ!!!
俺は辺りを見渡すと、ちょうどすぐ側に消火栓があったので、それを思いっきり蹴る。すると栓が壊れて大量の水が吹き出し、一気に怪物の口へと吸い込まれると徐々に膨らんで、満タンとなったのか吸い込みを止めた。
「へ?キャアッ!?」
「ッ!オブッホバッ?!」
「イタタタタタタタ…!もうこれ、一回死んでる…マジで死ぬって!?」
「あ、藍華さん?藍華さん?ど、どいてもらえますか…?」
「ん?きゃあああ!!??イッセー、ゴメン!!」
怪物の吸い込みが止んだ事で、藍華が落ちそうになった所を俺がクッション代わりになってキャッチした。
でも、メッチャイテェ…!藍華の奴、もしかして……
「ふん!!」
「グホ!?い、いきなり何すんだよ!?せっかく、助けてやったのに!!」
「さっき、私が太ったとか…体重が増したなとか考えてたでしょ!?」
「(ギクっ!?)べ、別に考えてねぇって…気のせいだよキノセイ……」
「ウソつき!本当は頭ん中で思ってたクセに!!バカバカバカ、イッセーのバカァ!!!」
「イテ、イテ!?ほ、本当だって、マジでゴメン許してくれ!!」
「むぅ〜!」
『ふん…しぶとい人間共だな』
ほっぺを膨らませながらポカポカ殴る藍華を宥めていると、怪物がそう呟く。
「約束したからな…俺がなんとかしてやるって。さぁ、街とみんなを元の世界に戻せ!!」
『それは無理だ…まもなく本が完成する。この新しい本で新たな世界を創造する』
「本で世界を創る…?確かに本には世界を変える力がある。けど、それは人々を幸せにする力だ!!」
『人間ごときが何を言う!?』
「その人間が書いたのが本だからだ!人間には、物語を創る力を持っているんだ!!」
『ウォッ!?』
俺はそう叫びながら怪物へと全速力で駆け上がり、怪物の持つ本を奪おうとするが……
『えぇい、鬱陶しいわ!!』
「グァあっ!?」
それは叶わず、俺は怪物に殴られて吹き飛ぶもゆっくりと立ち上がった。
「約束、したんだ…!俺が必ず……街を元の世界に戻す!!」
『黙れェッ!!!』
怪物はそう叫ぶと、頭部に付いた両手を飛ばして俺の横にある建物を破壊する。
ドカァアアアアアアアン!!!
ガラガラガラガラァアッ!!!
そうして、破壊した際に建物の瓦礫が落石の様に俺を押し潰さんとばかりに降り注いだ。
「なっ!うああああっ!!??」
「イッセー!?イヤぁああああ!!!!」
もう…ダメなのか……!
そう思った瞬間………
『諦めるな、
「え?」
side out
ドガァシャアアアンッ!!!
『ふん、人間風情が…我等に逆らうからこうなるのだ。フハハハハハハハ!!!』
そう高らかに笑いながら怪物…『ゴーレムメギド』はその場を離れようと後ろを向いた…その時…
ブワァアアアアッ!
『ん?』
「…え?」
振り返ると、イッセーが下敷きとなった瓦礫の隙間から赤色の光が突然に溢れたかと思うと、幾つもの瓦礫が宙に浮き、弾ける様に吹き飛んだ。
そして、其処には……
「ん……ん?」
「イッ、セー…?」
『なに!?』
「お、俺は…生きてるのか…?」
下敷きとなり、死んだと思われたイッセーが生きていた。
そして、彼の手元にはいつの間にかゴーレムメギドの持つ本に似た
「もしかして…この本が助けてくれたのか?」
イッセーはそう呟きながら、おそるおそるその本の表紙をめくる。
すると、表紙と全く似ているドラゴンが口から火を吐く絵が描かれていた。
『かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた…』
本から説明の様な音声が響いたその時…!
ビカァアアアッ!!
「うわッ!?」
本が赤く光り輝いた後、炎が天高く舞い上がりながら竜のエネルギー態に変化し、地面へと勢いよく落ちる。
ドカァアアアアアアアン!!!
「うぁっ!」
『な、なにぃいいいっ!?ウォおおおっ!!!』
竜のエネルギー態が放つ衝撃波にゴーレムメギドは耐えきれずに吹き飛ぶが、イッセーはなんとか耐えてみせる。
「ああっ…うっ…あっ…!あ、あれは……剣?」
すると、イッセーの目の前には炎を纏う剣が地面に突き刺さっていた。
『世界がほどける時、竜が炎の剣を呼び覚ます…見定めさせてもらうぞ、兵藤 一誠。その覚悟を……』
いかがでしたでしょうか?
次回はいよいよ、セイバーが出ます!
お楽しみに!