4〜5の繋ぎが変になりそうだったので4話のおまけ的な意味で…(・ω・`)
次からちゃんと長くします。
あと言い忘れてしまいましたが、お気に入り「700」…超!?ありがとうございます!
いやはや…エキドナさん人気ありますねぇ…(*´-`)
もっとエキドナさんss増えて欲しい_:(´ཀ`」 ∠):
「………………!!?」
普段とは全く違う、仄暗い水の底の様な雰囲気のエキドナに見つめられ、周りは普段通りの風景だと言うのにゾワゾワした感触が身を包む。
だがそれも一瞬の事で「おや、ボクとした事が驚かし過ぎてしまったかな」と付け足して、エキドナは再びカップの中の黒いコーヒーみたいな飲み物を飲み、またさっきまでの談笑ムードに戻る。
俺はその、文字通り掌を返した変わり様に、何故エキドナが「魔女」と言われるのか……その意味が今初めて分かった気がした。
「………………そう言う事かぁ……。そうなんだなぁ……エキドナ……」
考えて見れば当然である。
企みも何も無しに、初対面の俺にただ対話するだけであそこまで魔法の手解きから世界の知識と、何から何まで親切に教えてくれる様な人がこの世に存在する訳がない。
はぁ……"今度こそは"と思ったんだけどな……。ま、仕方ないか。
「これであんたも分かったでしょ。こいつは、こう言う奴なのよ。まぁ、あたしたちもそれを分かった上で付き合ってるんだけど」
怒った事で大分落ち着いたのか、ミネルヴァが腕組みをしながら先程より落ち着いたトーンで横槍を入れる。
「ここにいる中で、ある意味一番魔女らしい魔女とも言えるさね、ふぅ」
「……まぁいいか、間違っちゃいないし。キミたちからどう思われているのかは一先ず置いといて……」
ミネルヴァに続きセクメトにも痛烈な評価をくらったにも関わらず、何か言いたげではあってもエキドナはそれを否定しようとはしない。
「一体過去に何したらこんなに言われるんだ……?」と突っ込みたくなったが、
「……マオ、キミに伝えたい事がある」
エキドナはカップの黒い液体を飲み干した後、談笑していた時とは違う真剣なトーンに変わり、自らの席の向きを変えこちらに自らの体の正面を向けると、その様子を他の魔女たちも注視する。
俺は場の雰囲気に押され、言葉を飲み閉口した。
「契約を、ボクと結んではくれないだろうか。自分から言うのは恥ずかしい事だが隠し事をしているのが分かってしまった以上、もう今までの様な単なる交換条件や取引では形式的にも内容的にも不適だ。そうでは無く、お互いにお互いを"利用"し合う関係として、契約をボクと結んで欲しい。勿論、"概要は"今までと変わらない。キミがボクから魔法の指南をしてもらい、ボクはキミから新しい知識を得る。ただそれが今までより少しだけ、お互いに大きなものを得る事が出来る様になると言うだけさ。キミが望むならそれ以外も……ボクに出来る事なら何でもしてあげよう! これでもキミが喜びそうな事はもう既に選出済みだからね。たださっきも言った通り、ボクもキミから少し、本当に少しだけ多く利益を得させてもらうよ。とは言え悪くない条件だろう? 寧ろ今までより効率的に効果的なメリットを受け取り合う関係になれる、必ずだ。もう一度問おう、ボクと契約を結んでくれ、カジスカ マオ」
ふぅ……と途中からヒートアップしていたエキドナは捲し立て終わると、満足した様に一息つき。
逆に他の魔女の面々は、はぁ……と何だか呆れた様なため息を吐いた。
その明らかな温度差を尻目に、俺の答えを期待している表情のエキドナに正面から向き直って、キッパリとこう言い切った。
「こちらこそ、宜しくお願い致します」
その答えに、エキドナの瞳は目に見えて輝き、反対に他の魔女は信じられないものを見る目でコチラを見ている。
「それは本当だね!!!?」
そう言ってこちらの手を取ろうとしたエキドナの手首をミネルヴァがいきなり身を乗り出し、掴んで押さえつけたままこちらを睨む。
因みにその一連の流れで心臓がマジで止まりかけました。2人とも突然動くのは心臓に悪いからやめてくれぇぇ……! (懇願)
「あんた、今の話聞いてたの……!? て言うか、あんたはこいつに騙されてたのよ!?」
「え、キドナちゃんは、凄く、ご、強欲だから……ど、どうな……っても、し……知らない……よ?」
「確かに軽率すぎじゃないですかねぇ。でもぉ、何となくマオマオには何か考えがありそうな気がしますよぉ?」
「でも、"ケイヤク"ってたしかかなりおもいものじゃなかったかー? ははー、どうだったっけなー?」
「魔女との契約は、はぁ。一度決めたら取り消せないものさね。ふぅ。……怖いもの見たさなら今すぐ取り消すさね。はぁ」
エキドナ以外の魔女が各々様々な反応を見せる中、俺はコホン……と一回咳払いをすると、椅子を引いて立ち上がり「落ち着け……落ち着け……」と自己暗示をしながら、まるで法話でもする様にゆっくりと話し始めた。
「……そもそも、別に騙されたとか隠し事してたとか、そんな事は誰かに関係を持とうとする時点でそう言う我欲は皆んな持っているものなんじゃないか……と俺は思う。そうじゃないなら何で関わりを持とうとするのか……説明が付かない。例えば、相手が何か自分の欲しいものを持っていたとする、自分はそれが欲しいから相手に近づく、売買との違いはそれが言葉かお金かの違いしかないと思うんですよ。それをあたかも「自分は無欲です」と言う人は本当に多くて……あぁ! それは仕方の無い事だとちゃんと理解はしている。人間、欲望とか願望みたいな他人から見れば醜かったり、恥ずかしかったりする部分は普通隠したがるのは否定のしようがない事ですから。で、それに関連付けて話を戻すと、エキドナはさっきまでは隠してたけど、今はちゃんと自分の意思表示をしてくれた。俺を利用するんだと、そう言う自らの欲望を誤魔化す事無く。俺からすればとてもとてもそれは清々しくて、一点の曇りもなくて、心地よくて、何よりその感情を包み隠さず見せてくれる事がとても……"嬉しい"」
ふぅ……久しぶりに長く喋った気がする。安堵の気持ちと共に席に再び腰掛け辺りを見てみれば、
エキドナは笑みを隠しきれない様子で、
ミネルヴァは口をへの字にしつつ目を手で覆い、
ダフネは特に表情を変えず、
セクメトは先程より気怠そうにして溜息を吐き、
テュフォンは何だか不思議そうな顔をし、
カーミラは何か言いたげな仕草を
していた。
「これで、契約成立だ」
そうポツリと呟いたエキドナだったが、やがて堪えきれなくなったのか唐突に立ち上がると感激した様子で、放り出してあった俺の両手をその繊細な手で奪い取る様に握りしめた。
へぁぁっ!!???
「これからボクとキミは長ーい付き合いになるだろう! ボクとの契約を、ボクの愛を、受け入れてくれた事に今ボクは心の底から感謝している! 契約が結ばれた今、ボクは今後ボクの持てる全ての知識をキミのためだけに使うと【強欲の魔女】の名にかけて誓おう! 今後ともこれまで以上に……ん、マオ?」
(〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!?)
握られた手からエキドナの柔らかな肌の感触がダイレクトに伝わる。
雪の様に白いが、確かに暖かい体温を感じるその未知の感触に俺の頭は当然キャパオーバーになり…………
そのまま、視界がブラックアウトした。
はい、カサネル√スタート!!
怪文章な契約の要約
「これからも騙したりするけど許してね。あと、何でもするからそっちも何されても文句は無しだよ?」
性悪ぅ…でもオリ主もそれを当たり前みたいに扱うのよねぇ…。
因みに…
他の魔女はサテラに愛されてるスバルくんとは違い、マオの事はエキドナの眷属または弟子みたいなものと捉えています。