よろしくお願いします!
ここはホロライブ保育園。縮めて〝ホロ育園〟──と言ったり言わなかったり。
とあるヴァーチャル世界にあるそこには、個性豊かな子ども達が預けられています。
「みんなー! お歌の時間だよー!」
大きな声で呼びかけたのは、ときのそら先生。茶髪のロングヘアーに青いアイドル衣装を着た、少しマイペースな先生。
「あれ? おかしいな……」
ときのそら先生はコクンと小首を傾げました。
いつもならときのそら先生の「お歌」という声を聞きつけた瞬間、我先にと超特急でやって来るのに。
一体全体、どうしてしまったのでしょうか?
少し心配になっていると、一つの小さな人影が
「そらちゃんせんせー」
「あれ、
そこにいたのはツヤツヤの黒いショートヘアーと特徴的な前髪、頬にペイントをした小さな女の子、
「一人なの? 他のみんなは?」
「かくれんぼー」
「かくれんぼ? あーなるほどなるほど」
ときのそら先生はぽんと手を打ちました。
どうやら今は
だから他のみんなは出てこれなかったのです。
「みつけられなくて……」
これは果たして、隠れるのが上手いのか、探すのが下手なのか……。
どちらにせよこのままでは鬼ごっこは終わらず、お歌を歌うこともできません。
ときのそら先生は大きく頷きます。
「わかった、じゃあ先生も一緒にみんなを探してあげる!」
「ほんと?! いっしょにおさがし?!」
「うん! 一緒にお探ししよう!」
ぱぁっと表情を明るくする
「
「
「じゃあ
そのすぐの曲がり角で。
「め↓が↑ね↓、め↓が↑ね↓……」
廊下に四つん這いになって黒魔術の呪文のように同じことを呟き続けている小さな人影がありました。
長めの前髪と機械の体が特徴的なロボ子ちゃんでした。
「あ! ロボ子ちゃんみっけー!」
「うわ、みつかっちゃったー。かくれんぼしてるのわすれてたー」
さすがはロボ子ちゃん。高性能《ポンコツ》ロボットです。
「さっそく一人見つかっちゃったよ……」
かくれんぼ中に全く隠れないという、ルールガン無視な辺りまだまだ子どもなんだなぁと、ときのそら先生はなぜかほっこりとしてしまいました。
「そらちゃんせんせー、ボクのめがねしらない?」
「
「あ、ほんとだ。ぜんぜんきがつかなかったよー」
ときのそら先生以上にマイペースなロボ子ちゃんは、もう一つのトレードマークであるメガネをあるべき位置に戻して、真の姿を取り戻しました。
「ロボ子ちゃん、他のみんながどこに隠れてるか知らない?」
「えっとねぇ……(チラッ)んーん、わかんない」
「そっかぁ」
非常にわかりやすく、誰かが隠れている場所を凝視してから首を振りました。
そこを探すのは後回しにしてあげて、他の場所を探してあげようか──と、思ったときのそら先生だったのですが……。
「あ、なにかはみだしてるー!」
「あちゃー……」
廊下にある押し入れの隙間から、真っ赤な布地が盛大にはみ出していました。これはロボ子ちゃんも凝視してしまうし、かばい切れないでしょう。
「んーん、なにもはみだしてないよ!」
慌てて赤い布を隙間に押し込んで、それでもかばおうとするロボ子ちゃん。
「やあー!」
──バンっ!
そこで目にしたものは──公式おパンツでした。おパンツがにゃっはろしていたのでした。
桜色の髪と巫女服がとっても可愛らしい、さくらみこちゃんが隠れていたのです。
頭隠して尻隠さずとはまさにこのこと。
押し入れに頭から隠れて、扉を閉めたまでは良かったものの、巫女服の長い帯が押し入れに収まっていなかったのです。
「みこちゃんみっけー!」
『あーあ、みつかっちゃったにぇ』
荷物に頭を突っ込んでいるからか、じゃっかん籠もった声を返して、みこちゃんが押し入れから出て──来ませんでした。
『あ、ありぇ?』
舌ったらずな困惑の声を上げて体を右へ左へ動かしていますが、それでもやっぱり出てきません。仕舞われていたオモチャの出っ張りに巫女服が引っかかってしまったようです。
『あにょー……あにょー、ですね。できれば、そちらからひっぱってもらえると、ひじょーにたすかるのですが』
当然丁寧な言い回しになったみこちゃん。かなり必死です。
「わかった!」
頷いた
『ちょちょちょちょ?! それいけないものまでにゃっはろするにぇ?! ダメなやつ!! 足! 足でたのんます!!!』
「ロボ子ちゃんもてつだって!」
「いーよー」
二人で足を持って、うんとこしょ、どっこいしょ、と引っ張ります。
それでもやっぱり抜けません。
それどころか──
『いだだだだだだ?! もげる! しぬ!! じぬぅ!?!?』
生命の危機に陥っていました。
さすがに見かねたときのそら先生が救いの手を差し伸べます。
マインクラフトのツルハシに引っかかっていた巫女服を外してあげると呆気なく、ズリズリと引きずり出されました。
「あ、あやうくロボ子ちゃん2号になるところだったにぇ……」
胸を押さえて大きく息を吐くみこちゃん。
ロボ子ちゃんはロボットなので、手足がよく外れるのです。
ときのそら先生が乱れた髪の毛と巫女服を整えてあげると、みこちゃんは嬉しそうに目を細めました。見つかってしまった上に大変な思いをしましたが、大好きで憧れの先生パワーがあればへっちゃらなのです。
……鼻の下が伸びているような気がするのは、気のせいでは無いでしょう。
そして、残る
はてさて、どこに隠れているのでしょうか?
ここまで連鎖的に見つかっているので、もしかしたらすぐに見つかるかもしれませんが、
みこちゃんが一人一人を指差して人数を確認します。
「いち、にー、さん……あれ、めっちゃじしんあったからてっきりみこがさいごかとおもってたにぇ。
「今日もかわいいー!!」
──ズダンッ!
青いサイドポニーとチェック柄の衣装が特徴的な小さな女の子がいきなり上から降ってきました。
まるでテトリスのハードドロップのように。
「すいせいのごとくあらわれたスターのげんせき! ほしまちすいせいです!」
口上もポージングもバッチリと決まっていて、まさにアイドルがそこにいました。
「すいちゃん?! え? えっ? どこから?!」
本当に彗星の如く現れた
まさか天井に隠れていたとでも言うのでしょうか? すいせいちゃんは
そんなことよりも重要なのは──
「あ! すいちゃんみーつけた!」
「しまった?! からだがかってにうごいちゃった!」
かくれんぼの最中であろうとなんだろうと、自分のコールに反応してしまうとは……これはアイドルの鏡と言えるでしょう。
本物のスターになるのも時間の問題かもしれません。
すいせいちゃんは必死に両手を振りました。
「まってまって! いまのなーしー!」
見つかったことを認めないこの負けず嫌いなところも、アイドルの素質ありありのありです。
でも負けは負けです。今回は自爆してしまったすいせいちゃんが悪いのです。
なにはともあれ。
「みんなみーつけた!」
「みつかっちゃったねー」
「みこはそれよりもおまたがいたいにぇ……」
「もういっかい! もういっかいやろうよ! ねーえー!」
ロボ子ちゃん、みこちゃん、すいせいちゃんがそれぞれ口にしますが、かくれんぼはこれで終わりです。
ときのそら先生は、しゃがんで目線の高さを合わせます。
「かくれんぼもいいけど、お歌の時間だよ? お部屋に戻ろっか?」
「「「「わーい!!!!」」」」
お歌が大好きな四人は、揃ってドタドタと慌ただしく
そしてホロライブ保育園に、元気いっぱいな歌声がどこまでもどこまでも響いていったのでした。
──おしまい。
次は1期生組のお話になります。現在練っているところですので、気長にお待ちくださいね!
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