よろしくお願いします!
ここはホロライブ保育園。縮めて〝ホロ育園〟──と言ったり言わなかったり。
とあるヴァーチャル世界にあるそこには、個性豊かな子ども達が預けられています。
フリーダムと名高い
そんな悪魔の魅力を持ってしても御し切れない存在がいます。
そうですお察しの通り
不思議なことに
いつも問題を起こして色々と大変で、隠れて食べる大好きなお菓子が止まらないことがちょこ先生の最近の悩み。
そして本日も
──ドカーン!!!!
大きな爆発音と共に。
「ええ?! 何ごとなの?!」
布団のシーツなどを洗濯していたちょこ先生は慌てて様子を見に来ると、
「また何かやらかしたのねあの子達!」
こんなことは一度や二度ではありません。足取り強く扉を開けると、中は阿鼻叫喚と化していました。
「あ、ちょこせんせー。あくあがまたドジやらかしましたー」
まだ何も言っていないのにこの爆発の犯人だと指差しながら言ったのは、
パッツン前髪に垂れ目、絵本の魔女のような黒く大きなとんがり帽子を頭に付けた女の子です。その見た目の通り黒魔術が得意(らしい)で、何か問題が起きたときは大体この黒魔術が原因です。
なのでちょこ先生はすぐにシオンちゃんが適当なことを言っているとわかりました。
「あ、あたしはなにもやってないよぅ!」
両手をブンブンと振って否定したのは
マリンメイド服を着たくるくるツインテールの女の子。おっちょこちょいでよくドジをするのはシオンちゃんの言う通りなのですが、ドジでこんな爆発は起きません。
「あはははは! やっぱりニンゲンさまはおもしろいな!」
二人のやり取りを隣で可愛らしく爆笑しながら見ていたのは
ちなみに〝ひゃっき〟ではなく〝なきり〟なので注意しましょう。どうしてそう読むのでしょうか? 不思議ですね。
「いやいやいや! わらってるばあいじゃないッス! どうするんすかこれ?!」
保育室の現状を見回して目を白黒させているのは
白と緑のしましまシャツにキャップを被ったボーイッシュな女の子。
性格も男勝りで、誰とでも分け隔てなく接することができる
「へやがめちゃめちゃッスよ! せっかくがんばってかいたのに……」
スバルちゃんはがっくりと肩を落としてしまいました。
どうやら頑張って描いた絵が爆発に巻き込まれて木っ端微塵となってしまったようです。
確かに部屋の中は紙片が舞っていて、他にも物が散乱して片付けるのは骨が折れそうでした。
ちょこ先生は疲れたため息をこぼして肩をすくめました。
「やれやれ……怪我した子はいないわね? 何があったかは後でゆっくり聞かせてもらうから、今はとにかく片付けちゃいましょ。みんなも手伝って」
「「えー」」
シオンちゃんとあやめちゃんが嫌そうな顔を浮かべると、ちょこ先生の表情がこわーい顔になりました。
まさに悪魔のように。
「手 伝 っ て く れ る わ よ ね ?」
「「……はーい」」
「よろしい」
有無を言わせない圧力で頷かせたちょこ先生でしたが、忘れてはなりません。
片付けるちょこ先生を子ども達は手伝ってくれているわけですが──
「あわわあわわわ?! ぎゃふん?!」
近年稀にみるベタな文句と一緒にすっころぶあくあちゃん。せっかく綺麗にしたのにまた散らかしてしまいます。
シオンちゃんとあやめちゃんは、
「なにがだめだったのだ? 余はよくわからんかったんだが」
「やっぱりタイミングがあわなかったんじゃなーい?」
手伝っているフリをしてお喋りに夢中。
「ちょ、だいじょぶッスかあくあー?! ふたりもはなしてないでてつだってほしいッスよー!」
スバルちゃんもドジるあくあちゃんをフォローしつつ二人の相手をするのに精一杯の様子。
「やれやれ……私が頑張るしかないわね」
先生として子ども達の見本とならなければなりません。大人が率先して行動すれば子どもはついて来てくれるはずです。
そう信じてちょこ先生は片付けを進めました。
一生懸命に手伝ってくれるあくあちゃんの
ちょこ先生は
「それじゃあ話を聞かせてもらおうかしら? どうしてこんなことになったのか」
「ちょこせんせー」
シオンちゃんが手を上げました。
「なあにシオンちゃん?」
「なにかやってたんじゃないんですかー? ここにくるまえに」
「あ!」
言われて思い出しました。布団の洗濯をしている最中だったことを。
「急いで片付けてくるからちょっと待ってて! また問題起こしちゃだめだからね」
「はーい」
いまいち信用できない返事が返ってきましたが、任された仕事はこなさなければなりません。子どもの面倒を見るのも仕事ですが、仕事はそれだけではないのです。
大急ぎで洗濯物を取り込み、新しく洗濯機を回し、洗濯物を干して、ひとまずやることは終わらせました。
本当に大人しくしてくれているのか心配になりながら
──ドカーン!!!
大きな爆発音でお出迎えしてくれました。
「また?!?!? あの子たちはもう……!」
どうしてこうも問題ばかり起こすのでしょうか。本当に手のかかる困った子ども達です。
ちょこ先生は床に穴が開きそうなほど力強い足取りで扉を開けました。
「──え?」
そこには大きな大きなケーキがありました。
ウェディングケーキ並みの、見上げるほどに大きなケーキが。
クッキーやビスケット、ポッキーにトッポにコアラのマーチ。思いつく限りのお菓子が散りばめられた子供の落書きのようなケーキでした。
角度的に見えませんが、〝いつもありがとう〟と書かれたチョコのプレートが天辺に乗っかっています。
「これは……?」
「ちょこせんせーみてみて! やっとせいこうしたの!」
突然現れたケーキを指差して嬉しそうにシオンちゃんが飛び跳ねます。
「あくちゃんとスバルがえをかいて、余とシオンのちからでしあげたのだ!」
「えっと……どういうこと?」
「わたしの『くろまじゅつ』とあやめちゃんの『ようじゅつ』があればなんでもできるってこと!」
平らな胸を張ってふんすと鼻息を荒くしてドヤ顔を浮かべるシオンちゃん。
あくあちゃんとスバルちゃんがケーキの絵を描いて、シオンちゃんとあやめちゃんの術で実物にした、ということのようです。
黒魔術や妖術にそんなことができる力があるとは聞いたことがありませんでしたが、実際にこうして現物を見せられてしまっては信じるしかありません。
「あくあがいいだしっぺなんッスよね!」
「いつもたいへんそうだったし、ちょこせんせーあまいのすきっていってたから……」
あくあちゃんがモジモジと恥ずかしそうにしながら言いました。ようやく「ぎゃふん」以外の言葉を聞けたような気がします。
あくあちゃんは特にドジをやらかしてちょこ先生の負担を増やしていると自覚があったのでしょう。
どうしてもそのお詫びとお礼がしたかったのです。
「「「「ちょこせんせーいつもありがとー!」」」」
何もない空間から、おまけとばかりにパン! とクラッカーのように色とりどりの紙吹雪が舞いました。
また散らかってしまっても、ちょこ先生はそれに気づかないくらい、嬉しさで胸がいっぱいになっていました。
「今までの爆発は全部コレがやりたくて……?」
「ま、あたしひとりならしっぱいなんかしなかったけどねーてんさいだから」
シオンちゃんはあくまで今までの失敗は自分のせいではないと言い張りたいようです。
そんなシオンちゃんを見ながらあやめちゃんはニヤニヤと笑っています。
「こっそりれんしゅうしとったの余はしっとるぞ」
「ねええええ! なんでいうかな?!?!」
「ちょこせんせーいっしょにたべよ!」
あくあちゃんが紙のお皿とフォークを差し出して言いました。
ちょこ先生はそれを受け取りつつ、嘆息をひとつ。
「あんた達は全く………………耳舐めていい?」
「いやいいわけねーだろ!」
スバルちゃんの鋭いツッコミが閃きました。
その後。
巨大なケーキはさすがに食べ切れなかったので、他の先生や園児たちも集まってみんなで楽しく食べましたとさ。
──おしまい。
子ども達のセリフは子ども感出すために基本的にひらがなとカタカナだけで書いているのですが、あやめちゃんの「余」だけは漢字じゃないと読みづらいと判断しました。
あまり関係ないですが話を書いているとき、たまたま綺麗な虹が出てたので《にじぐみ》になりました。ちょうど悩んでいたので運命感じましたね。
次回はゲーマーズ組です。これこそなんて名前にしましょうかね……?
それから今回でタグの文字数が限界を迎えたので次に更新するタイミングで「1期生」「2期生」ってまとめようかと思います。で前書きに、登場するキャラの名前一覧みたいなのを書こうかなと思います。