今回は3期生組のメンバーが登場します。
兎田ぺこら
潤羽るしあ
白銀ノエル
宝鐘マリン
不知火フレア
の五人です。よろしくお願いします!
ここはホロライブ保育園。縮めて〝ホロ育園〟──と言ったり言わなかったり。
とあるヴァーチャル世界にあるそこには、個性豊かな子ども達が預けられています。
そこではちょうどお昼時。子どもサイズのテーブルを囲み、大人一人、子ども四人が手を合わせていました。
「いただきまっする〜」
オリジナリティ溢れる「いただきます」を披露してみせたのが、
おっとりとした性格で白銀騎士団の団長であり、ホロライブ保育園の
「「「「いただきまーす」」」ぺこ」
それに続く子どもたちも若干一名特殊な語尾がくっ付いていましたが、それを気に留める人はこの場にはいませんでした。
ホロライブ保育園には給食があって、今日のメニューは具沢山のカレーライス。
「ノエルせんせー」
「ん〜?」
髪の毛にニンジンをブッ刺したうさ耳の女の子、
「どーしてせんせーのごはんだけカレーじゃなくてぎゅうどんぺこ?」
「団長──じゃなくて先生は牛丼が大好きだからだよ」
「な、なるほどぺこ……?」
ぺこらちゃんは目を皿にして冷や汗を垂らしながら呆れました。答えになっているような、なっていないような。
いくら大好きだからって
「るしあカレーだいすきなのです!」
綺麗な緑色のお団子ヘアーに黒いワンピースの女の子です。
「あなたもカレーすき
虚空を見つめながら誰かとカレーについて談笑しています。彼女は
「えー? しょうがないなぁ、ちょっとだけだよ?」
そう言ってるしあちゃんはじゃがいもとタマネギをスプーンですくって虚空へ差し出すと、一瞬でどこかへと消えてしまいました。
どこへ消えたのかは、るしあちゃんにも多分わかりません。
ぺこらちゃんがその光景を横目で見ていて
「いまだ! ほーしょーかいぞくだんのマリンせんちょーがきたぞう!
スプーンを片手に掲げ、海賊ごっこをしているのは宝鍾──ではなく
スプーンをぺこらちゃん──のカレーのニンジンに向けてロックオン。髪にブッ刺さっているほうのニンジンがターゲットではないようです。
「ちょ、マリンなにするぺこか?! それぺこーらのニンジンぺこよ?!」
「おいしいから!」
「おいっ──?! おこりづらいのやめるぺこよ!!」
給食に使われているニンジンは全て兎田農場から仕入れたニンジンです。丹精込めて作られていてとっても美味しいのです。好き嫌いをする子どもが多い中でニンジンが「美味しい」だなんて、なんていい子なんでしょう。
「マリン、おぎょうぎわるいよ。ちゃんとすわってたべなよ」
「アッ、ハイ」
いい子でもお行儀は悪い子でした。
ぴしゃりと言い含められ、大人しく席に座るマリンちゃん。
子どもでありながら姉御肌を発揮しているのは
「あとたまねぎのこしてる。ちゃんとたべないと」
フレアちゃんの指摘に、マリンちゃんは「うっ……!」と息を詰めました。
「だってたまねぎはなんかへんなあじがするんだもん! ベロがイー! ってなるんだもん!」
マリンちゃんは奇麗な歯を見せるように口を「イー!」としてみせました。
ニンジンは食べられてもタマネギは苦手なようです。
「だからってしれっとぺこらのカレーにいれないの」
「ばれてーら?!」
「まじぺこか?! うわっ、いわれてみればちょっとふえてるぺこ!」
ぺこらちゃんのカレーからニンジンを奪い取る際にしれっとタマネギを移していたようです。海賊を名乗るだけあって、手先が器用なマリンちゃんでした。
それを見逃さないフレアちゃんもさすがです。
「るしあもタマネギにがてだよね?! ベロがイー! ってなるよね?!」
「ならないのです」
「ならないんだ?!」
るしあちゃんの即答に顎が外れそうになるマリンちゃん。るしあちゃんは味方になってくれると思っていたようです。
「すききらいするひとはるしあきらいなのです。いかりをかうのですよ?」
「なんのいかりを?! たべる! がんばってたべるからきらいにならないでるしあたん!」
「るしあの言う通り、食わず嫌いはよくないんよ~。食べてみたら案外美味しかったりするし、タマネギは牛丼にも相性抜群だしね!」
ほっぺたにご飯粒をつけたままのノエル先生が目を輝かせながらサムズアップ。牛丼に関わってくると目の輝きが違います。
「うえぇ……ほんとぉですかぁ?」
ノエル先生の言葉に、タマネギの味を想像して顔にシワを寄せるマリンちゃん。一瞬だけ、78歳くらいの表情になりました。
そんなマリンちゃんの肩に手を置いて、フレアちゃんは諭します。
「たまねぎはちゃんと火がとおるとあまくなるんだよ。たべてみればわかるから。カレーあじだし」
「そうぺこ。うさだのうじょうのニンジンほどではないぺこだけど、タマネギもあまくておいしいぺこよ! カレーあじついてるぺこだし」
「マリン、かんばるのです。カレーだしいけるのです」
「えー……? じゃあ、みんながそういうなら……たべてみようかな……? カレーだし」
カレー万能説を誰もが唱えていました。実際カレーは万能です。混沌と化す闇鍋ですらカレールー入れておけば何とかなると言われているくらいですから。
マリンちゃんは恐る恐るタマネギのひと欠片をゆっくりと口に運んでいきます。
シュンッ。
「──あれっ?」
マリンちゃんはスプーンを口の中に入れましたが、タマネギの「イー!」となる味がしません。
というか、そもそもスプーンの上にタマネギが存在していませんでした。誰も気づきませんでしたが、口に入れる直前に消滅していたのです。
「ほーら! たべられるじゃないぺこか!」
「マリンえらいじゃん!」
「さすがマリンなのです」
「タマネギは人類の味方なんよ〜!」
「??? ま、まぁね! せんちょーにかかればタマネギくらいよゆっすわ! はっはっは!」
なにが起こったのかよくわかっていないマリンちゃんでしたが、褒められて天狗になると胸を張って高笑いしました。
元気に笑うマリンちゃんを尻目に、ノエル先生が「そういえば」と手を打ちます。
「先生は牛丼だけど、やっぱぺこらはニンジンが入ってるからカレーが一番好きなん〜?」
ノエル先生が聞くと、
「いやハンバーガーぺこ」
「そこはキャラをまもれよ!」
マリンちゃんの鋭いツッコミが轟いたのでした。
──おしまい。
カレーメシコラボとっても良かったですね!
次回はもちろん4期生組のお話になります。
ココ会長が活動休止という発表が最近されて少し寂しいですが、かなたちゃんが大丈夫と言っていたのでいつか帰ってくるのを信じて、執筆しながら待とうと思います。