将軍は悠々と腕組みをして、私たちを待ち構えるようにして立っていた。
「ふむ……見張りの兵士が扉の前にいた筈だが。何用でここに来たのかね?」
白々しいことを。扉の前での騒ぎは、恐らくこの人にも聞こえていた筈でしょうに。
「とぼでないでちょうだい! アンタが将軍じゃない誰かってのはもう分かってんのよ」
それを聞き、将軍――本当は違うのだが、便宜上ここではそう呼ぶ――は感嘆するようにため息を吐く。
そして一拍置いてから、観念したように話し出した。
「いつかはこうなると思っていたが、早いな……参考までに聞きたいのだが、どうやって見破った?」
「儂は盲目の代わりに相手の気を感じ取れるでな……人の皮を被ったような奇妙な気配、一目でわかったぞ」
「成程成程、それは盲点だったな。次はもっと気を付けなければ」
穏やかに笑う。いやに落ち着いた振る舞い。もしや奥の手がある? それとも――既に死を受け入れているとでも言うの?
「悪いけど、アンタに次は無いわよ」
「そうだな、そして死ぬ前に全てを話して貰う」
アトリアが感情の籠っていない声で告げる。その無機質さからは、喋らせるためなら何でもするという凄みを感じさせた。
……時折、その無機質さに少し恐怖を感じることもある。そしてそれ以上の慈しみも。
だが相対する将軍の目には、それとは正反対の強い意志の光が宿っていた。
「拷問でもしてみるかね? もしそうするつもりならば無意味だと言っておこう。私も無駄に痛い思いをするのは御免被るのでね」
それを見て確信する。こいつは何をされたって喋らないだろう。
「やめましょう、時間の無駄よ。こいつは何も喋らない」
「ああ、そうだ。一つだけ教えてやろう……本物がどうなっているか、知りたくないかね?」
「……あんたが殺したんじゃないの」
本物の将軍。兵士の話を聞くに入れ替わったのは二年前。だとすれば用済みになった彼が生きているとは考えずらいが――
「まさか! ほら、そこの棚の下に置いてある宝箱があるだろう? ――それが本物の将軍さ」
「……は?」
思わずノルンの方を振り向く。見た目に惑わされない彼ならばその言が本当か判別できるはずだからだ。
そして彼は、宝箱の方を見たのち、数秒置いてから静かに頷いた。
「この儂が気付かなんだ……! 人の形をしておらん上にあまりにも気が微弱だったので言われるまで判らんかったが、確かにこの宝箱からは人の気配がする」
「闘う力はない私だが、
奇術師が己の仕組みの種明かしをするような、そんな気軽さで話が続いてゆく。
「箱の形というのはいい。四肢がないので自力では動けないし、
「……外道ね」
「私が? 心外だな。私は彼を含め、ただの一人も人間をこの手にかけたことは無い」
それが屁理屈だというのは、私でさえもすぐに分かった。本当は『この手』の前に『直接は』という接頭辞がついて然るべきなのだ。
こいつのせいで人が何人死んだのか。それを思うと、自然と腹の底から憤怒が沸き上がってきた。
「あの襲撃だってあんたが仕組んだことでしょうが! それをいけしゃあしゃあと……!」
「大したことはしていない。密偵と思わしきものに運送の日程と経路を記した書類をうっかり見せてしまったのと、リンガイアの商人に化けて上質な聖水を格安で軍に売ってあげただけだ。まあ、本当はただの水なのだがね」
それを聞いて合点がいった。こいつは弱いのだ。聖水に触れないほどに。だからあれこれ策を練り、人間同士で潰し合わせていたわけだ。
だが、それが分かったところでやるべきことに変わりはない。
「もういいわ。……楽にしてあげる」
腰に下げていたメイスを手に取る。脳天を一撃、それで終わりだ。
「私を殺すか。いいだろう……私が死ねば呪文は自然と解ける。当然将軍も元に戻り、表向きは明日からも変わりのない日常が続くだろうな、中身が変わったことを除いては」
「それが何だって……あ」
やっと、気付く。
元に戻る。あの兵士によればとんでもない無能の、本物に。
それが意味することは――
「彼が言っていただろう? 私がいなければここはリンガイアの領土になっていたとね。そしてそれは今でも変わらない。国防の要が落ちればルビアはどうなる? 元々地の利を生かした防衛戦が強みだったのだ、その最たるもののここが落ちたら――滅亡すらも現実的な可能性を帯びる」
手が止まる。暫しの間、逡巡する――自分のやっていることは正しい。
元々こいつの存在そのものがイレギュラーなのだ。それを排除すればあるべき姿に戻るのは当然の事。
それが例え、国一つが滅びる引き金を引くことになったとしても。
「手が止まったな。それが正しいと理解していても、一国の命運を絶つのは辛いか? なに、心配するな。これが自然の摂理、弱肉強食というものだ。弱い者は強い者に食われるのみ。私と君や、ルビアとリンガイアの関係のように」
その手を振り下ろせ。何も気負うことはない。それが正義の行いだ。
頭では理解しているのに。武器を持った手はぴくりとも動かせない。断ち切ることになるものの重みが、腕に纏わりつくようで。
「それでも嫌ならルビアに味方してリンガイアを滅ぼすか? 君たちの人知を超えた力なら不可能ではないだろう」
だから何だ。その結果国が一つ滅びたとしても、その重みすらも受け止めて見せる。
逃げはしない。先送りにもしない。私がこの手を振り下ろせば、私が背負えば全て済むというのなら。
やってやる。今度こそあいつを――殺す。
凍り付いていた腕が、再び動き出した。
「それとも、どちらも滅びぬように戦況を操るか? それなら助かるな。私の仕事を引き継いでくれる訳だ――ッ!」
だが、その手が振り下ろされる前に。
ぽん、と、肩に手が置かれる。どこか優しさを帯びた手つき。
そして――突き出された神剣が、将軍の心臓を貫いた。
「アトリア……!」
「これ以上
将軍の口から血が零れると同時に、全身から白煙が上がってゆく。変身呪文が切れる予兆だ。
その今際の顔は恐怖でも諦観でもない、どこか遠くを見ているような。
今まで見たことのないそれを言葉にするならば、理想に殉じた者の死に顔だった。
「そうだ、それでいい……! 私の屍を踏み越えて行け、勇者よ! そして、世界に光を……!」
それを最後の言葉として、彼は事切れた。
完全に変身が解ける。その下に表れた本当の姿は、
左手に盾を持ち、そして剣を握るはずの右手は――最初から存在していなかった。
戦う力を初めから欠いて産まれた、持たざる者。鍛え上げた変身の力は、主に捧げるもう一つの剣だったのだろうか。
「行くぞ。見られたら面倒だ」
「そうじゃな。ここらの壁の向こうに空洞がある。近くに隠し通路の入り口が――荒っぽいのう」
ノルンが壁に指をさすや否や、アトリアがそこを蹴り砕く。果たして彼の言葉通り、そこには外へ繋がる隠し通路が伸びていた。
見れば、宝箱――変身させられた将軍である――からも白煙が上がる。じきに元の姿へと戻るだろう。
黒い影は段々と周囲の空気に希釈され、薄まり消えていく。その存在の痕跡を残すことなく。
「……ええ、行きましょうか」
部屋を出る間際、最後に振り返り消えていく影に十字を切ろうとして――やめた。
彼は神の救いなど求めていない。その望みが叶う事を願うこともできない。
ただ一人の人間として、安らかに眠れたことを祈るだけに留めておいた。
その通路の先は砦が建つ断崖の下の森に続いていた。
木々の間から漏れる月明かりが、地面を微かに照らしている。
暫くの間、誰が何を言うでもなくただ歩く。ようやっと、気持ちが落ち着いてきたところで口を開いた。
「ねえ。何であの時、私を止めたの?」
そう、アトリアからすれば別に傍観していても結末は変わらなかった。敵が死にさえすれば事の次第は気にしないような人間のはずなのに。
私が迷い、苦しんでいたことを見抜いたと言うのだろうか。
「……別に、国一つが滅んだところで何とも思わないし、それで苦しむこともない。だから、代わりにオレが背負ってやろうと――そう、思っただけだ」
「え……」
「勘違いするなよ、別にお前の為じゃない。その方が合理的だからそうしたまでだ」
嘘だ。
私はアトリアとそれなりに長く接してきた。だからこそ分かる。いつもの平坦で無機質なそれとは少し違う、微かな気恥ずかしさを含んだ声。
「ふふっ、そう…………ありがとね、アトリア」
だがその下手くそな嘘が、疲れた心を何よりも温めてくれた。
「ま、お主のその優しい心は美徳じゃよ。儂やアトリアのような異常者はそんなもの持ち合わせておらんからのう。いつか役に立つときも来るかも知れんしな」
「一緒にするな。……だがまあ、否定はしない」
思えば、今までの人生は与えてばかりだった。
生まれ持った僧侶の才能。折角だからと傷ついた者達を癒したいと思い、力を奮ってきた。それが持つ者の責務だと信じて。
しかし帰って来たのは空虚に響く聖女の称号と、羨望と信仰の目。上からはやっかみを向けられ、果ては殺されかける始末。
見返りを求めたわけではない。それでも、ただ見てほしかった。立場や肩書に縛られない、ありのままの自分を。
「新参者の儂が言う事でもないが、この旅が終わるまで儂らは運命共同体。辛いことの一つや二つ、分かち合えんで何とする」
あのままでは決して得られなかった、本当に求めていたもの。
今、この旅を始めて良かったと心の底から思った。
「……お前に辛気臭い顔は似合わん。さっさと元の調子に戻れ」
そうか。
「そうね……さぁ! 続けましょう……私たちの旅を!」
これが――仲間か。
後日意識を取り戻した将軍は、自らが成り代わられていたことを伏せ、それらに関する言説に緘口令を出した。
二年もの間誰とも知らぬものに将軍の座をいいように使われていたという大失態が明らかになれば、彼の失墜は明らかだからだ。
おとなしくこれを報告し、まともな指揮官が代わりに派遣されていれば別の道もあったのだが。
影の騎士が言ったように、表面上は変わり映えのない日常がマラッカ砦では続くことになる――だが、二年前と同じような状況に戻るならば、結末もまた同じ。
これより三年後、マラッカ砦は陥落することになる。そして国防の要が奪われたルビアという国もまた、砂上の楼閣が崩れるが如く滅びへの道を歩んでいった。
十年後にはルビアという国は消え、リンガイアに完全に併呑されることとなる。
だが、山中という利便性の悪い土地柄からか、時代を経るにつれ旧ルビア領土からは人が流出していき、二百年後には一部の町を除いて人の立ち入らない地域となる。
結局のところそれを持て余したリンガイアは無人の地域の統治を放置、旧ルビア領土の大半を手放すことと相成った。
話を戻そう。緘口令が敷かれたとはいえ、人の口に戸は立てられぬものだ。
同僚との他愛もない会話、あるいは酒の席で。
勇者と魔王の伝説が、いま世界に産声を上げたのだ。
――――――――――
同日、北オーザム首都の中心に建つ大聖堂。
その会議室の中で、円卓を囲む高位聖職者たちの会議は紛糾していた。
「農民たちの不満は限界です。このままでは遠からず暴動が起こりますよ」
「私の領土も作物の不作でこれ以上税が払えぬと泣きついてきております」
一年の殆どを雪原が大地を覆う常冬の国。食糧問題は彼らが常に直面している問題だった。
加えて南北オーザムの分裂が起きてからはその問題は顕著となる。南オーザムの離反の理由の大半が、聖職者の腐敗と余りにも高い税への反発。
当然、南オーザムへと行くのは農民などの労働者層が多くを占めることとなる。
その反面、彼らをごっそりと持って行かれた北オーザムが人手不足により、食糧危機を加速させてしまうのは当然の理路であった。
「神の代弁者である我らに逆らうなど言語道断! そのような者どもは即刻打ち首の刑に処し、見せしめとすべきだ!」
強硬策に打って出ることを提案したのは枢機卿。この国で二番目の権力者であり、多くの土地を治める領主でもあった。そしてセレネの父親でもある。
「娘さんにあのようなことがあったばかりで気が立つのも分かりますが……それは流石に早計では?
ここは今年の納税量が最も多かったフェティア殿の意見を聞きたいところですな」
この国には三つの派閥がある。教皇派に、先程言った枢機卿派。そして、大司教フェティアの派閥だ。
元来は教皇と枢機卿、二つの派閥しか存在していなかった。だが、優秀な領土経営で頭角を現していたフェティアが先の戦に際し破格の戦功を挙げ続け、異例の速さで出世を重ねることにより第三勢力として台頭してきたのだ。
「いえいえ、私などまだまだですよ。この地よりひどい荒れ地の場所に駐留していたことがありましてね、そこで少し土地の扱い方を学んだだけです」
「ふん、運に恵まれただけの分際で生意気な……で? 結局のところそなたはどうすればよいと考えておるのだ」
だが、高位聖職者たちは基本的にフェティアの派閥以外のどちらかに属している。彼の台頭以前から着任している者たちばかりであり、利権などの関係で堅く結びついているからだ。
その代わり彼は、下位の聖職者や商人や農民などの労働者から絶大な支持を得ていた。
「では、僭越ながら……この際、各々方が貯蔵している穀物を出し、大々的に振舞ってしまいましょう」
「馬鹿な! 全員の腹を満たせるような貯えなど出せば、我々聖職者の分まで危うくなるではないか」
「何も正直に全て吐き出す必要はありません。我々が民衆のために身を切っているというパフォーマンスが大事なのです、そうすれば絆される者も出てきます。暴動を起こすためには民衆が一致団結していることが前提。そこを崩してしまえば、大それた行動を起こすことは出来ません」
「むぅ……」
整然とした回答に思わず唸り声が漏れる。上層部では爪弾きにされているフェティアだが、その有能さは皆が認めるところだった。
ぱん、と手を叩く音が響く。その源である教皇の方へと皆が振り向いた。
「それについては各々の領地の問題。そなたらが個別に対応すればよかろう……それより、本題に入るぞ――南オーザムと開戦すべきか、否か」
「この逼迫した状況では兵站が十全に機能するか怪しい。慎重に臨むべきでは――」
「しかしそれで手をこまねいている内に向こうから仕掛けてくれば何の意味もない。やはりここは機先を制して――」
再び、会議は喧々諤々の有様へと戻る。そうして彼らがひとしきり話し終えた後、会議の中心は南オーザムへと大使として派遣されていたフェティアへと移った。
「やはり実際の様子を聞かねば何も始まらん。現地に赴いていたフェティア殿の目にはどう映ったのかね?」
とても一枚岩とは言えない北オーザムだが、それでもほぼ全員の共通認識として存在するものがある。
それは南オーザムに対する激しい敵愾心。まあそれは、向こうも同じではあるが。
「……一言で言えば、取りつく島もありませんね。向こうには和平を結ぶ気など毛頭ないようです。それに、ここ最近になって急に軍備を拡大するような動きも見られました」
多分に盛り込まれた誇張と嘘。有能さと誠実な人柄ゆえに疎まれる彼だからこそ、嘘をついているなど思いもしないし、交渉を仕損じたとも思わない。
故に。
大義名分を与えてやれば、その敵愾心は容易に燃え上がる。
「南の裏切り者どもめが……やってやろうじゃないか! こちらも軍備を整え、先制攻撃を仕掛けるべきでしょう!」
「神の教えを捨てた大逆者に裁きを与える時が来たようですな」
「それに相手の蓄えを奪えば、食糧難も解決できるやもしれん。一石二鳥ではないか」
一気に開戦ムードへと傾く会議場。その虚ろな熱狂を止めようとするものは、ここには誰一人として存在しなかった。
「皆の意見、しかと聞かせてもらった。……開戦は二月後、宣戦布告と同時に奇襲攻撃を仕掛ける。各々、戦に向け準備を怠らぬように」
会議も終わり、各々が帰路へと向かおうとしているとき。
大聖堂の荘厳な廊下を一人歩く枢機卿の背後に声が掛かる。
「どうも、枢機卿殿」
「フェティアか……何の用だ、手短に言え。貴様の顔を見ていると虫唾が走る」
苦々しげに、枢機卿が吐き捨てた。今や大司教の派閥の勢力は、枢機卿のそれを追い抜かんとする破竹の勢いで拡大し続けている。
それを思えば、この苦虫を噛み潰したような顔も当然だといえよう。
「これは手厳しいですね。ではお望み通り本題に入りましょうか……あなたの娘さんを南オーザムで見かけましたよ」
「っ! それは……本当か? 本当なら……喜ばしいことだ。娘が消息を絶って早三週間。望みを捨てかけていたが……娘はなんと言っていた?」
言葉とは裏腹に、隠しきれぬ険しさが枢機卿の顔からは滲み出ていた。
それを知ってか知らずか、フェティアは更に言葉を続ける。
「私も驚きましたよ、
「…………普通に考えるならば、対抗派閥の誰かだろう。その線でいけば、一番疑わしいのは貴様だろうが」
「まさか。彼女が幼少の頃からよく面倒を見ていたのは貴方もご存じでしょうに、今になってそんなことをする意味がない。それに彼女、まだ誰とは分かっていませんが心当たりがあるようでしたよ?」
「…………」
「おや? 何か思い当たることでもありましたか?」
「……いいや」
知る者が聞けば白々しく思えるような問いを前に、だが真実を知らぬ枢機卿は絞り出すような返答を返すことしかできない。
「彼女は魔王を倒す旅に同行すると言っていました。まだここに帰るつもりもないとも」
「魔王だと……? そんな存在するかも分からないものを……いや、生きているならいい。暗殺されかけた故に戻るのが怖いのだろう」
「魔王が存在するかどうかについてここで論じる気はありません、が……別れる際に彼女は言い残しました。――旅が終われば、私の知る全てを公表する、と。無論私には何のことかわかりませんでしたが」
「な……!?」
私の知る全て――枢機卿にとってそれは、彼女が愛人の娘であったという事実、そしてもしかすれば暗殺者を仕向けたものの正体……すなわち己だ。
これが露見すれば権力闘争から外れるどころではない。一転して犯罪者へと転げ落ち、権力も財産も領地も、全て失うことになるだろう。
最もセレネはそんなことを一言も言ってはいないが、その場にいなかった枢機卿にそれを知る術は無かった。
「しかしもし彼女が魔王を倒して凱旋すれば大殊勲ではないですか。勇者御一行の一人を輩出したとなれば貴方の権威も一層高まる。そうなれば教皇の座も夢ではない」
教皇、勇者、魔王、没落、真実。色々な単語が枢機卿の頭を巡っては消えていく。
やがて彼は、一つの結論へと辿り着いた。
「……情報提供、感謝する。フェティア大司教よ」
「私に礼を言うだなんて珍しいですね」
「ああ……今の私は機嫌がいい。やりたいことが、出来たのでな」
勇者に関する噂が北オーザムにまで届いたのは、その一週間後の事だった。
脇役紹介コーナー
将軍(偽物):魔王軍(軍というほど敵出てきてないけど)の幹部。生まれた時から片腕がないモシャスナイトで、魔界で野垂れ死にそうになっているところを魔王に拾われた。他人にモシャスがかけられる。
枢機卿:セレネの父親で強烈なタカ派。50歳強くらいのおじさん。北オーザムで二番目に偉い人で、自分の座を脅かすフェティアのことを嫌っている。
教皇:北オーザムで一番偉い人。枢機卿と比べれば一応保守的だが、教皇の椅子を脅かかされればその限りではない。