Fate/Grand Order 東方人理奪還戦線   作:シントウ

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滅茶苦茶難産でした。
駄文かもしれませんがどうか楽しんでいってください。

アンケートに答えてくれた方々ありがとうございます。
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反転した騎士王

「あいたたた……あ〜油断した〜」

 

「ほら、動かない!カルデアの礼装の回復はあくまでその場凌ぎなんだから、じっとしていなさい!」

 

現在カルデア一行はアーチャーとの戦闘を終え、作戦会議を兼ねた休憩をしていた。いくら時間がないとはいえ、あの状態でセイバーと戦うのは無謀過ぎるためだ。

 

『こちらでモニタリングしたが、霊夢君。君はこの後の戦闘は前みたいに前線に立つのは少し危険だ。いくら君が強いからと言って万全ではない状態の君をセイバーの、彼の騎士王の前に出すのは不安すぎる。』

 

通信でロマニは霊夢にそう伝える。現在の霊夢はアーチャーの攻撃で決して小さくはないダメージを受けた。オルガマリーいよる回復で少しは回復したが先程に比べ少し気迫などがないように見える。

 

「その優男の言う通りだ巫女の嬢ちゃん。お前さんは次のセイバー戦では盾の嬢ちゃんのサポートに徹してくれ、なぁに前線は任せておけ」

 

「………なんかさっきのアーチャーもそうだけどあんたもだいぶおかしいわよ……近接戦闘をするキャスターなんて普通ありえないでしょ……」

 

アーチャーは弓を使わず剣を使う、キャスターは工房に籠もらずバリバリ前線で戦う。自分が持っている聖杯戦争の情報と違いすぎて頭を抱える。

 

____まあ、Fateのアーチャーは弓使うことの方が珍しいし、近接戦闘可能なキャスターも何体もいるし、こちらからしたら別に気にすることはない。

 

「確かに色々とおかしいけど今はなんだっていいわ……それよりキャスター、アーサー王相手にどのように立ち回るの?今までのサーヴァントはあくまで英霊の残りカスのような存在。ハッキリ言って通常のサーヴァントよりも弱い存在でしょ?でもアーサー王は違う。あれは今までとは違う本物のサーヴァント……一瞬でも隙を見せたらこちらが負けるわ。」

 

『その通りだ。キャスターの話が本当なら騎士王は彼を除く6騎のサーヴァントを一瞬で倒した。三騎士のアーチャーとランサーは勿論、理性を犠牲にステータスを強化するバーサーカーにも勝ったのだから。』

 

オルガマリーとロマニの話を聞き、立香はふと疑問に思ったことがある。

 

「あれ?バーサーカーって今まで遭遇したことあったけ………?」

 

「『・・・・・・・・・・・」』

 

大人2人の空気が、凍った。

 

「所長?ドクター?一体どうしt『ああああぁぁぁぁ!?そうだ、バーサーカーのことをすっかり忘れてたぁぁ!!!い、今すぐ、周辺の魔力を探知するから少し待ってて!!』

 

「バ、バーサーカー……聖杯戦争で最も注意しなくちゃいけないクラスをなんで放置していたのかしら………た、確かに今までスケルトンやらシャドウ・サーヴァントやらに襲われていて気が動転していたけど冷静に考えたらブツブツブツブツブツ…………

 

パニックに陥った大人2人を見て立香とマシュは呆気を取られ、フォウは呆れた鳴き声を出した。

 

「これ、どうしたら良いのかな……マシュ?」

 

「さ、さぁ、私も現状が少し分からないので、返答に困っています……」

 

「フォウ…」

 

因みに霊夢は特に反応せずに無視、クー・フーリンは声を出さないように口を手で押さえて笑っていた。

 

____________________________________________

 

「いやぁ、悪りぃ悪りぃ。お前さんたちの反応が面白くてなぁ」

 

暫くして、なんとか落ち着いた大人組にクー・フーリンが説明をした。どうやらバーサーカーはここから少し離れた城に居座っているらしく、全くそこから動かないようだ。近づかなければ襲ってくる事もなく、ほっといても問題ないらしい。

 

「それを早く言いなさい!!慌てて損したじゃない……」

 

『こちらも観測してみたけど確かに君たちから離れた地点に魔力反応を感知した。おそらくそれがバーサーカーなのだろう。キャスターの言う通りここは無視して大丈夫だと思う』

 

2人が落ち着きを取り戻したのを確認し、セイバー撃破のための作戦会議が始まる。

 

『まず、敵の確認からだ。敵の名は《アーサー・ペンドラゴン》。世界中の誰もが知っている騎士王だ』

 

アーサー・ペンドラゴン

イギリスに伝わる伝説、『アーサー王伝説』に登場する王。選定の剣を抜き、多くの悪と戦い、そして勝利してきた世界で最も有名な騎士。

 

「敵がアーサー王だとするなら、その宝具は勿論『エクスカリバー』。その破壊力は想像もつかないわ」

 

「そしてクー・フーリン以外のサーヴァントを倒すその実力、油断したら一瞬で勝負が決まるわ」

 

「ああ、そこでだ。俺は盾の嬢ちゃんが奴を倒す鍵なんじゃねぇかと思うんだ」

 

クー・フーリンの言葉で視線はマシュの方に向く。

 

「私……ですか……?」

 

「アーチャーがなんでお前さんたちを狙ったか分かるか?」

 

マシュと立香は首を振る。

 

「それはお前さんたちが厄介だと感じたからさ。あの戦いはルーラーが奴の攻撃を引きつけていたが、あいつ、隙あらばマスターと嬢ちゃんのことを狙おうとしていたんだぜ」

 

クー・フーリンの言葉通りならセイバーを守っていたアーチャーが積極的に前に出て自分たちを排除しようとしていたのならセイバーにとってマシュはかなり厄介な相手なのだろう。

 

「だから、嬢ちゃんにはセイバーの前に出てもらうことになる。かなり危険だがな」

 

セイバーの目に出る。今回が初の実戦で宝具も完全に出すことができない、さらに相手は世界的に有名な最強の騎士王。マシュにとってはかなり酷なことだ。

 

『いくらなんでも危険すぎる!!僕は反対だ!!いくらセイバーに有効だからと言ってまだ未熟のマシュをセイバーの正面に出すなんて、そんなの自殺行為だ!!』

 

「私はいいと思うわ。現状これしかないのならこの作戦が一番よ。勿論、マシュを全力でサポートするわ」

 

ロマニは反対、霊夢は賛成。残るはオルガマリーと立香、そして張本人のマシュのみ。

 

「……………確かに、危険すぎるわ。いくらこちらの数が多いと言っても相手は5騎のサーヴァントを倒した者、しかもこちらのサーヴァントは3騎中2騎は不完全な状態、普通に考えたら負けるのはこちら。………でも、こちらも後に引けない、私はこの作戦に賛成するわ!」

 

『えぇぇぇぇ!!?大丈夫なんですか、所長!?チキンなのにそんな決断しちゃって!?』

 

「ロマニ、帰ったら2ヶ月減俸」

 

そんなぁ〜、という情けない声を聞き苦笑いをした立香だが、直ぐに表情を戻しマシュに顔を向ける。

 

「マシュはどうしたい?」

 

マシュに優しく話しかけた。

 

「………私は、その……」

 

マシュはかなり悩んでいた。自分が敵の切り札になるとは思えず、もし自分が失敗したら立香含め他の仲間たちが殺されてしまう。そう考えると恐怖を感じ動けなくなってしまう。マシュは立香からの問いに答えられず手は震え、顔が俯いてしまう。しかし、そんなマシュの手を立香は優しく包んだ。

 

「先輩……?」

 

「不安だよね。分かるよその気持ち、でも大丈夫だよ。マシュならきっとやれる。さっきだってアーチャーの攻撃を防げたし、クー・フーリンの宝具だって止めることができたんだよ。それにマシュは1人じゃない。俺は勿論、所長やクー・フーリン、霊夢にフォウくん、あと通信越しだけどドクターもいる。1人じゃない、みんなでやるんだ。だから抱え込まなくてもいいんだよ」

 

マシュが周りを見ると他の者たちは微笑みながら頷き、フォウもマシュの肩に乗り小さく鳴いた。ロマニは少し複雑そうだったが最終的には同じく頷く。マシュは瞳を閉じて深呼吸をし、瞳を開く。

 

「はい、マシュ・キリエライト。精一杯やらせていただきます!!」

 

____________________________________________

 

「ここがセイバーのいる洞窟だ」

 

一同は移動し、柳洞寺の裏にある洞窟にたどり着く。

 

「セイバーの奴はこの奥にいる。気を引き締めろよ」

 

クー・フーリンの言葉に一同は頷き、洞窟の中を進んでいく。

 

洞窟を潜り、辿り着いた大きく開けた空間。そこには知識のない一般人の視点でさえ異常なほどの存在感を感じる何かが存在していた。

 

 ―――大聖杯。冬木において運行されていた聖杯戦争の心臓部。

 

「これが大聖杯……超抜級の魔術炉心じゃない……なんで極東の島国にこんなものが……」

 

『資料によると、制作はアインツベルンという錬金術の大家だそうです。

 魔術協会に属さない、人造人間ホムンクルスだけで構成された一族のようですが……』

 

「お喋りはそこまでにしときな。奴さんに気づかれたぜ」

 

オルガマリーとロマニの会話をキャスターが打ち切る。

 

前を見ると、そこには1人の少女(・・)が立っていた。

 

病的なまでに白い肌。それを覆う漆黒の鎧。そして手にする黒く染まった聖剣。

 

「……なんて魔力放出……!あれが、本当にあのアーサー王なのですか……?」

 

『間違いない。何か変質しているようだけど彼女はブリテンの王、聖剣の担い手アーサーだ。伝説とは性別が違うけど何か事情があってキャメロットでは男装をしていたんだろう。男子でなければ王座にはつけない、みたいなそういうあれこれさ。この手の事は大抵が宮廷魔術師であるマーリンの入れ知恵だろう。本当に趣味が悪い』

 

普段穏やかなロマニにしては珍しく吐き捨てるように語るが彼女が発する魔力によりそれに気にするものは居なかった。

 

「え……? あ、ホントです。女性、なんですね。男性だと決めつけて見ていました」

 

盾を構えながらそこに驚いている彼女にキャスターが声をかける。そんなどうでもいいことに驚いている場合ではない、と。

 

「見た目は華奢だが甘く見るなよ。アレは筋肉じゃなく魔力放出でカッ飛ぶ化け物だからな。一撃一撃がバカみてぇに重い。気を抜けば宝具さえ使わせないままバラバラにされるぞ」

 

「確かに、この桁外れの魔力放出……私が戦ってきた今までの奴らの中でも上位に入るわ……気を抜いたらこっちが飲まれそうになる…」

 

現在の最高戦力である二人の言葉を聞いた誰もが体を強張らせて身構える。

 

戦闘態勢を整えているこちらを見て、セイバーは小さく笑みを浮かべた。

 

「――――ほう。面白いサーヴァントがいるな」

 

「なぬ!? テメエ、喋れたのか!? 今までだんまり決め込んでたのは何だったんだよ!」

 

「ああ。何を語っても見られている。故に案山子に徹していた。だが―――その私が思わず口を開く珍客だ。その宝具を引っ提げて我が前に立たれたからには、この剣をもって試すしかあるまい」

 

魔力が炸裂し、彼女の体から黒い霧が立ち昇る。それらは全て純粋な魔力というエネルギーに他ならない。

 

「っ――――!」

 

「構えよ、名も知れぬ娘。その守りが真実か、この剣で確かめてやろう」

 

黒に反転した騎士たちの王が今、カルデアの者たちを叩き潰すために動き出す。




セリフを見直したりアレンジしたりしてかなり時間がかかりました。
今回も見てくださりありがとうございました。
もしここがよかった。ここを直した方がいいと思ったら是非、コメントや評価などしていってください。
作者は単純なのでこういうのでモチベーションがかなり上がります。

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