Fate/Grand Order 東方人理奪還戦線   作:シントウ

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更新遅くなり申し訳ございません。
なかなか上手く纏まらずぐだぐだしてますが楽しんでいってください!

それとお気に入り数が50人を突破しました!ありがとうございます!
これからも頑張っていくので評価やお気に入り登録、コメントなどよろしくお願いします!


黒幕と別れ

光と衝撃による突風が収まり、辺りが視認できる様になりった。

 

「お、終わった……のか……?」

 

立香は足を震わせながら言った。マシュを助けようと無我夢中で彼女の元に近づき、一緒に盾を構えるという自分の行動に今更ながら恐怖した。

 

『ザッ………ザザッ……yっと、やっと繋がった!!所長、マシュ、立香君、みんな無事か!?』

 

「ロマニ!?今まで静かかと思っていたら、急に喋り出してどうしたのよ!!」

 

『すいません、所長!!実は戦闘が始まってセイバーの高濃度の魔力に機器が狂ってしまい、今ようやく復旧したんです!そ、それよりもセイバーはどうなったんですか!?こっちは映像が回復しただけで他の機器はまだ復旧してないんです!』

 

ロマニの言葉にハッとした立香たちはセイバーが居た方向を見た。

 

煙が立っており見えづらかったがその奥に黒い人影が見える。

 

「ま、まさか倒し切れていない………?」

 

「いや、よく見な」

 

震え声で呟く出すオルガマリーの言葉をクー・フーリンが否定する。

 

「どうやら、限界みたいだぜ」

 

煙が晴れると立香たちは言葉の意味を理解した。漆黒の鎧は所々が剥がれ、まるで血色がない様な白い肌が見えその肌にも火傷が見られ、後ろで纏められていた金色の髪は解けており、仁王像の様に勇しく立ってはいるもののその両足は僅かに震えており今にも崩れ堕ちそうだった。

 

誰が見ても満身創痍、しかしセイバーはそれでも堂々とその足で大地に立ち、こちらを見据えていた。

 

「───フ、結局こうなるのか」

 

常に冷酷と表情を固めていた彼女の顔は、寂しげな笑顔をしていた。

 

「私一人ではこの結末。運命を一人で抗おうとは、この末路も納得か」

 

「…それはどういう意味だ、セイバー?」

 

「随分と含みがある言い回しね………何を知っているの?」

 

「貴方達もいずれ知ることになる、アイルランドの光の御子、楽園の守護者よ」

 

 

 

 

「グランドオーダー。聖杯を巡る戦いは、まだ始まったばかりだと」

 

 

 

セイバー、騎士王である彼女の目は立香達へと移った。既に彼女の体からは金色の光の粒子が出始め座に帰還し始めていた。

 

「人類最後のマスターよ。願わくば我が剣、これから起こりうる戦いの為に振るいたいものだ」

 

それだけ言うと、彼女は光と共に完全に消えていった。グランドオーダー、聖杯、人類最後のマスター(・・・・・・・・・)。ありとあらゆる謎の言葉を彼らに残し、大聖杯を守護した騎士はこの冬木の聖杯戦争から敗退した。

 

「グランドオーダー!? なんであのサーヴァントがその言葉を? いや、それよりも」

 

セイバーの言葉に動揺するオルガマリー。

 

「藤丸が人類最後のマスター!?一体何を言っているのよあのセイバーは!?」

 

『しょ、所長、落ち着いてください!』

 

混乱している大人組だったが立香も少なからずセイバーの言葉に混乱していた。『人類最後のマスター(・・・・・・・・・)』。確かにカルデアに集められた多くのマスター達は重症を負い、動けるのは自分だけだ。だがいずれは人員の補給されるし、他のマスター達も回復するだろう。しかし、何故彼女はわざわざ『人類最後(・・・・)』と言ったのだろか?

 

「ったく、奴さんも分かんねぇこと残しやがって」

 

「っ!?クー・フーリン……体が……!?」

 

彼の体は先ほどのセイバーの様に金色の光を出しながら少しづつ消え始めていた。

 

「聖杯戦争が終わった。なら、サーヴァントは消える定めだ。納得いかねぇところも多々あるが仕方ねぇ」

 

「あと、アレは回収しておけ、膨大な魔力を感じるもんだ、貰っておいて損はないだろうよ」

 

クー・フーリンが指差す方向には輝きを放つ物体があった。

 

「クー・フーリン……」

 

「クー・フーリンさん……」

 

自身が消えるというのに変わらず笑っているクー・フーリン。立香やマシュは悲しそうな顔でクー・フーリンを見ている。

 

「そんな顔すんな、俺たちは過去を生きた亡霊……いずれは別れなくちゃいけねぇ。シャキッとしろ、俺に会いたきゃあお前さん達が俺を召喚すればいいだろう」

 

立香の頭を掴みワシャワシャとかきむしる。

 

「………うん、分かった」

 

「おう、楽しみにしてるぜ。あっ、召喚する時はランサーのクラスで頼むぜ!」

 

「じゃあね、キャスター。会えたらまた会いましょう。今度は一緒に一杯お酒とか呑みながら話しましょう」

 

「おっ、誘われちゃあ、行くっきゃないな!!じゃあな、お前ら!短い時間だったけど楽しかったぜ!!」

 

そう言ってクー・フーリンは光の粒子になり消えていった。

 

立香は少しの時間動かなかったが、よしっ、と言いながら気合を入れ直し、オルガマリーの方を向く。

 

「所長、指示をお願いします!」

 

先程の混乱状態から抜け出したオルガマリーは立香の声に一瞬驚いたが咳払いをした後立香達に指示を出す。

 

「えぇ、分かったわ。取り敢えず、キャスターが言っていたあの物体を回収しましょう」

 

所長の指示により、一同はその物体に近づこうとする。

 

「いや、それは待ってくれたまえ」

 

しかし、ここで今この場では決して存在しない人物の声が洞窟内に響いた。

 

「レフ?」

 

緑を基調としたコートを着た男性が、大聖杯の前に立っていた。その男の名はレフ・ライノール。カルデアの謎の大爆発で生存不明となっていた筈の技術者だ。

 

「ああ、レフ! 生きていたのね!!」

 

「お待ちください所長!!!」

 

レフの姿を見るなり駆け出したオルガマリーをマシュが引き止めるが、耳に入らないのか止まることなくレフの下まで走っていく。

 

『レフ!? レフ教授だって!?』

 

「ああ、ロマニ。君も生きていたのか。管制室にきてくれと言ったのに」

 

 

レフは酷く落ち着いた、冷静な雰囲気を出し、笑顔を浮かべていた。

しかし、次の瞬間彼が浮かべた顔は____

 

 

「ああ、全く吐き気がする。どうしてこうも人間は統率が取れないんだ。どいつもこいつもクズばかりだ」

 

 

 

酷く歪んだ顔だった。立香は今、それ以外考えられなかった。この特異点にくる少し前に、立香はレフ教授にあっている。その時のレフは落ち着いていて、穏和な、理解のある大人の様に感じられた。しかし、今のレフから感じられるものはカルデアで会った時のものとは全く別物だった。

 

「下がってくださいマスター! あれは、レフ教授は危険です!」

 

マシュは警戒心を隠さず、盾を構えている。マシュも同じ考えなのだろう。あの男は、何かが違う。もっと危険な何かだと。

 

「霊夢っ!!」

 

「分かっているわよっ!!」

 

立香は反射的に霊夢の名を叫ぶ。そしてその意味も霊夢は理解し、すぐさま行動を起こす。何より、霊夢は自分のカンが告げていた。レフに__あの危険な人物にオルガマリーを近づけてはダメだと。

 

「ああ、待て待て異邦のサーヴァントよ、君は少しイレギュラーな存在でね。少し黙っていてもらおうか」

 

レフがそう言いながら指を鳴らすと霊夢の足元に魔法陣が現れ彼女の動きを止める。

 

「なっ!?これは………!?」

 

「何、あらゆる行動を抑制するだけの術式さ。そこでじっとしていなさい」

 

意識はあるが体が全く動かない。文字通り指一本も動かせなず、霊夢は焦りの表情を浮かべる。

 

「レフ、レフ!」

 

「やあ、マリー。大変だったようだね」

 

「ええ、本当よ!! 管制室は爆発するし、街は廃墟だし、カルデアには帰れないし、散々だったわ!! でも、もう大丈夫よね!? 貴方がいるんだもの! 」

 

「ああ、私も予想外のことが多くて困ったよ。特に───君が生きていたことがね」

 

「……え?」

 

このまま行けばレフに体当たりしそうな勢いで走っていたオルガマリーの足が止まる。

 

「まったく、足元に爆弾を仕込んだというのにしぶとい。まさか、レイシフトの適正がないというのにこんなバグが起こるとは、頭にくるよ」

 

「レフ、あなた、なにを」

 

「まさか不思議とは思わなかったのかね? レイシフトの適性もマスター適性もない君が、なぜ冬木にいるのかということを。君は管制室で死んだことにより、初めてレイシフトできるようになったのだよ」

 

「……え? え?」

 

レフが何を言っているのかオルガマリーは分からなかった。自分が既に死んでいる?今、自分は生きているのに、呼吸をし、傷が付き、疲れを感じる体を持っているのに、死んでいると言われ、納得できるものなど何処にもいるはずがない、いるわけがない。茫然とする彼女にレフはさらに話だす。

 

「残留思念だよマリー。君はあの爆発で死に、意識だけレイシフトしてきたわけだ。ははは!!傑作だろうマリー!?君はこの特異点を解決できたというのに、カルデアに帰還すれば消え去ってしまう。哀れだ、哀れだよマリー!!」

 

「…嘘よ! 嘘よ嘘よ嘘よっ!! なんでよレフ! なんであなたが、なんでよ! なんでよ!!」

 

「まあ、そんな君にプレゼントがある。憐憫というやつさ。これまで頑張った君にもう少し優しくあげたくなったよ」

 

レフの後ろ、何もない空間に穴が空いた。その穴の向こう側には立香やマシュ、所長が見たことがある光景があった。

 

「…カルデアス?」

 

擬似地球環境モデル・カルデアス。惑星に魂があると仮想し、その魂を複写した擬似天体。カルデアスが放つ青は文明の、生命の光。その光がある限りカルデアスは美しい青で輝く。

 

そのカルデアスが放つ光は───

 

赤だった(・・・・)

 

燃え盛るような赤がカルデアスを染め上げていた。文明の光ではなく、地獄の炎の様な光が映されていた。カルデアスが指すものはただ一つ。

 

 

 

人類は、人理は赤く焼却されている。

 

 

 

「そんな……」

 

「アレは虚像なんかじゃないよ。聖杯の力により時空を繋げている。カルデアスの姿を今ここに映しているのだよ」

 

全ては現実。夢でもない、悪夢たる光景。それを前にレフ・ライノールは嘲笑う。

 

「よく頑張ったねマリィ? 君が頑張ったおかげで…人理は焼却された」

 

「嘘よ! そんなはずがない! 私はまだ失敗していない! まだ、何も、何も……成し遂げていない!! 私はまだ絶対に死んでなんかいない!!」

 

頬に涙が流れていた。滂沱の涙が溢れかえっていた。止めようのない感情が剥き出しになって、彼女自体自分が何を叫んでいるのかさえ、すぐに忘れてしまっている。

 

「そうか…。なら、これで本当に教えてあげよう」

 

眉を顰めたままオルガマリーを見ていたレフが指を鳴らした。

 

「え? なに、これ」

 

重力が無くなったように彼女の体が浮き、徐々にまっすぐと突き進み始めた。

 

真っ赤に燃える、カルデアスへと。

 

「やめて、やめてよレフ!!」

 

「優しくしてあげようって言ったじゃないか。最後に、君の宝物に触れさせてあげようと思ったんだよ」

 

「カルデアスよ!? 高密度の情報体、別次元の領域なのよ!? そんなものに触れてしまったら…!!」

 

「ブラックホール、もしくは太陽か。まあどちらにせよあれに触れたら分子レベルに解体されてしまうだろう。正に地獄の苦しみだ。生きたまま無限の死を味わいたまえ」

 

彼女の体は引っ張られるように、引き寄せられるように、少しづつ速度を上げながらカルデアスへと引きずり込まれる。

 

「いや――いや、いや、助けて、誰か助けて! わた、わたし、こんなところで死にたくない! だってまだ褒められてない……! 誰も、わたしを認めてくれていないじゃない……! どうして!? どうしてこんなコトばっかりなの!? 誰もわたしを評価してくれなかった! みんなわたしを嫌っていた!」

 

「やだ、やめて、いやいやいやいやいやいやいやいや……! だってまだ何もしていない!

 ――――生まれてからずっと、ただの一度も、誰にも認めてもらえなかったのにぃ―――!」

 

彼女の心の叫びが洞窟に響く。カルデアスと彼女の距離は数メートルを切った。

 

立香はオルガマリーの元へ無我夢中に走り出す。

 

考えもなしに、例え残骸だとしても、短い時間しか共に過ごしたとしても、藤丸立香は目の前で誰かが死ぬのを見たくない。

 

「まったく、三流の一般人だから見逃してやったもののここまで足元で囀ると鬱陶しい」

 

レフの手が立香へと向けられた。マシュはすぐさま立香の元へと駆け出した。だが、遅い。レフの手から向けられる敵意が、立香の肉体に、精神に、危害を及ぼすのを防ぎきれない。

 

「残念だが、今、ここで死にたまえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少しは落ち着きなさい。私のマスターなら尚更ね」

 

「ッ!?」

 

ガシッ!!

 

カルデアスに引き込まれそうになっていたオルガマリーの腕を掴んだのは、

先程まで拘束されていた博麗霊夢だった。

 

「……えっ…………?」

 

「ちょっと、口閉じてなさい。舌噛むから」

 

そして掴んだ腕を大きく振りかぶり立香の方へ向く。

 

「えっ、ま、まさか……」

 

「マスター!しっかり受け止めてあげなさい!!」

 

霊夢はオルガマリーを立香目掛けて放り投げた。(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「キャァァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

「えっ、ちょっ、待っ!!?」

 

ドォォォーン!!という音を出しながらオルガマリーは立香に衝突した。

 

「せ、先輩!所長!ご無事ですか!?」

 

「フォウ!?」

 

急いで立香達に駆け寄るマシュとフォウ。立香の胸元には目を回しているオルガマリーがおり、立香は衝突による衝撃により体を打ち、咳き込んでいたが震える腕を上げ、マシュに向けてサムズアップをした。

 

一方、レフは立かに向けて攻撃を行おうとしていたが霊夢の突然の登場により、意識が逸れ攻撃をキャンセルしてしまい暫し放心し、自問自答をしていた。何故あのサーヴァントは動ける、何故オルガマリーはあの場にいる、何故己は攻撃をやめた?

 

「あら、どうしたのかしら?自分の筋書き通りに行かなくて驚いてるの?」

 

横から聞こえる声により、思考が回復したレフは霊夢に向き合う。

 

「貴様……一体何をした?貴様は私の結界により、指一本も動かせない状態だったはずだ。魔力の残量もわずかな貴様はあの結界を壊すことは出来ないはずだ」

 

冷静に取り繕うとしているが表情と言葉に所々怒りが含まれているレフに対し、霊夢は淡々と答えた。

 

「あんたがぺちゃくちゃ喋っている間に魔力を回復させて結界を解いたのよ。あとは私のスキル、『空を飛ぶ程度の能力』よ」

 

『空を飛ぶ程度の能力』

 

霊夢が生まれながらに持つ能力。文字だけで見れば空を飛ぶだけだがこの能力の真価は“ありとあらゆる事象から浮く”ことだ。

 

「この能力は私に対してあらゆる事象が完全には作用することはないのよ」

 

毒を盛られようが、時間を止めようが、洗脳しようが彼女には完全に効く事はない。だからこそレフの結界を打ち破ることができたのだ。

 

「なるほど…………その様なスキルを持っていたのか………しかし、君は先程の戦闘と私の結界の解除で実体を保つ分の魔力しか残っていないはずだ。その状態でさらにこの私と戦うのかい?」

 

怒りがわずかに収まったのか、再び貼り付けた様な笑顔に戻ったレフは霊夢を挑発する。

 

「それになぜ君は彼女を助けた?私の話を君も聞いていたはずだ。今の彼女はただの残留思念、この世を去った人間の残りカスだ。ここで君が助けたとしても彼女はこの特異点が消滅したらともに消える存在だ。なのn「さっきからペラペラ、ペラペラ何をくっちゃべってんのよ」……!」

 

レフの話を強引に終わらせた霊夢。

 

「確かに今ここで彼女を救ってもそれは彼女の消える時間が少し伸びただけ、助けたところで結局は消えてしまう」

 

「ならばなz「でもね」……」

 

「私のマスターがオルガマリーを救いたい。そう願ったから行動したのよ。後はあんたに一矢報いるためにね」

 

まるで悪戯が成功した子供の様な笑顔を浮かべる霊夢にレフは再び顔を歪めるが何とか耐える。

 

「まあいい、どちらにせよ彼女はここで終わりだ。私の仕事も終了した、では改めて君たちに自己紹介をしようか。

 私はレフ・ライノール・フラウロス。貴様たち人類を処理するために遣わされた、2015年担当者だ。

 通信で聞いているのだろう、ドクター・ロマニ?共に魔道を研究した学友として、君に最後の忠告をしてやろう。カルデアはもう用済みになった。おまえたち人類という種は、既に滅んでいる」

 

『……レフ教授。いや、レフ・ライノール。それはどういう意味ですか。2017年が見えない事に関係があると?』

 

ロマニの探るような声色。この状況で、出来うる限り情報を集めようという姿勢。

 

「既に関係のあるなしではない。もう終わったという事実の提示だ。未来が観測できなくなり、おまえたちは『未来が消失した』などとほざいたな。

まさに希望的観測だ、楽観的にもほどがある。これは未来が消失したなどという話ではない。お前たちの未来などという害悪は既に焼却され、燃え尽きたのだ。カルデアスが深紅に染まった時点で結末は確定した。貴様たちの時代はもう存在しない。カルデアスの磁場で未だカルデアは守られているだろうが、その外はこの冬木と同じ末路を迎えているだろう」

 

『そうでしたか……外部と連絡がとれないのは通信の故障ではなく、そもそも受け取る相手が消え去っていたのですね』

 

カルデアの外の消失。今この場にいる者、そしてカルデアに残るスタッフたち。それ以外のものは全て消失していると、現状とレフの言葉を合わせてロマニは確信していた。

 

「さて、私にも次の仕事がある。そろそろ向かわせてもらうよ。さらばだ、カルデアのもの達よ。君たちの未来はもう来ない」

 

それを言い残し、レフ・ライノールは消えていった。それと同時に洞窟が崩壊を始める。

 

「地下空洞が崩れます……! いえ、それ以前に空間が安定していません!」

 

『レイシフトによる帰還を実行中だ!でもゴメン、そっちの崩壊が早いかもしれない! それに___』

 

忙しなく動きが画面越しに伝わってくる中、ロマニの声に苦渋が混じる。それが誰を思っての事なのかなど、誰にでも分かる。

 

「その、所長の体がもうないっていうのは……」

 

『____レフ・ライノールが彼女に精神的苦痛を与えるための虚言。そういう可能性もある。彼は明らかにマリーを自分に依存させ、それを突き放す事で……遊んでいた。だとすれば何の問題もない。そもそもレイシフトでそちらに送られたんだ。同じように帰還させる事は可能のはずさ。やってみせるよ。君たちは問題なく帰還できる___』

 

「無理よ、あなたは分かっているんでしょ、ロマニ」

 

今まで黙っていたオルガマリーが声を出し、立ち上がった。

 

「私の体はレイシフト適正を持っていない。今私がここに存在するのはサーヴァントに近い霊体の様な存在だから。奇跡的に私の体が有って、生きていたとしても、私は本体から別れた残留思念。どちらにせよ、今ここにいるオルガマリー・アムニファスという存在は消える」

 

淡々と言葉を発しているがその体は震えている。立香とマシュは何か方法はあると考えるが霊夢は分かっていた。彼女という存在はどう有ってもここで『消える』ということを。

 

「ロマニ……いえ、ロマニ・アーキマン、現時刻をもってカルデアの長、オルガマリー・アムニファスが命じます。この一連の事件が解決するまで、あなたにカルデアにおける全権限を譲渡します。そしてこれは私の最後の命令よ。必ず二人をカルデアに送り返しなさい!」

 

震える体を無理やり止め、虚勢だが力強く、彼女は言い放つ。今、ここで自分がすべき事を、今の自分が彼らに残せることを。

 

『っ…………分かりました。ロマニ・アーキマン、必ずやり遂げて見せます!』

 

ロマニは彼女が残したものを消えさせないために覚悟を決める。

 

「藤丸、マシュ、ルーラー」

 

オルガマリーがこの場にいるもの達に声をかける。

 

「いい?レフの言うことが本当ならあなた達は人類最後の希望よ。あなた達にはこれからとんでもないことが起きるかもしれない。しかし、どんな事が有っても諦めることはしないで、諦めたりなんかしたらそれこそレフの思う壺よ」

 

「はいっ!!」

 

「分かりました!マシュ・キリエライト、了解しました!」

 

「…………」(コクン)

 

『よっし!!準備完了!!みんなレイシフトに備えてくれ!!』

 

ロマニの声と同時にオルガマリー以外の全員に青白い光が現れる。

 

「所長……」

 

「………藤丸立香」

 

 

「頼んだわよ」

 

 

その言葉を最後に立香の意識は暗転した。

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