おい、対魔忍しろよ。ごもっともです
RPGキャラ登場です。年齢?同年代だろうな、と言うふんわりな設定
戦闘描写しなきゃいいのにやるから駄目なんだ
かつてこんな作家が居た、とあるミステリー作家であったが自身の作品に翻弄された作家でもあった。その作品は最期を迎えたが、皮肉にもその作品が愛され過ぎた事により、とある格闘技が生まれた。
東洋に伝わるとされる武術、謎多き武術。
名をバリツと言った──…。
一組の男女が、お互いを見つめている。
男はスラリと高身長ながら、対魔忍スーツ越しでも分かるような鍛え方をしている。美丈夫な顔立ちでややくせっ毛の黒髪を持つ。うっすらと目を細め対面する女性を見つめている…いや、見定めていた。
女は金髪でバラ色の瞳を持った小柄の身長。しかし、西洋の血を持っている為か童顔寄りではなく、大人びている。日傘を手にし、彼女の服装も西洋でよく見かける絵画で見る様な帽子を被った夫人を思わせていた。
彼らの周囲には、結界が張られ早々傷付く事はない。
その結界の外側では彼女らを見つめる人だかり、五車学園の生徒と対魔忍アカデミーの生徒で埋め尽くされている。これから、お互いを見定めている二人の忍法なしの模擬選を見たいがために、休日を惜しんで見に来た熱心で真面目な者たちであった。
二人とも、魎学校では知らぬ者はいないほど有名。
男の名はうちはシスイ。対魔忍アカデミーの卒業生であり二つ名を持つほどの実力者で、とある英雄の子孫とされている。
女の名は鷹司(たかつかさ)みこと。五車学園の卒業生であり英国で活躍するほどの立派な対魔忍であった。
「ま、気楽にやりましょうか」
「ふふ、そうですね…気楽に、しましょうか」
お互い短い雑談を済ませ、それが合図とばかりに二人の姿は瞬時に消えた。
瞬間ギィイン、と衝撃音が周囲に響き渡る。そこにはお互いの獲物を鍔ぜり合うように交差する、二人の姿があった。シスイの手には何の変哲もない杖であり、みことのは手にしていた日傘であった。
両者は一度弾き、間合いを取りつつ機を窺っている。
シスイは杖を手にした腕を上げ、腰を中段ぐらいに落とし足を広げた状態だ。刀術の構えである霞にも似ているが、どこか違う。
対し、みことは片足を前に出し、低く腰を落とした状態でそれはまさに居合い術の構えであった。
ジリジリと、間合いを測り先に動いたのはシスイ。一点を勢いよく鋭く突くように腕を出し、彼女の額めがける。みことは素早く日傘を抜き、その刀身から現れたのはレイピアのように反りの無い刀身だった。刀身はシスイの頬をかすめ、シスイの杖は先端まで降ろし、再度握り回し胴へと入れる。
胴へと迫る杖に鞘と成った日傘を盾に受け止め、弾く。
そこから、二人の攻防戦が激化していった。お互いの獲物が何度もぶつかり合い、肌をかすめ服をかすめ取る。
みことのレイピアが下段から一気に斜め上に向かい突き上げると、シスイはそのレイピアを杖の刀身を当て、弾き返す。勢いそのまま杖をみことの首筋めがけ、振り上げれば彼女は素早く後退。
地面を蹴りあげ刀身を斜めへと斬りこむと上段を取り、彼女はそのまま一刀振り下ろした。
「なんだろ、独学なのかな」
「…」
「うお、アレってギリじゃん。ひあー、俺だったらすぐに蹴り飛ばされてたわ」
「…どっかで、見たことあるな」
「おい、ふうまさっきからシスイさんばっかり見てどうしたんだよ」
「……いや、うん」
お互いが息を切らしながら望む、模擬選。
シスイの傍にはみことの被っていた帽子がポツリ、と残されている。対し、みことの足元には鞘の役割をしていた日傘が放り出されていた。
みことはレイピアを構えながら、こう思う。
確実に殺しに来ていると…この男は確実に相手の息を止めようとしている、と。シスイに視線を向け、彼の目線を観察する。黒い瞳はまるで深海の更に深い底を表すような、深淵のよう。
彼の行う攻撃は、こちらの怪我を想定しながらかつ精神を殺し、堅実に息の根を止めるような残酷な行いだった。
「あなた、モテないでしょう?」
「よく、ご存じで!」
シスイはそう言いながら、足元に置かれた帽子を放り投げるとみことはレイピアで帽子を勢いよく突く。シスイは拳を作りカウンターでジャブを入れるが、みことは顎を引き、躱しながら腰を低く落とすと身体を回しレイピアで切り付けた。
レイピアの刀身を物ともせずに、シスイは杖をぐるりと回すように振り上げそのまま一気に落とす。
杖は小手に当たり、みことは痛みのあまりにレイピアを落とした。
「しま」
みことは声を上げるが、シスイは杖を散弾銃を持つような構えを取り、声を張り上げた。
「バアン!!!」
一種の不意打ちだ。
その大声を聞き咄嗟に目をつぶるみこと、するとゴツリと杖の先がみことの頭上をこずいた。
「あいた」
目を開けると、そこには杖で肩を叩くシスイが見下ろしていた。
「…屈辱ですわ」
みことは悔しそうに歯をむき出しにし、いーと可愛らしく怒りを見せている。
シスイはその様子に笑みを浮かべながら、小馬鹿にするようにこう口を開いた。何ともその姿が、みことからしてみれば憎たらしく見えるほどに。
「その言葉、聞きたかった」
「貴方のその武道、何ですの。そのステッキと言い、見かけによりませんわね」
「あぁ、俺の師匠…ダンゾウさまから勧められた武術だよ。馴染みの医師が格闘オタクだったらしい。…確か、バーティツだっけ」
「え、…またそんな珍しい武術を」
シスイとみことの会話に、ふうまは何かを思い出したかのように叫びだした。
いきなりの声に大半の生徒たちは驚いた様子で、ふうまを凝視している。シスイとみこともその中に入っていた。間近で聞いてしまった鹿之助はいきなり大声を出したふうまに、プリプリと怒っている。怒っても仕方のない事だった。
「バリツだ!」
「なんだよ、バリツって」
「シャーロック・ホームズが嗜んでいる格闘技だ。…いや、間近で見るのは初めてだけど…後、千住魔界医師のお家芸」
「はぁ?」
ふうまは語る、かつて千住一族の出の魔界医師が居た。
千住医師、…まぁここまで来れば解るだろう。医師は生まれた時から忍びの素質は無く、それを苦にしていた時期もあったとか。その時に、忍びに一泡吹かせようと魔界技法と医師の技術を学ぶ傍ら、柔術をはじめ多くの格闘技を手に染めて来たらしい。その中でも、このバーティツことバリツは、柔術に並び彼女の最も得意とする武術の一つであった…、と。
語り終えると、どこからか意外とばかりな声が聞こえた。
その声の持ち主は、シスイの師とされる志村ダンゾウであった。
「…あぁ、ご息女様は“今は”そう思われているのか」
「はえ?どういう事だよ、師匠」
「まぁ、間違ってはいないが…いや、よそう」
「おい、待てや師匠。何だよその意味深な発言、…こら!」
結界内に居るシスイはダンゾウに向かってぎゃんぎゃんと叫んでいるが、ダンゾウはそれを完全に無視し哀れむように過去を思い出していた。
若き頃のダンゾウは、彼女が嗜む武術に物珍しさでよく鍛練を見ていた。
「また珍しい武術ですね、バーティツですか?何の為に…」
「まぁ、面白そうだったから…」
「ははは。ご息女さまらしいですね。でも、それってあまり伝達されていないですよね」
「えぇ、だからほとんどは柔術と合わせているの」
そして、続けざまこう言った…確実に制するように、と。ダンゾウはにこやかな笑みを浮かべながら、内心ではこう思っていた。彼女の事を知る人は、あの扉間と同様の性格に似ている、そう周知していた。
だからこそ、ダンゾウもその人たちも事の言葉を聞いてこう思うだろう…。
この人、確実に息の根を殺す気だな…と。
ダンゾウはそれ以上何も言う事無く、人だかりを離れた。
後世の彼女の評価は、逆境に贖う正統派なイメージで通っている。だが、実際の彼女は確実に殺すと言う、冷酷なまでにキリングスタイルであると言う事を。
だからこそ知らぬが仏、それも慈悲とばかりに…ダンゾウは聞こえてくるシスイの声を背にして、ジクジクと痛む胃を抑えながら…速足でさっさと帰路に就いた。
「なんだったんだ?」
「…あの人苦労していたんだろうな、嫌と言う程」
「そりゃあ、誰だってそうだろ」
「次元が違うんだろ…きっと」
みことパイセン可愛いやん
シスイのことは追々やります。ダンゾウはストレスの犠牲を出さない日は来るのか、…来させるけどね
バリツですが、あくまで諸説の内の一つです
こちらではバーティツ説を採用しました