奈羅家は、原作に登場する奈良家です。作者も忘れているけど一文変えています、はい
相変わらずダンゾウ不憫です
「おい、扉間。ダンゾウ借りるぞ」
「……またか」
「ちょいと外交の手伝いをして貰いてぇだけだ」
ここ最近、マダラ先生…いやマダラ族長から頻繁に駆り出されることが多い。暗部発足案件もそうだが、何かと俺を使って来る…。
いや、学ぶことも多いからうれしいのだが、…杞憂であってほしい。
「…マダラ族長、ここ最近俺を頻繁に連れ出しますよね」
「そうだな。お前がここらで適任だからな」
「シカメあたりでも良かったのでは?」
話術で言えば、シカメの方が相手を乗せやすくし根こそぎ良案を引っ提げてくる…。奈羅家は頭が切れる軍師系の家系だ、尚更俺よりかは使えると思うが。
そんな俺の言葉に、眉間にしわを寄せながら諦めたような口調でこう零した。
「たしかにな。否定はしないが…どうも駄目だ。奈羅の砂利を何回か連れ回したが…特に京都以外の関西圏はまるっきり、マイナスに落ちる」
「何でピンポイントなんですか…あいつ、京都だから馴染みやすいでしょうに」
「だからだ」
その言葉に、いまいちピンとこなかった。
続けざま、マダラ族長は俺にこう問いかけた。その問いは、至ってシンプルでメジャーなもの。
「ダンゾウ、京都人と言えばどんなイメージが付く?」
「えっと…なんか腹黒い、ですかね」
「それだよ、それが原因でマイナスからの脱却ができねぇ。全員が全員じゃねぇのは解るんだよ、だがな…イメージは時に壁として塞がってきやがる」
もしかして、京都人だからと言う単純な理由でマイナスに陥っているのか?
そんな理由でか、…いや、その理由も悩みに繋がるのが理解できた。昔から、京都人は世間から見て腹黒い印象を持たれやすく、その言葉一つ一つ、裏がありそうなもの言いというイメージが付きまとっている。
遠まわしに長けているが故に、誤解されやすい印象があった。
特に大阪との関係は、犬猿の仲と言う言葉が適しているほど。大阪の豪快で楽観的な性格からみて、腹の見えない胡散臭さがどうも彼らの溝を深くしている様子を度々テレビとかで、よく見る。
しかし、外交でそんな事を気にしていてどうすると言うのだろうか。
「俺も流石に呆れたが、大阪の対魔忍共…京都人が居るって言ったら手のひら返すように、罵倒してきやがった。
そりゃあもう、犬猿なんてもんじゃねぇ勢いだった…」
「な、なら京都はどうです。まともだったでしょう?」
「あっちはあっちで、どこが京都だとかで揉めやがる。同じ県内に居てもなお、喧嘩するとか馬鹿だろ…俺はそこで思った」
「……何をです」
「京都人、どこ行っても使えねぇってな」
その衝撃、不味い言葉に俺は咄嗟に叫んでしまった。しかし、マダラさまのその顔は特にやつれている…どんだけこの人苦労してんの、と思うくらい。不健康な顔が、更に不健康を通り越してまるで死人だ。
…叫んでしまったとは言え、俺は悪くないと思う。
「いや、それは不味いでしょう!?あんた最初に、全員が全員じゃないって言ったじゃねぇか!!」
「うるせぇ。こっちはおかげで頭痛から解放されねぇんだよ…」
「…で、何で俺なんです?」
きっとまともな理由で、俺を連れているに違いない。ヒルゼンは三代目候補に選ばれているが、人の良さが仇と成り有利に進められない可能性もある。ホムラやトリフも、研究や諜報活動が主な為今の仕事で手一杯だ。サクナは、…あいつは頭の回転とキレはあるんだが…素直すぎて腹の探り合いに適さない。
消去法で、俺に成ったのだろう…俺としては歯痒いが、そう言った理由で合ってほしい。
嫌な予感しかしない、頼むから杞憂であってくれ。
「道連れ(お前は思慮深く、公平な奴だからな)」
「逆ぅう!!!」
ちくしょう!無駄にいい笑顔だし、うちはの顔面偏差値高すぎるからそれが補正に入って尚更腹立つ。
「まぁ、まてまて。確かにさっきのは本音だが、良いことはある」
「このやろう」
「お前もそろそろ、暗部の正規として所属してもらう。その話はしたな…そこで、色々とセーフティやら諜報を効率よく行うためのパイプを築きやすい。時には魔族とのビジネスも結んでもらう」
「…魔族がここで起業するのは、ご法度では?」
「誰が言った?おまえも理解しているだろう…中立な立場を取る魔族も居る、そことの交流は時に俺たちの力となる」
とっくに人魔の協定は無いに値する。俺はそれも承知だ、だが中立でも魔族は時として、牙をむくはずだろう。
「お前は疑り深いな、…それで良い。木の葉には一人や二人、必要だ」
そう、ニヤリと不敵な笑みを浮かべるマダラさま。続けざま、こちらにこう語りかける。
「襖間の魔界の知識は、最新とは言い難い。だからこそ、更新する必要性がある…ベルベットの情報も、正確性はあるがそれはあくまで一握り。企業と言うのは、思いの外世間を気にしているからな。
…魔界の全てを掌握するつもりはない、俺たちはこの日本の忍びだ。日本に害成す、米連や魔族、時に中華連合を潰すには情報と力がいる。俺たちは、この日本の未来を護るために薄汚れた道を貫いている…己の未来もしかり」
「だからこそ、魔族との交流はするべきだ。
敵の内を知るには、その懐を探ってなんぼだ。それに、こちらの利害に一致する魔族を引き入れる事もあるからな。魔族ってのは弱肉強食、強者が常に上に立つんだ…下の奴らはどうだ?
野心と言うのはどの世界、どの人種にも宿るってものだ。上を引きずり降ろさんとする姿勢に、手を貸したくもなるだろう?」
目を細め、まるでこの状況を愉しんでいるとばかりに笑みを浮かべるマダラ族長。俺はその笑みを見て、全身が震えあがる程に戦慄する…だが、不思議と嫌悪感は無かった。納得がいった、そんな感じだ。
「趣味悪いと言われません?」
俺は震える声で、そう問いかければ…更に満面な笑みでこう答えてきた。
「これが俺の『普通』だ」
だからこの人、クレイジーサイコ野郎と言われるんだなと、その言葉で確信した。
外交は力だよ兄貴
マダラもマダラで不憫な役割ではある。
でも、扉間よりかははっちゃけているのであった。