嫉妬とテストと召喚獣 作:陸鷲
その日、私は旧都の入り口の橋でいつもどおり橋守をしていた。
橋守といっても通行人は皆無に等しいためただ橋にいるだけみたいなものなのだけど。
「・・・・・・暇ね」
欄干に両肘をつき見飽きた景色を眺めながらため息をついた。
見飽きたのなら見るのをやめればいいというかもしれないが他にやることもないので仕方がない。
チラッと旧都のほうに目を向けると鬼たちが酒を飲んで騒いでいた。
「全く。昼間から妬ましいわね」
こちらは仕事?をしているというのに。
ギロッと彼らを睨んでから視線を今度は目の前を流れる川に移した。
川は旧都から漏れる光を反射させ幻想的な美しさを見せていた。
私はここから見る眺めが気に入っていた。
とはいえ、長い時間ずっと見ていたらさすがに飽きるわけで・・・・・・
「・・・・・・何か面白いことでも起きないかしら」
天井を仰いで目の前に広がる闇に向かってぽつりとつぶやいた。
私はだいぶこの生活に飽き飽きしていた。
それもそのはず。
地底世界に封印されてからもう何百年と経つが、その間私は毎日こんな生活を送っているのだ。
だからこそ私は顔には出さないものの、何かこのつまらない日常を変えてくれるような出来事が起こることを望んでいた。
・・・・・・考えていてもしょうがないわね。
私は体を欄干から離し今度は反対側に行こうと歩き始めた。
その時だった
「は?」
突然足元がなくなった。
「きゃあああああ!!!!!」
えっ!?なんで!?
この橋に穴なんて無かったわよ!?
まぁでも飛べばいいし・・・・・・って飛べない!?
いったい何なのよ!!この穴は!!
しかもよく見たらあちこちに目があって気持ち悪いわn「ぶべらっ!?」
痛い!!体の前半分が痛い!!
あまりの痛さに思わずのたうちまわってしまう。
今日は本当について無い日ね・・・・・・
「・・・・・・いくら急を要するとはいえこんな風に呼ぶ必要はなかったんじゃないかい?」
「大丈夫よ。これぐらいで死ぬような妖怪じゃないから」
・・・・・・確かに私はこんなことで死ぬようなことはない。
だけどそれでも痛みは感じるのだ。
だからこそ私をこんな風にして呼び出したことに腹ただしい気持ちになった。
こんなことをした犯人の顔を見てやろうと私は鼻を抑えながら顔を上げた。
「ば、ババァ妖怪が二人!?」
「「誰がババァよ(妖怪だ)!!」」
思わず口に出してしまった言葉に二人は見事に同時に返してきた。
確かに失礼かもしれないけどこんな仕打ちをしたお返しよ。我慢しなさい。
それにあなた。ババァはババァなんだから仕方がないじゃない。あきらめなさい。
「なんだかとても失礼なことを考えているような気がしてならないわ・・・・・・!!」
そう言って私を殺気立って睨んでいるのは
幻想郷の中心的人物でで最も長生きしている妖怪だ。
だから正直年寄扱いされても文句は言えないと思う。
「違うわよ!!私は永遠のJKゆかりんよ!!」
「・・・・・・痛々しいわね。妬ましさが微塵も生じないわ。それよりもいったい何の用よ」
「うぅ・・・・・・どうしてみんなして私を年寄扱いするのよ」
「紫。早く復活してくれないと話ができないよ」
「・・・・・・わかったわよ」
コホンと一つ咳をいれ、スキマ妖怪はいつの間にか開いていたスキマに腰を掛け、扇子を開き口元を隠した。
その一連の動作はまさに優雅と呼ぶのにふさわしかった。
「それじゃあ、始めますわ」
「・・・・・・あなた。いつもこんなことをしているの?」
「ふ、雰囲気作りは大切なのですわ!!」
それよりも、とスキマ妖怪はもう一人の女性に目を向けた。
目が合うとその女性は私の方に向き直り口を開いた。
「初めまして。アタシは
そういうと頭を下げてきた。
全く。どこかのババァ妖怪も見習ってほしいものだ。
「・・・・・・悪かったとは思ってるわ」
私が睨むとその張本人はバツが悪そうな顔をしながら目をそらした。
「まぁ、そのことはもう水に流すわ。それでいったいどうしてその急を要することに私が関係するのかしら?」
それは、と藤堂が言いかけるとスキマ妖怪はそれを手で制した。
「水橋パルスィ。あなたは今ここで何か感じませんか?」
「何かって何よ?」
「あなたならわかるはずですわ」
「いったい何がわかるって」
いうのよ。そう言いかけて私はやめた。
いや、言えなかったのだ。
先ほどはいろいろありすぎて気が付かなかったが今ならわかる。
わたしでさえ驚愕してしまうほどの嫉妬の量が。
「ネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「な、なんなのよこれ・・・・・・!?」
私が驚いたのは量だけではない。
その嫉妬の質だ。
これらの嫉妬の多くは殺意が含まれているものだった。
もはや嫉妬に狂っているというレベルではない。
嫉妬に
「そう。このままではいつか悲劇が起こることはまちがいありません。そこで、あなたにはそれが起こらないようにしていただきたいのですわ」
「私の能力で?無駄よ。一時的なものでしかないわ」
確かに私には『嫉妬心を操る程度の能力』がある。
それを用いれば一時的に減らせるだろう。
しかし、嫉妬とは常に出てくるものだ。
私が操るのをやめた瞬間元に戻るのは必然だった。
「大丈夫ですわ。ちゃんと策はあります」
そういうと扇子を閉じ、私を指した。
・・・・・・何か嫌な予感がする。
「あなたには今日からこの文月学園の生徒になってもらいます」
感想・ご意見・アドバイスお待ちしております。