嫉妬とテストと召喚獣   作:陸鷲

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教室の惨状

 

「恵子!?大丈夫!?」

 

入り口付近にいた男を押しのけ友香が倒れている恵子に慌てて近寄って行った。

私もその後ろから彼女に駆け寄った。

 

「ちっ!引き上げるぞ!どけっ!」

「ちょっ、ちょっと君たち!?」

 

 

後ろの方で何やら騒いでいるが今は何よりも恵子のことが心配だ。

 

「大丈夫?」

「う、うん。倒れた時に軽く膝を擦りむいただけだから。でも・・・・・・」

 

恵子は顔を横に向けた。

彼女につられて目を向けると教室は見るも無残な姿になっていた。

穴だらけの卓袱台とヘシ折られたシャープペンや消しゴム。

一部まだ無事なところがあるのは恵子が守ってくれたのだろうか。

 

「・・・・・・うわ、こりゃ酷い」

「まさかこうくるとはのう」

「卑怯、だね」

 

吉井と秀吉も教室の変わりようを見て思わずそう呟いた。

 

「それでどうして恵子はFクラスに?他のクラスは今自習じゃなかった?」

 

友香は不思議そうに尋ねた。

彼女の言う通り試召戦争中は教師が駆り出されるため他のクラスは自習になる。

だから本来なら彼女は今頃Cクラスにいるはずだ。

 

「えーと、最初はクラスで自習してたんだけどね。気が付いたらFクラスに向かって足が動いてたの」

「?どういうこと」

「・・・・・・私にもよくわからないの。なんだかFクラスに行かないとって思っちゃって。それでFクラスの前にきたら教室から変な音がしてたから覗いてみたらあの3人が教室のものを壊してて。それでパルさんの筆箱を取ったからやめさせなきゃ、って思って飛び込んでいったの」

 

彼女は身体を震わせながら小さな声で話した。

やっぱり怖かったのだろう。

それを見て私は彼女を優しく抱きしめた。

 

「・・・・・・ありがとうございますパルさん。あっ!パルさんのものはちゃんと死守しましたからね!」

 

私から離れて嬉しそうに微笑みながら彼女は筆箱を渡してきた。

中身を確認するとすべてが無事にそろっていた。

・・・・・・よかった。

これが一つでも壊れていたり、なくなっていたりしていたら私はどうなっていたかわからない。

だって、これは大切なものだから。

そう。私と地底のみんなをつなぐ大切なもの。

 

「ありがとう恵子。本当に嬉しいわ」

 

だから私も彼女に精一杯の笑顔と共に感謝の気持ちを伝えた。

 

「・・・・・・」(ポカーン)

「な、何よ」

「いやー、パルさんってそんな顔もできるんだなぁって思って」

 

・・・・・・びっくりしたような顔で非常に失礼なことを言うのね。あなたは。

確かに私はあまり笑ったりしないけど。

それでも笑うときはちゃんと笑うわよ。

 

「あっ。パルさんもしかしてちょっと拗ねてます?」

「う、うるさいわね。そんなことをいうあなたが妬ましいわ」

「パルさん、かわいい!」

 

うぅ、もう二度とあんな顔しないわ!

 

「ん?お前ら戻っていたのか、って何だこれは!?」

 

そんなやり取りをしていると坂本が教室の中に入ってきた。

坂本は教室の荒れよう驚いていた。

 

「あっ、雄二!実はさっきまで3人の男子生徒がいてね。そいつらがこんな風にしたみたいなんだ」

「ちっ!Bクラスの連中だな。まさか俺が協定を結びに行っている間にこんなことをするとはな」

「協定じゃと?」

「ああ四時までに決着がつかなかったら戦況をそのままにして続きは明日の午前九時に持ち越し。その間は試召戦争かかわる一切の行為を禁止する。ってな」

「それ承諾したの?」

「そうだ。ところで小山と水橋に挟まれいるその女は?」

「は、初めまして。Cクラスの綾野恵子といいます」

「?なんでCクラスがFクラス(ここ)にいるんだ?」

 

坂本の疑問に答えるべく私がさっき恵子から聞いた話を坂本にする。

 

「・・・・・というわけよ」

「・・・・・なるほど。お前のおかげで被害が小さくて済んだ。感謝する」

「ど、どういたしまして」

「しかし、根本君って本当に卑怯だね」

「全くじゃ」

 

吉井と秀吉がうんうんと頷く。

私も同感ね。

これが本当の戦争なら話は違うかもしれない。

けれどこれはあくまでも戦争ごっこ。

ここまでする必要はないはずだ。

 

「とりあえずお前らは前線に戻ってくれ。俺が教室は修復しておく」

「そうじゃな。ワシらは前線に戻るとするかのぅ」

「そうだね。それじゃあ水橋さんに小山さん。僕たちは先に戻るね綾野さんも気を付けて教室に帰ってね」

 

二人は教室から出て行った。

私たちも恵子をできるだけCクラスに近いところまで送り届けてから前線に戻らなければ。

 

「それじゃあ私たちm「ねぇ、二人とも」何?友香?」

 

それまでずっと黙っていた友香が突然声を上げた。

友香の目には決意の色が見て取れた。

 

「友香?」

 

恵子も何かを感じ取ったのか不思議そうに友香を見た。

 

「・・・・・・放課後、少し残ってくれる?」

 

 

 




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