嫉妬とテストと召喚獣   作:陸鷲

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卑怯者

放課後。

現在、私たちは校舎裏に向かっていた。

前を歩く友香はずっと口を結んだままで一言も発さない。

 

「パルさん。パルさん」

 

隣にいる恵子が小さな声で話しかけてきた。

 

「なに?」

「友香どうしちゃったんですか?何かいつもと様子が違いますよ」

「あなたもそう思う?」

「はい。こんな友香見たことないです」

 

彼女は困惑した表情で言った。

今の彼女は吹っ切れたような感じだった。

その契機となったのは先ほどのFクラスの惨状を見てからだ。

それまで彼女はずっと何か考え込んでいてどこか上の空だった。

いったい何を考え込んでいたのかしら?

 

 

 

 

 

そうこうしているうちに私たちは目的の場所である校舎裏にについた。

夕方と建物の影のせいにより辺りは暗く、ところどころに生えている木や放置されたままの草のせいもあり何やら不気味な雰囲気を醸し出していた。

そしてそこには男が一人立っていた。

顔はここからでははっきりと見えない。

 

「やぁ、友香。話があるらしいけど何だい?」

 

男は友香と顔見知りのようだ。

彼の声はどこか不快感を思わせるものだった。

 

「友香、彼はいったい誰なの?」

「・・・・・・彼はBクラス代表根本恭二。一応、私の彼氏(・・)よ」

「「えっ!?」」

 

私と恵子は驚きの声をあげた。

私の質問の答えは予想をはるかに超えているものだった。

友香に彼女がいたなんて初耳だ。

 

 

 

 

 

へぇー・・・・・・ふぅーん・・・・・・恋人、ねぇ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妬ましいわ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あのパルスィ?」

「リア充爆発しろ、リア充爆発しろ、リア充爆発しろ・・・・・・」

「パルさんが橋姫モードになっちゃった!?」

 

彼氏がいるなんて妬ましいわね。

えぇ、私には彼氏なんていないわよ。

友香ほどの魅力もないしね。

そういえば恵子にも近いうち彼氏ができそうな気がするわね。

こんなにかわいいし。

私なんてかわいくもないし。

このまま私は一生独り身ね。

あぁ、妬ましい妬ましい。

パルパルパルパルパル・・・・・・

 

「とりあえず元に戻りなさい!」

「はっ!?」

 

友香に頭をたたかれて私は元に戻った。

・・・・・・いけないわね。

恋愛のことになるとどうしても嫉妬してしまう。

 

「へぇー、まさかあの友香にそんなバカ(・・)そうな友達がいるとはね」

 

・・・・・・なによコイツ。

いきなり私をバカ呼ばわりするとは言い度胸ね。

私は根本を睨み付け、言い返そうと口を開いた。

 

「パルスィはバカなんかじゃないわよ!」

 

だが、それよりも早く友香が根本に言い返した。

声の調子からしてかなり怒っていることが分かる。

他人のために怒れるそのやさしさ。妬ましいわね。

でも、嫌な気はしないわ。

 

「まぁ、そういうことにしてあげよう。それで要件はなんだい?」

「・・・・・・あなた。Fクラスのものを壊すように仕向けたわね」

「それで?」

「Fクラスのものを壊したこととそれをやめさせようとした恵子を倒したことを今ここで謝りなさい」

「謝る?なんで?」

 

訳が分からないといった声の調子で彼は言った。

 

「謝る?なんで?」

「『なんで?』じゃないわよ!あなた、自分たちが何をしたのかわかっているの!?」

 

友香は根本を睨みつけながら大声で叫んだ。

それを見た根本は肩をすくめながら両方の肘を曲げ、手のひらを左右それぞれ肩の横で上に向けていた。

 

「Fクラスになって頭もFクラス並になったみたいだな、友香」

「な、なんですって!?」

「だってそうだろ?戦争のルールに『対戦相手の物を壊してはいけません』なんて条文があったか?ないだろ?なら俺たちはルールに違反してないわけだから頭る必要なんてないじゃないか」

「くっ!」

「あとは恵子ってやつを倒した?俺はそのことに一切関わってないぜ?それに俺は彼女が自分からこけた(・・・・・・・)と聞いたぜ?それでも文句があるなら証拠を持ってくるんだな。そうしたらBクラス代表として謝罪するぜ。おっと。本人が主張しているってのは無しだからな。ここは誰もが納得できるものがないとな」

「あなたって人は・・・・・・!!」

 

友香は悔しそうにつぶやいた。

確かに彼の言っていることは正しい。

禁止されていないからやってもよい。

自分は直接関与していないし、部下がやったという証拠もないから責任は取る必要もない。

でもどこか間違っている。

そう思わざるを得なかった。

 

「こんなことも分からないなんて本当にバカだな友香。お前がFクラスに行くのはある意味必然だったのかもしれないな」

「なっ・・・・・・!?」

 

友香は絶句した。

私も同じだった。

これが恋人に対して言うこと?

いや、絶対に違う!

 

「もういいわ!アンタとは絶交よ!」

「いいぜ。俺としてもFクラスの彼女がいるなんて評判が落ちるだけだからな。願ってもないことだ」

「あなたって最低ね!」

 

話しを聞いてがまんし切れなくなった恵子が根本を罵倒する。

彼女の言うとおりね。

コイツは最低の人間よ。

 

「それじゃあ恋愛ごっこは終わったわけだから遠慮はいらないわけだね小山さん(・・・・)。俺に時間と場所を指定させたのは間違いだったな」

「それはどういう・・・・・・!?」

 

彼が手を高く上げ指を鳴らすと同時に私は後ろから誰かに羽交い絞めされた。

二人を見ると私と同じことをされている。

 

「い、いったい何のつもり?」

「なぁに、ただ君と交渉したいんだよ」

 

そう言って根本は友香にゆっくりと近づいて行った。

近づくにつれ顔がはっきりと見えてきた。

短く刈りそろえた黒髪と口の周りには整えられていないヒゲ。

そしていかにも性格悪そうな目。

・・・・・・なんで友香はこんなやつを好きになったの?

そして、友香の前に立つと彼女のあごに手をそえ、ぐいっと持ち上げるなり、そのいやらしい顔を思いっきり彼女の顔に近づけた。

 

「Fクラスの作戦内容を言え。断ったら三人とも痛い目を見るぞ」

「「「・・・・・・!」」」

 

底冷えするような表情で彼は友香に言い放った。

これが交渉?

ただの脅迫じゃないの!

 

「さぁ、小山さん!言わないと君だけじゃなく大切な友達まで傷つけてしまうことになるぞ!」

「っ・・・・・・あっ・・・・・・・!」

「友香ダメっ!!絶対に言っちゃダメっ!」

「お前は黙ってろ!」

「ひっ・・・・・・!?」

 

恵子は根本に睨まれがくがくと震えだした。

友香も恐怖で顔がゆがんでいる。

・・・・・・もう、許さない!

私は妖気を解放しようとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前たち!そこで何をしている!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ちっ!鉄人か。運がよかったな。引くぞ!」

 

私たちを羽交い絞めにしていた男たちは私たちを離して逃げて行った。

それと同時に友香と恵子は地面にへなへなと座り込んだ。

あいつら絶対に許さない・・・・・・!

私は連中が逃げて行った方向を睨み付けた。

 

「おぬしら大丈夫か!?」

「えっ」

 

慌てて駆け寄ってきたのは西村先生ではなく秀吉だった。

一体どうして彼がここに?

それに西村先生は?

 

「秀吉、西村先生は?」

「鉄人はおらぬぞい」

「は?」

 

じゃあなんで西村先生の声が聞こえたの?

 

「わしはは声真似が得意でのぅ。たいていの声ならまねることができるのじゃ『こんなふうにな』」

 

秀吉はそっくりそのまま西村先生の声を真似てみせた。

これはすごい。

声だけ聴いてみれば本物の西村先生だ。

その能力妬ましいわね。

 

「それでどうしてここに?」

「演劇部の練習が伸びてしまって帰りが遅れたんじゃ。それで練習が終わって帰ろうと思ったら何かもめてるような声が聞こえてのぅ。何事かと思ってきたら三人が羽交い絞めされておったからとっさに鉄人の声を出したんじゃ」

「そうだったの。ありがとう秀吉」

「どういたしましてなのじゃ。ワシはこんなことぐらいでしか役に立てないがのぅ」

 

秀吉は苦笑した。

たぶん彼は声を使ってしか私たちを助けられなかったことに対して落ち目を感じているのだろう。

 

「それでも他人から見たらすごいことよ。声を本物そっくりにまねることなんてなかなかできるものじゃないわ。それに誰かが困っているときに助けられる勇気は立派よ。そしてとっさに機転を利かせられる頭の速さ。私から言わせれば全部妬ましくて仕方ないわ」

「そ、そうかのぅ//」

 

秀吉は顔を赤らめてうつむき気味になり頭をかいた。

どうやら照れているようだ。

 

「そう言ってくれると嬉しいのじゃ。パルスィが初めてじゃ。そんなことを言ってくれたのは」

 

心から嬉しそうに秀吉は微笑んだ。

その笑顔に私は思わず見入ってしまった。

 

「パルスィ?」

「な、なんでもないわ。と、とりあえず二人をなんとかしないと」

「うむ。そうじゃな」

 

な、なんでこんなにドキドキするのよ。

うぅ、こんな風にさせた彼の笑顔が妬ましいわ!

 

 

私と秀吉は座り込んでいる二人を起こしに言った。

 

 




〈???〉


・・・・・・あの人たちはちょっとこらしめないといけないかな。





今回は私が無意識を操って助けたとはいってもねー・・・・・・





流石にいつもは無理だしね。





これはお姉ちゃんたちとスキマ妖怪さんに相談しないとね。


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