嫉妬とテストと召喚獣 作:陸鷲
・・・・・妬ましい。
友香がすごく妬ましい。
「え、えーと・・・・・ぱ、パルスィ?」
「なにかしら、友香?(ニッコリ)」
「ひっ!?」
友香は私の顔を見るなり、小さく悲鳴をあげた。
全く。失礼しちゃうわね。
「で、できればその妖気を抑えて欲しいのだけど」
「ふふふ。何を言ってるの?私がこんな人前で妖気を出すわけないじゃない。ただあなたに対する嫉妬心を露わにしているだけよ。安心しなさい」
「全く安心できないわよ!!」
顔を青ざめさせながら友香は叫んだ。
だって、ねぇ。
まさか、友香が私より学力が高いなんて思ってもいなかったんだもの。
別に自分が賢いと自惚れているわけではないけれども、身近な人間がこうも賢いと・・・・・
「パルパルパルパルパル・・・・・」
「ぱ、パルスィ!?お、落ち着いて!?何か緑色のオーラが出てるから!!周りの人も怖がっているから!!」
友香に言われて周りを見渡す。
今私たちは廊下にいるのだが、普通ならここは人通りが多いところだ。
しかし、現在私たちの周りには人が全くおらず、遠巻きに怯えながらこちらを見ている生徒がほとんどだった。
・・・・・ちょっとやりすぎたかしら。
「はぁ、わかったわよ。それにしてもまさか友香がBクラスに入れるほどの実力があったとはねぇ」
「・・・・・まぁ、一応、Bクラスを目指していたから」
友香はバツが悪そうに目を逸らした。
なるほど。根本と同じクラスになりたかったのね。
それならBクラスを目指して当然ね。
それにしても・・・・・
「根本とは別れるのよね?」
「当たり前よ。何の未練もないわ」
友香は吹っ切れたように、あっさりと言った。
私はそれを聞いて安心した。
ずっとそのことが気になっていたのだ。
確かに、普通ならあんな奴とこれからも付き合っていこうとは思わないだろう。
しかし、ごくたまにそれでも別れずに付き合い続ける者がいる。
たぶん、「いつか相手が変わってくれる」とでも思っているのだろう。
そんなのは幻想に過ぎない。
たいてい変わらないものだ。
だからこそ、友香には奴とは別れて欲しかったのだ。
恋愛は妬ましいくらいの方がいい。
・・・・・妬ましいけど。
「そう。なら安心したわ。それで、これからどうするの?」
「もちろん、あいつを倒しにいくわ。そこでお願いがあるんだけど・・・・・」
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「し、Cクラス戦線もちそうにありません!支援をお願いします!」
「ダメだ!Fクラス戦線もヤバイ!支援は送れない!」
「Bクラス田中戦死!敵が流れ込んできます!」
「何としても持ち堪えろ!」
Bクラスに近づくにつれ、Bクラス生徒の悲鳴に近い声が聞こえてきた。
どうやら、Bクラスはかなり追い込まれているらしい。当然だが。
こちらは全戦力で勝負できるが、相手は戦力を二分してそれで相手をしなければならない。
さらにF、C両クラスとも士気は高い。
いくら下位クラスを相手にしているとはいえキツイだろう。
なんというか・・・・・
「・・・・・敵ながらかわいそうね」
「えぇ」
友香も同じことを思っていたらしく、私は彼女の言葉に素直に同意した。
こんな悲惨な状態になったのは、根本とその取り巻きのせいだ。
他の人たちは完全に被害者だろう。
「とりあえず、パルスィ。よろしくね」
「分かってるわよ」
私は作戦の了承を得るために、前線で指揮している秀吉の方に向かった。
「ワシらの方が優勢じゃ!このまま教室内に敵を閉じ込めるんじゃ!」
前線にくると秀吉が檄を飛ばしていた。
Fクラスがかなり押しているのがよく分かる。
なら作戦は今がチャンスね。
私は秀吉に声をかけた。
「秀吉。戦況はどう?」
「むっ?パルスィか。見ての通り、こっちがかなり優勢じゃ。ところで、どうしたんじゃ?」
「ちょっと、お願いが・・・・・」
「お願いじゃと?」
こてんと首を傾げて聞き返す秀吉。
・・・・・妬ましいわ。
そんな負の感情はとりあえず置いといて、私は今から行う作戦の承認をお願いした。
「な!?それは!?」
「大丈夫。うまくいくわ」
「しかs「教科が古典に切り替えられました!誰か古典が得意な人を!」なんじゃと!?」
「どうしたの?」
「Bクラスは文系が多いのじゃ。だから今まで理系で勝負していたのじゃが・・・・・」
なるほど。
おそらく、今まで得意である文系はCクラスの方に回して、理系はFクラスに回していたのね。
でも、戦況が悪化してきたから、とりあえずFクラスを倒そうとこっちに得意科目を持ち込んだと。
悪いけどこの勝負もらったわ。
その判断はもっと前のうちにしておくべきだったわね。
「実は私、古典が得意なの。Aクラス並みにね。だから、この作戦承認してくれるわね?」
「ううむ・・・・・わかったのじゃ」
「交渉成立ね。時間もないし、いってくるわね」
「頼んじゃぞ、パルスィ」
「・・・・・パルスィ、お願いね」
友香は申し訳なさそうな顔をしていた。
確かに、この作戦は側からしたら無謀以外何ものでもないのよね。
友香を安心させるために「任せなさい」と一言残し、私は教室の入り口に向かった。
そして、堂々と教室に入り込んだ。
「な、なんだお前は!?」
「こいつ、一人で乗り込んできたわよ!?」
教室内がざわざわと騒ぎ出す。
そりゃあ、まさかたった一人で乗り込んでくるとは誰も思いつかないわよね。
騒いでいる奴らをよそに、私は高らかに宣言した。
「ここにいる代表以外のBクラス生徒に、古典での勝負を挑むわ。」
一瞬、教室がシンと静まりかえる。
が、すぐに教室は騒がしくなった。
「こいつ正気か!?ふざけやがって!」
「文系が得意な私たちに勝てるとでも思ってるの!?」
「なめてんのか!?」
「私たちに勝負を挑んだことを後悔させてあげる!」
『
相手の召喚獣達が一斉に現れる。
どれも皆、殺気立っている。
普通なら怖気付くかもしれないが、私は妖怪。
こんなもの怖くもなんともない。
「一気に攻めるぞ!」
「一人だから楽勝だぜ!」
「補修室送りにしてあげるわ!」
「やってやんよ!」
そんな喧騒の中、私も遅れて召喚を宣言した。
「
・・・・・私が一人で乗り込んだ理由を教えてあげるわ。
『Fクラス 水橋パルスィ 古典 415点』
『なっ!?』
教室全体に動揺が広がる。
当たり前よね。
こんな点数なかなか取れるものじゃないもの。
私だって驚いたわよ。
それにこの点数だから、私の召喚獣は腕輪をつけている。
敵が焦るのも無理はない。
「おおおおおおおおお、落ち着け皆!敵はたった一人だ!お、恐れる必要はない!」
「そ、そうだな。こんだけいりゃ楽勝だぜ!」
「そ、そうよね!私たちが負けるなんてことないわよね!」
みんなで励まし合っているなんて・・・・・妬ましいわね。
私の負の感情が心の奥底からボコボコと湧き出てくる。
ふふふ。いい機会ね。私の嫉妬全てをあなた達に向けてあげるわ。
「いくぞ!全員で攻撃だ!」
『おおーーっ!』
男子生徒の声をきっかけに全員がこちらに向かってくる。
それをよそに、私は小さく呟いた。
「・・・・・恨符『丑の刻参り七日目』」
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「任せなさい」
そう言うとパルスィは教室に入っていった。
今私がいる廊下は喧騒に包まれているが、それでも教室の中が騒がしくなっていることがわかった。
作戦の内容は簡単だった。
パルスィが敵の関心を引いている間に私が根本に勝負を申し込む。
そのために、パルスィは単独で他のBクラス生徒に対し、戦いを申し込むという無謀な策をとった。全て私のために。
お願いした時から無茶なお願いだとわかっていた。
きっと断られるに違いない、そう思っていた。
それなのに、パルスィは嫌な顔一つせずに聞き入れてくれた。
・・・・・申し訳ない。
パルスィに。
それだけでなく恵子にも。
私があんな奴と付き合ったばかりに二人に嫌な思いをさせてしまった。
なんであんな奴と付き合ったのか。
頭の賢さだけで判断した過去の自分が情けなかった。
人は頭だけじゃない。
Fクラスに入って、そして絶望してよくわかった。
これからはしっかりと人を見よう。
心から私はそう思った。
そのためにも、あいつを倒さなければならない。自分の手で。
この戦争は勝ったも当然だ。
だけど、私が自分の力であいつに勝たなければ、私の戦争は終わったことにならない。
気がつくと、いつのまにか私は服の裾を強く握りしめていた。
・・・・・私の悪い癖だ。
すぐに感情的になる。
この癖も直さないと。
そんなことを考えていると、教室の中から悲鳴に近い叫び声が聞こえてきた。
「な、なんだよこれ!?」
「どうやってよけりゃいいんだよ!」
「ちょっ!?どけよ!」
「あんたこそ邪魔なのよ!」
入り口から覗き込むと、Bクラスの面々はパルスィの召喚獣から繰り出される光の玉に大苦戦していた。
パルスィ曰く弾幕というものらしく、彼女が住んでいる世界ではこれを用いた戦闘が日常茶飯事で行われているらしい。
・・・・・一体どんな世界よ。あまり行きたくないわね。
それはともかく、この弾幕。召喚獣の操作に慣れていないものは細かい動作ができず簡単に攻撃を食らってしまう。
その上、この大人数。
逃げる場所に味方がいたりして、避けるのには困難を極めていた。
皆、必死になって避け、怒声や悲鳴も飛び交っている。
今がチャンスね。
私は英語担当の遠藤先生を連れ、戦闘風景を尻目にあいつのもとへ向かった。
根本は奥の椅子に座って戦闘を見ており、その顔には焦りの表情が浮かんでいた。
「いいざまね。根本クン」
「小山・・・・・!キサマっ・・・・・!」
根本はギリっと歯を食いしばりながらこちらを睨んできた。
そのものすごい剣幕に、一瞬、怯んでしまう。
でも・・・・・!
「根本クン。私はあなたに勝負を申し込むわ」
私も負けずに睨み返す。
「はん!お前が俺に勝てるとでも思っているのか?」
「勝てるわ。いや・・・・・勝たなきゃいけないの!
私の過去との決別を、そして復讐をかけた戦いが始まった。
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「戦死者は補習室へ!」
「い、嫌だ!俺は行きt」
ふぅーーっ。
やっと全員ピチュったわね。
それにしてもかなりの人数だったわね。
途中から参加してきた奴もいるわよね、これ?
まぁ、いいわ。これで私の仕事は終わったわ。
さて、友香はどうなってるのかしら。
私は友香の戦闘の方に目を向けた。
「Cクラス 小山友香 VS Bクラス 根本恭二
英語 53点 VS 125点」
「友香!」
思わず叫ばずにはいられなかった。
友香をみると顔には、疲労と焦りが浮かんでいた。
一方の根本はというと、余裕の表情だった。
本当に腹ただしいわね・・・・・!
「威勢がいいのは最初だけだったようだな。小山さん?」
「うるさい!まだまだこれからよ!」
友香は根本に噛みつくようにいうが、状況は厳しい。
おそらく、本人がそのことを最もよく理解しているだろう。
この点数差ではむやみに相手にのところに飛び込むことはできない。
飛び込めば終わりだ。
「友香!」
教室の入り口から恵子の声が聞こえてきた。
どうやらCクラス戦線も終わりを迎えたようだ。
「遠藤先生!Cクラス綾野恵子が「駄目よ。恵子」パルさん!?なんで止めるんですか!」
友香の手助けをしようと走り寄ってきた恵子を手で制す。
恵子が助けたい気持ちはよくわかるわ。
でもそれは駄目なのよ。
「恵子。友香を信じなさい。あなたは彼女の親友でしょ?あなたが彼女を信じなくてどうするの」
「パルさん・・・・・・はい、わかりました。私、友香を信じます!」
「・・・・・ありがとう」
何かを悟ってくれたのか恵子はあっさりと引いてくれた。
私はそのことに素直に感謝して、二人で友香の戦闘を見守った。
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くっ・・・・・!このままじゃ・・・・・!
私は額の汗を手の甲で拭い取ると、根本を睨みつけた。
相変わらずこちらをニヤニヤと見つめていて、非常に腹ただしかった。
最初の点数差はそんなに離れていなくて、戦闘もこちらが有利だった。
だけど、あいつが次第に操作になれてくると、だんだん劣勢に追い込まれてこのざまだ。
伊達にBクラス代表じゃないってことね・・・・・!
「おいおい。もう降参したらどうだい?」
「降参なんてするわけないでしょ!」
「隙ありっ!」
「しまっ!?」
あいつの言葉に反応したせいで、避けるのが一瞬遅れ、大鎌が召喚獣を擦った。
お願い!耐えて!
「Cクラス 小山友香 25点」
思いが通じたのか、召喚獣はなんとか耐えてくれた。
でも、この点数じゃもう何もできない・・・・・。
私は絶望し、膝から崩れ落ちた。
「「友香!」」
私の親友たちの声が聞こえてくる。
・・・・・ごめんなさい。二人とも。
「ははっ!いいざまだな!小山!」
あいつの高笑いする声が聞こえてくる。
結局、私はあいつに勝てなかった・・・・・。
あいつに勝って過去の自分と決別したかったのに・・・・・。
二人の復讐をしたかったのに・・・・・。
目の前が真っ暗になりそうだった。
ーあきらめるのかしら?
突然、頭に女性の声が響いた。
ーあんなひどいことをしたあいつに負けてもいいのかしら?
私の頭にあいつが私や恵子、パルスィにした行いが浮かんできた。
・・・・・いや。いやよ!あきらめたくない!
その声で私は目が覚めた。
こんな奴に負けたくない!
私はもう一度立ち上がった。
「まだ立ち上がるのか。往生際が悪い奴だな」
「なんとでもいいなさい!私はあきらめない!」
ーふふ、そのいきよ。なら、どうするのかしら。
ー決まっているわ。私の残ってる全ての力を振り絞ってあのクズに攻撃するわ。
ーじゃあ、あなたに私の能力を貸してあげるわ。
ー能力?
ーそう。あなたが消費する点数のぶんだけの威力を発揮することができるわ。
すると、突然私の召喚獣の右腕が光りだした。
「な、なんだ!?」
根本が驚愕の声を上げる。
周りで観戦している人たちも驚いているようだった。
光が消えると、そこには紫色の腕輪がついていた。
「なっ!?腕輪だと!?」
ーさぁ、準備は整ったわ。いくら消費するのかしら。
ーいったでしょ?私の残っている全ての力って。
ー・・・・・正解よ。それじゃあ、これを唱えなさい。
「いまさら何が起ころうと状況は変わらない!おとなしくやられやがれっ!」
根本が攻撃態勢に入った。
だけど私は焦らなかった。
満足していたのだ。
能力を借りたからではない。
全力で戦ったからだ。
私は目を閉じて、教わった技の名前を高らかに宣言した。
「・・・・・紫奥義『弾幕結界』」
朝でも夜でもコンバンワ!
午前中から書き始めて気が付いたらもう夜でした。
どうしよう、勉強何もしていない!
・・・・・と余談は置いといて。
申し訳ありませんが次回の更新はおそらく8月になると思います。
ちょっとこれからテスト三昧なので・・・・・。
あと、今後の方針ですが。
次でBクラス戦後対談です。これに、お仕置きタイムが加わるかどうか・・・・・。
Aクラス戦は書かないつもりです。
パルスィがAクラス戦に出る理由が思いつかないので・・・・・。
で以前書いた後日談のような話をいれることになると思います。
そして、もう一つ。
嫉妬とテストと召喚獣2巻分検討中!
決定ではないのはお許しください。
これからどうなるのかわからないので。
おそらく2巻ではこいしが頻繁にでます。
最近では例大祭ででたあのキャラを出そうとも少し考えていたりします。
予定は未定ですがこれからもよろしくお願いします。
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それではまた8月頃に。