嫉妬とテストと召喚獣 作:陸鷲
熱い・・・・・・
身体は熱いし頭も全く働かない・・・・・・
でも、ここで倒れるわけには・・・・・・!!
そうよここで倒れたら一年間ボロボロの教室になるのよ・・・・・・!!
だから倒れたら・・・・・・!!
あっ
バタン
・・・・・・ここまでなのね
これで私の人生おしまいね・・・・・・
校舎へと続く坂道の両端には春の風物詩である桜が満開に咲き誇っていた。
その美しさに多くの人々が足を止め見入っていた。
・・・・・・妬ましい。
ただ花を咲かすだけで多くの人から愛される桜が妬ましい。
そして、桜の向こうに見える雲一つない空が何も悩み事がないように見えて妬ましい。
大体、春のもたらす雰囲気自体が妬ましいのだ。
みんなして浮かれて全くもって妬ましい。
「・・・・・・朝からおまえはなんて顔をしているんだ。水橋」
ビクッ!!
突然聞こえてきた声に対して私は思わず背筋が伸びた。
それと同時に冷や汗が流れ始めた。
ギギギ、と錆びついたような音がいまにも聞こえそうな感じで首を動かすとそこには会いたくない人物がいた。
「に、西村先生。お、おはようございます・・・・・・」
「あぁ、おはよう。ところで急にどうした?俺の顔を見た瞬間まるでおそろしいものを見たような表情になったが」
「・・・・・・それはそうなりますよ。あんなことされれば」
話はここに連れてこられた日に遡る。
あのババァ妖怪は私の学力のスキマをいじるときにF組レベルの学力にしかしなかった。
理由は「だってその方がおもしろいじゃない♪」という何とも個人的で腹ただしい理由だった。
そのとき奴がニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべていたことは鮮明に覚えている。
・・・・・・いつか仕返ししてやるわ。
しかも、西村先生に私を新学期になるまで教育するようにしたのだ。
あれはまさに地獄のような日々だった。
そのせいで危うく「趣味は勉強、尊敬する人物は二宮金次郎」になりかけた。
こんなことがあり私は西村先生をかなり苦手としていた。
まぁでも、彼のおかげでDクラスに入れるほどの学力がついたことには感謝している。
「確かにそうかもしれないがお前はこの2週間俺の指導についてきたんだ。そのことは誇りに思え。おまえが初めてだ」
当り前よ。
普通の人間が耐えられるはずがないわ。
「とりあえずおまえは学園長室に向かえ。転校生扱いだからな」
「わかりました」
私は失礼しますと告げ一目散にその場を離れた。
・・・・・・できればもう2度と会いたくない。
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学園長室のドアをノックすると「入りな」と中から声が聞こえたので部屋に入った。
「失礼するわ」
「水橋か。そろそろ来る頃だと思ってたよ」
備え付けられた立派なソファーに座るように促され、私はその指示に従った。
藤堂は何やら分厚い書類を手にしてテーブルを挟んで私の向かい側に座った。
「さてと」
藤堂は改めて私に目を向け、ほぉと何やら感心した様子で私を見た。
「初めて制服を着た姿を見させてもらうがなかなか似合っているじゃないかい」
「・・・・・・お世辞はいらないわ」
「そうかい。ならさっそく本題に入らせてもらうよ」
そういうと先ほど持ってきた書類を私に渡してきた。
「これは?」
「この学園の全生徒のプロフィールさ」
パラパラと書類をめくって内容を確認してみる。
学年、クラス、部活などの個人情報が細かに書かれていた。
「本当は内部の人間さえも持ち出すことは許されないものなんだがアンタには必要だろうと思ってね」
「確かにこれがあるといろいろと助かるわね」
「ただしこれは誰にも見せるんじゃないよ。もしバレれば大変なことになる」
真剣な面持ちで藤堂は注意した。
これは家の中だけで見るようにした方がいいわね。
「それと紫との約束は覚えているかい?」
「もちろんよ」
スキマ妖怪との約束。それは「決して私欲のために嫉妬を操らないこと」。
この学園にいる限り私は博麗の巫女や白黒の魔法使いと互角、もしくはそれ以上に戦えるほどの実力を有しているといっても過言ではなかった。
なぜなら橋姫とは人々の嫉妬を糧としているからだ。
そのため今の私なら過去にないほど大きな異変を起こすことも可能だった。
スキマ妖怪はそれを危惧して私とこのような約束をした。
そして・・・・・・
『もし約束を破ったときは・・・・・・
あなたを殺すだけでなくあなたのご友人たちも殺しますわ』
と妖気、殺気を共に全開にして脅された。
あの時の私の顔は恐怖でまっさおになっていたにちがいない。
今でも思い出すだけで身体が震えてしまう。
「それなら安心した。それじゃあこれからとりあえず一年間よろしく頼む」
「わかったわ」
こうして私の学園生活が始まった。
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