星乃一歌
日野森志歩
天馬咲希
望月穂波
月島柊
以上5名
俺は真ん中の一歌から直線上に座っていた。真ん中だったから全員が見渡せる。音も全員分聞こえてくる。審査をするのは俺だ。
「志歩、ベースを弾いてるときの表情が固い」
「でも、音がならない」
「…志歩、ライブをする時に大切なこと、分かるか」
俺は志歩を含めた全員に言い聞かせた。
「音でしょ」
「それもそうだ。だけど、観客は音だけ聞くんだったらライブには来ない。ライブでしか味わえないことがあるから足を運ぶんだ」
志歩は不思議そうな顔をした。
「ライブの表情だ。テレビで見るんだと音は聞こえるけど表情は伝わらない。だから、引き立たせるんだ」
「表情を良くすると他になんかあるの?」
一歌が聞く。俺はそれに答えた。
「ギターやベースの音色が豊かになる。いくら激しい曲だって、汚い音を鳴らすのとは違う」
「集中しちゃうと…」
「咲希や穂波は今のままでいい。一歌は俺が居なくなると急に笑顔がなくなる」
確かに俺が居なくなると急に寂しくなるのは分かるけどさ。
「志歩は、笑顔作ろうか」
「…うん…」
「みんなは自由に練習してていいよ」
俺は志歩の手をつかんで俺の部屋につれていった。
「何、勝手につれてきて」
「志歩、穂波と俺が仲良くして、どう思った」
「は?いいんじゃないの、別に。というか、他人が仲良くすることが私に関係ある?」
いつも以上にキツい言葉。志歩も言っている自覚はあるんだろう。怒りに近いが、言葉の中に別の感情があるようだった。
「志歩、なんかあったか」
なんとなく分かってたけど聞いてみた。
「何もない!放っておいて!」
「志歩!」
俺は出ようとする志歩の手を掴んだ。
いつもは演奏が終わると笑顔で俺と話してたのに、穂波と仲良くなった今日から終わっても厳しい目で見てくるようになってきた。練習が終わっても、志歩はまっすぐ俺に厳しい目を向けて帰ってた。
そんな志歩が俺は気になってきた。これまでを見る感じ焼きもち。嫉妬してるんだ。俺は手を掴んで言った。
「お前、嫉妬してるだろ」
「っ!そんなことない……」
「志歩、誰かと話してるときもなんか悔しそうだったろ」
「…だって、もう話してくれないんじゃないかって思って…」
自分の中で抱えた恐怖心があったのか。確かに俺だってない訳じゃない。というか、結構ある。「こうしたらこうなってしまう」や、「こうなるから、どうすればいい」などと悩んでいるうちに時間は過ぎ、取り返しのつかないことになる。
「そうだったか。大丈夫。穂波と仲良くなった時に、全員平等って約束したから」
「平等なんて、守れるはずない」
「分からないだろ」
「ゼロじゃない。イチでもあったらやるんだ」
俺は志歩の手を離して言った。
「イチでもあったら…」
「そう。ゼロなことは世界に数個しかない。だけど、イチでもあることは世界に何兆個もある。とりあえず、試してみればいい。当たって砕けろ」
俺は志歩の肩に手をおいて言った。志歩は俺の手をはらい、ドアを開けて外に出ていった。
「100になるまで、だな。俺がLeo/needを担当するのは」
俺はもう、入ったときから決めていた。今はLeo/needの担当だが、今は100でいったら、80/100。100になったら俺はLeo/needの担当を外れる。外れる時は、内緒で外れよう。100になったら、泣くこともないだろう。
「あと1ヶ月もないよな」
俺は1人で部屋に留まっていた。次はどこに行こうか。
「MORE MORE JUNPか。ここでもいいかもな」
俺は入る所を探していた。MORE MORE JUNPか、25時、ナイトコードで。どっちがやりがいがあるかだろう。
「…寂しくなるな、移動は」
俺は移動先の候補を見ながら思った。その写真を見たとき、俺はふと思い浮かんだ。
「集合写真、移動前日に撮ろうかな」
モアジャンだって、ニーゴだって集合写真がある。写真、撮らないと移動できないな。
「よし、こうなったら聞きに行くか!」
俺は元気よく部屋のドアを開けて部屋から出た。