月島柊
日野森志歩
俺は翌日、志歩のとなりから離れることなく付き添っていた。買い物から練習、料理までずっと一緒だった。
「志歩はどうして俺と一緒にいたかったんだ」
「……好きだったから」
ヤキモチでも妬いたのか?一歌とずっといるから。
「言えば一緒に帰ったりとかしたのに」
「一歌といるし……話しづらい……」
「なんかごめん……」
俺は志歩の後ろから抱きついて言った。
「許してあげる……」
「ありがと。志歩大好き」
志歩は恥ずかしくなりながら歩いた。抱かれたままだったが、志歩は嫌じゃなかったらしく、離そうとしない。
「柊くん、歩きづらくないの」
「志歩こそ、歩きづらいだろ」
志歩は首を振る。歩きづらくないってことだろう。
「柊くん、今日はどこにも行かなくていいの?」
「あぁ。行く理由もないからな」
志歩は興味がないようにベットに座った。いるんだったら興味ない、みたいな感じか。
「柊くん、電話鳴ってない?」
俺がポケットを確認すると、確かにバイブが鳴っていた。俺はその電話に出る。相手は遥だった。
「遥?どうした」
《柊くん、暇だから付き合って?》
「……ごめん、今日は無理かな」
《そう?じゃあまたいつか誘うね》
「おっけ。またな」
《は~い》
俺はそれだけ言って電話を切った。すると、志歩が切れたのを確認して言った。
「いいの、行かなくて」
「いいや。あとでにする」
俺は志歩のことを抱く。
「今は、志歩がいい」
「柊くん……」
俺は志歩をベットに押し倒す。普通に考えてセクハラか?訴えられたりするのか?そしたらどうしよう。
「あ……」
「訴えられるかもって思ったでしょ」
「あ、あぁ……」
志歩は手を広げ、ハグする前のような姿勢になる。
「訴えない。早く、来て」
志歩は少し顔を赤くして言った。俺は言葉に甘えて志歩に抱きついた。体は見かけよりも柔らかく感じ、クッションとはまた違った感触だ。冷たいところと熱いところ、温かいところが何ヵ所も点々とある。
「気持ちいい……」
「え、んな、なに言って……」
志歩はあわあわして、焦っていた。
「志歩、ここで寝ていい?」
「え、このまま……?」
「ダメかな」
俺は無理を言った気がするが、我慢もよくない。思わず言ってしまった。
「べ、別にいい……重くしないでよ」
「分かってる」
俺は志歩の上で目を瞑った。
俺はしばらくして、志歩の体に包まれて起きた。志歩も寝ていて、志歩は俺のことを抱えながら寝ていた。
「志歩……」
俺は寝ている志歩の顔をじっと見る。いつもとは違う表情で、かわいらしい寝顔。少し笑っているようなところもかわいい。
「……うさぎ……」
育成ゲームの世界にいるらしい。うさぎはどんなんだろうな。
「寝言……かわいい……」
俺は志歩の寝顔を見て呟いた。いや、けど、一歌がいる……というか、一歌のことをこんな長時間見たことないな。最初が志歩か。
「んん……」
少し寝ている角度を変える。寝返りとまでは行かないが、少し変わった。
「なんか、また眠くなってきた……」
俺はうとうとし始め、たまに目を閉じそうになる。
(いや、寝ない!寝ないぞ!)
俺はそう言い聞かせて寝るのを耐えた。
「んん……」
志歩が俺の膝を枕代わりにする。ちょっと待って、今、この状況は、どういった状況で?
「……いっか」
俺は志歩の寝顔を眺めたままでいた。