俺の迷い込んだ世界が… 完結   作:月島柊

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第27話 少し

 久しぶりにミクたちに会いに行くと、ミクとリン、ルカが何やら話し合いをしていた。というより、悩んでいるような感じだ。俺は手伝うためにミクの斜め後ろに立った。

 

「どうしたんだ、ミク、リン、ルカ」

「あ、柊くん。あのね、柊くんが現実世界に帰る日が近づいてきたの」

「もう柊くんは1年くらいいるでしょう?だから、期限までもう少しなのよ」

 

現実世界、か。

また上司に無茶ぶりを言われてはその無茶ぶりをして、疲れ果てて、また無茶ぶりを聞いて実行に移す。という無限ループが始まるのか。

その生活は、「憂鬱」というより、「憂鬱」を超えた「鬱」だった。実際、うつ病で出社しない人も出てきていたし。

 

「そうか……まぁ、このセカイではいろんなことを学んだよ。一歌たちのおかげで」

 

一歌たちに「俺がいたら」ということを学んだ。そして、今度は俺が実行する番だ。

まぁそんなこと今考えたってしょうがない。近づいてきただけで、今日や明日じゃないんだから。

 

「その話でそれだけ考え込むのか」

「ああ、うん。やっぱり寂しいわ」

 

ルカが悲しそうに言った。そうだったか。やっぱり悲しさとかはあるんだろう。

 

「そっか。まぁ、まだ時間あるんだから。俺は一歌のとこいくぞ?」

「あ、待って」

 

リンが俺のことを止めた。俺はリンの方を向いて話す。

 

「どうしたんだ、リン」

「えっと、気をつけて」

 

いくつもの「?」が浮かんだが、リンが追い出したから俺はもう外にいた。

 

「全く、別にいいじゃないか」

 

俺は一歌のいる部屋へ歩いて行った。

 

 俺が一歌の部屋につくと、一歌は楽譜を見てギターをゆっくり弾いていた。

 

「一歌、おつかれ」

「あ、柊くん。どうしたの」

「暇だったから。それ、新しい曲か?」

「うん。柊くんも手伝う?」

 

ギター経験はある。どうしようかな。

 

「じゃあ、するよ。楽譜見せて」

 

一歌は俺の前に楽譜を置く。結構複雑だけど、多分できたら迫力がすごくなるだろう。

 

「じゃあ、Aのところから行ってみよう」

「もうちょっと近づいていい?」

「あっと、弦は……って、そういうことか。いいよ」

 

一歌は俺にぴったりくっついた。すると、何事もなかったかのようにギターを弾き始めた。

 

「……一歌、俺に教えたこともあったけど、俺が最後にアドバイスするよ」

 

俺は最後という言葉だけをわざと小さくして言った。そして、それに続いて言う。

 

「誰に向けた音楽だい」

 

一歌はハッとして目の前を見た。

 

「この曲、誰に向けた曲なんだ。友達か、身近な人か、家族か、俺か、セカイか。ハッキリしてから弾いた方がいい」

 

一歌は考え始めた。深く考えているようで、俺のことはすっかり忘れていた。

 

「分かったら教えてくれ」

 

俺は外に出て待った。

 

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