月島柊
星乃一歌
以上2名
俺は一歌と一緒に学校から少し離れたところまで歩いていった。今日は12月25日。一歌と一緒にクリスマスデートだ。2人きりのデートは久しぶりだった。
「一歌、手繋ぐか?」
「うん。繋ぐ」
一歌と俺は手を繋いだ。一歌はもう恥ずかしくないらしく、黒髪を揺らしながら手を繋いで歩いていく。
「一歌、もう恥ずかしくなくなったか?」
「うん。もう普通になっちゃった」
普通になっちゃったのも少し困るけど。けど、一緒にいることが恥ずかしくなくなったのはいいことかな。
「あ、雪」
この世界には雪も降るのか。ということは晴れと雨だけじゃないのか。
「ホワイトクリスマスか」
「あ、確かに。すごいね、クリスマスに雪」
「だな。結構珍しい」
12月に雪なんて関東じゃ考えられなかったし。ホワイトクリスマスもなったことないし、それにクリスマスに誰かと一緒にいるのは多分3年以上なかった。
「一歌とクリスマスに一緒にいれてよかった」
「急にどうしたの?」
「いや、なんでもない」
俺は一歌の手を引いて走った。一歌もすぐにスピードにのってきた。
「もう、なんなの?」
「ただ一緒にいれてよかったなってだけ!」
俺は雪が降る夜を駆け抜けていく。イルミネーションの光が神々しく輝いている。
「柊くん、こういうところって来たことある?」
「一歌こそどうしたんだよ、急に」
「いいから答えてみて?」
ブラック企業出身の俺がこんなところ来たことあるはずがない。
「来たことない。初めてだよ」
「へぇ、来れなかったの?」
「まぁそれに近いかな」
来れないような状況を作られたから来なかった。とも言えるけど。
「じゃあ満喫しよ。イルミネーション」
「これしか来ない訳じゃないだろ?」
「分かんないよ?私が振ったら」
そんなこと考えたことないな。確率ゼロだし。
「一歌がそんなことする人とは思わないけど」
「そう?信用してるんだね」
人間を疑うのはブラック企業の人々だけ。それ以外はある程度信頼している。
「疑ったりはしないさ。今だって他にいないだろ?」
「うん。柊くんにしか目ないもん」
こういうときに人間は嘘をつくが、一歌は嘘じゃない。そういうのが一歌の瞳だけで分かった。
「じゃあ、また来ようぜ、いつかさ」
「絶対ね。またクリスマスまでに来よう」
来年のクリスマスまでにはまた来たい。ハロウィーンとか、いや、バレンタインでもいいかもしれない。なるべく早い方が俺の嬉しいし、一歌も嬉しいだろう。近い方が忘れることも少ないし。
俺は一歌の手を繋いだままベンチに座った。