居候している幼馴染が神様になるというので人生計画を見直すことになりました   作:公序良俗。

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新生活の季節ですね。



奪還作戦

 久しぶり気持ちのいい目覚め、とまではいかなかったが寒気で目を覚ますということがなかった朝。今日は良い一日になりそうだ。眠気覚ましに外へ出て川に顔を洗いに行く。既に陽は出ているので結構ぐっすりと寝ていたらしい。7時とか8時くらいだろうか。街の方では既に働いている人もわんさか居るんだろう。例えば穏健派なんかもちょうど今が忙しい時間帯のはずだ。そんな中、ボーッと川の流れを見ている自分はなんと怠惰な存在なのだろうか。この間までなら既に出社して境内の掃除をしている頃だ。元の生活に戻ったときそれが出来るか否か…いや、やらねばなるまい。朝の冷たい川の水が顔の皮膚に染み渡る。

 

「朝ご飯、作るか…」

 

 例によって竹飯盒を使ってご飯を炊く。今日はノー魚デイなので朝は芋と野菜でどうにかする。じゃがいもはシンプルにふかし芋を塩で、葉物野菜はシンプルにお浸しを醤油で。シンプルイズベスト。そういえば熊共の朝ご飯も用意してやらないといけない。芋をやるのはミワが駄目だと言うし、かと言って他に何かあるわけでもない。起きたらミワに任そう。

 ご飯が炊きあがるまで周囲の森を少し散歩する。霜がおりて地面が少し湿っている。何もこんな寒い季節に飛ばさなくても良かったのにと思う。もう少し夏に近い秋かいっそ雪が溶けきった春頃であればまだとっつき易かったのに。そうであればわざわざこうやって朝からワンチャンにかけて消えた人を捜索をする必要もないのだ。昨日バケツを残して消えた弥助。多分ミワの言うようにノート目当てで来たのではなく単純に親切心から来てくれただけなのだ。そこで運悪く熊と遭遇しテンパって夕方まで倒れていただけで…そうか、上流にはあいつが居たんだ。なら下流の方へ逃げたんじゃないだろうか。恐らく一度は上流へは行ったのだろう。自分で仕掛けから魚を取るために。しかしそこで熊と遭遇、両者とも驚いて来た道へと走った。こんなとこか。昨晩もし自力で戻っていたとしても熊が増えているもんだから顔を出すに出せなかったなんてことも考えられる。まだこの近くに居てくれれば楽なのだが。下流側の森の中を歩いてみる。こちら側は色々と資材を調達しに来ていたのである程度の地形は把握している。そう、例えば一晩くらいならなんとか凌げるようなうろのある木なんかがある場所。奴も昼の間ずっとぶっ倒れていたわけではあるまい。帰れないと踏んだ時点で陽のあるうちに寝る場所くらいは探していただろう。

 

「ビンゴ」

 

 思った通りだ。うろに落ち葉を敷き詰めてその中にはまって寝ている。よくまあ寝れたもんだ。

 

「おい、起きろ。そんなとこで寝たら風邪ひくぞ…ってもう寝たか」

「…ん?」

「弥助〜?」

「あなたは…そうか…死んだのか、俺」

「なんでだよ」

「天女様…」

「違うって。お前はまだ生きてるしこっちはまだ人間をやってるつもりだ」

「あれ…巫女見習いの…お前も死んだのか…」

「ええいめんどくさい。さっさと起きろ!」

 

 弥助の胸ぐらを掴み引っ張り出す。虚ろだった目もだんだんと生気を帯びてきた。

 

「あれ、ここは?」

「山ん中だ。よくこんなとこで寝れたな」

「いや、寝るつもりは無かったんだが…気付いたら寝てたみたいだ」

「まあいい、取り敢えず戻って身体を温めろ」

「思い出した!熊だ。熊がまた出たんだ」

「知ってる」

「え?」

「そいつも居るし」

「…え?」

「あまり深く考えるな。気にしたら負けだ」

 

 しかしまた口が増えてしまった。人を養うほど裕福ではないのだが…これはもてなし、そうおもてなしということにしておこう。

 拠点に戻るとミワも既に起きており変な動きをしていた。

 

「お帰りなさい…って…男を連れて朝帰りとはいいご身分ねえ」

「朝出だよ。何してるんだ?」

「ストレッチよ」

「それが?」

「そう…前にテレビで見たのよ」

「こらミワ、あんまり横文字を使うんじゃない」

「あら、私としたことが…でも大丈夫そうよ?」

「え?」

 

 後ろの弥助を見る。前を見てあんぐりと口を開けていた。視線の先には…ああ、なるほど。

 

「おーい、どした?」

「昨日、こんなもの、あったか…?」

「組み立て式でな」

「組み立て式?」

「あまり深く考えるな。気にしたら…」

「負け、か…」

「そう」

「まあ入れ、外で火にあたるだけよりかはあったかいぞ」

 

 風呂でも入れてやれればいいのだが今から用意すると時間がかかる。何より容器は今使用中だ。

 

「あ、そうだ。なんか良さそうだったからお芋の方は火から外しといたわよ」

「ああ、ありがとう」

「いいってことよ」

「こっちも思い出した。あいつらのご飯はミワが用意しろよ」

「え?私?」

「元はと言えばミワが連れてきたんだろう」

「増やしたのはトヒじゃない」

「どちらにせよ飯はいるんだ」

「ええ…どうしましょう…何もないのに…トヒがやってくれると思ってたから何も考えてなかったわ」

「これ拾っといたし多少の足しにはなるだろう」

「ドングリ?まさかトヒが拾うなんて」

「何もないのはこっちも分かってるからな」

「ジャージってこういうとき便利よね」

「他でも便利だ」

「ぎゃあああ」

「あ」

「あ?」

 

 小屋の中から叫び声があがる。

 

「火に近づきすぎて火傷でもしたのかしら」

「いや、多分……」

「?」

 

 弥助が大層取り乱しながら外に出てくる。

 

「なんで…!熊が…!なんで…」

「やっぱり」

「なんでって…そりゃ外で寝たら風邪引くじゃないの」

「あんたらおかしいよ…」

「失礼な」

「失礼ね」

「俺がおかしいのか…?」

 

 弥助を宥めて中に入れる。熊達には悪いがミワと一緒に朝ご飯を探しに行ってもらった。いや、何もわざわざ用意する必要もなかったのだ。自分らで食べたいものを探して食べてくれればいい…ドングリは全部やるぞ!

 

「昨日は結局どこ行ってたんだよ。ご飯も用意してたのになかなか帰ってこないし、結構探したんだぞ」

「それが…川に行ったついでに自分の分は自分でって思って魚を取りに行ったんだが…そこで熊と鉢合わせになって夢中で走ってるうちに何処にいるかわからなくなってな…戻ろうにもお前らの居る場所も見つけられなくて」

「だいたい思った通りか。しかしだ、あそこの仕掛けは朝になったら上げる算段だったんだ。勝手なことをしてもらっちゃ困る。そもそもなんであそこに仕掛けがあること知ってたんだ」

「いや、知らなかったんだが、夕方お前と会った時に魚を沢山持ってたから上流の方で魚が沢山取れるんだろうなって…」

「まああながち間違いではなかったわけか」

「勝手に触ってすまなかった」

「うん、まあ、結局別件で朝は魚抜きだから良かったんだが…取り敢えずこれ飲め」

「あ、ああ…あったまる…」

「ただのお湯だけどな。さて、元気になったらさっさと帰るんだぞ。今日は忙しいんだ。例のやつらのとこに行って荷物を返してもらわないと」

「わ、わかった」

 

 そろそろミワも帰ってきてくれないと朝ご飯が始められないのだが。どこまで行ってるんだ。

 

「そういえばお前、よく助かったな。あいつらは俺達も手出しするなって言われてるほどヤバい奴らだってのに」

「手出しするなって言われてたのにわざわざこっちまで教えに来て良かったのか?」

「いや、それはだな…良心の呵責というか…」

「あ?呵責?」

「なんでもないんだ。なんでも。ここに来たのがバレたら何を言われるか…」

「ああん?」

「……」

「まあいいや。どうせ近いうちにここは離れるし」

「なんだって?」

「そろそろ次の街に行かないとな。いつまでもここで道草を食ってるわけにも行かないだろ」

「そんなに焦らなくてももう少し居てもいいんじゃないか?」

「なんで」

「なんでって…それは…俺の口からは言えない」

「良心の呵責と関係があるなら今日にでも拠点を替えようそうしよう」

「……」

「……」

「組織の末端である俺には殆ど何も知らされていないがどうやらうちの偉いのが近々ここにくるらしい」

「偉いの?なんでまた」

「理由は知らない。そういう話が回ってるだけだ」

「偉いってどの辺の偉さなんだ」

「わからない」

「まあ流石に金さんや越前級はこないか…」

「ただお奉行様って噂もある」

「なんで!?何か悪いことした!?」

「し、知らん!あくまでも噂だ」

 

 火のないところに、だ。まあ悪いことをしていたとしても奉行クラスが直接来るわけがない。弥助のような下っ端は街の住人だが奉行はいわば公務員。上の采配ひとつであちこちに転属させられる。しかしそんなところにまで情報が上がっていたのか。

 

「近々っていつだ。今日じゃないにしても明日には本当に離れるつもりだったんだ。いや、本来なら聞いてなかった話なんだから知らないフリするのも悪くないかもしれないな…」

「それは困る!」

「どうしてお前が困るんだよ」

「それは…とにかく困るんだ…」

「良心の呵責」

「報奨金が出るんだ…お前らが居なかったら報奨金どころか嘘の報告をしたことになっちまう」

「なんだそれ。はー呆れた。お前もうこれ食ってさっさと帰れ」

 

 ふかした芋を弥助にひとつ放り投げる。心配していたのは貰える金の方だったという訳だ。

 

「か、仮にも命の恩人にその態度はないだろう」

「それはお互い様だろうに」

「うっ…」

「塩かけるか?」

「いや、いい…」

「全くどうしてこんなことに…」

「……」

「あ、菜っ葉もいるか?」

「いや…」

「だいたいあのときお前らが追っかけて来なかったらそういったことにもならなかった訳で」

「……」

「お湯、まだあるぞ」

「あ、ああ、すまん」

「ミワ遅いなあ。お腹空いたんだが…」

「……」

「そうだ、最近作った干物があったんだ。持って帰るといい」

「わ、悪いな…」

 

 愚痴と気遣いを交互にぶつける。情緒不安定なやつだと思われそうだ。

 

「さて、そろそろ帰れ。昼までにあいつらと決着をつけなきゃだからな」

「本当にやるのか?」

「出来れば穏便に済ませたいがそういう訳にもいかなさそうなんだよな。まあ無理だったらそのときはそのときだ」

「ヤツらのところに行ったんだよな。隠れ家はどこにあるんだ?」

「…聞いてどうする?助けに来てくれるのか?」

「……」

「また助けられるつもりもないけどな」

「たまたま通りかかってたまたま気が向いて助けてやれないこともない」

「無理だよ。お前にも立場ってもんがあるだろう。それにそんなことで報奨金がチャラにでもなったら面白くないだろう」

「しかしだな…」

「言ったろ。助けられるつもりはない。自分らでどうにかするさ」

「…そうか」

「まあ全部終わった後にたまたま通りかかってたまたま捕まえるっていう話もなくはないがな」

「つまり…!」

「今日は街の南にある廃墟で用事があるんだ。分かったらさっさと帰れ」

「ああ…わかった、世話になった」

 

 ぐいっと残りの湯を一飲みすると弥助は立ち上がり帰っていった。まあ本音のところは助けになんか来られると色々とやばいものを見せてしまうかもしれないといったところなのだが。

 

「ただいま〜彼帰っていったけどもういいの?」

「芋ひとつ食べさせたし最低限のもてなしはしたぞ」

「そう」

「お前、あいつの昨日の飯どうした?」

「…なんのことかしら」

「いや別に食べたら食べたでいいんだが…」

「そういえば食べたかもしれないわね」

「なんで1回クッション置くんだよ」

「なんとなく怒られそうな気がしたから」

「背徳感を感じながら食う飯は美味かったか?」

「冷めてたけどちょっと醤油をかけてもう一度火にかけてから食べると香ばしくて美味しかったわよ」

「ああそう…」

「焦がし醤油ってやつね」

「そういえば熊共はどうした?」

「それなんだけどね…山の中歩いてたらちょっと大きいコと会ってね」

「それって…よく無事だったな」

「まあ色々あって皆で帰っていったわ」

「ふーん」

「お土産にドングリも渡してあげたし。てことで私達もご飯にしましょう。もうペコペコよ」

「そうだな」

 

 とまれ引受人が来てくれたのは助かった。そうでなければミワは街まで連れていくと言いかねなかっただろう。流石に大パニックになる。

 

「んーマヨネーズが欲しいわね…」

「塩で我慢しろ」

「卵があったら作れなくもないと思うんだけど」

「卵…そういえば見かけないな」

「ポテトサラダも夢じゃないわよ」

「いいな」

「まあ私、マヨネーズの作り方なんて知らないんだけどね」

「なんだそれ」

「私が卵を使って出来ることなんてTKGくらいよ」

「スクランブルエッグすら出来ないもんな。何故か黒焦げになる」

「目玉焼き作るのに油を引かないトヒには言われたくないわよ」

「あれはたまたま忘れてただけだ」

「本当に〜?通販のこびりつかないフライパンの見過ぎなんじゃないの?」

「なんのことだか」

「図星じゃない」

「食べれたからいいだろう」

「そういう問題じゃないのよ」

 

 絶望的に料理が出来ない中ここまでのものが作れて食べれているのだからまあまあ及第点といったところだろう。

 

「さて、遅くなってしまったが、今日はカバンを取り戻しにいくぞ」

「うーんめんどくさいわね…」

「家らしきものも出来たから要らない荷物は置いていくことも出来る。ミワも来てもらうからな」

「いや、いいのよ。行くのは吝かではないんだけど」

「何か問題でも?」

「小一時間歩かなきゃならないのがね…」

「それくらい我慢しろ」

「あーあ、気が重いわ…」

「とにかく着替えろ。今日は神としての威厳を見せる日だ」

「まだ神様じゃないんだけどね」

 

 神見習いとしてミワが人前に出るのは3回目だ。昨日のは全くの別人。そういうことで。

 

「んじゃ出発」

 

「着いた…もう歩きたくない…」

 

 いつもの西門に到着。外壁に沿って南門に回ってもいいのだが折角なのでミワの姿を街の人々の目に晒しておく。まだ昼前の時間なのでそこまで人出はない。

 

「ねえ、お昼食べてからにしない?」

「現金の持ち合わせがないんだ。札を使えるところなんて外からじゃ簡単に見つからんだろう」

「これはアナイさんに改善を申し込むべきかしらね」

「キャッシュレス対応店には専用のステッカーかなんか店先に貼っといて欲しいよな」

「今のところお得感が分かりづらいからあまり普及してないっぽいものね」

「1割増って結構得だと思うんだが」

「やっぱり現金化するのに1割減って聞くと、じゃあ現金のままでいいやってなっちゃうと思うのよ」

「そうしないと換金するだけでお金が増えていくからな。人件費を考えると手数料も欲しい。そもそもタダで1割貰えるんだから戻さなかったらいいだけの話だ。戻すから損するんであって」

「1割増からの1割減でしょ…あれ?プラマイゼロじゃないの?」

「1%減だよ。微々たるものだがな」

「ん?んん??」

「100円が110円になって99円になるだろ」

「減ってるじゃないの」

「そうだよ」

「じゃあ誰がキャッシュレスなんてするのよ」

「だから現金に戻さなかったらいい話なんだって」

「釈然としないわね…」

「こういう人が多いから普及してないんだろうな…」

「今の馬鹿にしてない?」

「してないしてない」

 

 人通りの多い道まで出てくる。ここまで来るとチラホラと声を掛けられる。以前なら街で声を掛けられるのは街の顔役の娘であるミワの役目だったのだが、こちらではそこまで知られていない。代わりに昨日少しやり過ぎてしまったのが悪いのか声を掛けられる対象がこちらに向いている。

 

「ほら、トヒ。ちゃんと返事してあげないと」

「慣れてないんだ。代わりにやっといてくれ」

「私がやっても仕方ないじゃない。愛想のいい顔して手を挙げるだけでいいんだから」

「笑いながら殴りにかかればいいのか」

「振り下ろさなくていいわよ」

「第一、神を差し置いて巫女の方に人気が出ちゃダメだろう」

「あら、知らないの?うちの神社、巫女目当ての人も結構居るのよ?」

「動機が不純過ぎる」

「世の中そんなもんよ」

「それでどうしてうちの姉に相手が出来ないのか」

「世の中そんなもんよ」

 

 私も他人事じゃないんだけどね…とミワ。どこかの神社のせがれとお見合いするのが嫌でここまで来たというのに自由恋愛はしてみたかったのか。

 

「あ、違うのよ。彼氏が欲しいとかじゃなくてね。なんかこう、気の置けない友達があんまり居ないじゃない、私達。世間話する程度の人達なら沢山いるけど個人的な理由で連絡を取り合って会うなんて殆どない…いえ、なかったかもしれないわね。まあ付き合う側からすれば格式高い良いとこのお嬢様っていうフィルターを常に掛けて接する訳だから仕方ないのだけどね」

「そうかもしれないな」

「私にはトヒが居るから寂しくないけどね」

「よせやい小っ恥ずかしい」

「でもまあ、トヒがいつもべったりだったから入る隙がなかったのかもしれないけど」

「おうおう手のひらクルクルハリケーンか?」

 

 確かにトヨが休みの日に外出するなんてことは滅多にない。あの性格なので友達は沢山いそうだが巫女の家の跡取りということはみんな分かっているので声を掛けるのも遠慮してそうだ。度を過ぎたシスコンはこの辺も理由になっているに違いない。

 

「ま、今更だけどこれからもよろしくね」

「ああ」

「それはそれで置いといて、ちゃんと応援の声には応えないとダメよ。巫女がそんなんだと私の評判にも関わるじゃない」

「…善処する」

 

 ぎこちない笑みで手を挙げる。たったこれだけのことをするだけで残機がどんどん削れていくのは流石にメンタルが弱すぎる。早く人通りの少ないところに出ないだろうか。

 

「ところで何か作戦はあるの?」

「いんや、特には」

「正面突破ね?分かりやすくていいわね」

「正面は正面だが別に突破するつもりはないぞ。あくまでも平和的解決を目指す」

「昨日あそこまでメッタメタにされて向こうは平和的解決なんて望んでないと思うのだけど」

「家に穴まで開けたしな」

「あれは不可抗力よ。元々開いてたのをすこーし大きくしただけ」

「人が通れる大きさを少しとは言わんだろう」

「いいのよ、細かいことは」

「まあとにかく、ヤバめの武器を出されるまでは最低限の抵抗で済ませよう。向こうもこっちに敵わないことはわかってるだろうから下手に突っ込んできたりはしないだろ」

「いぇっさー」





そういえばどうして春が移動の季節なんでしょうね。
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