居候している幼馴染が神様になるというので人生計画を見直すことになりました   作:公序良俗。

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1週間早いですね。最近バタバタしてます。
今回は特に進みません。



木薯奶茶

 そうして地元の転移装置へとまっすぐ帰ってきた二人。再び行きのときにも居た係員と顔を合わせた。

 

「おっ、帰ってきたか!」

「ただいま~」

「どうだ?神都は」

「だいたいいつも通りねえ。最近はお芋が入ったお茶が流行ってるそうよ」

「芋が入ったお茶だあ?うめえのかよ、そんなの」

「さあ。ずらーっと人が並んでて並ぶ気にもならなかったわ。私はお味噌汁で十分よ」

「ちげえねえ!はっはっは!」

「今日は疲れたからもう帰るわね。おっちゃんもお疲れ様」

「おう!ゆっくり休め」

「ばいば~い」

「じゃ、また宜しく」

「お?トヒも居たのか」

「最初から居たさ。またね」

「気ぃ付けてな」

「うん、ありがとう」

 

 家に帰ってからは今日アマノから貰った資料を見ながら今後どうするかの計画を練るハズだったのだが、ミワが帰ってくるなり靴も脱がずに玄関に倒れ込んだ。

 

「シワになるぞ」

「どうせもうなってるわよ…それよりももう一ミリも動きたくないわ」

「久しぶりに外に出たらこれだよ、全く」

「うーん、言い返せないわね」

 

 倒れているミワの靴を脱がせ、右へ左へと転がしながら服を脱がせていく。服を脱がせると言うよりかは服から取り出していくと言った方が正しいかもしれない。ミワの服をシワにならないよう衣紋掛けに掛けると、半裸のミワをそのまま放っておいて再び外に出る。今日のお礼参りでる。お礼参りと言ってもあっちの方。巫女的に相応しいかはともかくあっちの方の意味である。今日は行く予定のなかった職場…神社へと向かう。

 社務所ではまだ数人が作業をしていた。急に休んだ奴がひょっこりと顔を出すことに若干気が引けたが、意を決して中に入る。

 

「こんにちは」

「あれ、トヒじゃん。どったの?今日休みだったじゃん」

「ちょっと所用があって…巫女長様はもう帰られましたか?」

「そうね…もう結構前かな」

「そうですか。ありがとうございます。では、お疲れ様です」

「あ、うん、ばいばい」

 

 巫女長様とは母親のことである。巫女を引退はしたが指導係としてまだまだ権威を振りまいている。その巫女長が帰ったところといえば当然、実家である。

 

「おかーーーん!」

「久しぶりに帰ったと思えばなんなのよ大声で…ただいまくらい言ったら?」

「やかまっしゃい!ただいま!早く結婚しろ!」

「グサッ!」

 

 玄関を開けると不運にもちょうど玄関に居た姉、トヨに八つ当たりをするとそのままずんずんと奥に入っていく。別にトヨに問題があるわけではない。顔立ちがよく、すらっとしてスタイルもいい。性格も真面目でこれといった欠点もない。妹目線から見ても別段悪くない。しかし家が家だけになかなか相手が寄りつかないだけなのだ。台所では巫女長…母親がつまらなそうに夕方の情報番組を見ていた。

 

「おかーん!」

「あらお帰り。あんまりお姉ちゃんをいじめちゃダメよ?で、神都はどうだった?」

「いつも通り人がゴミのようでしたよ。ところでそのことでお話があるのですが」

「良いじゃないの別に」

「は?」

 

 どうやら何のために来たのか分かっているらしい。

 

「いや良くないでしょうに」

「あんたの分の仕事は私とトヨでやっとくから」

「何言ってんですか…二人ともいつも手一杯でしょう」

「トヨとあんたの指導時間を使えばどうとでもなるんじゃない?今日もあんたの指導時間の間、暇で暇で仕方なかったわ」

「だからってトヨ姉の指導時間まで削ることないでしょう」

「もう教えることないのよ。最近は二人でお茶飲んでるだけだし」

「それはそれで仕事して下さい」

「後は結婚さえしてくれたらねえ…」

「グサッ!!」

 

 先程の八つ当たりから漸く回復し母屋に入ってきたトヨを母の悪意ない言葉が襲った。いや、多少の悪意はあったかもしれないが。

 

「ウチかて…ウチかてええ人がおったら今すぐにでも結婚しとるわ…」

「おかん…あまりトヨ姉をいじめないで下さい。心を病んでしまうと厄介です」

「あらあら、そんなつもりはなかったのだけど」

「グレてやる~!」

「トヨ姉も。そんな歳じゃないだろう」

「トヒが角度を変えて正確に急所を突いてくる」

「話が進まないからあっち行っててくれ」

「最近うちの妹が冷たいんだが」

「シッシッ」

 

 ブツブツと何か口走りながらテレビの前に寝転ぶトヨを放っておいて再び母に向き直る。母もそれなりに真面目に話す気になったようでテレビから視線をこちらに向ける。

 

「ミワちゃんが神様になってあんたがその巫女になるんでしょう?血筋的にも何の問題もないじゃないの。どうせあんたのことだから勝手に進めたこと怒りに来たんでしょう?」

「分かってるなら何でやるんですか」

「ミワちゃんが時間がないのにトヒが全然帰ってこない~って言うんだもの。どうせあんた断れないんだから私がOKしといたのよ」

「そうは言ってもあんなに怪しい話にホイホイと乗る人がいますか。今回は良かったものの本当に詐欺だったらどうするんです」

「やあねえ、まだそこまで耄碌してないわよ。それに今回は出来レースみたいなものだし」

「は?出来レース?」

「あれはね、ミワちゃんとこのお父さんから頼まれたのよ。今日聞いてきたでしょうけど高天原で神様募集してるじゃない?まずは神の系譜からってことで本家の方にも案内が届いたらしいわ」

「本家に届いたなら何でうちの郵便受けに入ってるんですか」

「ああ、それはね」

「昨日、指導時間にウチがトヒんとこに持ってった」

「お前も共犯か!」

 

 マジで仕事しろよ。

 

「因みに昨日、トヒに残業してもらったのもこのため」

「あの仕事量は流石におかしいと思ったわ!」

 

 人の弱みにつけ込んで…どうやら知らなかったのは自分達だけらしい。まんまと大人達の手の上で踊らされていたという訳だ。今まで波風を立てないように、普通をモットーにやってきた。それがミワの就活に巻き込まれるのは甚だ遺憾だが、こうなったのなら仕方がない。ミワを神に祀りあげ、その巫女として左団扇の生活を送ってやろうじゃないか。

 

「はあ、わかりましたよ」

「やけに素直ね」

「今更どうしようもないですからね。どうせあちらもダメ元で頼んできたんでしょう?直ぐに面倒臭がって帰ってくるだろうなんて思っているんでしょうがそうはさせませんよ。何がなんでもミワを神にしてやります。後で文句言っても聞きませんからね!帰ります!」

「あら、もう帰るの?」

「ご飯くらい食べてったら?」

「お昼ご馳走になったからまだ要らない」

「え、高天原でご飯食べたの?何?何食べた?」

「手打ち蕎麦です。じゃあ、ミワ放置してるんで」

「ふーん、お蕎麦」

「…手打ち?」

 

 啖呵を切って家を飛び出しそのまま真っ直ぐに自宅へ向かう。あのダメダメな神候補をどうにかして神にしなくてはならない。大前提として自分の所為でミワがアマノらに認められなかったなんてことはあってはならない。評価方法も評価基準もなかなかパッとしないのが難点だが、出来うる限りの対策を講じて万全の体制で臨まなければ。

 自宅に着いた頃には既に日が暮れかかっていた。山に囲まれた地形なので日没は必然的に早くなる。玄関を開けるとそこに転がっていたミワの姿はなく、うっすらと風呂の匂いが漂っていた。流石に冷えたのだろう。

 

「ただいま」

「おかえり~どこ行ってたの?」

「実家」

「ふーん」

「入るぞ」

「え?」

 

 扉を開けて中に入る。そこにはミワが一糸まとわぬ姿で湯船に身を沈めていた。風呂なので当然ではあるが。

 

「きゃ、きゃー。トヒさんのえっちー」

「何がきゃーだ」

「私まだ入ってるんだけど…」

「自分ん家の風呂に自分の好きなタイミングで入って何が悪い。嫌ならお前が出ろ」

「なんて横暴な…」

 

 ぶぅぶぅ文句を垂れるミワを無視してシャワーを浴びる。ミワもそれ以上は何も言わず再び肩まで身を沈める。

 

「ねえ、トヒ」

「なんだ」

「今日はありがとね」

「ああ」

「巫女長様にもトヨ姉様にも、他の人にも一杯迷惑掛けちゃったわ」

「そうだな」

「呆れられたかしら?」

「別に」

「ならいいんだけど」

 

 ミワは知らないのだ。自分達が実家の親に踊らされていることなど。知らぬが仏。いや、神か。まだなってないけど。

 

「洗ったげるわ」

「いらん」

「もう、照れちゃってー」

「一ミリも動けないんだろ。無理しようとするな」

「えへへ…」

 

 口はいつも通り達者だが身体の方は相当キているようだ。普段のミワなら有無を言わさず全身どころか浴室中泡だらけにしていてもおかしくはない。

 洗い終わって立ち上がるとミワが少し横にズレる。空いた隙間に入り込むと身を沈める。

 

「で、どうしたの?」

「何が」

「何か言いたいことがあるんでしょ。言いなさいよ」

「後でいい」

「なになに~だったらどうしてわざわざ一緒にお風呂に入ってるのよ~いつもだったら私が入ろうとすると鍵掛けちゃうくせに~デレ気か?デレ気なのか?」

「別に。疲れたからすぐ入りたかっただけさ」

「も~素直じゃないわねえ…」

 

 ミワが身体を反転させ、背をこちらに預けてきた。ミワの頭の上に顎を乗せる形になる。リンスの香りがフッと鼻をくすぐる。使ってるのは同じものだが。

 

「うーん…」

「なんだよ」

「当社比マイナス70%」

「御社の命運は弊社が握っておりますれば」

「冗談よ…数値はあながち冗談でもないけど…」

「言いたいことはそれだけか?」

「あ、ちょ、ま…あれ?」

 

 てっきりサブミッションを極められるか湯船に沈められるかと思っていたらしいミワ。予想に反し優しく抱きしめただけだったことに理解が追いついていないようだ。

 

「これは…油断したところを一気にってやつですか?」

「して欲しいのか?」

「待っていた訳ではないけど、なかったらなかったでなんだか拍子抜けね」

「そうか」

「…今の…何かえっちぃわね」

 

 ミワを抱きしめたままの状態で背中を滑らせ頭まで潜る。突然水中に引きずり込まれたミワは息の準備が出来ていなかったのか割と必死に抵抗する。水面下の争いである。

 

「ハア…ハア…死ぬかと思ったわ…」

「ここで死んでもらっちゃ困る…ハア…」

「ハア…ハア…」

「ハア…ハア…」

「はいぼくs「言わせねえよ!」

 

 二人して息を整える。

 

「何でトヒまで息が上がってるのよ…」

「息を溜めたらバレるだろう?」

「バカねえ」

「互いにな」

 

 ミワが暴れたせいでお湯が減ってしまったので更に深く身を沈める。既に脚は湯船の外だ。

 

「なあ、ミワ」

「何かしら」

「本当に神になりたいのか?」

「うーん…」

「神になったら今までの生活なんて到底送れないぞ」

「別にね、絶対に神様になりたいってわけじゃないの。ただ、今のままでは変らない未来を変えられるなら何でも良かったのよ。それがたまたま神様だっただけよ」

「そうか」

「酷い理由でしょ。こんな下らない理由でトヒを巻き込んじゃった。ごめんね」

「謝らなくていいさ。ミワにとっては全く下らなくなんかないんだろう。自分のやることをそんなに卑下するな」

「そうね。ありがと」

「そろそろ上がるか」

「うん」

「あ、出たとこにあるタオルは使うなよ。お前は自分で自分の分取ってこい」

「今絶対にそんな流れじゃなかったわよね??」

 

 風呂から上がるとミワがお腹が空いたと言うので晩ご飯にすることになった。蕎麦一人前とあの小さいデザート3つではそんなに満たされなかったのだろう。個人的には大分満たされたのだが。

 

「という訳でカップ麺だ」

「また麺…」

「いいじゃないか、麺。美味しいぞ」

「昼も麺だったじゃない」

「仕方ないだろう。何もないんだから」

「トヒは良いかもしれないけど私はそこまで食に寛容じゃないのよ」

「そういえば今朝方、唯一の食料を炭にしたやつが居てな。それがあれば今頃は…」

「うう…それは悪かったわよ…」

「じゃあ今から食料調達行くか」

「まるで一狩り行くみたいな言い方ね」

「動けるならミワも行くか?」

「お買い物なら行くけど」

「普通に買い物だよ」

 

 田舎の夜は早い。街灯が少ないので日が落ちると一気に辺りは真っ暗になる。街の中心部ともなるとそれほどでもないが、トヒの実家の辺りなどは田畑に囲まれているため家々の灯りすら殆ど見当たらない。

 個人商店が多いこの街ではスーパーマーケットなるものが一つしかない。その店もこの時間帯になると人はまばらで、客と言えば単身の若者くらいである。

 

「見てトヒ!このお惣菜3割引よ!」

「まだ残ってたか!運が良いな!」

「コロッケ!コロッケが5つで100円ですって!」

「買いだ!おいミワ!蕎麦が一家族3玉限定で10円だ!行ってこい!」

「心得たわ!」

「100円渡すからお釣りで好きなもの買って良いぞ!」

「もう一声!」

「150円!」

「ありがとうございます!」

 

 そして単身の若者は基本食費にあまりお金をかけない。元来貧乏性であるため例外ではなく、割引と聞いたらつい買ってしまう。割引で浮いた分はミワのお菓子代に消えていくのだが。

 精算を済ませ外に出ると一台の屋台が出ていた。買ったことはないが一年中季節感のない何かしらの食べ物を売ってるというこの辺りではそれなりに有名な屋台だ。勿論お腹を空かせたミワがそれに食いつかないハズがない。

 

「トヒ!屋台が出てるわ!」

「そうだな。今は何やってるんだろうな」

「お腹空いたわね…」

「今いっぱい買ったじゃないか」

「帰るまで待てないわよ」

「仕方ないなあ…」

「やったあ!!」

 

 ミワをダメ人間にしているのは自分にも原因の一端があるかもしれない。

 

「こんばんは~」

「お?ミワか!さっき振りだな!」

 

 屋台の店主は転移装置の係員だった。屋台自体はよく見かけていたが誰がやってるかまでは知らなかった。

 

「あれ、転移装置の…制服と帽子がなかったら別人みたいねえ」

「はっはっは!確かにタンクトップとタオルじゃ想像がつかんわなあ!」

「あの仕事、副業OKなんだ」

「ん?トヒも居たのか」

「最初から居たぞ」

「今は何売ってるの?」

「簡単に言えばキャッサバと黒砂糖を混ぜて捏ねて粒にしたものをミルクティーにぶち込んだ飲み物だな。普通より太いストローを使ってその粒ごと飲むんだが、モチモチとした食感を味わえる」

「ん?」

「何それ美味しそう!」

「え?」

 

 神都で流行っているという例のやつをカタカナを交えて何となくそれっぽく言い直しただけで完全にソレである。夕方は二人してあんなに言っていたのにどういう風の吹き回しなのだろうか。そもそもこの店主、この短時間でよく用意したものだ。フッ軽というやつである。

 

「そうだろうそうだろう?ほれ、飲んでいかねえか?」

「下さい!」

「Sサイズ450円、Mサイズ600円、Lサイズ800円だ」

「いや高いわ」

「トヒ!お願い!」

「何言ってやがる。適正価格だぞ」

「適正かどうかは知らないけど金額そのものだよ。どれだけ頑張って食費抑えてると思ってるんだ。飲み物にそんなに払えるか。そもそもお前は腹が空いてるんだろう」

「でも、でも、モチモチしてるのよ?」

「ダメ」

「分かったわよ。トヒにも半分あげるわ」

「何も分かってねえ…」

「じゃあSでいいから!」

「どのサイズ頼もうとしてたんだ??」

「の~み~た~い~」

「小学生でもあるまいし聞き分けのないことを言うんじゃない」

「今なら私、小学生にでもなれるわ!」

「こんな小学生が居てたまるか!」

「合法ロリよ!」

「アウトだよ!ロリってそういうことじゃないから!」

 

 スーパーの出入り口で騒いでいるので買い物客や店員までもが集まり始めていた。また地元の掲示板に書き込まれてしまう。これ以上痴態を晒すわけにもいかない。

 

「あーもう!わかった!ただし、一つ条件がある」

「何でも呑むわ!飲み物だけに!」

「上手くないわ」

「で、何をすればいいの?」

「今後、自分のお菓子は自分で稼いだ金で買うこと」

「な…なんですって…」

「どうしてお前の脇腹まで育てにゃならんのだ」

「でも、いや、でも…」

「どうした?呑めないならこれは飲めないぞ?」

「呑もうじゃないの…そして私はこのモチモチミルクティーも飲む!」

「よーし言ったな?忘れるなよ。ほれ500円だ。釣りは返せよ」

「おじさん!S一つ下さい!」

「50円でハチミツ追加できるぞ」

「お願い!」

「おいお前…」

「出来れば多めに!」

「よし、ちょっと待ってろ」

 

 商売上手なおっちゃんである。

 

「100円でクリームチーズも追加できるぞ」

「お願いします!」

「は?もう出さないぞ?」

「フフフ…私にはこれがある…刮目せよ!この御方を誰と心得る!!この100円玉様が眼に入らぬかぁ!!」

「その100円は…まさか!」

「さっきのお釣りよ…私が貰ったお金全部使ったとでも思っていて?」

「…負けたよ。好きにしな」

「おまちどお!600円な」

「ちょうどよ!」

「毎度ありぃ!」

 

 緊張した面持ちで受け取るミワ。そしてゆっくりとストローを吸う。ミルクティーと一緒に黒い粒が何個もストローを通ってミワの口の中へと消えていく。そしてそれを何度も噛みしめる。

 

「ちょっと混ぜてみろ」

 

 言われたとおり少し混ぜるミワ。そしてもう一度ゆっくりとストローを吸う。ハチミツが混ざったミルクティーとともに黒い粒がミワの口の中へ流れていく。そしてそれを何度も噛みしめる。

 

「クリームチーズを巻き込むように混ぜてみろ」

 

 大きくストローで撹拌するミワ。何かもう、色々混ざってしまっている。そしてもう一度ストローを吸う。

 

「どうだ」

 

 何度も噛みしめ、そして飲み込むミワ。

 

「美味いだろう」

「…おいしい」

「え」

「これ、すんごく美味しいわ!混ぜるたんびに味が変わるし、何よりこのモチモチがたまらないの!」

「そうだろうそうだろう!美味いだろう!」

「これ流行るわよ!いや、私が流行らせる!」

「ええ…」

「はっはっは!何よりだな!」

「私、絶対また飲みにくるから!自分で稼いだお金で好きなサイズの好きなオプションをたんまりつけるわ!それまで待っててよね!」

「保証は出来んぜ?いつまでやってるかも次やってるかもわかんねえからな」

「ふふん、そう遠くない未来だから問題ないわ」

「あまり期待せずに待っといてやるよ」

「言ったわね?見てなさい!トヒ、帰るわよ。私がまたここに来るために!」

「なんかもうつかれた」

 

 野次馬達の間を突っ切ってその場を後にする。その後、屋台には野次馬が殺到し、列を為したことなど知る由もなかった。この小さな田舎にも遂に都会のトレンドが流行り始めた。




いつも5分目安に設定してるのですがいつもより1000字ほど多くなってしまいました。
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