第232話
前回までのあらすじ
暴走した理太郎を葬った飛鳥は、後ろ髪を引かれたまま東京に戻ってきて、何気ない日常に戻ろうとしていたが、Pastel*Palletesのメンバーである千聖から、自分の正体を知っている事を仄めかされる。果たして…。
********************
千聖から告げられた言葉に、飛鳥は神妙な表情をした。
モカ「正体~?」
千聖「ええ。その事で話があるの。放課後時間あるかしら?」
飛鳥「…嫌だと言ったら?」
千聖「皆にこの事を話してしまうわよ?」
飛鳥「それは別に問題ないんですけど…」
千聖「問題ないの?」
飛鳥が思った他全然慌てない為、千聖もちょっと困った。
千聖「その前にどうして焦らないの?」
飛鳥「いや、白鷺先輩ならもうたどり着くだろうと思ってましたので。いいですよ、丁度暇ですし」
千聖「……」
自分の想像していたものと全然違ったが、これで本人と話が出来ると思った千聖は笑みを浮かべた。
***********
とあるレストラン。そこには飛鳥、モカ、こころ、千聖の4人がいて飛鳥とこころ、モカと千聖が向かい合っていた。
千聖「…どうしてあなた達まで?」
モカ「そりゃあ勿論決まってますよ~」
こころ「あたし達も飛鳥の正体を知っているもの!」
モカとこころのマイペースぶりに千聖が咳払いすると、飛鳥を見つめていた。
千聖「さて、単刀直入に聞くわね。飛鳥くん、あの龍狐の仮面の男はあなたね?」
飛鳥「その通りです」
千聖の言葉に飛鳥は即答した。
千聖「そしてあなたは…普通の人間ではないわね?」
飛鳥「超能力者です。こういう事も出来ます」
すると飛鳥は指から赤い光を出した。
モカ「おおーっ」
こころ「とっても綺麗だわ!」
千聖「…そう」
千聖が反応をすると、飛鳥は光を消した。
飛鳥「もう今だから言いますが、何度もあなたに気づかれてかけて、その度に記憶を消させて頂いたのですが、完全に隠し切れませんでしたね。流石天才子役と呼ばれているだけあって、洞察力もお見事です」
千聖「……」
飛鳥が千聖を見つめた。
飛鳥「さて、今度はこちらから質問です」
千聖「……」
飛鳥「古堂和哉と一体何の取引をしました?」
飛鳥が千聖にそう聞くと、飛鳥と千聖の脳裏には和哉の姿が思い浮かんだ。
千聖「…私の芸能界のコネクションを共有させる代わりに、貴方の事を教えて欲しいと頼んだわ」
モカ「コネクション?」
千聖「…自分で言うのもアレだけど、こう見えて顔が利く方なのよ。恐らく、芸能人相手にも商売をする為じゃないかしら」
飛鳥「だとしか思えませんね…」
千聖「芸能人はお金沢山持ってる人多いもの。そして人脈もね」
飛鳥「……」
飛鳥は恐らくその芸能人の中で、クロと呼ばれる芸能人を排除してその報酬を受け取ろうという作戦だろうと考えた。
千聖「さて、色々話が反れたけど飛鳥くん…」
飛鳥「何でしょう」
飛鳥がそう言うと、千聖が頭を下げた。
千聖「ありがとう。私たちを守ってくれて」
飛鳥「!?」
千聖の言葉に飛鳥は驚いた。モカも驚いたが、モカは千聖が頭を下げた事に対して驚いていた。
千聖「あの助監督さん。あなたの変装でしょう」
飛鳥「はい。で、助監督と入れ替わりに出てきた私は超能力で作り出した分身です」
千聖「そこまでしてくれたのね」
飛鳥の言葉に千聖が苦笑いした。
千聖「おかげで彩ちゃん。自信を取り戻したのよ。あなたは必要な人だって言われて」
飛鳥「そりゃあ良かったです」
千聖「もしかして気が合ったりする?」
飛鳥「残念ですが、普通に声をかけただけです」
飛鳥がきっぱり断ると、千聖はまた苦笑いした。
モカ「けどどうして飛鳥くんの事を調べようって思ったんですか~?」
千聖「そんなの簡単よ」
千聖が飛鳥を見つめた。
千聖「あの仮面の男が飛鳥くんだって確信した時、今までの事を思い出したのよ。Afterglowの皆を助けた事や、花音の事を助けてくれた時の事も」
飛鳥「……」
千聖「古堂さんから話は全部聞いてるわ。一丈字くん、あなた私達を守るために、この学校に来てくれてるんですってね」
飛鳥「それもそうですが、マナーの悪いファン達を懲らしめるように言われてますね」
千聖の言葉に飛鳥が苦笑いした。
千聖「どうしてあなたがそこまでやる必要があるの?」
飛鳥「求められていたからですよ」
「!」
皆が反応すると飛鳥がまた苦笑いした。
飛鳥「ずっとって訳ではございませんし、広島以外の所で頑張ってみるのもいいかなと思ったんです。ただそれだけですよ」
モカ「飛鳥くん…」
飛鳥が千聖を見つめた。
飛鳥「ちなみにですが、正体は別に喋って頂いても構いませんよ」
千聖「!!」
飛鳥「それを盾に脅しとかされる方がずっと困りますから。そういう事をされる人に限って危なっかしいんですし、トラブルの原因になるので。下手したら私が手を下さずとも、社会的に抹殺されますね」
千聖「…笑顔で言うあたり、あなたも色々苦労してたのね」
飛鳥の笑顔から狂気を感じた千聖は、思わずたじろいた。
千聖「安心して頂戴。そんな話聞いて喋ろうとも思わないし…」
千聖が飛鳥を見つめた。
千聖「恩を仇で返すのは私のプライドが許さないの。そして、これ以上何も知らずに助けられるのもね」
千聖の言葉に飛鳥、モカ、こころが驚いた。
モカ「おほ~。流石女優さ~ん。肝が据わってるぅ~」
千聖「…そういうものかしら?」
こころ「ありがとう千聖! 感謝してるわ!!」
こころの言葉に千聖が一息つくと。
千聖「という訳で、これからは『協力者』として、手助けさせて貰うわ」
飛鳥「は、はあ…」
千聖が手を差し伸べると、飛鳥が手を取って握手した。
飛鳥「ぶっちゃけ、うちってあまりカタギとは言えないんですけど、大丈夫ですか?」
千聖「正当防衛なんでしょ? それに、そんなのが怖くて女優が務まらないわよ」
と、そんな感じで頼れる先輩、白鷺千聖を仲間に加えた飛鳥だった。
おしまい
***************
後日、飛鳥は黒スーツで京都にまた向かい、烏丸のとある場所に設置された犠牲者の献花台に花を添え、他の参列者と共に犠牲者に対して黙祷を捧げた。