第237話
それはある日のことだった…。
「ああ!! どうして相も変わらず一丈字ばかりに絡むんだ!!」
バンドリ学園の男子生徒達は嘆いていた。というのも、美少女達が自分達に相手にされないばかりか、飛鳥にばかり構うからだった。彼女達としてはクラスメイトとしてはそれなりに挨拶をしたりして平等に扱っているつもりであるが、飛鳥とは挨拶だけでなく、もっと詳しく話をしたりするので羨望の的になっていた。
「それでいて、何故一丈字は彼女たちに手を出そうとしないんだ!?!」
「アレだよ。ラノベでよくある鈍感系主人公だ」
「ああ…リアルでいるとマジでムカつく…」
どんどん飛鳥に逆恨みをし始める男子生徒達。
「けどああいうのって、失ってから気づくよね。彼女たちのありがたみに」
「!!」
一人の男子生徒がそう言うと、皆がその生徒を見た。
「そ、そうだ!」
「オレ達が寝取れば…」
「そうだよ。一丈字を絶望の底に陥れる事が出来る!!」
「お前天才か」
と、物騒な会話をし始めた。
「ようし! そうと決まれば一丈字よりも先に彼女たちにアプローチをかけて、寝取ってやるぞ!!」
「ハーレム気取りも今のうちだ!!」
「25人全員取られた後で、1人で寂しく何かしてるんだなぁ~!!!」
などと言っているが、そもそも相手にすらされてないのに、どうやって寝取るんだという話である。そしてそれを当の本人たちが陰で聞いていた。飛鳥、モカ、千聖、こころの4人である。
飛鳥「……」
モカ「モカちゃん達を彼女にしたいって言うより、飛鳥くんへの逆恨みだよね~」
千聖「醜いったらありゃしないわ…」
モカの言葉に千聖は完全に男子生徒達を軽蔑していた。
こころ「寝取るってどういう意味かしら?」
飛鳥「人の彼氏や彼女を奪う事だよ」
こころ「誰の彼女を奪うつもりなのかしら?」
飛鳥「本当それな」
と、飛鳥とこころが困惑していた。
千聖「全く、本当にバカな事を考えるんだから…」
モカ「まあ、よく一緒に喋る男の子って言ったら飛鳥くんくらいしかいませんもんね~」
飛鳥「……」
千聖とモカの会話を聞いて、飛鳥は何も話さないでおこうと感じた。
飛鳥「…まさかとは思いますが、犯罪ギリギリの事をしでかすのでしょうか」
千聖「そんな事絶対させないわ。こころちゃん。黒服の人たちに頼んでマークして頂戴」
こころ「分かったわ!」
そんなこんなで、飛鳥、モカ、千聖、こころによる「バンドガール防衛作戦」が始まった。宣言通り、男子生徒達はあの手この手で香澄達をナンパしようとしたが、あしらわれ、遂には強硬手段に出ようとしたところを、黒服の人たちに取り押さえられてしまった。
その攻防戦は一週間ほど行われ、ミーティングルームで飛鳥達は分析をしていたが、ここである事に気づいた。
飛鳥「……」
狙われているバンドガールがある程度限られている事に気づいた。
飛鳥「牛込さん、羽沢さん、若宮さん、白金先輩、松原先輩…。押しが弱そうな人たちがやっぱり狙われてますね」
千聖「……」
集計結果を聞いて、千聖は不機嫌だった。というのも花音は千聖の親友であり、あからさまに狙っていた為、本当にキレていた。
飛鳥「そして検挙された男子生徒の数が…30人以上って」
千聖「男なんて皆獣よ」
飛鳥「白鷺先輩。残念ながら女子生徒もいらっしゃいます。瀬田先輩目当て…」
千聖「薫はどうでもいいわ。別に困らないもの」
飛鳥「えぇぇぇ…」
薫に対して本当に容赦がない為、飛鳥は困惑していた。
飛鳥「次点が戸山さんや北沢さん…。人懐っこいから狙われやすいんでしょうね」
モカ「つぐも人がいいからね~。蘭やトモちんはバリバリ警戒してるから、大丈夫だけど~」
千聖「そういう意味ではイヴちゃんも心配ね…って、日菜ちゃん以外心配だわ。皆人がいいから…」
飛鳥「Roseliaは…予想通りですね。あこさんは巴さんや今井先輩が言い聞かせてるから大丈夫だとしても…」
こころ「こんなにも声をかけられてるのね。何とかできないかしら」
飛鳥「まあ、問題を起こした生徒達とこころ達でゆっくり話し合いをしてみるというのが、手っ取り早い気がするけど…」
千聖「却下よ。誰が花音を泣かした奴らなんかと」
飛鳥「ですよね…」
千聖が割と怒っていた為、飛鳥はこれ以上何も言わない事にした。
こころ「花音を泣かせたの!?」
千聖「ええそうよ。複数で詰め寄ったり、此間体操服を盗まれたのよ」
飛鳥「…それはシャレになりませんね」
千聖の言葉を聞いて、こころも流石に怒った。
こころ「そういう話なら許せないわ! 懲らしめなきゃ!」
千聖「それでね。作戦を考えたの」
飛鳥・こころ「え?」
千聖「フフフフフフ…」
千聖の黒い笑みを聞いて、飛鳥はとてつもなく嫌な予感がした。
**************
ある日の事。
飛鳥「……」
飛鳥はとてつもなく困惑していた。というのも、男子生徒達が麻弥の体操服を盗んでいて、女子達が激おこだった。飛鳥としては完全に巻き込まれた形だった。
「あ、あの…ごめんなさ」
千聖「いいわよ。謝らなくたって」
ちなみに女子達の間で打ち合わせは済んでおり、全て千聖の指示で従うようにしていた。飛鳥は改めて女の怖さを思い知るのだったが、千聖に至っては元天才子役という事もあり、演技力があり過ぎてとてつもなく怖い。
飛鳥(白鷺先輩…スパイに向いてるなぁ…)
千聖「麻弥ちゃんの体操服は返してもらうわね」
千聖はそう言って、麻弥の体操服を男子生徒達から取り返した。しかし、花音の体操服が盗まれたばかりなのに、また体操服を盗む当たり、いい根性してるなぁと飛鳥は思った。ちなみにこの時点で既に体育があった。
「あ、あの…警察にだけは…」
千聖「警察には言わないわよ。忙しいのに、あなたの為にわざわざ来てもらうのも申し訳ないもの。それよりも良いお仕置きがあるの」
「お、お仕置き…////」
千聖の言葉に男子生徒は興奮していた。それを見て飛鳥は引いていた。すると千聖は飛鳥の方を向いた。
千聖「一丈字くん。もうこの体操服使えないから、麻弥ちゃんと一緒に体操服買うの付き合てあげて? ボディガードとして」
「!!?」
千聖の言葉に男子生徒は驚愕した。そして陰で見ていた仲間も驚愕していた。そして飛鳥が一番驚愕していた。
千聖「あなたがびっくりしてどうするのよ」
飛鳥「大胆過ぎにも程がありますよ」
千聖の言葉に飛鳥が困惑した。
「な、何でこんな奴なんかに!!」
千聖「そんなの決まってるじゃない。あなた達、この子の事をやたら嫌ってるじゃない」
「そ、それはこいつが千聖ちゃん達に付きまとうからで…」
付きまとってんのお前らだろ。と飛鳥は肩を落とした。
千聖「だからよ。それに何を言ってるの? 逆でしょ?」
モカ「千聖さ~ん。軽蔑すると逆にご褒美になっちゃいますよ~」
なぜかその場にいたモカが煽った。
千聖「そうね。何も言わないのが一番いいわ。それじゃデートして頂戴ね」
「なあっ!!?」
千聖「あ、そうだ。花音の分もお願いね。あの子の体操服を買うのもまだなの」
飛鳥「は、はあ…」
その時だった。
麻弥「い、一丈字さんっ!」
飛鳥「?」
麻弥がモジモジしていた。千聖から飛鳥を必要以上に立てるように指示があったが、ガチで照れていた。
麻弥「そ、その…。ジブンの奴はもう安物でいいので…//////」
飛鳥「安物って、値段は同じな筈では…」
千聖「うふふ。麻弥ちゃんはスタイルいいから、ちょっと高いのよ」
麻弥「ち、千聖さん!!/////」
その時、花音もやってきた。
花音「あ、あのう…。一丈字くん…」
飛鳥「あ、はい」
花音もモジモジしていた。
花音「よ、宜しくお願いします…////」
3人で体操服を買いに行く事が分かり、男子生徒達は絶望した。そう、自分たちのやった事が結果的に恋敵(?)である飛鳥に美味しい思いをさせてしまったのだ。
「あああああああああ!!!!」
「こんなはずじゃなかったんだぁ!!」
「一丈字頼むそこ代わってくれぇええええええ!!!」
そう泣き崩れる男子生徒達を見て、千聖やモカはほくそ笑んだ。それを見て飛鳥は改めて「女子は怒らせてはいけない」と誓うのだった。
こころ「体操服を買いに行くなんて楽しそうね! あたしも混ぜて!!」
千聖「なら私も」
モカ「モカちゃんも~」
「ふああああああああああああああああ!!!」
おしまい