全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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蛍火の術とは、敵にうその情報や手紙を渡し、仲間割れをさせる術を指す。

誤字報告ありがとうございます。


第242話「蛍火の術」

 

 今日は全校生徒対象の肝試し大会だが…。

 

蘭「何でこんなクソみたいなイベントあるの…」

モカ「蘭~。女の子がそんな事言ったらダメだよ~」

 

 クラスごとに整列していて、Afterglowの5人が会話をしていたが蘭が露骨に嫌そうにしていた。しかも涙目である。

 

「えー、生徒会の突然の思い付きで今から肝試し大会を行います。チーム分けは6人1組にします!」

 

 生徒会役員がそう言いはなった。この学園の生徒会は全員陽キャであり、アメリカでいうスクールカーストの最上位に君臨していた。家が金持ちだったりイケメンだったりでやりたい放題やっていた。

 

そしてくじで決められたわけだが、やっぱり生徒会の陽キャ達はバンドガールズでハーレムを作っていて、飛鳥は陽キャの取り巻き達とで構成されていた。

 

(こいつ…いつも美少女に囲まれやがって)

(赤っ恥をかかせてやる)

飛鳥(…とか思ってんだろうな)

 

 何となく予想はついていた飛鳥は困惑していた。どうしてこうも回りくどい事しかできないのだろうと、あきれるばかりだった。

 

*******************

 

 そんなこんなで全校肝試し大会が始まった。陽キャ達は見せびらかすように香澄達と入り口から入っていった。当然羨ましがるのだが、相手は金持ちでイケメン、エリートだった為何も言い返せなかった。

 

 そして女子の陽キャ達はというと、陰キャをターゲットにして冤罪を作り出そうと考えていた。完全にやりたい放題である。

 

 そんな中、飛鳥は陽キャの取り巻き達と肝試しに出かけたのだが、案の定前を歩かされたが、動じなかった。

 

「チッ、透かしやがって…」

「だけど、そんな余裕こいてられるのも今のうちだ」

「もうすぐ第1関門が来るぞ…」

 

 最初の脅かし役がスタンバイをしていたのだが、これがとてつもなく怖い仕掛けになっていて、大抵逃げ出したりしていた。

 

 そして第1関門、脅かし役が飛鳥を脅かしたが飛鳥は全く驚かず、取り巻き達は困惑した。

 

飛鳥(オレの醜態をカメラで撮影し、それを戸山さん達に見せて幻滅させようって魂胆か。本当によくやるよ…)

 

 飛鳥は目の前の脅かし役を呆れた目で見ると、脅かし役は居た堪れなくなったのか、その場を去った。すると取り巻き達は

 

「チッ」

 

 と、聞こえるように舌打ちした。

 

「あーあ。空気読めよ」

「そこは驚くところだろうが」

 

 そう言って飛鳥に悪態をついたが、飛鳥は無表情で取りまきを見つめた。

 

飛鳥「温い」

「は?」

 

 飛鳥が取り巻き達を見つめた。

 

飛鳥「私を嫌われ者にしたいのなら、もっといい方法がありますよ」

「ど、どういう意味だ?」

 

 すると飛鳥がその場を走り出した。

 

「あっ!!」

「待てコラァ!!!」

 

 飛鳥がものすごいスピードで駆け抜けていくと、取り巻き達が追いかけた。

 

 その頃…

 

「オレが絶対に守ってあげるからね」

「ありがとう…」

 

 パスパレは生徒会長と一緒に歩いていた。芸能人5人を侍らせて完全に勝ち組気取っていた。

 

日菜「何かお化けのクオリティ低くない?」

麻弥「ひ、日菜さん…」

イヴ「わ、私はこの方が…」

 

 日菜がお化けのクオリティに対して疑問に思っていると、イヴが麻弥にくっついて、麻弥は日菜を諌めた。

 

「イヴちゃん! もし良かったらオレの傍に…」

千聖「結構です。それよりも前を見てください」

 

 千聖がガードをしていた為、なかなか思い通りにいかず、会長はイライラしていた。千聖さえいなければ何とかできたかもしれないが、しっかりガードをしていた為、近づけずにいた。

 

 そんな時、取り巻き達が追い付いていた。

 

「くそう! どこ行きやがった! 一丈字の奴!!」

「あっ…まずいぞ!」

「!!?」

 

 取り巻き達が会長とパスパレと目が合ったが、会長は表情を歪ませ、取り巻き達は青ざめた。

 

千聖「あら、何の御用かしら?」

「え、えっと…一丈字見ませんでしたか?」

「あいつ、幽霊にビビッて逃げ出しちゃったんですよ…」

「ええっ!!?」

 

 取り巻き達の言葉に日菜たちが驚いたが、千聖は驚かなかった。というのも、すぐ近くの木の陰で飛鳥がいて、サインを送っていたからだ。まあ、飛鳥の正体を既に知っている上に、最初からそんな筈がないと思っていた。

 

日菜「ホントかなー。あなた達が逃げ出したんじゃないの?」

「!?」

彩「うーん…。一丈字くん逞しいから、幽霊から逃げ出すなんてありえないと思うなぁ…」

麻弥「林間学校で羽沢さんを助けたくらいですから…」

イヴ「私もそう思います…」

千聖「まあいいわ」

 

 千聖が割って入った。

 

千聖「あなた達も私達に加わって下さる?」

「!!?」

 

 千聖の発言に皆が驚いた。

 

千聖「そうしましょう。それじゃ、お願いしますね?」

麻弥「ち、千聖さん…?」

 

 千聖の発言に麻弥が戸惑うが、会長はハーレムでなくなる為、それでいいわけがなかった。そして飛鳥が超能力で会長を更に怒らせた。

 

会長「てめぇら…」

「ひ、ひぃいいいい!!」

会長「よくもオレの計画を台無しにしやがって!! ぶっ殺してやる!!」

「ひぃいいいいい~~~~~!!!!」

会長「待てぇ~~~~!!!!」

 

 そう言って会長は取り巻き達を追いかけて、去っていった。

 

彩「えーっ!! ちょ、ちょっと~!!!」

日菜「女の子を置いていくなんてサイテー!!」

イヴ「うぅぅぅぅ…」

麻弥「ど、どうしましょう千聖さん…」

千聖「男の子ならもう一人いるわよ」

「え」

 

 千聖が木の影を見た。

 

千聖「一丈字くん。そこにいるのは分かってるのよ。出てらっしゃい」

 

 千聖がそう言うと飛鳥が出てきた。

 

飛鳥「…バレてましたか」

千聖「あなたも大変だったわね。あいつらのお遊びに付き合わされて」

飛鳥「そうですね。ですが、被害に遭われてるのは私だけではございませんよ」

彩「どういうこと?」

飛鳥「それが…」

 

 陽キャ女子が陰キャ男子をターゲットにして、冤罪をかけようとしていた事を話した。

 

麻弥「なんですかそれ! 悪質っす!」

イヴ「ひ、ひどい…」

千聖「大丈夫よ。私が誤解を解いてあげるから。それよりも…」

 

 千聖が笑みを浮かべた。

 

千聖「出口までエスコートしてくださる?」

飛鳥「他の方は問題ございませんか?」

彩「う、うん! お願い!」

日菜「飛鳥くんがいるなら、るんってするよ!」

麻弥「お、お願いします!」

イヴ「お願いします…」

飛鳥「承知しました」

 

 メンバー全員の了承を得たため、飛鳥は安心していた。

 

千聖「それじゃ、前を歩いてくれる?」

飛鳥「はい。後ろはどうしましょうか」

千聖「私が見てるわ。何があるか分からないものね」

日菜「どうして後ろ?」

飛鳥「後ろから何かが現れる場合があって、その時に耐性のない方が驚いて前に走ろうとすると、前を歩いている人にぶつかって怪我をする可能性がございます。それを防ぐために、後ろを見て頂く番も設置しようかと」

イヴ「……」

 

 イヴが飛鳥を見つめていた。

 

飛鳥「どうしました?」

イヴ「い、いや。なんでもありません」

飛鳥「不安ですか?」

イヴ「い、いえ。そういうわけでは…」

飛鳥「そうですか」

 

 飛鳥が普通に返事すると、背を向けた。

 

飛鳥「後ろは白鷺先輩が見ていますし、横には丸山先輩達もいますので、心配することはございませんね」

イヴ「……」

千聖「そして前にはあなたがいる。しっかり頼むわよ」

飛鳥「はい。ゴールまで白鷺先輩達をお守りします」

 

 飛鳥の頼もしさにメンバーたちが驚いていた。

 

千聖「…まあ、安全に越したことはないわ。行きましょう」

飛鳥「はい」

 

 こうして飛鳥はパスパレと一緒に行動を共にして、そのままゴールをしたが…。

 

「一丈字とパスパレがゴールしてきたぞー!!」

「うぉおおーっ!! 流石一丈字だ!!」

「やってくれると信じてたぜ!!」

「今回は見直した!!」

 

 帰って来るなり、大歓声が上がった。飛鳥は驚いていて、周りを見渡していたが、一緒に歩いていた取り巻き達や陽キャ達は涙目で睨みつけていた。

 

飛鳥「なにがあったんだろう…」

 

 実は会長と取り巻き達は追いかけっこをしているうちにゴールについてしまったのだ。しかし、一緒にペアを組んでいた筈のパスパレではなく、取り巻き達と帰ってきたことにより、パスパレを置いて一人だけ逃げたと認識され、総すかんを食らったのだ。ちなみに他の陽キャ達も他のグループとのハーレムを楽しめるかと思いきや、思い通りにならなかったのだ…。また、飛鳥が懸念していた冤罪の件も、黒服たちが身を潔白して、陽キャ女子たちの野望を打ち砕いた。

 

千聖「ズルをした人にいい結果は帰ってこないのよ」

日菜「そう! 正義は必ず勝つってね!」

 

 千聖と日菜の反応を見て、飛鳥は困惑した。

 

彩「それはそうと一丈字くん。本当にありがとね」

飛鳥「いえいえ。お気になさらないでください」

 

 彩の言葉に飛鳥が苦笑いした。

 

麻弥「一丈字さんが前にいてくれた事もそうですけど、千聖さんが後ろを見てくれたおかげで安心できたっす!」

イヴ「ありがとうございました!」

飛鳥「ご無事で何よりです。さて、そろそろ行かないと」

 

 飛鳥がその場を離れようとすると、

 

日菜「ありがとねー」

千聖「お疲れ様」

飛鳥「あ、はい。お疲れさまでしたー」

 

 軽い挨拶だけをして、飛鳥はパスパレと別れた。

 

飛鳥(今日もいい仕事しました)

 

 普通ならこれだけかと思うが、飛鳥としてはこれで十分だった。理由としては目立つし、修羅場になるからである。

 

イヴ「……」

 

 イヴは飛鳥の後姿をじっと見つめていた。

 

日菜「どうしたの? イヴちゃん」

イヴ「一丈字さん…。まさしくブシドーの精神を持っていました…!

日菜「うーん。どっちかっていうと忍者じゃない? 体軽いし」

 

 パスパレはずっと飛鳥の話をしていたという。

 

 

おしまい

 

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