ある日の休日。飛鳥は麻弥に呼び出されていた為、ショッピングモールのカフェに来ていた。飛鳥としてはアイドルなんだし、二人きりになるのまずいんじゃないかと言ったが、麻弥がどうしても二人で話をしたいという事なので、ショッピングモールのカフェにやってきていた。ちなみに相手が芸能人なので、男だという事がばれないように若干女性よりの変装をしていた。
飛鳥「えーと…確かこの店だったな」
飛鳥が店の中に入ると、
「おーい! こっちでーす!」
麻弥が手を振って飛鳥に教えていた。麻弥は帽子にサングラスをかけていかにも芸能人という感じの格好をしていた。まあ、実際はあまりにもファッションに無頓着だったので、千聖から指導が入ってこのような格好になったのは言うまでもなかった。
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麻弥「いやあ、わざわざ来ていただいてありがとうございます」
飛鳥「いえ…」
飛鳥が席に着くと、麻弥と向かい合うように席に座ると、飛鳥は超能力で自身と麻弥の正体に気づかれないように細工をした。
飛鳥「それで、ご用件というのは何でしょうか」
麻弥「その前に何か頼みましょう」
飛鳥「それもそうですね…」
麻弥「あ、今日はジブンが持ちますよ」
飛鳥「そういう訳にはございませんよ」
麻弥「いいですから。ジブンが呼び出したんですから、お願いします」
飛鳥「そ、そうですか…?」
麻弥の言葉に飛鳥が困惑した。
飛鳥「じゃあこの一番安い奴で」
麻弥「それじゃあジブンはこれにしましょうかね」
麻弥が2人用のメニューを頼んでいた。
飛鳥「…結構食べるんですね」
麻弥「まあ、そうですね」
飛鳥(もしかして…オレに気を遣ってるのかな)
だが、飛鳥はこれ以上何も言わないことにし、そのまま注文することにした。
飛鳥「さて、ご用件は何でしょうか」
麻弥「そうですね。料理が来る間にお話ししましょう。実は…」
麻弥が飛鳥に相談を持ち掛けた。
麻弥「実はうちの事務所の機材で、これだけ壊れてるのですが、一丈字さん、分かりますかね…」
飛鳥「実物を見ないとわかりませんが、そうですね…。これは…」
飛鳥が機械の修正点を、麻弥が持ってきた資料にペンで書き込みを入れた。淡々と作業をこなす姿に麻弥は驚いていた。
「お待たせしましたー」
飛鳥「ああ、ありがとうございます」
店員から頼んでいたメニューを受け取ると、飛鳥は凛とした表情で返事した。
麻弥(な、なんかまるで別人みたいっす…)
いつもと違う飛鳥の姿に麻弥が驚いていた。
飛鳥「頼んでいたものも来ましたし、休憩しましょうか」
麻弥「そ、そうっすね!」
そう言って飛鳥は一番安いコーヒーを飲んでいて、麻弥はアイスティーを飲んでいた。
麻弥「あ、よかったら一丈字さんもこのケーキセット、つまんでください」
飛鳥「あ、はい。ありがとうございます…」
店おすすめのケーキ6種セットを進められた飛鳥は素直に返事した。
そしてケーキもそこそこつまみながら、機材の話を続ける。
飛鳥「大した損傷はありませんが、修理はプロの方に行っていただいた方が良いですね」
麻弥「や、やっぱりそうでしたか…。ありがとうございます」
飛鳥「いえいえ」
すると、飛鳥が困った様子を見せた。
飛鳥「それにしても…なぜ私にこのような相談を?」
麻弥「すみません…。実は以前、一丈字さんが工学の実習をしているのを見てまして…」
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ことの顛末はこうだ。教室へ移動中だった麻弥は偶然、工学室を見学していたが…。
飛鳥「……」
慣れた手つきで課題の作品を作り上げている飛鳥の姿があった。周りの生徒は飛鳥の手つきとスピードを見て驚いている。
麻弥(えっ!!? 一丈字さん機械作るの得意だったの!!?)
そして暫くして作り終えると、飛鳥は何回も見直しをしていて、数回見直した後、その姿を見かねた先生がやってきて、
「一丈字くん…。もしかして終わったのかい?」
飛鳥「あ、はい…」
「ちょっと見せなさい」
教師が飛鳥の作品を10秒くらい見て、飛鳥の方を見た。
「君はこういうの得意だったりするのかね?」
飛鳥「分かりません」
「いや、私が見る限り君めちゃくちゃ得意だよね。何年か教師やってきたけど、あっさり終えたの君と2年生の氷川日菜さんくらいだよ」
飛鳥「ああ、そうなんですか…?」
飛鳥は困惑していた。
麻弥(や、やっぱり日菜さんと同じタイプだったんですね…!! 一丈字さん…!!)
そんなこんなで飛鳥に興味を持った麻弥は、この話を持ち掛けたという訳だった
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飛鳥(…見られてたか)
呼び出された本当の理由がわかり、飛鳥は正体がばれないか不安だった。
麻弥「それで、この図面とか分かるかなーと思いましたが、予想通りでした…。こういうのに興味が合ったりするんですか?」
飛鳥「中学の時も実習であったので…」
麻弥「いや、そのレベルをはるかに超えてますよ」
飛鳥「自分ではそういうの分かりませんねぇ…」
と、そのまま談笑していた。
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ある日の事。事務所で機材の修復作業が行われていた。
千聖「麻弥ちゃん。上手くいったわね」
麻弥「ええ。一丈字さんにも相談に乗ってもらったんすよ」
千聖「一丈字くんに?」
飛鳥の名前を聞いて千聖が驚いた。
麻弥「いやあ、ジブンの予想通り、なかなか見る目がありましたねぇ」
千聖「……」
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その夜、千聖は飛鳥に電話をかけた。
千聖「…麻弥ちゃんに相談を持ち掛けられたって本当なの?」
飛鳥「申し訳ございません。どうしても直接話がしたいとあったので…」
千聖「気を付けてね。異性と二人きりでお茶してるなんて知られたら…」
飛鳥「ええ。例の力を使ってマスコミにリークされないように最善は尽くしました」
飛鳥が真面目な顔をしたが、千聖は考えていた。
千聖「…そういや、麻弥ちゃんから聞いたわ。あなた、機械も強いのね」
飛鳥「普通ですよ」
千聖の言葉に飛鳥は平然と言い返した。それに対して千聖は更に言葉を続ける。
千聖「どこかで習ったの?」
飛鳥「……」
千聖の言葉に飛鳥が笑みを浮かべた。
飛鳥「ええ。遠い昔に」
千聖「遠い昔?」
飛鳥「アメリカに留学してた時です。理工学に興味があったのでそこでがっつり」
千聖「……」
飛鳥の言葉に千聖が口角を下げた。
千聖「…本当にすごいわね。あなた」
飛鳥「ありがとうございます。ですが、千聖さんの方が凄いですよ」
千聖がほめたので、飛鳥が苦笑いした。
飛鳥「それはそうとどうされたんです? いつもの千聖さんらしくないですよ」
千聖「そ、そんな事ないわよ」
電話の向こうで飛鳥が笑っていたのがわかったのか、千聖は少し驚いたように返事した。
飛鳥「ご心配は不要ですよ」
千聖「!」
飛鳥「これでも大分マシになった方なので」
千聖「一丈字くん…」
飛鳥「千聖さんはこれまで通りでお願いします。寧ろこちらもその方が動きやすいので」
こうして、飛鳥は何とか千聖を抑えることができた。
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翌日、何とか麻弥と密会していた事はバレずに済んだが…。
「麻弥ちゃん!! 今度オレと喫茶店でデートしよう!?」
「貴様には100年早い!! オレとオレと!!」
「オレ、ちょっと機械には詳しいんだよ!!?」
「僕たちの天使(エンジェル)に手を出すなぁ~!!!」
麻弥は男子生徒たちに言い寄られて困惑していた。そしてそれを飛鳥が苦笑いしていた見つめた。
飛鳥(まあ、平和だからああいう事が出来るんだよな。大和先輩には申し訳ないですけど)
すると、麻弥が飛鳥に気づいて、飛鳥に走ってきた。
麻弥「ああっ!! い、一丈字さん!! 助けてください~っ!!」
飛鳥(助けてほしいのオレなんだけどね!!!)
「オラァアアアアアアアアアア一丈字ぃ!!」
「いい加減死ねやテメェ!!!」
「生きてることを謝れ!!」
麻弥が飛鳥のところに走ってくると、男子生徒たちが追いかけてきたので、飛鳥が麻弥の手を取って走った。超能力を使って男子生徒たちの足を遅くしたり、麻弥の足を速くする不法もあったが、手を取って逃げるという手が一番最初に頭に思い浮かんで、飛鳥は男子生徒たちの足を遅くした。
飛鳥「大和先輩、走れますか!?」
麻弥「は、はいっす!!」
「待てぇ~~~~~~~~~~!!!!」
「オレも麻弥ちゃんと手をつなぎたいっ!!」
こうして今日も飛鳥は変態達と戦っていた。ぶっちゃけ、もうバンドリ学園の名物になりつつある…。
千聖「……」
それを教室から見つめていた千聖たち。
彩「ち、千聖ちゃん…」
千聖「あの男子生徒たち、全員死刑ね♪」
彩「千聖ちゃん!!?」
花音「ふぇえええええええ!!!?」
にっこり微笑みながら言い放った千聖に彩と花音が青ざめた。
おしまい