全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第274話「いい事は起きるものじゃない、作るものだって誰かが言ってたような気がした」

 

 

 私の名前は奥沢美咲。ハロー、ハッピーワールドというバンドに所属している。まあ、所属してるって言ってもミッシェルっていう着ぐるみなんだけどね。どういう訳かうちのバンドのリーダーである弦巻こころと他2名は、ミッシェルと私が別人だと信じて疑わない。正直言って頭がおかしい。

 

「美咲ちゃん!! 君の躰に直接付着している汗を吸わせてくれぇ!!!」

 

 もっと頭のおかしい奴がいた~!!! 1人だけならまだしも数人がかりで来るんだよもうやだもうね!! 前を歩いてる女の人に不審者と間違われてぇ~!!! すっごい気持ち悪いからさぁ~!!!

 

美咲「は? 何言ってるのか分かんないんだけど。警察呼んでいい?」

「いいよ」

「警察に捕まったところで僕たちは諦めない!!」

「むしろ美咲ちゃんに警察を呼ばれたという事を胸に刑務所で君を思いながら…」

 

 諦めてっていうかどう突っ込んだらいいの~!!!? もうこころなんか比べ物にならないくらい頭おかしいんだけど~!! 普通だったら「あー…そうですね」とか投げやりに返すのに、そんな事したらOKだと思われて完全にやられる奴じゃん!! ねえもうお願い、裸でエベレスト登山してぇ~!!!

 

美咲「いい加減にして!!」

「お前がいい加減にしろ!!!」

「そうだ!! お前がいい加減にしろ!!」

 

 えぇ~!!!? 何この四の五の言わせない空気!! ていうかなんであたしが悪いみたいな感じになってんのねえ、お願い死んで~!! こんな事言いたくなかったけど、死んで~!!!

 

「生きる!!」

 

 ていうかなんであたしの心の声聞こえてんの!!? やだもうね、心折れそうなの!! あたしの平凡な日常を返してぇ~!!!

 

「あのね、美咲ちゃん」

美咲「な、なによ」

「平凡な日常を過ごしたいってね。贅沢言ってんじゃないよ!!」

「そうだ!! 非凡な日常を過ごしたくても過ごせない人がいるんだぞ!!」

「美咲ちゃんは選ばれた人間なんだよ!!」

「羨ましいにも程があるんだ!!」

「という訳だから、その汗を吸わせてくれ!!」

 

************************:

 

美咲「ひっく…ひっく…もうやだぁ…」

 

 ファミレスで美咲は泣きじゃくっていた。そして対面には飛鳥がいた。

 

飛鳥「奥沢さん。あの男子生徒たちは黒服の人達に始末してもらってますので、安心してください」

美咲「ありがと…」

 

 飛鳥の言葉に美咲は涙声で反応した。

 

 暫くして、美咲は落ち着いた。

 

美咲「ていうか、なんであんなに変態が多いのよ!!」

飛鳥「色々理由はありますね。奥沢さん達が人気者というのもありますし、女性に関するコンプレックスがあったりして…」

美咲「はぁ…もうやだ…」

 

 飛鳥の言葉に美咲は涙目になって視線をそらした。

 

飛鳥「まあ、今日の食事代は私がご馳走しますので、遠慮せず頼んでください」

美咲「それは別にいいけど…」

 

 美咲が飛鳥を見つめる。

 

美咲「ねえ、一丈字くん」

飛鳥「なんです?」

美咲「一丈字くんも結構理不尽な目に逢ってるけど、嫌になったりしないの?」

 

 美咲の言葉に飛鳥が少し反応したが、

 

飛鳥「そりゃあ嫌になりますよ。何もしてないのに言いがかりつけられたり、私のせいにされるんですから」

美咲「言い返したりとかしないの?」

飛鳥「もうしませんよ。それで他人は変わりませんから」

美咲「……!」

飛鳥「それよりも別の方法を考えます。しかるべき対処を取ったりするなり、人に協力してもらうなりしてね」

 

 飛鳥が静かに目を閉じた。

 

飛鳥「出る杭は打たれるって言葉を知ってますか?」

美咲「し、知ってるけど…」

飛鳥「人は杭を元に戻そうとして、木づちなどを使って元に戻そうとしますけど、出すぎた杭はどんな手を使っても元に戻せないんですよ。私は出すぎた杭になろうって決めたんです」

美咲「出すぎた杭…?」

飛鳥「人の目を気にしないで自分らしく、前向きになろうって決めたんですよ。どうあがいても人から色々言われ続けてきた結果です」

美咲「……」

 

 飛鳥が美咲を見つめる。

 

飛鳥「奥沢さん。あなた、結構後ろ向きに物事を考える方ですか?」

美咲「ま、まあ…そうね。少なくともこころやはぐみみたいにはなれないかも…」

飛鳥「……」

 

 美咲の言葉に飛鳥が一息ついた。

 

美咲「でも、どうして?」

飛鳥「前向きに物事を考えると言いましたが、たまにそうなりますよ」

美咲「え?」

 

 美咲が飛鳥を見つめた。

 

飛鳥「あまりにも上手くいかなくてね。これをやってもダメなんじゃないかとか、こうしても絶対こうなるに違いないとかって。自分に言い聞かせても、やはり心のどこかで後ろ向きになるんですね」

美咲「……」

 

 美咲は飛鳥という人間が少し理解できた。なんでもできるように見えても、実は結構悩んだり、壁にぶつかったりしていて、自分とそんなに変わらないんだという事に。

 

飛鳥「でも、後ろ向きに考えてるとどんどん悪い方向に行くんですね。そうなると、何もかもうまくいかなくなるんですよ」

美咲「そ、そう…」

飛鳥「何が言いたいかって言いますと奥沢さん。強く生きてください」

美咲「あ、やっぱりそうなるのね…」

 

 飛鳥の言葉に美咲が呆れながら突っ込んだ。

 

飛鳥「まあ、気をしっかり持って。奴らは心が弱った時を狙ってきますから、弦巻さん達の時みたいに軽く受け流しますと、そこで終わりですよ」

美咲「だよね…」

 

 美咲がふっと笑った。

 

美咲「でもちょっとすっきりしたかも。ありがとう一丈字くん」

飛鳥「いえいえ」

 

 その時、美咲の腹が大きく鳴った。

 

美咲「!!!///////」

飛鳥「あ、ごめんなさい。私が鳴らしました」

美咲「いや、そこまで気を遣わなくていいから…/////」

飛鳥「頼みましょ頼みましょ」

美咲「じゃあコレ」

飛鳥「はい」

 

 美咲がわざと一番高いメニューを頼んだが、飛鳥は動じなかった。

 

美咲「…冗談だよ」

飛鳥「大丈夫ですよ。今日はサービスです」

美咲「…ありがと」

 

 とまあ、楽しい食事会になったそうです。

 

 

 

おしまい

 

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