それはある日の事だった。Afterglowがライブハウスで練習を終えて帰路についていた時の事。
「おなかすいたー」
モカがそう言い放つと、他の4人がモカを見た。
つぐみ「何か食べて帰る?」
モカ「うーん」
巴「それだったらラーメンにすっか?」
蘭「なんでもいいよ。行こう」
そう言ってAfteglowがラーメン屋に行こうとしたその時、ひまりがある事に気づいた。
ひまり「あれ? あそこにいるのって一丈字くんじゃない?」
「え?」
ひまりが指をさした先に、私服姿の飛鳥がいた。いつもは眼鏡をかけているがプライベート時は外している。案外気づかれないのだが、ある程度顔なじみになったのである程度は分かるようになった。
つぐみ「ホントだ」
モカ「声かけてみる~?」
蘭「邪魔しちゃ悪いよ。行こう」
すると飛鳥は周りをキョロキョロ見渡して、その場を後にした。
巴「…何か探してるみたいだな」
モカ「ちょっと追いかけてみる~?」
蘭「いや、いいよ…。後で聞けばいいんだし」
モカ「それもそうだよね~」
そう言って蘭たちはラーメン屋に向かったが、その途中で飛鳥が路地裏に入っていくのを見た。
モカ「路地裏…」
蘭「ちょ、ちょっとやめようよ…。なんかやばいって…」
蘭は嫌な予感がしたのか、困った顔をした。するとモカ以外の3人も困った顔をした。
巴「そ、そうだな…。後でメールで聞いてみるか…」
約1時間後
モカ「まだ既読つかないなぁ~」
カフェでの食事が終わり、モカはスマホで飛鳥に送ったメールを確認していた。
蘭「まさかとは思うけど…本当にやばいところに行ってるんじゃ…」
モカ「それはないよ~」
ひまり「どうして?」
モカ「なんとなく~」
ひまり「それじゃ分かんないよ!」
そう言いあっていると、飛鳥が路地裏から出てきた。
「!!」
飛鳥の姿を見るなり、蘭たちは飛鳥の方に駆け出した。
つぐみ「一丈字くん!」
飛鳥「?」
飛鳥が横を見てAfteglowの存在に気づいた。
飛鳥「これはこれは。練習帰りですか?」
モカ「そうだけど、メールしたんだよ~?」
飛鳥「あ、そうなんですか? すみません、確認してませんでした」
するとモカがウインクをして飛鳥にサインを送ると、飛鳥は苦笑いした。
飛鳥『…大丈夫だよ。事件性はないからちゃんと説明する』
モカ『それならいいけど~』
巴「それはそうと、路地裏に入って何してたんだ?」
飛鳥「ラーメン屋に行ってました」
「…え?」
飛鳥の言葉にモカ以外の4人の目が点になった。
飛鳥「広島にいたころの知り合いがこの辺にラーメン屋を開店したって聞いて、行ってたんですよ」
蘭「ろ、路地裏にラーメン屋って…」
ひまり「お客さん来るの…?」
飛鳥「ちょっと秘密のあるラーメン屋にしたいという事で、あの場所を選んだみたいなんですよ。写真がこちらです」
飛鳥がスマホで撮影した店の写真をAfterglowに見せた。
ひまり「ラーメン…霊界…?」
蘭「何この呪われそうな名前…!!」
つぐみ「も、もしかして店主さんの趣味…?」
飛鳥「そうなんですよ。店主さんは黒魔術とかが大好きで…」
巴「…あこが好きそうだな。あと、りみ」
モカ「で、飛鳥くんはここでラーメン食べてきたんだ~」
飛鳥「ええ。あと、スイーツも頂きました」
ひまり「スイーツ? どんなのがあるの?」
飛鳥「裏メニューなんですけど、こんなのがありますね」
飛鳥が写真を見せたが、チョコレートケーキに脳みそをムース上にしたものや、どくろ型のチョコレート。あとは黒いワイングラスに注ぎこまれたブラッドオレンジジュースが映っていた。
ひまり「お、おいしそう…」
モカ「これ、店主さんの手作り?」
飛鳥「そうですね」
ひまり「スイーツは食べてみたいけど、お店の雰囲気怖そう…」
飛鳥「まあ、そうなりますよね」
飛鳥が苦笑いした。
モカ「ラーメンはどんなラーメンがあるの?」
飛鳥「そうですね…。富山ブラックみたいにスープが黒いです」
巴「あー…」
飛鳥「店長のイメージとしては、ツボの中になんか薬の材料を入れるイメージですかね。これが写真です」
モカ「お~。確かに黒魔術~」
確かに魔法の鍋っぽい器に黒いスープと具材が入っていて、いかにも魔法のスープみたいな感じだった。
蘭「けど、これなんか量が多くない…?」
飛鳥「あ、ごめんなさい。メガ盛りサイズを頼んだのでこの写真なんですよ。本当はもっと小さいです」
「メガ盛り!!?」
飛鳥「お腹すかせてまして…」
驚くAfterglowに対し、飛鳥が苦笑いした。
モカ「そういえば飛鳥くんもよく食べるもんね~。あ、そうだ。この店に連れてってよ~」
飛鳥「え?」
飛鳥が驚いた。
ひまり「モ、モカまだ食べるの!!?」
蘭「結構食べたんじゃ…」
モカ「店の様子を見るだけだよ~。他の皆はどうする~?」
巴「本当は気が引けるけど…ラーメンと言われちゃ黙ってられないね」
ひまり「ええっ!!? でも私もスイーツは気になるかも…」
蘭「……」
蘭が嫌そうにしていた。
つぐみ「あ、えっと。私は今日は遠慮しとくよ。蘭ちゃんが…」
蘭「行く」
つぐみ「え」
蘭「……」
そして6人で店の前まで移動することになったが、黒い看板に紫色の文字で店の名前が書いてあって、気が引けていた。
蘭・巴「ひっ!!」
モカ「お~。確かに霊界に連れていかれそうだね~」
ひまり「実物で見ると凄く怖いよぉ!!」
飛鳥「まあ、もし機会があれば行ってみて」
その時だった。
「あれ? 飛鳥くん…?」
横からとてもか細い男性の声がして、飛鳥たちが横を向くと、長身で長髪、根が暗そうな男性が現れた。
蘭・巴・ひまり「うわああああああああああああっ!!!!」
3人が驚いて腰を抜かした。
飛鳥「皆さん。この人が店長ですよ」
「ああ…。驚かせてごめんね」
店長が困ったように蘭たちに謝った。
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「改めて、ラーメン霊界の店長の影野です。宜しく…」
「よ、よろしくお願いします…」
3人が起き上がった後、店長の影野が自己紹介をした。
影野「どうしてここに?」
飛鳥「彼女たちに店の話をしたら、是非案内してほしいと」
モカ「黒魔術ラーメン美味しそうだったので~」
影野「そうですか。お客さんですね…」
モカ「でも、さっきカフェでご飯食べてきちゃったので、また来ますね~」
影野「お待ちしております…」
こうしてAfterglowは後日改めてラーメン霊界に行くことになりましたが…。
飛鳥「私必要ですか?」
なぜか飛鳥も駆り出され…。
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影野「お待たせしました。黒魔術ラーメンと裏メニューの暗黒スイーツです…」
「おおおおおお!!!」
6人でラーメンとスイーツを食べましたとさ。
蘭「み、店の雰囲気が…」
ひまり「あのー。明るくして貰う事って…」
モカ「二人とも―。お店の雰囲気壊しちゃダメだよー。Afterglowがパスパレ路線になるようなものだよ~?」
ひまり「ひ~ん」
蘭「……」
特にオチはない。
おしまい